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第123話【死後の世界から】

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俺が目を覚ますと真っ白な世界に立っていた。

足元は霧に覆われているが、熱さも寒さも感じられない。

空も大地も白い。

白いだけの世界だった。

まるで天国に居るようだ。

てか、天国?

ここが天国なのか~?

初めて来たから知らないけれど、俺はどうしたら良いのかな?

三途の川が在れば渡れば良いのだけれど、ここにはそれらしき物は見当たらない。

見えているのは真っ白な雲だけだった。

あっ、俺、全裸だ?

ちんちんブラブラだな~。

なんだろう、この呑気な気分はさ?

なんか死んでのんびりしてる感じだな。

もう、死んだから仕事も関係無いし、ダンジョンも漁らなくていいんだ……。

んん~、なんかそれも詰まらないな。

やっぱり俺は冒険者なんだから、ダンジョンとかを漁ってなんぼだよな~。

あれ、誰か居る?

人の群れが動いているな?

うし、行ってみようか。

あ~、人だ。

人間だわ。

しかも女性じゃあね?

しかもしかも若くね?

結構な美女の群れじゃあね?

わーい、俺と同じ全裸だ~。

全裸の美女だわ~。

もう死んでるから糞女神の呪いなんて関係無いもんね~。

うひょひょひょひょ~~。

全裸の美女たちと戯れまくってぇぇええでえでええええ!!!

ぃっでえでええええ!!!

なーにーー!!??

痛いぞ胸がぁああだあだただだ!!!

なんでだよ!?

死んでるんだから呪いとか関係無いだろうが、インチキだぞ!!!

あー!!!!!

美女たちが干からびて行く!?

なんで!?

きぃゃーーーー!!

美女がレイスに変化したぞ!?

美女たちの群れがレイスの群れに変わったわ!!!

こっちに向かって走って来ますわ!!!

逃げろ!!!

ダッシューー!!!

はっ!?

んん??

あーー……。

ここどこ……?

ダンジョンの部屋の中なのか?

今のは夢?

夢なのか?

俺は窓の無い部屋に居る。

10メートル四方が岩の部屋だわ。

俺はその部屋のベッドで寝ていた。

テーブルに椅子。

ベッドに家具。

扉が一つ。

部屋の中央には魔法の明かりが浮いている。

随分と生活感が有る部屋だな。

ここには誰かが住んでいるよね?

「あたったったっ……」

あー、俺は傷だらけなんだ。

全身が包帯でミイラ状態だわ。

こりゃあ動けないわな……。

身体のあっちこっちから激痛が走ってるよ。

さて、どうしたものかな。

動けないし、困ったぞ。

あっ、扉が開いたわ。

誰かが入って来るぞ。

なんだろう?

すげー、フワッとした人物だな。

なんだか朧気に見えるわ。

まるで幽霊みたいだな。

女性だよね?

髪の毛は長いし、かなり細い。

スタイルは良いけど乳が無いな。

なんか持って来てテーブルに並べてやがる。

まな板に包丁だな。

具材は無しか~。

…………。

具材は俺か!?

ちょっと待ってください!!

俺なんか美味しくないよ!!

不味いから食べないで!!

なんかこんな展開が過去にもあったよね!?

黒山羊なんか被らないよね!?

そいつが、ぬるぅ~っとした動きでこっちに振り返る。

手には包丁を持ってやがるぞ!?

怖い!!

動けないのが更に怖いわ!!

たーすーけーてー!!

「お目覚めですか?」

はい、お目覚めです!!

あれ、口まで包帯で塞がれてるやんか!?

これじゃあ喋れないぞ!!

「大丈夫ですよ、聞こえてますから」

えっ……?

なんで??

「私は心が読めるんですよ」

心が読めるの!?

「はい、そうなんです」

なんだろう、女性なの男性なの!?

「どちらでも構いませんよ」

じゃあ女性でお願いします!!

「はい、分かりました」

するとぼやけていたビジュアルがハッキリと見え始めた。

なんか凄く柔らかそうな細身な女性だった。

うん、美人だな……。

「有り難うございます。私を美人に育ててくれて」

い、いえいえ……。

「死に掛けてましたけれど、助けたのは迷惑じゃあなかったかしら?」

いえ、大変助かりました!!

って、ことは、この人は味方かな!?

「私には今のところ敵意が御座いませんわ」

あんたは、誰だ?

「あなたの記憶を辿って適当な名前を探れば──」

探れば?

「あなたが探していたドラゴンの幽霊が、適当だと思いますわ」

はーーーい、ビンゴ!!

当たりを引きましたよ!!

これで冒険の目標をゲットだぜ!!

「ゲットと言われましても困りましたわね」

なんで?

「だって私はベルセルクに会いに来なさいと述べたのよ。使いを出せなんて言ってないわ」

そこまで知っているのか。

「すべてはあなたの記憶を読んでいますからね」

あー、じゃあ俺の記憶からさ、俺の秘密を読み取っているのね?

「そう、浅い部分の記憶は簡単に読めるけれど、深い記憶は読めないわ」

どこまで読んだ?

「女神様と出会っているところは何とか読めますけれど、それ以上は……」

そこまで読まれてますか。

「ですが、何故にあなたが女神様と出会ったのかが読めませんわ。固くプロテクトされてますもの」

なるほどね。

「上手いですわね。わざと考えないようにしていますね」

ばれたか。

「転生って、どう言うこと?」

読めてるじゃんか!?

「本当にそこぐらいですわ」

まあ、どうでも良いや。

ところで俺の傷だが、どのぐらいで治るの?

「あなたの治癒力なら完治まで一ヶ月ぐらいかしら。動けるようになるまでなら一週間ってところね」

俺のヒールを使っても?

「はい、あなたのヒール能力を踏まえた診断ですわ」

結構時間が掛かるな……。

「わたしが治癒したら、6時間です」

お願いします!

治癒してください!!

心の中で土下座しますから!!

「じゃあ、まずは治癒しましょうか。話はその後にしましょう」

お願いします!!

「それでは、これを食べて貰いますわ」

なんか包丁で切り出したぞ?

ベッドからだと良く見えないな?

「薬ですよ」

なんの薬?

材料は何?

「あなたの記憶を辿る限り、材料が何かは訊かないほうがいいですわ。さあ、あーーんして」

あ、あーーーん……。

パクウー……。

不味い……。

ニュチョニュチョだわ……。

「じゃあ、あとは私の魔力で暖めますわよ」

なんで脱ぎ出すの!?

おおっ!!

ぅぅうがあががが!!

いーたーいーよー!!

なんでこんな美人さんが脱いでるのに呪いで痛いのさ!!!

添い寝するの!?

添い寝なのね!?

嬉しいけれど、死ぬほど痛いわぁぁああがががあが!!

「ああ、女神様からのペナルティーですわね」

いいえ!!

ペナルティーじゃあ有りません!!

呪いです!!

糞女神の呪いですから!!

「女性の全裸で魔力を注げないならば、男性の体で魔力を注ぐしか有りませんね」

ええっ!!

なんでムキムキに変わるの!?

俺が苦しんでも良いから美女でお願いします!!

ムキムキマッチョマンで添い寝しないで!!

やーめーてーくーれー!!

だーきーつーかーなーいーでーくーれー!!

「これで、魔力を注ぎます」

ギィァーーーーーー!!!

生き地獄だ!!

これなら本物の地獄のほうがましだわーー!!!


【つづく】
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