上 下
227 / 604

第227話【ランバラルルの鉱山町】

しおりを挟む
俺はアースジャイアントに魔女の探知指輪を埋め込んだあとにクラーク爺さんのところで夜まで過ごした。

っと、言ってもほとんど寝ているだけである。

起きている間はクラーク爺さんと一緒にキノコを食べているだけだった。

クラーク爺さんにカマドウマの唐揚げなどをすすめられたが、流石にカマドウマは食べられなかった。

昆虫の揚げ物は聞いたことがあるが、流石にカマドウマは無いわ~。

そりゃあ無理ですわ~……。

そんなこんなで夜が来たので俺はクラーク爺さんの家を出た。

もう、この家には来ないだろうと思うと寂しかったが、まあ定めだと諦める。

せめてクラーク爺さんには幸あれと祈るのみだ。

そして俺はキノコの森をあとにした。

次に目指す町はランバラルルだ。

なんでも聞いた話しだと鉱山が盛んな町だとか。

金や銀が取れるのか、それとも石炭が取れるのかは分からないけれど、盛んな産業があるのはいいことだ。

俺も旧魔王城を占拠したら、そう言うことを考えないとならないのだろうか?

まあ、それはあとの話だ。

まずは旧魔王城まで旅をしないとな。

何よりもまずはランバラルルに到着が先かな。

さあアキレスよ、いざランバラルルにGOだべさ!!

さて、それはさて置いてだ。

ミッションクリアで何故かレベルアップしたので新スキルの確認をしたいと思うのだが……。

に、してもだ。

今までミッションクリアで経験値なんて入ってたのか!?

俺が気付いてなかっただけで、入っていたのかな!?

あんまりにも俺のレベルアップが遅いから救済策なのかな!?

その可能性が高くね!!

てか、ハクスラなんだからガンガンとレベルアップしろってことだよね!!

神様が痺れを切らしたかな!?

まあ、いいや~。

兎に角レベルアップすることはいいことだ!!

さてさて、新スキルは何かなっと?

【落下ダメージ軽減スキル。落下から来る肉体的ダメージを軽減する】

あー、これは心当たり有りすぎだわ~。

今回のアースジャイアントの際も、完熟フレッシュ亭での二階からの落下事件などと、いろいろ有ったもんな~。

これは今後を考えると有ったほうがいいよね。

さて、次はっと──。

【クライムウォークマスタリー。岩場や壁などをよじ登る技術が更に向上する】

うむうむ、やっぱり来ましたね。

これは今回来るだろうと思うマスタリーだよね。

これが今回来なければ嘘だろって感じだわ。

おおっ、もう一つ新スキルが有るぞ?

何かな~。

【キノコ鑑定スキル。食用キノコか毒キノコかの判定が可能になる】

あー、知識系ね……。

ありがとうクラーク爺さん……。

このスキルが役立つたびに、クラーク爺さんのことを思い出すよ……。

さて、新スキルの確認も終わりだぜ。

でーもーさー……。

そろそろマジックアイテムの鑑定もしたいよな~。

何せ、そろそろ禁断症状が出そうだよ。

次はダンジョンとかを漁りたいもんだわ~……。

まあ、しゃあないか~。

よーし、兎に角ランバラルルを目指すぞ。

はいやー、アキレス!!

俺はアキレスの腹を蹴って走る速度を速めた。

夜までに、ランバラルルの町に到着したいな。

今晩はちゃんとしたベッドで寝たいぞ。

転送絨毯でソドムタウンに帰ってもテントで寝袋だもんな~。

やっぱり寝るならベッドだよね~。

おっ、見えてきたぞ!

あれがランバラルルの町だな。

なんか公害汚染で夕日が雲ってませんか……?

すげー、空気の悪い町っぽいな~……。

俺は町の手前でアキレスから下りると異次元宝物庫に仕舞う。

ランバラルルの町には壁もゲートも無い。

町の中に入るのはフリーパスのようだな。

だとすると、産業は発達しているが、貿易はさほどでも無いってことかな。

町中も露店は少ない。

町の中を行き交う人々は筋肉質で大柄の男が多い。

ほとんどが薄汚れた繋ぎを着ているマッチョマンが多かった。

黒い煤に汚れているから石炭が取れるのかな?

おっ、酒場だ。

今回は探さずに見付けられたぞ。

さて、もうそろそろ夜が来るから、今日はここに宿を取るかな。

酒場の名前は『ドリフターズ亭』だって?

漂流者たちってことか?

それとも……。

まあ、あんまり深い意味は無いのかな?

とりあえず店に入ろうか。

うわ、五月蝿い店だな!!

もう酔っぱらいたちが酒盛りしながら暴れているよ……。

流石は鉱山の町なんだな~。

兎に角にぎやかだわ……。

俺は暴れまわる酔っぱらいの間を縫ってカウンターに向かった。

俺はカウンター席に座るとマスターに食事と水を頼んだ。

すると、店のマスターが頑固そうな表情で言う。

「水だって?」

「ああ、水だよ。それと食事を頼むよ」

「食事は出せるが水はねーよ。酒をたのみやがれ。ここは鉱山の町だからな」

あー、面倒臭いパターンだわ……。

「済まないが、俺はゲコだ。だから水を頼む」

するとマスターがグラスを叩き付けるように俺の前に置くと、ウイスキーを乱暴にドボドボと注いだ。

「飲めなきゃあ、飲めばいいんだよ!」

「だから飲めないって言ってるだろ!!」

「いいから飲めよ!!」

俺とマスターが揉めていると、背後からマッチョなオヤジが話し掛けて来る。

「どうしたんだい?」

粋な口調だった。

そして冷静な口調でもあった。

マッチョオヤジはカウンターの中に入って行く。

そしてマッチョオヤジが店のマスターに話し掛けた。

「悪かったなお客さん。カウンターを任せてよ。一杯おごるから、楽しく飲んでいってくれ」

「ああ、サンキュー」

マスターだと思われた男はグラスを片手にカウンターから出て行った。

最後まで俺を睨んでいやがる。

「今の人は、店員じゃあなかったのかよ……」

「ああ、すまんすまん。ただの客だ。はっはっはっ」

笑い事じゃあねえよ!

なんだ、この店は!!

そして本物のマスターが俺に訊く。

「でぇ、兄さん。注文は、なんにする?」

「食事と水をくれ」

「水なんかねーよ。酒を頼みな!」

「お前もかい!!」


【つづく】
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

元Sランク冒険者のお爺さんの残した遺品は、物凄い宝の詰まった指輪でした。

チョコクッキー
ファンタジー
元Sランク冒険者で貴族の祖父を持つユウマ。彼が死に際の祖父から遺品として頂いた指輪には、実は宝物庫よりも物凄いお宝が隠されていた。ちょうど、10歳になり王国貴族学院に入学し卒業後には、冒険者を目指す予定のユウマ。祖父の遺産もあり、また様々な出会いや出来事から祖父の素晴らしさと偉大さを改めて実感して成長していくハイファンタジー物語。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

【後日談完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長していった。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、そして・・・。 初投稿というか、初作品というか、まともな初執筆品です。 今までこういうものをまともに書いたこともなかったのでいろいろと変なところがあるかもしれませんがご了承ください。 誤字脱字等あれば連絡をお願いします。 感想やレビューをいただけるととてもうれしいです。書くときの参考にさせていただきます。 おもしろかっただけでも励みになります。 2021/6/27 無事に完結しました。 2021/9/10 後日談の追加開始 2022/2/18 後日談完結

処理中です...