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第303話【地獄の器】
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俺は翌朝にはターナー村に在るイソップ亭に返って来ていた。
昨晩はログハウスでガイアたち四人と、トランプで遊んでから寝たので少しながら寝不足っぽい。
ちなみにトランプのゲームはスカル姉さんが居なかったのでババ抜きをして楽しんだのだ。
スカル姉さんはババ抜きを始めると何故か怒り出す。
そもそも何故にトランプでババ抜きを始めるとスカル姉さんが怒り出すか俺には理解できなかった。
まったくもって謎である。
まあ、そんなわけで少し寝不足だが、朝からちゃんと起きれた俺は、宿屋の一階に出向いて一人で朝食を取ることにした。
店内には朝から飲んだくれてるオヤジたちが数人居るだけである。
オヤジたちも朝だから静かに酒を飲んでいた。
俺が一階に降りて来ると、店のカウンターに居るマスターが声を掛けて来る。
「おお、お客さん、生きてたかい。部屋の扉を叩いても返答が無いから死んでるかと思ったよ。生きてて良かった良かった」
まあ、部屋の中に居なかったからな。
ほとんどソドムタウンに居たんだもの。
しゃあない、適当に言い訳を並べるか。
「生きてるわい。ちょっと疲れてて、寝坊しただけだよ」
「それならいいんだが」
「それより、朝食を貰えないかな。メニューはおすすめで」
「朝食? 何を言ってるんだ、もう少しで昼だぞ」
「えっ……、そうなの?」
「そうですよ」
うん、寝すぎたな……。
まあ、いいか。
それじゃあとりあえず朝飯は諦めて昼飯にするか。
「マスター、昼でも夜でもいいから暖かい飯を出してくれないか」
「じゃあ、うちのおすすめメニューを出してやる、まっていろよ!」
マスターは何故かルンルン気分で厨房の中に消えた。
なんだ?
そんなにおすすめメニューが出せるのが嬉しいのかな。
すると一人の飲んだくれオヤジが俺に話し掛けて来た。
「あんた、勇敢だね~。流石は壁の中に一人で入っただけのことがあるよ。この店のおすすめメニューを注文するなんてよ」
なんだ、俺が壁の中で英雄のように戦ったのが知れ渡っているのかな?
に、してもだ。
なんでおすすめメニューを注文するのが勇敢なんだ?
俺は飲んだくれオヤジに訊き返した。
「ここのおすすめメニューってなんだ?」
「あんた、知らんで注文したのかよ?」
「うん、知らん……」
「ああ……。じゃあ、出て来てからの楽しみだ。あんたは食べきれるかな?」
「なに、そんなにヤバイのが出て来るのかよ?」
「まあ、俺たちは見学させてもらうぜ、勇者様よ」
なんだ、ヤバイのか?
なんだか怖くなって来たぞ……。
どんな下手物料理が出て来るんだ?
もしかして、このタイミングだと、やっぱり虫料理か!?
それとも蠢く感じで蟲料理かな!?
てか、やっぱり俺は、虫はどうやっても食えないぞ……。
するとしばらくしてマスターが料理を運んで来た。
お盆に乗せられた黒い石の器が運ばれて来る。
そして、器の中からジュージューと焼ける痛々しい音が聴こえて来ていた。
「石鍋か!?」
「はい、お待たせしました。当店自慢の地獄風石鍋です!」
「地獄風石鍋っ!?」
俺が石の器の中を覗き込めば、赤い液体と野菜や肉やらが、ゴトゴトと沸騰しながら揺らいでいた。
マスターは、その器を厚手の手袋をはめて俺のテーブルに置いた。
「ぐわっ!!」
湯気が痛い!
湯気が目に染みるし、鼻の粘膜がヒリヒリとする。
ヤバイぞ!
これは激辛料理じゃあねえか!!
「どうだい、うちのおすすめメニューの地獄風石鍋は?」
「これは、激辛の石焼き鍋だよね……」
「いかにもだ。20分以内に全部食べたら無料だ。食べきれなかったら料金500Gだぞ!」
俺は迷うこと無く手の平から500Gを召喚してテーブルに置いた。
そして、叫ぶ。
「ギブアップ!!」
「はやっ!!」
店内に居たすべての人物が、俺のヘタレっぷりに度肝を抜いた。
「おいおい、お客さん。そりゃあ無いよ。一口も食べないでギブアップは失礼じゃないか!」
「失礼も何も、もう香りだけで痛いわ!!」
「じゃあなんで注文したんだよ!」
「注文なんてしてないもん!!」
「子供みたいに駄々を捏ねてないで、兎に角一口食べてみな。まずはチャレンジだ。それでこそ冒険者だろ!?」
「うぬぬ……」
冒険者とか冒険者じゃないとか言われると辛いな。
ここは男らしく食べないとアカンのですか?
でも、これは見た目からして劇薬だぞ。
絶対に辛いを通り越して痛いだもん……。
「さあ、冒険者なら食ってみろ!!」
「うう……」
悟られたぞ……。
このマスターに俺の弱点が悟られた。
俺が冒険者としての見栄が高いってことが……。
完全に煽られてますわ……。
「さあ、冒険者らしくチャレンジしろよ!!」
「ぐぐぐ……。仕方無い……」
追い詰められた俺はテーブルの上に置かれたスプーンに手を伸ばした。
そして、焼けた器を鉄の左手で支える。
「なに、こいつ、焼けた石鍋を手で支えたぞ!!」
「おい、こいつの左ては鉄だぞ! 鉄の手で石鍋を押さえてやがる!!」
マスターや客が詰まらないことで騒いでいる。
そんな中で俺はスプーンを片手に石鍋の中身を睨み付けていた。
いつまでもグツグツと揺らぐ赤い液体に、その灼熱の汁をタップリと吸い込んだ具材の山。
絶対に唐辛子とかハバネロとかカプサイシンとかが粉末状になって溶け込んでいるよね。
でも、ここで勇気を出さねば馬鹿にされるぞ……。
「じゃあ頂きます……」
俺は鍋の中にスプーンを差し込んだ。
するとゴロッとした感触の後に形そのままの唐辛子が複数本浮かび上がって来る。
ポッキリ────。
「く、食えるか!!」
こんな物が食えるか!!
俺はインド人とかタイ人じゃあねえんだぞ!!
辛さに免疫がある人種じゃあねえんだ。
こんな地獄の食い物が食えるわけがねえだろ!!
てか、これは食い物じゃあねえよ。
これで虫が殺せるレベルの、いいや、人が殺せるレベルの兵器だよね!!
これを一滴だけバッタに垂らしたら、泡を立てて沸騰しながら死んで行くよね!!
人間でも同様だよ!!
「なんだ、やっぱり諦めるのか?」
「情けねえ冒険者様だな~」
「ぬぬぬぬぬっ!!」
この腐れ外道どもが!!
こうなったら最後の手段だ!!
俺は焼ける器を左手で持つと、スプーンで汁を掬ってマスターの顔にピシャっとぶっ掛けた。
「ぎぃぁあああ!!!」
店のマスターは、顔を押さえながら床の上でのたうち回る。
「あんた、何をするだ!?」
「うるせえ、お前も食らえ!!」
俺は客にもピッピッと赤い汁をぶっ掛けた。
「うぎゃぁぁあああ、何をするだぁぁあああ!!!」
「何か文句でもあるか!? 文句あるヤツは、俺の前に出てきやがれ!! 地獄の汁をぶっ掛けてやるぞ!!」
「うわ、こいつヤバイぞ!!」
「に、逃げろ! 巻き込まれたら堪らん!!」
その他の客たちが災難と化した俺から逃げ出して行く。
「わっひゃひゃひゃ、どうだバロー!!」
「ぐぐぐ、くそっ……」
この時の俺は完全に切れて冷静じゃあなかったんだ。
だから不意を突かれたのである。
「それっ!!」
「うぎぁぁあああがががが!!!」
俺の隙を突いたマスターが、起き上がるのと同時に俺が片手で持っていた石鍋の器を下から叩いたのだ。
その勢いで石鍋から跳ねた地獄の赤汁が、俺の顔面にぶっ掛かったのである。
「ヒィィイイイアアア!!!」
痛い! 痛い! 痛い!!
目に入った!!
激痛ですわ!!!
目が潰れる!!!
前が見えないわ!!!
もうマジで死ねる!!!
助けてくれ!!!
そうだ、ヒールだ!!!
「セルフヒール! セルフヒール!!」
「なに、ヒールとはズルイな!!」
ズルイとかズルくないとかじゃあねえよ!!
これはマジで失明するぞ!!!
こんなハプニングで盲目とか有り得ないわ!!
更にマスターのターンが続く。
「ならば、これならどうだ!!」
えっ、なに!?
ドボドボって頭に何か掛けられてますわん!?
これって、もしかして!!
「ぎぃぁあああ! テメーこの野郎!! 頭から唐辛子スープを掛けやがったな!!」
「ほほう、見えて無くても分かったかい。どうだね、うちのおすすめメニューの味は!?」
「うごぉぉおおお!! 頭皮が焼ける!! これは禿げるぞ!! 絶対に禿げる!!」
「はっはっはっ、ざまあ見ろってんだ!!」
「この野郎! 客に何をしやがる!!」
「知るかボケ!!」
あっ、ヒールが効いたようだ。
目が見えるぞ!
そして、ヒリヒリする視界には、テーブルに置かれた石鍋が見えた。
赤い汁はまだ半分ぐらい入っている。
そしてマスターは、俺に汁を掛けられた別の客を気づかっていた。
俺に背を見せている。
目の痛みが緩んだ俺は石鍋を手に取ると、マスターの背後に忍び寄った。
そして、声を掛ける。
「おい」
「えっ?」
マスターが何気に振り返る。
その刹那に俺はマスターのズボンを引き寄せると、上の隙間から地獄汁を流し込んでやった。
「うそぉぉおおおお!!!」
「わひゃひゃひゃひゃひゃぁぁああゃい!!」
「チ◯コが焼けるぅぅううう!!」
「どうだ、チ◯コに金柑を塗った数十倍、否、数百倍の刺激だろう!!」
「も、捥げる~! チ◯コが捥げそうだ!!」
「わっひっひっひっ、俺の勝ちのようだな!!」
【おめでとうございます。レベル32に成りました!】
えっ、ウソ!?
これでレベルアップするのかよ!!
【つづく】
昨晩はログハウスでガイアたち四人と、トランプで遊んでから寝たので少しながら寝不足っぽい。
ちなみにトランプのゲームはスカル姉さんが居なかったのでババ抜きをして楽しんだのだ。
スカル姉さんはババ抜きを始めると何故か怒り出す。
そもそも何故にトランプでババ抜きを始めるとスカル姉さんが怒り出すか俺には理解できなかった。
まったくもって謎である。
まあ、そんなわけで少し寝不足だが、朝からちゃんと起きれた俺は、宿屋の一階に出向いて一人で朝食を取ることにした。
店内には朝から飲んだくれてるオヤジたちが数人居るだけである。
オヤジたちも朝だから静かに酒を飲んでいた。
俺が一階に降りて来ると、店のカウンターに居るマスターが声を掛けて来る。
「おお、お客さん、生きてたかい。部屋の扉を叩いても返答が無いから死んでるかと思ったよ。生きてて良かった良かった」
まあ、部屋の中に居なかったからな。
ほとんどソドムタウンに居たんだもの。
しゃあない、適当に言い訳を並べるか。
「生きてるわい。ちょっと疲れてて、寝坊しただけだよ」
「それならいいんだが」
「それより、朝食を貰えないかな。メニューはおすすめで」
「朝食? 何を言ってるんだ、もう少しで昼だぞ」
「えっ……、そうなの?」
「そうですよ」
うん、寝すぎたな……。
まあ、いいか。
それじゃあとりあえず朝飯は諦めて昼飯にするか。
「マスター、昼でも夜でもいいから暖かい飯を出してくれないか」
「じゃあ、うちのおすすめメニューを出してやる、まっていろよ!」
マスターは何故かルンルン気分で厨房の中に消えた。
なんだ?
そんなにおすすめメニューが出せるのが嬉しいのかな。
すると一人の飲んだくれオヤジが俺に話し掛けて来た。
「あんた、勇敢だね~。流石は壁の中に一人で入っただけのことがあるよ。この店のおすすめメニューを注文するなんてよ」
なんだ、俺が壁の中で英雄のように戦ったのが知れ渡っているのかな?
に、してもだ。
なんでおすすめメニューを注文するのが勇敢なんだ?
俺は飲んだくれオヤジに訊き返した。
「ここのおすすめメニューってなんだ?」
「あんた、知らんで注文したのかよ?」
「うん、知らん……」
「ああ……。じゃあ、出て来てからの楽しみだ。あんたは食べきれるかな?」
「なに、そんなにヤバイのが出て来るのかよ?」
「まあ、俺たちは見学させてもらうぜ、勇者様よ」
なんだ、ヤバイのか?
なんだか怖くなって来たぞ……。
どんな下手物料理が出て来るんだ?
もしかして、このタイミングだと、やっぱり虫料理か!?
それとも蠢く感じで蟲料理かな!?
てか、やっぱり俺は、虫はどうやっても食えないぞ……。
するとしばらくしてマスターが料理を運んで来た。
お盆に乗せられた黒い石の器が運ばれて来る。
そして、器の中からジュージューと焼ける痛々しい音が聴こえて来ていた。
「石鍋か!?」
「はい、お待たせしました。当店自慢の地獄風石鍋です!」
「地獄風石鍋っ!?」
俺が石の器の中を覗き込めば、赤い液体と野菜や肉やらが、ゴトゴトと沸騰しながら揺らいでいた。
マスターは、その器を厚手の手袋をはめて俺のテーブルに置いた。
「ぐわっ!!」
湯気が痛い!
湯気が目に染みるし、鼻の粘膜がヒリヒリとする。
ヤバイぞ!
これは激辛料理じゃあねえか!!
「どうだい、うちのおすすめメニューの地獄風石鍋は?」
「これは、激辛の石焼き鍋だよね……」
「いかにもだ。20分以内に全部食べたら無料だ。食べきれなかったら料金500Gだぞ!」
俺は迷うこと無く手の平から500Gを召喚してテーブルに置いた。
そして、叫ぶ。
「ギブアップ!!」
「はやっ!!」
店内に居たすべての人物が、俺のヘタレっぷりに度肝を抜いた。
「おいおい、お客さん。そりゃあ無いよ。一口も食べないでギブアップは失礼じゃないか!」
「失礼も何も、もう香りだけで痛いわ!!」
「じゃあなんで注文したんだよ!」
「注文なんてしてないもん!!」
「子供みたいに駄々を捏ねてないで、兎に角一口食べてみな。まずはチャレンジだ。それでこそ冒険者だろ!?」
「うぬぬ……」
冒険者とか冒険者じゃないとか言われると辛いな。
ここは男らしく食べないとアカンのですか?
でも、これは見た目からして劇薬だぞ。
絶対に辛いを通り越して痛いだもん……。
「さあ、冒険者なら食ってみろ!!」
「うう……」
悟られたぞ……。
このマスターに俺の弱点が悟られた。
俺が冒険者としての見栄が高いってことが……。
完全に煽られてますわ……。
「さあ、冒険者らしくチャレンジしろよ!!」
「ぐぐぐ……。仕方無い……」
追い詰められた俺はテーブルの上に置かれたスプーンに手を伸ばした。
そして、焼けた器を鉄の左手で支える。
「なに、こいつ、焼けた石鍋を手で支えたぞ!!」
「おい、こいつの左ては鉄だぞ! 鉄の手で石鍋を押さえてやがる!!」
マスターや客が詰まらないことで騒いでいる。
そんな中で俺はスプーンを片手に石鍋の中身を睨み付けていた。
いつまでもグツグツと揺らぐ赤い液体に、その灼熱の汁をタップリと吸い込んだ具材の山。
絶対に唐辛子とかハバネロとかカプサイシンとかが粉末状になって溶け込んでいるよね。
でも、ここで勇気を出さねば馬鹿にされるぞ……。
「じゃあ頂きます……」
俺は鍋の中にスプーンを差し込んだ。
するとゴロッとした感触の後に形そのままの唐辛子が複数本浮かび上がって来る。
ポッキリ────。
「く、食えるか!!」
こんな物が食えるか!!
俺はインド人とかタイ人じゃあねえんだぞ!!
辛さに免疫がある人種じゃあねえんだ。
こんな地獄の食い物が食えるわけがねえだろ!!
てか、これは食い物じゃあねえよ。
これで虫が殺せるレベルの、いいや、人が殺せるレベルの兵器だよね!!
これを一滴だけバッタに垂らしたら、泡を立てて沸騰しながら死んで行くよね!!
人間でも同様だよ!!
「なんだ、やっぱり諦めるのか?」
「情けねえ冒険者様だな~」
「ぬぬぬぬぬっ!!」
この腐れ外道どもが!!
こうなったら最後の手段だ!!
俺は焼ける器を左手で持つと、スプーンで汁を掬ってマスターの顔にピシャっとぶっ掛けた。
「ぎぃぁあああ!!!」
店のマスターは、顔を押さえながら床の上でのたうち回る。
「あんた、何をするだ!?」
「うるせえ、お前も食らえ!!」
俺は客にもピッピッと赤い汁をぶっ掛けた。
「うぎゃぁぁあああ、何をするだぁぁあああ!!!」
「何か文句でもあるか!? 文句あるヤツは、俺の前に出てきやがれ!! 地獄の汁をぶっ掛けてやるぞ!!」
「うわ、こいつヤバイぞ!!」
「に、逃げろ! 巻き込まれたら堪らん!!」
その他の客たちが災難と化した俺から逃げ出して行く。
「わっひゃひゃひゃ、どうだバロー!!」
「ぐぐぐ、くそっ……」
この時の俺は完全に切れて冷静じゃあなかったんだ。
だから不意を突かれたのである。
「それっ!!」
「うぎぁぁあああがががが!!!」
俺の隙を突いたマスターが、起き上がるのと同時に俺が片手で持っていた石鍋の器を下から叩いたのだ。
その勢いで石鍋から跳ねた地獄の赤汁が、俺の顔面にぶっ掛かったのである。
「ヒィィイイイアアア!!!」
痛い! 痛い! 痛い!!
目に入った!!
激痛ですわ!!!
目が潰れる!!!
前が見えないわ!!!
もうマジで死ねる!!!
助けてくれ!!!
そうだ、ヒールだ!!!
「セルフヒール! セルフヒール!!」
「なに、ヒールとはズルイな!!」
ズルイとかズルくないとかじゃあねえよ!!
これはマジで失明するぞ!!!
こんなハプニングで盲目とか有り得ないわ!!
更にマスターのターンが続く。
「ならば、これならどうだ!!」
えっ、なに!?
ドボドボって頭に何か掛けられてますわん!?
これって、もしかして!!
「ぎぃぁあああ! テメーこの野郎!! 頭から唐辛子スープを掛けやがったな!!」
「ほほう、見えて無くても分かったかい。どうだね、うちのおすすめメニューの味は!?」
「うごぉぉおおお!! 頭皮が焼ける!! これは禿げるぞ!! 絶対に禿げる!!」
「はっはっはっ、ざまあ見ろってんだ!!」
「この野郎! 客に何をしやがる!!」
「知るかボケ!!」
あっ、ヒールが効いたようだ。
目が見えるぞ!
そして、ヒリヒリする視界には、テーブルに置かれた石鍋が見えた。
赤い汁はまだ半分ぐらい入っている。
そしてマスターは、俺に汁を掛けられた別の客を気づかっていた。
俺に背を見せている。
目の痛みが緩んだ俺は石鍋を手に取ると、マスターの背後に忍び寄った。
そして、声を掛ける。
「おい」
「えっ?」
マスターが何気に振り返る。
その刹那に俺はマスターのズボンを引き寄せると、上の隙間から地獄汁を流し込んでやった。
「うそぉぉおおおお!!!」
「わひゃひゃひゃひゃひゃぁぁああゃい!!」
「チ◯コが焼けるぅぅううう!!」
「どうだ、チ◯コに金柑を塗った数十倍、否、数百倍の刺激だろう!!」
「も、捥げる~! チ◯コが捥げそうだ!!」
「わっひっひっひっ、俺の勝ちのようだな!!」
【おめでとうございます。レベル32に成りました!】
えっ、ウソ!?
これでレベルアップするのかよ!!
【つづく】
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