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第571話【巨大モグラのロデム】
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ゴリが叫んでいた。
「おい、誰かあの巨大モグラを止めろよ。あんなのが石橋を渡ったら、復旧したばかりの石橋がまた落ちちまうぞ!!」
全裸のオアイドスが述べる。
「ゴリさん、無茶言うね~。あんな20メートルも有るデカブツを誰が止められるんだい!?」
「私がやります!!」
木のスタッフを翳したバイマンがゴリの前に出た。
「おお、バイマン、行けるか。お前の放火魔法で丸焦げに燃やしてやれ!!」
「ゴリさん、放火魔法って、なんか言い方悪くないですか……。悪意がないですか……?」
「気にすんな。いいから燃やせ!!」
「分かりましたよ!!」
痩せ細った魔法使いのバイマンがスタッフを前に付き出すと集中を高める。
するとスタッフの先に炎が渦巻きだした。
「マジックインフェルノ!!」
ダークネスマイナーが左腕のカイトシールドで身を守りながら叫んだ。
「火炎魔法か!!」
バイマンの魔法が巨大モグラの顔面を焼き炙る。
だが、巨大モグラは火炎の魔法にびくともしない。
「わはっはっはっ、無駄じゃわい。我がロデムの鎧は耐火防御に優れたマジックアイテムだ。貴様程度の魔法が通用すると思うなよ!」
「ならば、こちらもサーバントで対抗します!!」
続いてバイマンがサラマンダーを召喚する。
「サーバントサラマンダーだ!!」
燃えたぎる炎の巨大蜥蜴。
だが、召喚されたサラマンダーのサイズ的には巨大モグラの半分も無い。
明らかに体格負けしている。
それでもバイマンは強気で攻撃命令をくだした。
「行け、サラマンダー! モグラなんて焼き尽くせ!!」
指示された通りサラマンダーが巨大モグラに飛び掛かった。
「甘い! タルトよりも甘いぞ!!」
巨大モグラが前足を高く振り上げた。
そして片足でサラマンダーを踏みつける。
ペシャリと行った。
「ぐわっ!!」
サラマンダーが鉤爪で踏みつけられると足の隙間から熱風が飛び散る。
「私のサラマンダーちゃんが!!!」
一撃だった。
たったの一踏みでサラマンダーは動かなくなる。
「「よわ~……」」
ゴリとオアイドスが呆然と呟いていた。
「ご、ごめん……。へッポコで……」
バイマンは壁に額を付けて落ち込んでいた。
自分の非力差がショックだったのだろう。
「わはっはっはっ! アルカナ二十二札衆を舐めるなよ!!」
ゴリとオアイドスがぶつくさと呟いていた。
「あいつが強いんじゃなくて、モグラが強いんじゃん」
「そうだよ、そうだよ。あいつは頭の上で笑ってるだけじゃんか」
「ペットも飼い主の実力の内なんだよ!!」
サラマンダーを踏み潰した巨大モグラのロデムが前に進みだした。
魔王城に突き進む。
オアイドスが慌てながら言った。
「あわわ、どうします!?」
ゴリがバトルアックスの柄を強く握り締めながら述べる。
「こうなったら俺が戦斧で切りかかるか!?」
「ゴリさん、それは無理じゃあないですか。相手はサラマンダーを一踏みでペシャンコにしちゃうデカブツですよ!」
「だが、誰かが止めないとならんだろ!!」
三人は空を見上げた。
日食に暗くなった空の下をカイトフライヤーウッドゴーレムたちが連隊を組んで飛んでいる。
湖のほうを見れば水面を揺らしながら巨大なクジラ人間が魔王城を目指して進行していた。
ゴリが歯を食い縛りながら決意を述べる。
「地上だけでも、俺らで止めないとならんだろう……」
「ですが~……」
オアイドスが力無い声を出した刹那だった。
建物の陰からサイクロプスのミケランジェロがノシノシと現れる。
「ここは、俺が止めよう!」
「ミケランジェロ!!」
姿を現したミケランジェロはいつもと成りが違っていた。
いつも建築作業に励むミケランジェロはズボンに上半身裸でラフな格好だ。
しかし、今回のミケランジェロは完全武装に身を包んでいた。
巨大なウォーハンマーを手に、身体にはプレートメイルを纏っている。
そして、鋼鉄のヘルムまで被っていた。
まさに完全武装だ。
顔面の真ん中に煌めく一つ目もいつも以上に凛々しく輝いている。
「この前は装備が不十分でメタルキャリアに遅れを取ったから、今回は完全武装で参りましたよ~んだ!!」
「やる気満々だな……」
「いや、ちょっとふざけてませんか……?」
完全武装のミケランジェロが巨大モグラロデムの前に立ちはだかった。
巨大なウォーハンマーを器用に回した後に両手で前にビシッと構える。
ダークネスマイナーがミケランジェロを見て述べた。
「この町にサイクロプスが居るとは聞いていたが、完全武装を決め込むほどの知能が有るとまでは聞いてなかったぞ。我はてっきり下等な一つ目巨人が奴隷として働かされているかと勘違いしとったわい」
「我が名はミケランジェロ。前魔王様の四天王タイタンの副将を務めていた戦士なり。例え落ちたとわ言え、人間の奴隷になるほど落ちてはいないわい!!」
「では、何故に人間の町で働いているのだ?」
「人間は仲間だからだ」
「人間と魔物が仲間だと? 笑えることを言い出す魔物だな」
「ふっ」
ミケランジェロが鼻で笑った。
「お主はアスラン殿と出会ってないな?」
「この町を開いた少年だろ。話には聞いているぞ。なかなかの変態だとか」
「変態は変態だが、いずれは立派な王になるだろう逸材だ。我は決めたのだ。アスランが曲がらない信念を持っている限り、彼を支えると!」
「魔物が人間を王と崇めるか?」
「彼はいずれこの地で立派な王となる!!」
「魔物が人を支えれば、それを人は魔王と呼ぶぞ。お前はアスランを魔王に認めるつもりか?」
戦闘の構えを解いたミケランジェロが顎に手を当てて考え込んだ。
「んん~、アスランが魔王か……。そこまでは考えてなかったな」
そして、ミケランジェロがダークネスマイナーを見ながら述べた。
「その提案、面白いな。このミケランジェロ、乗ってみるか」
道の脇に寄っていたゴリが呟いた。
「アスランが魔王に……。史上初の変態魔王になりそうだな」
バイマンとオアイドスも頷いていた。
ダークネスマイナーがロングソードをミケランジェロに向けた。
いや、その背後の魔王城を指している。
「まあ、誰が魔王になろうと我には関係無い。今は魔王城の宝物庫をただ目指すのみだ。このロデムで魔王城の地下を真っ直ぐ掘り進めるのだ!」
「宝物庫が狙いか?」
「そうだ!」
「なら、その目標は達成出来ないぞ」
ミケランジェロが再び巨大ウォーハンマーを構え直した。
「何故だ?」
「貴様とモグラを、このミケランジェロが倒すからだ!!」
「安直な! 行け、ロデム! サイクロプスを踏み潰せ!!」
地響きを鳴らしながらロデムが突進を開始した。
巨大モグラのロデムとサイクロプスのミケランジェロがぶつかり合う。
【つづく】
「おい、誰かあの巨大モグラを止めろよ。あんなのが石橋を渡ったら、復旧したばかりの石橋がまた落ちちまうぞ!!」
全裸のオアイドスが述べる。
「ゴリさん、無茶言うね~。あんな20メートルも有るデカブツを誰が止められるんだい!?」
「私がやります!!」
木のスタッフを翳したバイマンがゴリの前に出た。
「おお、バイマン、行けるか。お前の放火魔法で丸焦げに燃やしてやれ!!」
「ゴリさん、放火魔法って、なんか言い方悪くないですか……。悪意がないですか……?」
「気にすんな。いいから燃やせ!!」
「分かりましたよ!!」
痩せ細った魔法使いのバイマンがスタッフを前に付き出すと集中を高める。
するとスタッフの先に炎が渦巻きだした。
「マジックインフェルノ!!」
ダークネスマイナーが左腕のカイトシールドで身を守りながら叫んだ。
「火炎魔法か!!」
バイマンの魔法が巨大モグラの顔面を焼き炙る。
だが、巨大モグラは火炎の魔法にびくともしない。
「わはっはっはっ、無駄じゃわい。我がロデムの鎧は耐火防御に優れたマジックアイテムだ。貴様程度の魔法が通用すると思うなよ!」
「ならば、こちらもサーバントで対抗します!!」
続いてバイマンがサラマンダーを召喚する。
「サーバントサラマンダーだ!!」
燃えたぎる炎の巨大蜥蜴。
だが、召喚されたサラマンダーのサイズ的には巨大モグラの半分も無い。
明らかに体格負けしている。
それでもバイマンは強気で攻撃命令をくだした。
「行け、サラマンダー! モグラなんて焼き尽くせ!!」
指示された通りサラマンダーが巨大モグラに飛び掛かった。
「甘い! タルトよりも甘いぞ!!」
巨大モグラが前足を高く振り上げた。
そして片足でサラマンダーを踏みつける。
ペシャリと行った。
「ぐわっ!!」
サラマンダーが鉤爪で踏みつけられると足の隙間から熱風が飛び散る。
「私のサラマンダーちゃんが!!!」
一撃だった。
たったの一踏みでサラマンダーは動かなくなる。
「「よわ~……」」
ゴリとオアイドスが呆然と呟いていた。
「ご、ごめん……。へッポコで……」
バイマンは壁に額を付けて落ち込んでいた。
自分の非力差がショックだったのだろう。
「わはっはっはっ! アルカナ二十二札衆を舐めるなよ!!」
ゴリとオアイドスがぶつくさと呟いていた。
「あいつが強いんじゃなくて、モグラが強いんじゃん」
「そうだよ、そうだよ。あいつは頭の上で笑ってるだけじゃんか」
「ペットも飼い主の実力の内なんだよ!!」
サラマンダーを踏み潰した巨大モグラのロデムが前に進みだした。
魔王城に突き進む。
オアイドスが慌てながら言った。
「あわわ、どうします!?」
ゴリがバトルアックスの柄を強く握り締めながら述べる。
「こうなったら俺が戦斧で切りかかるか!?」
「ゴリさん、それは無理じゃあないですか。相手はサラマンダーを一踏みでペシャンコにしちゃうデカブツですよ!」
「だが、誰かが止めないとならんだろ!!」
三人は空を見上げた。
日食に暗くなった空の下をカイトフライヤーウッドゴーレムたちが連隊を組んで飛んでいる。
湖のほうを見れば水面を揺らしながら巨大なクジラ人間が魔王城を目指して進行していた。
ゴリが歯を食い縛りながら決意を述べる。
「地上だけでも、俺らで止めないとならんだろう……」
「ですが~……」
オアイドスが力無い声を出した刹那だった。
建物の陰からサイクロプスのミケランジェロがノシノシと現れる。
「ここは、俺が止めよう!」
「ミケランジェロ!!」
姿を現したミケランジェロはいつもと成りが違っていた。
いつも建築作業に励むミケランジェロはズボンに上半身裸でラフな格好だ。
しかし、今回のミケランジェロは完全武装に身を包んでいた。
巨大なウォーハンマーを手に、身体にはプレートメイルを纏っている。
そして、鋼鉄のヘルムまで被っていた。
まさに完全武装だ。
顔面の真ん中に煌めく一つ目もいつも以上に凛々しく輝いている。
「この前は装備が不十分でメタルキャリアに遅れを取ったから、今回は完全武装で参りましたよ~んだ!!」
「やる気満々だな……」
「いや、ちょっとふざけてませんか……?」
完全武装のミケランジェロが巨大モグラロデムの前に立ちはだかった。
巨大なウォーハンマーを器用に回した後に両手で前にビシッと構える。
ダークネスマイナーがミケランジェロを見て述べた。
「この町にサイクロプスが居るとは聞いていたが、完全武装を決め込むほどの知能が有るとまでは聞いてなかったぞ。我はてっきり下等な一つ目巨人が奴隷として働かされているかと勘違いしとったわい」
「我が名はミケランジェロ。前魔王様の四天王タイタンの副将を務めていた戦士なり。例え落ちたとわ言え、人間の奴隷になるほど落ちてはいないわい!!」
「では、何故に人間の町で働いているのだ?」
「人間は仲間だからだ」
「人間と魔物が仲間だと? 笑えることを言い出す魔物だな」
「ふっ」
ミケランジェロが鼻で笑った。
「お主はアスラン殿と出会ってないな?」
「この町を開いた少年だろ。話には聞いているぞ。なかなかの変態だとか」
「変態は変態だが、いずれは立派な王になるだろう逸材だ。我は決めたのだ。アスランが曲がらない信念を持っている限り、彼を支えると!」
「魔物が人間を王と崇めるか?」
「彼はいずれこの地で立派な王となる!!」
「魔物が人を支えれば、それを人は魔王と呼ぶぞ。お前はアスランを魔王に認めるつもりか?」
戦闘の構えを解いたミケランジェロが顎に手を当てて考え込んだ。
「んん~、アスランが魔王か……。そこまでは考えてなかったな」
そして、ミケランジェロがダークネスマイナーを見ながら述べた。
「その提案、面白いな。このミケランジェロ、乗ってみるか」
道の脇に寄っていたゴリが呟いた。
「アスランが魔王に……。史上初の変態魔王になりそうだな」
バイマンとオアイドスも頷いていた。
ダークネスマイナーがロングソードをミケランジェロに向けた。
いや、その背後の魔王城を指している。
「まあ、誰が魔王になろうと我には関係無い。今は魔王城の宝物庫をただ目指すのみだ。このロデムで魔王城の地下を真っ直ぐ掘り進めるのだ!」
「宝物庫が狙いか?」
「そうだ!」
「なら、その目標は達成出来ないぞ」
ミケランジェロが再び巨大ウォーハンマーを構え直した。
「何故だ?」
「貴様とモグラを、このミケランジェロが倒すからだ!!」
「安直な! 行け、ロデム! サイクロプスを踏み潰せ!!」
地響きを鳴らしながらロデムが突進を開始した。
巨大モグラのロデムとサイクロプスのミケランジェロがぶつかり合う。
【つづく】
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