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第121話【怪力の封じかた】

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俺たち裏庭族が目を覚まして朝食を取っていると、ピーターさんが出勤して来た。

これでこの建屋に住まう四人が全員揃う。

「やあ、皆さん、おはようございます~」

「おう、ピーターおはようさん」

「ちぃ~す」

「どうも、ピーターさん」

俺たちが朝の挨拶を返すと、ピーターさんはスパイダーさんを恐る恐る見回していた。

ピーターさんが問う。

「スパイダーさん、屁は止まりましたか?」

「ああ、記憶は定かで無いけれど~、悪霊は去ったらしいぜ~。いや、ほんと~、参ったぜぇ~」

「悪霊……?」

パーカーさんが説明する。

「意外だが、あの屁の正体は屁の霊体だったんだ。だが、昨晩退治されたから、もう大丈夫だぜ」

「マジで!? 凄く見たかったな!」

うん、この人たちは無垢だな。

まあ、あの屁の霊の正体は良く分からんが、最初は俺に憑いたんだ。

憑いた理由があるだろう。

俺がここに来て最初にやったことと言えば、今使っている部屋の荷物を放り出したぐらいだ。

んん?

それで憑かれたのか?

俺は食後に建屋から出て出入り口横に放り出されていた荷物の山を見た。

ここに霊の正体があるのかな?

俺はしばらく荷物の山を漁った。

すると大きな木箱の中から人の死体を見つける。

「マジであったよ……」

干からびた兵士のミイラだった。

もう真実は一つだわ。

いつもじっちゃんは独りって感じだぜ。

「パーカーさん、ピーターさん、ちょっといいかな~」

「なんだ~?」

俺に呼ばれて詰所から三人がぞろぞろと出て来る。

そして木箱の中を見て驚いていた。

「こ、これが屁の霊の正体なのか!?」

「多分な~」

木箱の中の死体は、この城の兵士が身に付けている鎧を纏っていた。

首にはネックレスを下げている。

俺はそのネックレスを取ってみた。

ネックレスには名前が書いてある。

「スタン・リーだって。知ってるか?」

三人は知らないと首を振る。

でも、何かを思い出したパーカーさんが語り出した。

「そう言えば俺がここに来たばかりのころに聞いたことがあるな。この裏庭の詰所で行方不明になった嫌われ者の兵士長が居たってさ……」

「じゃあ、そいつかな?」

俺は言いながらネックレスをパーカーさんに投げ渡した。

「とりあえず、この死体はこの城の問題だから、そっちで片付けてくれ」

「あ、ああ、分かったよ……」

そのあと三人が城内を走り回って何やら偉い人を数人連れてきていた。

どうやら死体の正体は十年ほど前までこの詰所で働いていた兵士長の遺体らしい。

何があったか分からないが、パーカーさんが述べた通り当初突然消えた人物らしいのだ。

少なくとも今居る三人が来る前の事件らしい。

まあ、何があったか分からないけれど、あの部屋に十年以上も閉じ込められていたのだろう。

それを出してやった俺に屁の霊として取り憑くなんて酷いやね。

まあ、最大の被害者はスパイダーさんだからいいけれどさ。

俺が二階の窓からその光景を眺めていると、城のほうから昨日の縦ロールお姫さまがやって来る。

今日もメイドたちを引き連れていた。

おやおや、来やがったなプリンセス・ポラリスさんよ。

俺は窓から放れるとしたの階を目指した。

さて、昨日の御礼を返さなければなるまい。

俺が外に出るとお姫さまは木箱の中を覗き見ていた。

おお、ミイラを見て真顔でいますよ。

さてさて、どうでますかね?

「これがスタン・リーですか?」

ポラリスに訊かれたパーカーさんが「はい」っと答えた。

「わたくしは覚えてますわ……」

あれ、知人なのか?

「貴族の次男で高飛車な人でしたわ。幼少ながらわたくしですら嫌ってましたもの。このような貧しい箱から出て来るなんて、最後まで哀れな人だこと……」

あら~、それが本音ですか?

可愛くないわね~。

「パーカー殿」

「はい、なんで御座いましょう、ポラリスさま?」

「遺体は、ちゃんと遺族の元に返しておあげなさい。どんな馬鹿息子でも、親なら可愛いものでしょうから」

「は、はい……」

パーカーさんは頭を下げたまま死体の入った木箱を閉めた。

「ちゃんと棺桶に死体を移してからですわよ」

「はい、心得ております……」

そう述べるとポラリスが俺のほうに歩いて来た。

「アスランさん、よろしいですか?」

「なんだい、プリンセス?」

「私も閉鎖ダンジョンに入りたいのですが、連れてってくれますか」

「はあ~?」

俺は大きく首を傾げながら述べた。

「何を寝ぼけているんだ、お姫さまは?」

「聞いていますわよ。貴方がお祖父様から頼まれて、ドラゴンの幽霊を探していると」

「話を聞いているからって、連れては行けないだろう」

俺が軽くあしらうと、お姫さまは凛々しい表情のまま、きらびやかなドレスを脱ぎ始めた。

おおっ!?

マジで!?

ぐっぁあああ!!!

待てや、この女は!!?

呪いが、呪いのせいで脱衣シーンが見れないぞ!!

糞っ!!

見てーよー!!

でも、見ようとするとメチャクチャ苦しいよー!!

性格は糞女だけどスタイルは極上の別嬪さんなんだからさ!!

みーてーえー!!

ちーきーしょーうー!!

うーらーめーしーやー!!

諦めるか!?

諦めるのか、俺!?

諦めてしまうのか、俺は!?

畜生が!!

ぜぇはー、ぜぇはー……。

か、悲しいが落ち着いたぞ。

な、なんでこの糞プリンセスは、突然ながら脱ぎ始めたんだよ!?

「ちょっとあなた、大丈夫?」

「なんでも、ねえよ……」

畜生が、危うく殺されるところだったぜ。

に、してもだ。

「なんだい、その格好?」

「スケールメイルよ!」

はあ?

ドレスを脱ぎ捨てたポラリスは、何故かスケールメイルを着ていやがる。

それは城の兵士が着ている鎧だった。

がっかりだわ……。

なんでやねん?

なんで全裸じゃあないんだよ?

ぐふっ!!

やべ、また来た……。

落ち着こう……。

よし、落ち着いたぞ。

「鎧なのは見れば分かる。だが、何故に鎧を着込んでいるんだ?」

「私も閉鎖ダンジョンに付いて行くからよ」

「はあ?」

うむ、言ってる意味が分からんな?

とりあえずこいつが脱ぎ捨てたドレスを俺が着こんだ。

よいしょ、よいしょっと。

「ちょっとあなた、何故にわたくしのドレスを着るのよ!?」

「だってお前がダンジョンに入るなら身代わりのお姫さまが必要だろ?」

「あなたみたいな短髪が私の替え玉を勤められるわけがないでしょうが!!」

そこにパーカーさんが、何故かロン毛のズラを持って来る。

「ロン毛のズラなら有るが?」

「ナイス、パーカーさん」

「なんでズラを!?」

俺はパーカーさんからズラを受け取ると、スッポリと被った。

きらびやかなドレスにロン毛のズラが良く似合いやがるぜ。

「あなた、それでわたくしに化けられたつもりなの!?」

「似合うだろ?」

「う、うん、ちょっと似合うわね……」

うん、流石は俺の女装だな。

プリンセススタイルもOKのようだぜ。

周りの人々の反応を見る限り、なかなか行けているようだ。

「あー、もう違うわ!」

頭を振った後にポラリスがメイドたちに命じた。

「わたくしの武器をお持ちになって!」

「「「「はい!」」」」

ポラリスの指示に四人のメイドが素早く動いた。

即座に大きなハンマーを四人がかりで運んで来る。

「よし!」

ポラリスはメイド四人でやっとこ運んで来た大型ハンマーを一人で軽々と持ち上げた。

そのサイズは1.5メートルの十字架だ。

鉄柱に一斗缶が二つ付いている感じだった。

その重さを想像するからに、俺では持ち上がらないサイズである。

「これでどうかしら?」

す、凄い力ですわね……。

マジで怪力ですわ。

パーカーさんが十字架を見上げながら呆然と言った。

「このお姫さまは、なんちゅうパワーだ……」

そんな中、俺は──。

「凄いお力ですわね?」

「そうですわね、プリンセスさま……」

俺はメイドさんたちと寄り添いながら意気投合していた。

彼女たちも女装した俺をプリンセスと認めてくれている。

今日から俺はプリンセスにクラスチェンジだな。うんうん。

「貴殿方、何を遊んでいますの!?」

「きゃーー」

俺がわざとらしく怯えて逃げ出すと、その後ろにメイドたちも続いた。

うぬ、このメイドたちは空気が読めやがるな。気に入ったぜ。

「おふざけに、なりますな!」

激昂したポラリスが俺に向かって走り出す。

うわ、スカートって走りずらいな。

もう追い付かれるぞ。

メイドたちが散らばった。

ポラリスが俺のお尻をロックオンする。

「そおりゃあ!!」

うわ、マジでジャイアントハンマーを振り回して来やがったぞ!

「うわっ!」

俺は尻を引っ込めて、一振り目をなんとか躱した。

「もう、一発ですわ!」

「うほっ!」

迫る二発目のジャイアントハンマー。

このお姫さまは俺をミンチに変えたいのかよ!?

そして俺は二振り目を高いジャンプで躱す。

身体を空中で捻って高々と舞う俺は可憐にポラリスの真横に着地する

「スカートって飛びずらいよな」

「何を!!」

俺は再び怒りでジャイアントハンマーを振り回そうとしたポラリスの手元を両手で押さえた。

「うぬっ!?」

ポラリスの動きが止められる。

「幾ら怪力でも、手元を封じられたら動けまい」

「なんのぉぉおお!!」

ポラリスが意地を張った。

しかし──。

「はいはい」

俺はポラリスの膝裏に足を滑り込ませる。

「はぁ!?」

ポラリスが膝カックンを食らってバランスを大きく崩した。

両膝が折れて曲がると体が落ちる。

そして俺は背後に回り込んでスリーパーホールドで彼女の首を締め上げた。

「ぐぬぬ!?」

俺の両腕がポラリスの頸動脈を圧迫した。

「首を締めるんじゃないよ。首を締めたら呼吸が出来なくなって死んじゃうからね。俺は頸動脈だけを圧迫しているんだ」

「ぐぐぐ……」

「するとね。数秒でね」

「っ………」

「意識が遠退くんだわ」

「…………」

力無くポラリスが崩れた。

中学生時代に封印された俺の必殺技だぜ。

ふざけて何人もの学友を失神させて禁止された技である。

遊びで休み時間に失神させたら、授業が始まっても回復しなくて大騒ぎになって封印されたのだ。

すべては若き日々の過ちである。

気絶したポラリスを見下ろしながら俺が言う。

「ダンジョンって、狭いところも沢山あるんだぜ。それを分からずに、あんな大きな武器を持ち込もうって考えている段階で、あんたは失格なんだよ。あのジャイアントハンマーだと入り口すら通れないわ」

所詮は怪力女だな。

脳味噌まで怪力化していやがるな。

脳筋ってやつだわな。

こうして俺は、ポラリスが気絶している間に、二日目の閉鎖ダンジョンに挑んだ。


【つづく】
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