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第493話【戦利品チェックと姉妹喧嘩の続き】
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『シュッ、シュッ!!』
『ふん、ふん!!』
あー、もー、五月蝿いな……。
あれから二時間ぐらいすぎたのだろうか、俺が林の天井を見上げてみれば、だいぶ太陽が高い位置に動いていた。
でも、まだ、昼って時間ではないだろう。
俺が林の中で仮眠から目を覚ますとヒルダとプロ子がまだ戦っていた。
『うらうらうらっ!!』
『シュッ、シュッ!!』
まったく、も~……。
「あいつら、まだ喧嘩してやがるのか……」
二人は武器を捨てて素手で殴り合っていた。
ヒルダは左肩を前に斜めに構えて軽くステップを刻んでいる。
アウトボクサーのサイドワインダースタイルだな。
片やプロ子は両拳で口元を隠すように並べて、確りと脇を閉めたコンパクトな猫背の構えだ。
頭を∞の字に振るったインファイタースタイルの構えである。
ヒルダはポイントを刻むようなアウトボクサー的な戦法に対してプロ子は相手の懐に飛び込んでの一撃必殺を狙ったハードパンチャー的な先方だろう。
案の定だ。
ヒルダは足を使ってプロ子の周りをまわるように動いてジャブを刻むように放っている。
サイドワインダーの構えから左腕のフリッカージャブだ。
鞭のように撓りながら放たれるジャブがプロ子の額を何度も叩いていた。
プロ子もジャブを躱さずに額で受けているのだ。
鼻や口を拳でガードして、硬い額でジャブを受ける。
攻撃は直撃しているが、ジャブ程度ならば額で受けることで、だいぶダメージを軽減しているはずだろう。
ヒルダも拳を壊さないように全力でジャブを打ち込めないでいた。
そして、プロ子は透きをついてヒルダの懐に飛び込めるチャンスを探っているのだ。
『ふっ!!』
ほらね、プロ子が飛び込んだ。
ヒルダのフリッカージャブが引ける瞬間にダッシュだよ。
しかも速いダッシュだな。
フリッカージャブの引くスピードと同じ速さでダッシュしやがったぞ。
そして、中腰からのブーメランフックだ。
低い姿勢の背後から振り上げたパンチが虹のラインで弧を描いて、相手の顔面を狙う変則的なパンチだ。
かなり大振りのパンチだが、放った本人よりも高い位置で飛んで来るパンチなので、対戦相手がパンチを見逃すことがある。
相手の低い顔面ばかり凝視しているために、視界外から飛んで来るパンチが見えないときがあるのだ。
ブーメランフック、またの名をロシアンフックやドラゴンフィッシュブローとも呼ばれるトリッキーなパンチである。
そのパンチをプロ子が繰り出したのだ。
結果、ヒルダもブーメランフックを見逃したらしい。
顔面に大振りフックを食らってしまう。
否。
右腕でガードが間に合ったぞ。
でも、プロ子の腕力に飛ばされた。
ここでプロ子がハードパンチャーの個性を発揮したか。
──に、してもだ。
あいつら何時間戦ってやがるんだ?
あっ、そうだ。
俺も俺でやらなきゃならないことがあったんだ。
新スキルチェックと戦利品チェックもまだだもんな。
どれどれ、あいつらが揉めている間に済ませてしまおうかな。
まずは新スキルチェックからだ。
「ステータス画面、かもーーん」
んー、今回覚えたスキルは一つかよ。
今回はケチ臭いな。
なになに~。
【魔法強化スキル。魔法の効果や威力を強化する】
あら、当たりのスキルじゃね。
ここに来て魔法強化かよ。
これは有難いな。
『とりゃぁぁあああ!!!』
うっさいな……。
俺がヒルダとプロ子の様子を伺えば、丁度プロ子の奴が高くジャンプしてからの踵落としを繰り出す刹那だった。
残念なことにプロ子は俺に背を向けているためにヒラリと舞ったスカートの中身は見えなかった。
まあ、所詮はプロ子のパンツだ。
見れなくったって欲しくもない。
そして、プロ子のネリチャギがヒルダの頭部を狙って迫っていた。
だが、ヒルダは片足を軸に半身で躱すとプロ子の腹にニーリフトを突き上げる。
プロ子の身体がダイブとニーリフトの勢いでくの字に曲がった。
直撃だ。
それでもプロ子は怯まない。
直ぐ様に体勢を取り戻すと至近距離からのハイキックを振るう。
そのハイキックをヒルダはしゃがんで躱すと同時にローキックを放ったのだ。
ヒルダのしゃがみ姿勢からの下段廻し蹴りがプロ子の右足にめり込んだ。
プロ子の身体がグラリと揺れる。
更に姿勢を戻して二発目のローキックを繰り出すヒルダ。
まるで鞭を振るったような鋭い風切り音のあとにバットでタイアを殴ったような分厚い音が轟いた。
『くっ!!』
『しゃぁ、しゃぁ、しゃぁ!!』
更にヒルダが三発四発と左右のローキックを連続で蹴り放つ。
すべて命中だ。
プロ子の下半身がグラリと沈んだ。
しかしプロ子が沈んだ姿勢から跳ね上がり、反撃のジャンピングニーを繰り出した。
片目の顔面を狙った膝蹴りは両腕を盾に防がれた。
それでも防いだヒルダがよろめきながら後ろに下がる。
「あ~、今度はキック合戦か~。さて、俺は戦利品のチェックでもするかな~」
俺はプロ子が落としたウォーハンマーを拾って来ると、異次元宝物庫からその他のマジックアイテムを取り出す。
これらはクローンたちが使っていたマジックアイテムだ。
奴らの遺品なのだ、糞アイテムでも売らずに使ってやろうかな。
それがせめてもの供養だぜ。
では、一気に鑑定してみた結果は~。
【スターメリケンサック+2。ショットガン式の連続パンチを一日一回繰り出せる。メテオ式巨大拳を一日一回繰り出せる】
【巨大化ウォーハンマー+2。一日三回ハンマーの頭部を巨大化出来る。威力の向上】
【スネークショートスピア+2。スピアが蛇のようにクネクネ動いて絡み付く。スピアの全長が3メートル伸びる】
【悪臭のバトルアックス+2。魔力で強烈な悪臭を10分間放つ。命中率の向上】
【無限インクの羽根ペン+1。インクが尽きない】
【六腕のロングソード+1。10分間、本体の腕を六本まで増やす】
【五分裂のロングソード+1。10分間、このロングソードが五本に増える】
【不老のスタッフ+1。このスタッフを装備している間、寿命の経過が1/10になる】
【千里眼の水晶+1。直径100メートル以内の知人が許可しているかぎり、その人物が見ている物を水晶が映し出す】
なんだか凄いアイテムとかあるぞ。
不老のスタッフとかって凄くない?
年中装備していないとならないが、寿命が1/10しか減らないってヤバくね?
それであのクローン爺さんは長生きだったのか。
それにしてもだ。
なんか今回は結構良いマジックアイテムばかりだったな。
たぶんクローンたちもハクスラスキルを使って、閉鎖ダンジョンから各自でマジックアイテムを拾って来たんだろうな。
やはりハクスラスキルは地味に凄いのかも知れないぞ。
もうそろそろ500話が近付いているのに、今ごろになって実感してきたわ~。
『そりゃぁあああ!!!』
なんだよ、あいつら、まだやってるのか?
おお、今度はプロ子がヒルダの頭を捕まえてヘッドロックでギュウギュウと絞り上げてるぞ。
そこから走り出した。
今度はブルドッキングヘッドロックかよ!!
ヒルダの頭を捻りながらプロ子が跳んだぞ。
だが、プロ子は前に着地出来ない。
ジャンプしたプロ子の身体をヒルダが持ち上げている。
そのまま後ろにプロ子を投げやがった。
バックドロップだ。
『げふっ!!』
あれは痛いな……。
おお、だが直ぐに二人とも立ち上がったぞ。
するとヒルダがプロ子の右腕を両手で掴む。
そこからヒルダが跳ね上がった。
両足を広げてプロ子の右腕を挟み込むと片足で首を刈りながらグランドに引きずり込む。
「飛び付き逆腕十字固めか!!」
凄いな。
流石は技師のヒルダだぜ。
可憐で美しい戦法だ。
あとはグランドでプロ子の腕を伸ばし切れば粉砕だろう。
が───。
『ふぬぬぬぬっ!!』
『っ!!!』
しかし、プロ子の腕は伸び切らない。
両手両足背筋を使ってヒルダが引き伸ばそうとしているのに、プロ子は左腕の腕力だけで耐えている。
あまつさえプロ子が立ち上がった。
そのまま右腕だけで自分よりも背高いヒルダを持ち上げる。
流石は怪力おバカだぜ……。
『ふぬぬぬぬーーー!!』
プロ子がヒルダを持ち上げた右腕を振りかぶった。
ヒルダを頭から近くの大木にぶつけるつもりらしい。
『とうりゃーー!!』
『はっ!!』
プロ子が剛腕を振るった刹那にヒルダが腕から離れて跳んだ。
地面をコロコロと転がってからスチャリと立ち上がると構えを築く。
二人ともやるな~。
しかし……。
「はぁ~~、いつまでやってるんだ、二人とも?」
二人は睨み合ったまま声を揃えて答えた。
『『勝負がつくまでです!!』』
「俺はそろそろ出発したいんだが、異次元宝物庫に入ってもらわないと、置いていくぞ」
林の中は日陰で直射日光が避けられているが、こんなところに置いていかれたら二人とも致命的だろう。
『分かりました。この勝負は後日につけましょう、プロ子御姉様』
『上等よ、ヒルダちゃん』
二人はツンツンと怒りながら異次元宝物庫内に入っていった。
まあ、一旦だが姉妹喧嘩は終わりだな。
でも、この喧嘩は当分続きそうだ。
面倒臭いことにならなければいいんだが……。
【つづく】
『ふん、ふん!!』
あー、もー、五月蝿いな……。
あれから二時間ぐらいすぎたのだろうか、俺が林の天井を見上げてみれば、だいぶ太陽が高い位置に動いていた。
でも、まだ、昼って時間ではないだろう。
俺が林の中で仮眠から目を覚ますとヒルダとプロ子がまだ戦っていた。
『うらうらうらっ!!』
『シュッ、シュッ!!』
まったく、も~……。
「あいつら、まだ喧嘩してやがるのか……」
二人は武器を捨てて素手で殴り合っていた。
ヒルダは左肩を前に斜めに構えて軽くステップを刻んでいる。
アウトボクサーのサイドワインダースタイルだな。
片やプロ子は両拳で口元を隠すように並べて、確りと脇を閉めたコンパクトな猫背の構えだ。
頭を∞の字に振るったインファイタースタイルの構えである。
ヒルダはポイントを刻むようなアウトボクサー的な戦法に対してプロ子は相手の懐に飛び込んでの一撃必殺を狙ったハードパンチャー的な先方だろう。
案の定だ。
ヒルダは足を使ってプロ子の周りをまわるように動いてジャブを刻むように放っている。
サイドワインダーの構えから左腕のフリッカージャブだ。
鞭のように撓りながら放たれるジャブがプロ子の額を何度も叩いていた。
プロ子もジャブを躱さずに額で受けているのだ。
鼻や口を拳でガードして、硬い額でジャブを受ける。
攻撃は直撃しているが、ジャブ程度ならば額で受けることで、だいぶダメージを軽減しているはずだろう。
ヒルダも拳を壊さないように全力でジャブを打ち込めないでいた。
そして、プロ子は透きをついてヒルダの懐に飛び込めるチャンスを探っているのだ。
『ふっ!!』
ほらね、プロ子が飛び込んだ。
ヒルダのフリッカージャブが引ける瞬間にダッシュだよ。
しかも速いダッシュだな。
フリッカージャブの引くスピードと同じ速さでダッシュしやがったぞ。
そして、中腰からのブーメランフックだ。
低い姿勢の背後から振り上げたパンチが虹のラインで弧を描いて、相手の顔面を狙う変則的なパンチだ。
かなり大振りのパンチだが、放った本人よりも高い位置で飛んで来るパンチなので、対戦相手がパンチを見逃すことがある。
相手の低い顔面ばかり凝視しているために、視界外から飛んで来るパンチが見えないときがあるのだ。
ブーメランフック、またの名をロシアンフックやドラゴンフィッシュブローとも呼ばれるトリッキーなパンチである。
そのパンチをプロ子が繰り出したのだ。
結果、ヒルダもブーメランフックを見逃したらしい。
顔面に大振りフックを食らってしまう。
否。
右腕でガードが間に合ったぞ。
でも、プロ子の腕力に飛ばされた。
ここでプロ子がハードパンチャーの個性を発揮したか。
──に、してもだ。
あいつら何時間戦ってやがるんだ?
あっ、そうだ。
俺も俺でやらなきゃならないことがあったんだ。
新スキルチェックと戦利品チェックもまだだもんな。
どれどれ、あいつらが揉めている間に済ませてしまおうかな。
まずは新スキルチェックからだ。
「ステータス画面、かもーーん」
んー、今回覚えたスキルは一つかよ。
今回はケチ臭いな。
なになに~。
【魔法強化スキル。魔法の効果や威力を強化する】
あら、当たりのスキルじゃね。
ここに来て魔法強化かよ。
これは有難いな。
『とりゃぁぁあああ!!!』
うっさいな……。
俺がヒルダとプロ子の様子を伺えば、丁度プロ子の奴が高くジャンプしてからの踵落としを繰り出す刹那だった。
残念なことにプロ子は俺に背を向けているためにヒラリと舞ったスカートの中身は見えなかった。
まあ、所詮はプロ子のパンツだ。
見れなくったって欲しくもない。
そして、プロ子のネリチャギがヒルダの頭部を狙って迫っていた。
だが、ヒルダは片足を軸に半身で躱すとプロ子の腹にニーリフトを突き上げる。
プロ子の身体がダイブとニーリフトの勢いでくの字に曲がった。
直撃だ。
それでもプロ子は怯まない。
直ぐ様に体勢を取り戻すと至近距離からのハイキックを振るう。
そのハイキックをヒルダはしゃがんで躱すと同時にローキックを放ったのだ。
ヒルダのしゃがみ姿勢からの下段廻し蹴りがプロ子の右足にめり込んだ。
プロ子の身体がグラリと揺れる。
更に姿勢を戻して二発目のローキックを繰り出すヒルダ。
まるで鞭を振るったような鋭い風切り音のあとにバットでタイアを殴ったような分厚い音が轟いた。
『くっ!!』
『しゃぁ、しゃぁ、しゃぁ!!』
更にヒルダが三発四発と左右のローキックを連続で蹴り放つ。
すべて命中だ。
プロ子の下半身がグラリと沈んだ。
しかしプロ子が沈んだ姿勢から跳ね上がり、反撃のジャンピングニーを繰り出した。
片目の顔面を狙った膝蹴りは両腕を盾に防がれた。
それでも防いだヒルダがよろめきながら後ろに下がる。
「あ~、今度はキック合戦か~。さて、俺は戦利品のチェックでもするかな~」
俺はプロ子が落としたウォーハンマーを拾って来ると、異次元宝物庫からその他のマジックアイテムを取り出す。
これらはクローンたちが使っていたマジックアイテムだ。
奴らの遺品なのだ、糞アイテムでも売らずに使ってやろうかな。
それがせめてもの供養だぜ。
では、一気に鑑定してみた結果は~。
【スターメリケンサック+2。ショットガン式の連続パンチを一日一回繰り出せる。メテオ式巨大拳を一日一回繰り出せる】
【巨大化ウォーハンマー+2。一日三回ハンマーの頭部を巨大化出来る。威力の向上】
【スネークショートスピア+2。スピアが蛇のようにクネクネ動いて絡み付く。スピアの全長が3メートル伸びる】
【悪臭のバトルアックス+2。魔力で強烈な悪臭を10分間放つ。命中率の向上】
【無限インクの羽根ペン+1。インクが尽きない】
【六腕のロングソード+1。10分間、本体の腕を六本まで増やす】
【五分裂のロングソード+1。10分間、このロングソードが五本に増える】
【不老のスタッフ+1。このスタッフを装備している間、寿命の経過が1/10になる】
【千里眼の水晶+1。直径100メートル以内の知人が許可しているかぎり、その人物が見ている物を水晶が映し出す】
なんだか凄いアイテムとかあるぞ。
不老のスタッフとかって凄くない?
年中装備していないとならないが、寿命が1/10しか減らないってヤバくね?
それであのクローン爺さんは長生きだったのか。
それにしてもだ。
なんか今回は結構良いマジックアイテムばかりだったな。
たぶんクローンたちもハクスラスキルを使って、閉鎖ダンジョンから各自でマジックアイテムを拾って来たんだろうな。
やはりハクスラスキルは地味に凄いのかも知れないぞ。
もうそろそろ500話が近付いているのに、今ごろになって実感してきたわ~。
『そりゃぁあああ!!!』
なんだよ、あいつら、まだやってるのか?
おお、今度はプロ子がヒルダの頭を捕まえてヘッドロックでギュウギュウと絞り上げてるぞ。
そこから走り出した。
今度はブルドッキングヘッドロックかよ!!
ヒルダの頭を捻りながらプロ子が跳んだぞ。
だが、プロ子は前に着地出来ない。
ジャンプしたプロ子の身体をヒルダが持ち上げている。
そのまま後ろにプロ子を投げやがった。
バックドロップだ。
『げふっ!!』
あれは痛いな……。
おお、だが直ぐに二人とも立ち上がったぞ。
するとヒルダがプロ子の右腕を両手で掴む。
そこからヒルダが跳ね上がった。
両足を広げてプロ子の右腕を挟み込むと片足で首を刈りながらグランドに引きずり込む。
「飛び付き逆腕十字固めか!!」
凄いな。
流石は技師のヒルダだぜ。
可憐で美しい戦法だ。
あとはグランドでプロ子の腕を伸ばし切れば粉砕だろう。
が───。
『ふぬぬぬぬっ!!』
『っ!!!』
しかし、プロ子の腕は伸び切らない。
両手両足背筋を使ってヒルダが引き伸ばそうとしているのに、プロ子は左腕の腕力だけで耐えている。
あまつさえプロ子が立ち上がった。
そのまま右腕だけで自分よりも背高いヒルダを持ち上げる。
流石は怪力おバカだぜ……。
『ふぬぬぬぬーーー!!』
プロ子がヒルダを持ち上げた右腕を振りかぶった。
ヒルダを頭から近くの大木にぶつけるつもりらしい。
『とうりゃーー!!』
『はっ!!』
プロ子が剛腕を振るった刹那にヒルダが腕から離れて跳んだ。
地面をコロコロと転がってからスチャリと立ち上がると構えを築く。
二人ともやるな~。
しかし……。
「はぁ~~、いつまでやってるんだ、二人とも?」
二人は睨み合ったまま声を揃えて答えた。
『『勝負がつくまでです!!』』
「俺はそろそろ出発したいんだが、異次元宝物庫に入ってもらわないと、置いていくぞ」
林の中は日陰で直射日光が避けられているが、こんなところに置いていかれたら二人とも致命的だろう。
『分かりました。この勝負は後日につけましょう、プロ子御姉様』
『上等よ、ヒルダちゃん』
二人はツンツンと怒りながら異次元宝物庫内に入っていった。
まあ、一旦だが姉妹喧嘩は終わりだな。
でも、この喧嘩は当分続きそうだ。
面倒臭いことにならなければいいんだが……。
【つづく】
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