323 / 604
第323話【ラミア×3】
しおりを挟む
また、光の矢が飛んで来た。
矢は俺が隠れている柱に刺さると光を失う。
光の矢を撃って来る敵は、距離40メートルから50メートル先の高さ20メートルほどの位置に居る。
嫌なスナイパーだな。
俺は少し離れた場所にランタンを置いて別の柱に潜んで居たが、スナイパーは的確に俺の位置を把握しているようだ。
おそらく暗くても見えているのだろう。
それに二匹目のラミアは俺の頭上を飛び交っている。
石柱から石柱に跳躍して移動しているのだろう。
飛ぶ度に気配が駄々漏れしてやがるぞ。
さて、もう一つの問題は、三匹目だ。
確かに居る。
気配も有る。
しかし、まだ動きを見せない。
それが不気味だな。
兎に角分かっていることは、こいつらが俺を補食しようと企んでいるのは間違いないだろう。
あっ、光る矢が飛んできたぞ。
あれ?
なんか狙いがだいぶ逸れてないか。
5メートルほど横を光る矢が飛んで行く。
っと、思ったら。
光る矢が直角に曲がって俺のほうに飛んで来た。
「カーブかよ!?」
いや、カーブどころか直角に曲がって来てるから、恐ろしいほどのホーミング機能だわ!!
「ひっ!!」
咄嗟に俺は首だけを傾げて矢を躱した。
俺の耳横の柱に矢が刺さっている。
「ウソだろ~~……」
あの野郎、やーべー武器を持ってるじゃんか……。
矢が直角に曲がってホーミングする弓矢なんて最高だよね!!
欲しいわ!!
あいつ、ぜってーに殺す!!
そして、その面白い弓矢を奪い取ってやる!!
よし、行くぞ!!
俺はロングボウを手に、手前の石柱に走って前進した。
少しずつ間合いを詰めたいのだ。
撃ってこない。
更に一つ分の石柱を前進する。
撃ってこない。
俺の上空で剣盾のラミアが移動しているのが気配で分かった。
あいつは追って来ているな。
俺は更に前の石柱に走った。
そこで光る矢が飛んで来る。
弾道が俺から逸れていいる。
ならば曲がるはずだ。
ほらっ、曲がった。
俺は身を屈めて曲がった光る矢を躱した。
ネタバレした段階でそれまでのギミックだな。
そして石柱の陰に背を合わせた刹那である。
頭上から剣盾のラミアが急降下して来た。
連携攻撃のつもりだろうが、タイミングが浅はかだぜ。
俺は床に転がると、背を床に付けた状態で上に矢を放った。
しかし、俺の矢は鏡のような艶々の盾に弾かれる。
「シャーーー!!」
ラミアは盾を前に俺の上に落ちて来る。
「ぬぅらぁ!!」
だが俺は、両足を揃えて上に向けると盾を両足で受け止めた。
そのまま巴投げの原理で払いのける。
「そりゃあ!!」
「シャシャ!!」
そして直ぐに立ち上がると矢を装填して弦を引いた。
その間にラミアは近くの石柱に巻き付き上に登って行く。
「逃がすか!!」
俺が逃げる剣盾のラミアに矢を放とうとした瞬間だった。
背後で強い殺気を感じる。
近い!?
俺が振り返ると10メートルほど先に三匹目のラミアが居た。
三匹目のラミアはダガーを逆手に持って投擲ホームに入っている。
「やばっ!!」
「シャッ!!」
回避!!
投擲されたダガーを俺が紙一重で躱した。
すると三匹目のラミアが逃げる。
それを俺が弦を引いて狙う。
そこに再び光る矢が飛んで来た。
正面からだ。
見えている。
回避は容易い。
そして光る矢を躱した俺は、逃げる三匹目のラミアに矢を放った。
しかし、柱に隠れられて矢を外す。
まだ、時間が有るのを俺は知っている。
光る矢は弓矢じゃあ無い。
クロスボウだ。
しかも中型か大型のクロスボウだろう。
中型のクロスボウは足で踏む場所が有り全身の筋肉を使って弦を引き直す。
大型クロスボウは人力で弦を引き直せない。
だから巻き上げ機を使って弦を引き直す。
要するに、中型以上のクロスボウは、矢の再装填に時間が掛かるのだ。
光の矢の発射タイミングからして、間違いなく中型以上のクロスボウで俺を狙ってやがる。
だから、まだ、矢は飛んでこないのだ。
だから、まだ、三匹目のラミアを追う時間が有るはずだ。
俺は石柱の陰に入った三匹目のラミアを追った。
隠れた石柱に回り込む。
そして、矢を放つ!
「なれ………??」
居ない?
確かにこの石柱の後ろに隠れたはずのラミアが消えていた。
何故???
あん、光の矢が飛んで来た。
俺は最寄りの石柱に隠れて光の矢をやり過ごした。
しばし沈黙が流れる。
戦場が静まり返っていた。
向さんも攻撃を止めて潜んでやがる。
ここて仕切り直しか……。
周囲から蠢く殺気が消えていた。
作戦タイムでも取っているのかな?
ならば、俺も作戦タイムだわ。
まずは情報を整理するか。
敵は三匹──。
一匹目は、光の矢を放つクロスボウ使い。
二匹目は、シミターと鏡の盾のラミア。
そして三匹目は、投擲ダガー使いのラミアだ。
おそらくクロスボウのヤツもラミアだろう。
ラミア三姉妹なのかな?
ラミアなんだもの、お約束で三姉妹だよね。
それはいいとして……。
なぜ、三匹目のラミアが柱の陰から消えたかだ?
それが疑問だ。
候補として、インビシブルの魔法、それかテレポーテーションの魔法ってところかな?
もしくは柱と同化したとか?
まあ、この辺が有力だろう。
ならば、それなりの対処を行えばいいだけだ。
あと、気になるのは二匹目のラミアだな。
クロスボウは曲がる。
三匹目は消える。
ならば剣盾のラミアも何か隠しネタを持ってても可笑しくないだろう。
あの鏡の盾で攻撃魔法を反射するとかかな?
ありふれているな~。
まあアニメもラノベも無い世界だ。
その程度の作戦でも上等なのかな~。
まあ、だいたい敵の戦力が予想できたぞ。
敵の戦術が推測通りなら、負けないだろう。
あっ、敵が動き出した。
前方に沸いた殺気が三方向に広がったぞ。
よしよし、第二ラウンドの開始かな。
【つづく】
矢は俺が隠れている柱に刺さると光を失う。
光の矢を撃って来る敵は、距離40メートルから50メートル先の高さ20メートルほどの位置に居る。
嫌なスナイパーだな。
俺は少し離れた場所にランタンを置いて別の柱に潜んで居たが、スナイパーは的確に俺の位置を把握しているようだ。
おそらく暗くても見えているのだろう。
それに二匹目のラミアは俺の頭上を飛び交っている。
石柱から石柱に跳躍して移動しているのだろう。
飛ぶ度に気配が駄々漏れしてやがるぞ。
さて、もう一つの問題は、三匹目だ。
確かに居る。
気配も有る。
しかし、まだ動きを見せない。
それが不気味だな。
兎に角分かっていることは、こいつらが俺を補食しようと企んでいるのは間違いないだろう。
あっ、光る矢が飛んできたぞ。
あれ?
なんか狙いがだいぶ逸れてないか。
5メートルほど横を光る矢が飛んで行く。
っと、思ったら。
光る矢が直角に曲がって俺のほうに飛んで来た。
「カーブかよ!?」
いや、カーブどころか直角に曲がって来てるから、恐ろしいほどのホーミング機能だわ!!
「ひっ!!」
咄嗟に俺は首だけを傾げて矢を躱した。
俺の耳横の柱に矢が刺さっている。
「ウソだろ~~……」
あの野郎、やーべー武器を持ってるじゃんか……。
矢が直角に曲がってホーミングする弓矢なんて最高だよね!!
欲しいわ!!
あいつ、ぜってーに殺す!!
そして、その面白い弓矢を奪い取ってやる!!
よし、行くぞ!!
俺はロングボウを手に、手前の石柱に走って前進した。
少しずつ間合いを詰めたいのだ。
撃ってこない。
更に一つ分の石柱を前進する。
撃ってこない。
俺の上空で剣盾のラミアが移動しているのが気配で分かった。
あいつは追って来ているな。
俺は更に前の石柱に走った。
そこで光る矢が飛んで来る。
弾道が俺から逸れていいる。
ならば曲がるはずだ。
ほらっ、曲がった。
俺は身を屈めて曲がった光る矢を躱した。
ネタバレした段階でそれまでのギミックだな。
そして石柱の陰に背を合わせた刹那である。
頭上から剣盾のラミアが急降下して来た。
連携攻撃のつもりだろうが、タイミングが浅はかだぜ。
俺は床に転がると、背を床に付けた状態で上に矢を放った。
しかし、俺の矢は鏡のような艶々の盾に弾かれる。
「シャーーー!!」
ラミアは盾を前に俺の上に落ちて来る。
「ぬぅらぁ!!」
だが俺は、両足を揃えて上に向けると盾を両足で受け止めた。
そのまま巴投げの原理で払いのける。
「そりゃあ!!」
「シャシャ!!」
そして直ぐに立ち上がると矢を装填して弦を引いた。
その間にラミアは近くの石柱に巻き付き上に登って行く。
「逃がすか!!」
俺が逃げる剣盾のラミアに矢を放とうとした瞬間だった。
背後で強い殺気を感じる。
近い!?
俺が振り返ると10メートルほど先に三匹目のラミアが居た。
三匹目のラミアはダガーを逆手に持って投擲ホームに入っている。
「やばっ!!」
「シャッ!!」
回避!!
投擲されたダガーを俺が紙一重で躱した。
すると三匹目のラミアが逃げる。
それを俺が弦を引いて狙う。
そこに再び光る矢が飛んで来た。
正面からだ。
見えている。
回避は容易い。
そして光る矢を躱した俺は、逃げる三匹目のラミアに矢を放った。
しかし、柱に隠れられて矢を外す。
まだ、時間が有るのを俺は知っている。
光る矢は弓矢じゃあ無い。
クロスボウだ。
しかも中型か大型のクロスボウだろう。
中型のクロスボウは足で踏む場所が有り全身の筋肉を使って弦を引き直す。
大型クロスボウは人力で弦を引き直せない。
だから巻き上げ機を使って弦を引き直す。
要するに、中型以上のクロスボウは、矢の再装填に時間が掛かるのだ。
光の矢の発射タイミングからして、間違いなく中型以上のクロスボウで俺を狙ってやがる。
だから、まだ、矢は飛んでこないのだ。
だから、まだ、三匹目のラミアを追う時間が有るはずだ。
俺は石柱の陰に入った三匹目のラミアを追った。
隠れた石柱に回り込む。
そして、矢を放つ!
「なれ………??」
居ない?
確かにこの石柱の後ろに隠れたはずのラミアが消えていた。
何故???
あん、光の矢が飛んで来た。
俺は最寄りの石柱に隠れて光の矢をやり過ごした。
しばし沈黙が流れる。
戦場が静まり返っていた。
向さんも攻撃を止めて潜んでやがる。
ここて仕切り直しか……。
周囲から蠢く殺気が消えていた。
作戦タイムでも取っているのかな?
ならば、俺も作戦タイムだわ。
まずは情報を整理するか。
敵は三匹──。
一匹目は、光の矢を放つクロスボウ使い。
二匹目は、シミターと鏡の盾のラミア。
そして三匹目は、投擲ダガー使いのラミアだ。
おそらくクロスボウのヤツもラミアだろう。
ラミア三姉妹なのかな?
ラミアなんだもの、お約束で三姉妹だよね。
それはいいとして……。
なぜ、三匹目のラミアが柱の陰から消えたかだ?
それが疑問だ。
候補として、インビシブルの魔法、それかテレポーテーションの魔法ってところかな?
もしくは柱と同化したとか?
まあ、この辺が有力だろう。
ならば、それなりの対処を行えばいいだけだ。
あと、気になるのは二匹目のラミアだな。
クロスボウは曲がる。
三匹目は消える。
ならば剣盾のラミアも何か隠しネタを持ってても可笑しくないだろう。
あの鏡の盾で攻撃魔法を反射するとかかな?
ありふれているな~。
まあアニメもラノベも無い世界だ。
その程度の作戦でも上等なのかな~。
まあ、だいたい敵の戦力が予想できたぞ。
敵の戦術が推測通りなら、負けないだろう。
あっ、敵が動き出した。
前方に沸いた殺気が三方向に広がったぞ。
よしよし、第二ラウンドの開始かな。
【つづく】
0
お気に入りに追加
389
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった


異世界なんて救ってやらねぇ
千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部)
想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。
結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。
色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部)
期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。
平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。
果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。
その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部)
【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】
【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる