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第175話【秘密のプロジェクト】
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俺はスカル姉さんの空き地に二人と狼三匹を残して飛び出した。
そして、冒険者ギルドに向かう。
何故にかは、まだ秘密だ。
だが、これは大掛かりなプロジェクトになるだろう。
一日二日で成しえない仕事だろうが、ある意味で男のロマンが詰まった仕事だ。
さて、でも、問題は場所である。
それを決めるために俺は冒険者ギルドに向かっているのだ。
そして俺が冒険者ギルドに到着すると、一階の酒場にアマデウスたちのパーティーが居た。
バイマンを唆して冒険者から脱落させた野郎だ。
「あれぇ~?」
アマデウスのパーティーが囲むテーブルには六人居たが、いつも見慣れた男が一人足りない。
クラウドは居るのだが、ゴリの姿が見当たらなかった。
スキンヘッドで大柄のゴリラ野郎だ。
居なければ居ないでなんだか寂しいな。
まあ、今俺も忙しい。アマデウスの陰険野郎には構ってられないのだ。
俺は駆け足で二階に上がった。
受付に居る六つ子のお兄さんにギルマスとの面会を求める。
そして俺は直ぐにギルマスの部屋に通された。
「ちわぁ~~す」
「おう、アスラン。次の仕事ならまだ決まってないぞ」
ギルマスのギルガメッシュはマホガニーの机で書類を睨み付けていた。
いつものモヒカンヘアーに、上半身裸のサスペンダー姿が変態じみていたが、なんとも勇ましい。
ギルガメッシュは書類から目を離さないで俺と会話をしていた。
「いや、今日は色々質問しに来たんだわ。ちょっと講義を受けたくてさ」
ギルガメッシュは書類を退けると俺を不思議そうに見た。
「講義とは、なんだ?」
「町の外の物件を手にいれたいのだが、どうしたらいい?」
「その物件がどのエリアにあるかでことなるが、権利を得たいのなら君主に承諾を得るのが一番早いかな」
「そこにモンスターが巣くっている場所でもか?」
「そもそも誰かの管理下に入ってない土地ならば、権利を主張するのは簡単だ。ただ権利を主張したなら、ちゃんと管理をしなければならない。警護して、税金を払う。管理ができていないなら、何も認められんぞ」
「そうか~」
「お前、何を企んでやがる?」
ギルガメッシュが俺の顔をマジマジと見た。
「いやね、秘密基地を作ろうかと思ってさ~」
「秘密基地だと?」
「そう、だからさ、町の外の土地の使用はどう申請したらいいのかなって思ってさ」
「また、訳の分からんことを考え始めたな」
「プランとしては、どこかの遺跡に人を送り込んで村を作ろうと考えているんだ」
「村レベルの秘密基地か?」
「そう」
「それって、もう秘密じゃあないよな?」
「まあ、その辺の細かいことは気にしてないからさ」
「だが、村となると、お前一人で作れるレベルじゃあないぞ?」
「その辺は、ちゃんと策があるんだ」
俺はそう言うと、異次元宝物庫から転送絨毯を出して、床に広げて敷いた。
「なんだ、それは?」
「ちょっとこの魔方陣の上に立ってみそ」
「みそ?」
「いいから立てよ!」
「ああ、分かった分かった。これでいいか?」
ギルガメッシュは言われるままに転送絨毯の上に立った。
「じゃあ、俺も~」
そして俺もギルガメッシュに抱きつくように転送絨毯の上に乗った。
俺は合言葉を口に出す。
「チ◯コ!」
「ぅ!?」
俺たち二人は一瞬で、スカル姉さんの空き地にあるテント内に転送された。
「こ、ここは……」
ギルガメッシュがテントの外に出て行った。
俺も後ろに続いてテントを出る。
「あら、ギルガメッシュ?」
「ドクトル・スカルか!?」
テントから出たギルガメッシュがスカル姉さんと出くわして仰天していた。
そして、振り返ったギルガメッシュが俺に言う。
「これは転送魔法か?」
「そうだよ」
「もしかして、これで秘密基地とここを繋ぐつもりか?」
「その通りだ。これで簡単な物流はできるだろうからな」
「面白いな……」
「だろう~」
俺とギルガメッシュが話して居ると、スカル姉さんが割り込んできた。
「あんたらいきなり現れて何を話していやがるんだ?」
「ドクトル、今はすまない、あとにしてくれ。よし、アスラン、冒険者ギルドに帰るぞ」
「おう」
俺たち二人はテントに入って再び冒険者ギルドに帰った。
瞬時に転送される。
そして、俺とギルガメッシュはソファーセットに腰掛け向かい合いながら話した。
「あの絨毯は二枚一セットのマジックアイテムだ。それで離れた場所にある秘密基地とソドムタウンを繋ぎたい」
「まあ、面白い話だな。でえ、お前は何を望む?」
「土地の権利と、交通が不便だが、良い土地が欲しい」
「土地の権利は俺が手を回せばどうにでもなる。問題は、お前がどんな土地を求めているかだな」
「俺が望む土地は、防御に優れた立地で、農作業ができる土地だ」
「そのような土地は、難しいぞ?」
「ただし、人の交通が不便で見放された土地だ。それでこそ転送絨毯が役に立つ」
「なるほどな~」
言いながらギルガメッシュが立ち上がると、丸めて壺に刺して在った羊皮紙を一枚取って来る。
それを俺の前のテーブルに広げた。
「地図か?」
「この国の地図だ」
そしてギルガメッシュが一点を指差した。
「ここにかつての魔王が住んでいた」
「魔王城か!?」
「直径2キロのクレーターに囲まれた土地だ。クレーターの山が険しくって城壁の代わりになっている。馬や徒歩では乗り越えられん」
「へぇ~」
「しかし、クレーターの中に入れるゲートは一ヶ所。難攻不落だが、交通は非常に不便で、魔王の死後は放棄されている」
「クレーターの中の土地は、どんななんだ?」
「水も自然も豊かだと聞く」
「ナイスな土地じゃんか!」
「ただ、魔王城には未だにモンスターが巣くっているとされているが、人間界には降りてこないから、無視されているんだ。どんなモンスターかは私も知らない」
「そんな物は、俺がぶっ倒してやるぜ!」
「ここなら農業も狩猟もできるぞ」
「でえ、ここまでの道のりは、どのぐらいの時間が掛かる?」
「歩きだと、かなり掛かるぞ……」
俺は金馬のトロフィーからアキレスを呼び出してギルガメッシュに見せてやった。
『ひひぃ~~ん』
アキレスが唸る。
「こ、これは立派な馬だな……」
「こいつは疲れ知らずの魔法の馬だ。休み要らずで走れるぞ」
「それは分かった。しかし、ここで馬を出すな。ここは室内だぞ、床が抜けるわ……」
「ああ、すまない……」
俺はアキレスをトロフィーに戻した。
「だが、この黒馬なら普通の旅の半分の時間で済むぞ」
「それが本当だとしても、魔王城まで一ヶ月は掛かるな」
「そうか、ならば直ぐに旅立つぜ!」
「おいおい、マジか?」
「土地の権利は、あんたに任せるからな!」
「マジかよ……」
「その分だけ、冒険者ギルドには貢献するからさ、頼みますわ、ギルガメッシュさんよ」
「その貢献の約束を、忘れるなよ」
「ああ、誓うよ!」
こうして俺の秘密基地作りが始まった。
放火魔バイマンは、秘密基地の村人一号になって貰う予定だ。
人手は必要になるからな。
【つづく】
そして、冒険者ギルドに向かう。
何故にかは、まだ秘密だ。
だが、これは大掛かりなプロジェクトになるだろう。
一日二日で成しえない仕事だろうが、ある意味で男のロマンが詰まった仕事だ。
さて、でも、問題は場所である。
それを決めるために俺は冒険者ギルドに向かっているのだ。
そして俺が冒険者ギルドに到着すると、一階の酒場にアマデウスたちのパーティーが居た。
バイマンを唆して冒険者から脱落させた野郎だ。
「あれぇ~?」
アマデウスのパーティーが囲むテーブルには六人居たが、いつも見慣れた男が一人足りない。
クラウドは居るのだが、ゴリの姿が見当たらなかった。
スキンヘッドで大柄のゴリラ野郎だ。
居なければ居ないでなんだか寂しいな。
まあ、今俺も忙しい。アマデウスの陰険野郎には構ってられないのだ。
俺は駆け足で二階に上がった。
受付に居る六つ子のお兄さんにギルマスとの面会を求める。
そして俺は直ぐにギルマスの部屋に通された。
「ちわぁ~~す」
「おう、アスラン。次の仕事ならまだ決まってないぞ」
ギルマスのギルガメッシュはマホガニーの机で書類を睨み付けていた。
いつものモヒカンヘアーに、上半身裸のサスペンダー姿が変態じみていたが、なんとも勇ましい。
ギルガメッシュは書類から目を離さないで俺と会話をしていた。
「いや、今日は色々質問しに来たんだわ。ちょっと講義を受けたくてさ」
ギルガメッシュは書類を退けると俺を不思議そうに見た。
「講義とは、なんだ?」
「町の外の物件を手にいれたいのだが、どうしたらいい?」
「その物件がどのエリアにあるかでことなるが、権利を得たいのなら君主に承諾を得るのが一番早いかな」
「そこにモンスターが巣くっている場所でもか?」
「そもそも誰かの管理下に入ってない土地ならば、権利を主張するのは簡単だ。ただ権利を主張したなら、ちゃんと管理をしなければならない。警護して、税金を払う。管理ができていないなら、何も認められんぞ」
「そうか~」
「お前、何を企んでやがる?」
ギルガメッシュが俺の顔をマジマジと見た。
「いやね、秘密基地を作ろうかと思ってさ~」
「秘密基地だと?」
「そう、だからさ、町の外の土地の使用はどう申請したらいいのかなって思ってさ」
「また、訳の分からんことを考え始めたな」
「プランとしては、どこかの遺跡に人を送り込んで村を作ろうと考えているんだ」
「村レベルの秘密基地か?」
「そう」
「それって、もう秘密じゃあないよな?」
「まあ、その辺の細かいことは気にしてないからさ」
「だが、村となると、お前一人で作れるレベルじゃあないぞ?」
「その辺は、ちゃんと策があるんだ」
俺はそう言うと、異次元宝物庫から転送絨毯を出して、床に広げて敷いた。
「なんだ、それは?」
「ちょっとこの魔方陣の上に立ってみそ」
「みそ?」
「いいから立てよ!」
「ああ、分かった分かった。これでいいか?」
ギルガメッシュは言われるままに転送絨毯の上に立った。
「じゃあ、俺も~」
そして俺もギルガメッシュに抱きつくように転送絨毯の上に乗った。
俺は合言葉を口に出す。
「チ◯コ!」
「ぅ!?」
俺たち二人は一瞬で、スカル姉さんの空き地にあるテント内に転送された。
「こ、ここは……」
ギルガメッシュがテントの外に出て行った。
俺も後ろに続いてテントを出る。
「あら、ギルガメッシュ?」
「ドクトル・スカルか!?」
テントから出たギルガメッシュがスカル姉さんと出くわして仰天していた。
そして、振り返ったギルガメッシュが俺に言う。
「これは転送魔法か?」
「そうだよ」
「もしかして、これで秘密基地とここを繋ぐつもりか?」
「その通りだ。これで簡単な物流はできるだろうからな」
「面白いな……」
「だろう~」
俺とギルガメッシュが話して居ると、スカル姉さんが割り込んできた。
「あんたらいきなり現れて何を話していやがるんだ?」
「ドクトル、今はすまない、あとにしてくれ。よし、アスラン、冒険者ギルドに帰るぞ」
「おう」
俺たち二人はテントに入って再び冒険者ギルドに帰った。
瞬時に転送される。
そして、俺とギルガメッシュはソファーセットに腰掛け向かい合いながら話した。
「あの絨毯は二枚一セットのマジックアイテムだ。それで離れた場所にある秘密基地とソドムタウンを繋ぎたい」
「まあ、面白い話だな。でえ、お前は何を望む?」
「土地の権利と、交通が不便だが、良い土地が欲しい」
「土地の権利は俺が手を回せばどうにでもなる。問題は、お前がどんな土地を求めているかだな」
「俺が望む土地は、防御に優れた立地で、農作業ができる土地だ」
「そのような土地は、難しいぞ?」
「ただし、人の交通が不便で見放された土地だ。それでこそ転送絨毯が役に立つ」
「なるほどな~」
言いながらギルガメッシュが立ち上がると、丸めて壺に刺して在った羊皮紙を一枚取って来る。
それを俺の前のテーブルに広げた。
「地図か?」
「この国の地図だ」
そしてギルガメッシュが一点を指差した。
「ここにかつての魔王が住んでいた」
「魔王城か!?」
「直径2キロのクレーターに囲まれた土地だ。クレーターの山が険しくって城壁の代わりになっている。馬や徒歩では乗り越えられん」
「へぇ~」
「しかし、クレーターの中に入れるゲートは一ヶ所。難攻不落だが、交通は非常に不便で、魔王の死後は放棄されている」
「クレーターの中の土地は、どんななんだ?」
「水も自然も豊かだと聞く」
「ナイスな土地じゃんか!」
「ただ、魔王城には未だにモンスターが巣くっているとされているが、人間界には降りてこないから、無視されているんだ。どんなモンスターかは私も知らない」
「そんな物は、俺がぶっ倒してやるぜ!」
「ここなら農業も狩猟もできるぞ」
「でえ、ここまでの道のりは、どのぐらいの時間が掛かる?」
「歩きだと、かなり掛かるぞ……」
俺は金馬のトロフィーからアキレスを呼び出してギルガメッシュに見せてやった。
『ひひぃ~~ん』
アキレスが唸る。
「こ、これは立派な馬だな……」
「こいつは疲れ知らずの魔法の馬だ。休み要らずで走れるぞ」
「それは分かった。しかし、ここで馬を出すな。ここは室内だぞ、床が抜けるわ……」
「ああ、すまない……」
俺はアキレスをトロフィーに戻した。
「だが、この黒馬なら普通の旅の半分の時間で済むぞ」
「それが本当だとしても、魔王城まで一ヶ月は掛かるな」
「そうか、ならば直ぐに旅立つぜ!」
「おいおい、マジか?」
「土地の権利は、あんたに任せるからな!」
「マジかよ……」
「その分だけ、冒険者ギルドには貢献するからさ、頼みますわ、ギルガメッシュさんよ」
「その貢献の約束を、忘れるなよ」
「ああ、誓うよ!」
こうして俺の秘密基地作りが始まった。
放火魔バイマンは、秘密基地の村人一号になって貰う予定だ。
人手は必要になるからな。
【つづく】
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