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第470話【手を繋いで帰還】
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俺とガルガンチュワは巣穴の奥に向かって泳いで行った。
俺は横を泳ぐガルガンチュワに問う。
「本当にお前の巣穴の奥に次のエリアに行く通路が有るのか?」
先程尋ねたら、ガルガンチュワがそう言っていた。
「ああ、有るはずだ。私は通ったことがないが、そこから冒険者が何人も入って来ていたからな」
「なるほど」
年末大移動が起こる前は、そこが死海エリアの入り口だったのかも知れない。
「こっちだ、こっち」
「確かに少し狭いな」
そして俺はガルガンチュワに案内されて、巣穴の奥に有る細い洞窟に入って行った。
「ここから先は、私も分からんぞ。何せ身体が大きかったから、これ以上は入って行けなかったからな」
「まあ、兎に角だ。進んでみるか──」
俺が先頭で先に進む。
その細い洞窟内を縦に並んで泳いで行くと、眼前に下りの階段が見えて来る。
階段を下って行くと床面に空気の層が見えてきた。
死海の出口だろう。
俺が階段を下ると水中からやっと出れた。
海水が無い空気が有る空間だ。
石板作りの壁と床である。
階段の下はダンジョンの通路だったのだ。
「おお~、空気だ~」
俺に続いて階段を下りて来たガルガンチュワが水中から姿を現す。
セクシーな脚から海を下りて来る。
ガルガンチュワは狭い通路を見回したあとに、天井の穴に溜まった水面を見ながら言った。
「ここが地上か?」
「いや、ここはまだダンジョンの中だ。これから地上に連れてってやるぞ」
そう言うと俺は通路の床に転送絨毯を敷いた。
「それはなんだ?」
「まあ、いいから、黙って見ていろ」
「分かった」
ガルガンチュワが大人しくなると、俺はヒルダを異次元宝物庫内から呼び出した。
「ヒルダ、俺らが地上に帰っている間、転送絨毯の留守番をまた頼むわ」
俺が言うと異次元宝物庫からヒルダが出て来る。
『畏まりました、アスラン様』
深々とお辞儀をした後に頭を上げたヒルダがいつも以上に冷たい眼差しでガルガンチュワを見詰めた。
『…………』
それから更にいつも以上に冷たい冷たいとても冷たい絶対零度的な眼差しで俺を睨み付けながらヒルダが問う。
『アスラン様、このアバズレはどちら様でしょうか?』
なんか、怖い……。
「アバズレって……」
なんかスゲ~棘があるぞ……。
ヒルダの奴は何を怒ってるんだ?
ワケワカメだぜ……。
「いや、死海エリアで知り合ったガルガンチュワだ。魔王城の町に連れていこうと思ってな……」
『はあ、連れていっていかがなされるつもりですか?』
「いかがも何も、何もしねえ~よ……」
タコ相手に何をしろと言うのだ。
逆に訊きたいわ。
するとガルガンチュワが余計なことを言う。
「おや、何もしないのか?」
『っと、おっしゃってますが、アスラン様』
「私は何かをされても構わんぞ」
『っと、おっしゃってますが、アスラン様』
なに、空気が冷たいぞ!!
「いやいやいや、俺は軟体動物とプレイに励むほど変態じゃあないからさ!!」
『触手プレイですか?』
ヤバイ!!
これは話が面倒臭くなりそうだ。
ここは逃げるが勝ちだな。
よし、緊急避難だ。
「じゃあ、留守番を頼んだぞ、ヒルダ!!」
俺は咄嗟にガルガンチュワの手を引いて転送絨毯に飛び乗ると「チ◯コ」と合言葉を叫んだ。
そして、魔王城前キャンプに転送されたのだ。
しかし、いつもならテント内に転送されるはずが、出口のテントはテント外にしかれていた。
転送絨毯が移動されてるのだ。
俺が転送されたのは青空の下である。
しかもキャンプの皆がテーブルを囲んで何やら集まってる真ん前に転送された。
「あれれ?」
何が起きてるのだろう。
呆然としている俺にスカル姉さんが気が付いた。
それから皆とも目が合う。
「アスランっ!!」
突然ながら眼前に現れた俺にスカル姉さんの驚きの声が飛んできた。
続いて驚きのどよめきが押し寄せる。
なんだか普通じゃない空気だ。
ゴリ、バイマン、オアイドス、カンパネラ爺さん、スバルちゃん、ガイア、ユキちゃんも居る。
全員が俺を見て驚いていた。
ゴリが言う。
「アスラン、生きてたんかい!?」
「そりゃあ、生きてるよ……。勝手に殺すなよ」
ユキちゃんが言う。
「何日も帰って来なかったから、心配したんだぞ!」
「えっ、何日も?」
スカル姉さんが言う。
「一週間も何も連絡無しだったからな。冒険の先で何かあったのかと思ってたんだが……」
もしかして、竜宮城に居たから時間が早く過ぎたのかな?
これが浦島現象なのか?
そして俺の前に歩み寄って来たスカル姉さんが俺の肩に片手を添えながら言う。
何故か表情が引きつっている。
ちょっと怖いな……。
「私たちに散々心配を掛けておいて、帰ってくる際は女の子と仲良く手を繋いでとはな──。アスランも出世したもんだな!」
嫌み?
嫌みですか?
何故に嫌みを言われているのだ?
ふと俺が自分の片手を見ると、まだガルガンチュワの手を握っているのであった。
それで瞬時に状況が理解できた。
セクシーエロエロにコーディネートされた少女と久々の帰還。
これは誤解が生まれないほうが可笑しいよね。
「いや、これは!!」
俺が必死に手を振り払おうとしたが、ガルガンチュワの手が吸盤で貼り付いているように離れない。
凄い握力だ。
「アスラン君、不潔!!」
「えっ!!」
突然泣き出したスバルちゃんが走って去って行く。
「なんで、何処に行くの、スバルちゃん!?」
続いてユキちゃんが巨漢を揺らしながら俺に近付いて来た。
両手で拳の間接をポキポキと威嚇的に鳴らしている。
こっちも怖いぞ!!
「アスラン、歯を食いしばれ!!」
「なんで!!!」
そして俺はユキちゃんの剛拳で殴り飛ばされた。
「ふごっ!!!」
ガルガンチュワが俺の手を握ったままだったから逃げも隠れも出来なかったのだ。
顎が外れそうなほどのパンチだった。
俺が殴られてからガルガンチュワが手を離すのだ。
殴り飛ばされた俺は錐揉みスピンの後に地面にダウンする。
そこに──。
「ウィーーーー!!」
スカル姉さんがエルボードロップで倒れ混んで来た。
毒針エルボーだ。
スカル姉さんの全体重が乗ったエルボーの尖った先が俺の顔面にめり込んだ。
凄い衝撃だった。
顔がへこんで首が折れそうなぐらい軋む。
「げふっ!!」
そこで意識が飛んだ……。
俺は気絶する。
【つづく】
俺は横を泳ぐガルガンチュワに問う。
「本当にお前の巣穴の奥に次のエリアに行く通路が有るのか?」
先程尋ねたら、ガルガンチュワがそう言っていた。
「ああ、有るはずだ。私は通ったことがないが、そこから冒険者が何人も入って来ていたからな」
「なるほど」
年末大移動が起こる前は、そこが死海エリアの入り口だったのかも知れない。
「こっちだ、こっち」
「確かに少し狭いな」
そして俺はガルガンチュワに案内されて、巣穴の奥に有る細い洞窟に入って行った。
「ここから先は、私も分からんぞ。何せ身体が大きかったから、これ以上は入って行けなかったからな」
「まあ、兎に角だ。進んでみるか──」
俺が先頭で先に進む。
その細い洞窟内を縦に並んで泳いで行くと、眼前に下りの階段が見えて来る。
階段を下って行くと床面に空気の層が見えてきた。
死海の出口だろう。
俺が階段を下ると水中からやっと出れた。
海水が無い空気が有る空間だ。
石板作りの壁と床である。
階段の下はダンジョンの通路だったのだ。
「おお~、空気だ~」
俺に続いて階段を下りて来たガルガンチュワが水中から姿を現す。
セクシーな脚から海を下りて来る。
ガルガンチュワは狭い通路を見回したあとに、天井の穴に溜まった水面を見ながら言った。
「ここが地上か?」
「いや、ここはまだダンジョンの中だ。これから地上に連れてってやるぞ」
そう言うと俺は通路の床に転送絨毯を敷いた。
「それはなんだ?」
「まあ、いいから、黙って見ていろ」
「分かった」
ガルガンチュワが大人しくなると、俺はヒルダを異次元宝物庫内から呼び出した。
「ヒルダ、俺らが地上に帰っている間、転送絨毯の留守番をまた頼むわ」
俺が言うと異次元宝物庫からヒルダが出て来る。
『畏まりました、アスラン様』
深々とお辞儀をした後に頭を上げたヒルダがいつも以上に冷たい眼差しでガルガンチュワを見詰めた。
『…………』
それから更にいつも以上に冷たい冷たいとても冷たい絶対零度的な眼差しで俺を睨み付けながらヒルダが問う。
『アスラン様、このアバズレはどちら様でしょうか?』
なんか、怖い……。
「アバズレって……」
なんかスゲ~棘があるぞ……。
ヒルダの奴は何を怒ってるんだ?
ワケワカメだぜ……。
「いや、死海エリアで知り合ったガルガンチュワだ。魔王城の町に連れていこうと思ってな……」
『はあ、連れていっていかがなされるつもりですか?』
「いかがも何も、何もしねえ~よ……」
タコ相手に何をしろと言うのだ。
逆に訊きたいわ。
するとガルガンチュワが余計なことを言う。
「おや、何もしないのか?」
『っと、おっしゃってますが、アスラン様』
「私は何かをされても構わんぞ」
『っと、おっしゃってますが、アスラン様』
なに、空気が冷たいぞ!!
「いやいやいや、俺は軟体動物とプレイに励むほど変態じゃあないからさ!!」
『触手プレイですか?』
ヤバイ!!
これは話が面倒臭くなりそうだ。
ここは逃げるが勝ちだな。
よし、緊急避難だ。
「じゃあ、留守番を頼んだぞ、ヒルダ!!」
俺は咄嗟にガルガンチュワの手を引いて転送絨毯に飛び乗ると「チ◯コ」と合言葉を叫んだ。
そして、魔王城前キャンプに転送されたのだ。
しかし、いつもならテント内に転送されるはずが、出口のテントはテント外にしかれていた。
転送絨毯が移動されてるのだ。
俺が転送されたのは青空の下である。
しかもキャンプの皆がテーブルを囲んで何やら集まってる真ん前に転送された。
「あれれ?」
何が起きてるのだろう。
呆然としている俺にスカル姉さんが気が付いた。
それから皆とも目が合う。
「アスランっ!!」
突然ながら眼前に現れた俺にスカル姉さんの驚きの声が飛んできた。
続いて驚きのどよめきが押し寄せる。
なんだか普通じゃない空気だ。
ゴリ、バイマン、オアイドス、カンパネラ爺さん、スバルちゃん、ガイア、ユキちゃんも居る。
全員が俺を見て驚いていた。
ゴリが言う。
「アスラン、生きてたんかい!?」
「そりゃあ、生きてるよ……。勝手に殺すなよ」
ユキちゃんが言う。
「何日も帰って来なかったから、心配したんだぞ!」
「えっ、何日も?」
スカル姉さんが言う。
「一週間も何も連絡無しだったからな。冒険の先で何かあったのかと思ってたんだが……」
もしかして、竜宮城に居たから時間が早く過ぎたのかな?
これが浦島現象なのか?
そして俺の前に歩み寄って来たスカル姉さんが俺の肩に片手を添えながら言う。
何故か表情が引きつっている。
ちょっと怖いな……。
「私たちに散々心配を掛けておいて、帰ってくる際は女の子と仲良く手を繋いでとはな──。アスランも出世したもんだな!」
嫌み?
嫌みですか?
何故に嫌みを言われているのだ?
ふと俺が自分の片手を見ると、まだガルガンチュワの手を握っているのであった。
それで瞬時に状況が理解できた。
セクシーエロエロにコーディネートされた少女と久々の帰還。
これは誤解が生まれないほうが可笑しいよね。
「いや、これは!!」
俺が必死に手を振り払おうとしたが、ガルガンチュワの手が吸盤で貼り付いているように離れない。
凄い握力だ。
「アスラン君、不潔!!」
「えっ!!」
突然泣き出したスバルちゃんが走って去って行く。
「なんで、何処に行くの、スバルちゃん!?」
続いてユキちゃんが巨漢を揺らしながら俺に近付いて来た。
両手で拳の間接をポキポキと威嚇的に鳴らしている。
こっちも怖いぞ!!
「アスラン、歯を食いしばれ!!」
「なんで!!!」
そして俺はユキちゃんの剛拳で殴り飛ばされた。
「ふごっ!!!」
ガルガンチュワが俺の手を握ったままだったから逃げも隠れも出来なかったのだ。
顎が外れそうなほどのパンチだった。
俺が殴られてからガルガンチュワが手を離すのだ。
殴り飛ばされた俺は錐揉みスピンの後に地面にダウンする。
そこに──。
「ウィーーーー!!」
スカル姉さんがエルボードロップで倒れ混んで来た。
毒針エルボーだ。
スカル姉さんの全体重が乗ったエルボーの尖った先が俺の顔面にめり込んだ。
凄い衝撃だった。
顔がへこんで首が折れそうなぐらい軋む。
「げふっ!!」
そこで意識が飛んだ……。
俺は気絶する。
【つづく】
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