上 下
149 / 604

第149話【ワイズマンとマヌカハニー】

しおりを挟む
俺が銀のスプーンを異次元宝物庫に戻していると、マヌカハニーさんが述べる。

「ご馳走さまでした。それでは行きましょうか」

俺は無言でコクリと一つ頷いた。

マヌカハニーさんが先頭で屋敷に入って行く。

だが、マヌカハニーさんの足が直ぐに止まった。

俺はマヌカハニーさんの背中に顔をぶつけて立ち止まる。

何事だろうとマヌカハニーさんの顔を覗き込めば、彼女は眉間を摘まみながら俯いていた。

「まったくワイズマン様は……」

俺がマヌカハニーさんの前に出ると今日一番の驚愕が転がっていた。

勿論驚愕の正体はワイズマンの出で立ちなのだが、本日のワイズマンはいつも以上に吹っ飛んでいた。

まあ、全裸である。

しかし、自分の屋敷のロビーに居るワイズマンは全裸であるのだけれど、本日は全裸以上の出で立ちだった。

「さあ、マヌカハニーさん、私を苛めておくれ!!」

凛々しく声を上げるワイズマンは全裸で椅子に縛られていた。

しかも恥ずかし固めの亀甲縛りである。

両腕は後ろに回され固定されていた。

両足は椅子の足に縛られ動けない状態だ。

しかも何故か目隠しをしている。

どうやら俺が見えていない様子だった。

俺が来ていることに気付いてもいない。

しかも、その足元には八股ウイップや蝋燭や浣腸の注射器やらが転がっている。

どれもこれも口では言えない使い方をする大人のオモチャばかりであった。

「さあさあ、マヌカハニーさん、私を好きに痛ぶってくれて構わないのだよ!」

目隠し状態のワイズマンが息を荒くしながら述べていた。

その申し出にマヌカハニーさんは、片方の眉毛をヒクヒクさせている。

マヌカハニーさんは声色を荒くして言う。

「ワイズマン様、今日はアス……」

俺は咄嗟にマヌカハニーさんの言葉を止めた。

彼女の唇に人差し指を当てて言葉を封じる。

マヌカハニーさんは不思議そうに小首を傾げていた。

俺はキョトンとしているマヌカハニーさんに微笑みを投げ掛ける。

満面の笑みであった。

しかし、俺の笑みが怪しすぎたのか、彼女の顔が引きつっていた。

俺は笑いを堪えながらワイズマンに近付いて行く。

くっくっくっと、心中で笑いながら表では必死に笑いを堪えながらだ。

そして、足元に落ちていた八股ウイップを拾って少し振るって見る。

ブルンブルンと風が鳴った。

すると八股ウイップの風音を聴いてワイズマンの期待が高まる。

「はぁ、はぁ、はぁ~。早く~、早く~……♡」

ワイズマンが息を荒くして微笑む表情は、何かを期待する態度だった。

更に俺は笑いを堪えながらブルンブルンと八股ウイップを激しく振り回す。

「カ、カモーーーン!!」

何がカモーーーンだよ!!

思わす笑い出すところだったぜ。

まだバレるわけには行かない。

俺は笑いを堪えながらワイズマンの太股を八股ウイップでぶっ叩いた。

するとバシーーンっと卑猥な音が奏でられる。

叩かれたワイズマンが悶えながら歓喜の声を上げていた。

「はぅ~~~ん、もっと叩いてくれ~~」

よし、乱舞だ!!

俺は闇雲にワイズマンを八股ウイップで叩き捲った。

連打、乱打、猛打で叩く。

「あっ♡ うっ♡ だっ♡ はぅ♡」

俺に八股ウイップで殴られる度にワイズマンが気持ち良さそうに悶えながら声を上げていた。

よし、今度は蝋燭だ。

俺は蝋燭に火を灯す。

そして目隠しされたワイズマンの顔に蝋燭の炎を近付けた。

蝋燭の熱と香りがワイズマンに次のプレイを知らしめる。

「こ、今度は蝋燭かね。今日のマヌカハニーちゃんは大胆だね~。ハァ、ハァ……」

おいおい、今度はマヌカハニーさんをちゃん付けで呼び出したぞ。

くっくっくっ、マジで笑っちまうわ。

俺が笑いを堪えているとマヌカハニーさんが、俺から乱暴に蝋燭を奪い取る。

えっ、どうしたの……?

そして行きなりワイズマンの乳首に蝋燭の先を力任せに押し付けた。

ジュッと音を立てて蝋燭の炎が消える。

「はぁーーーーん!!!」

「この変態が!!」

マヌカハニーさんの表情はゴミ虫を殺すような眼差しだった。

怒りが頂点である。

恐いな、この姉ちゃん……。

「ぁぁああついいおお!!!」

蝋燭を乳首に押し付けられたワイズマンが悲鳴を上げていた。

マジで熱かったのだろう。

普通の表情では無い。

完全に冗談が通じる風でも無かった。

「あーーつ! マジで熱いよマヌカハニーちゃん、今のはちょっとキツすぎるわ!!」

うむ、やっぱり冗談では済まないようだ。

しかし、マヌカハニーさんが本気で怒鳴る。

「もう、貴方は何でいつも変態過ぎるのよ。だから結婚も延期してるのに!!」

怒鳴り散らすマヌカハニーさんは、俺から八股ウイップを奪い取ると、ワイズマンを無茶苦茶に殴り始めた。

もうプレイのレベルじゃあない。

ただの拷問だ。

マジで殺す勢いで殴り続けている。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラっ!!!」

「痛い! うわっ! あふん! ちょっと! うがっ! 止めて! 止めて! ごめんなさい! ごめんなさい!!」

うぅ~~わ、マジだぜ……。

恐いは、この姉ちゃん!

本気を出すとマジで恐いわ!

てか、待てよ?

さっき可笑しなことを言ってたな?

結婚も延期しているって?

どう言うことですか?

もしかして、この二人は婚約者なのか?

このモッチリ親父と豊満ハニーさんが?

マジで?

嘘でしょう?

本当なら財産目当てだよね?


【つづく】
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...