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第114話【屁】
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俺は城の詰所に帰って来ていた。
時刻はもう夜だ。
今はダンジョンの出入り口だと言われている鉄扉の前に立っている。
「へぇ~、これがダンジョンへの出入り口かぁ~」
俺の斜め後ろに控えて居たパーカーが話し出す。
「俺も扉すら開けたことがないんだわ。だからお前さんが本当に入るなら、多分俺たちも中を間近で見るのは初めてになるんだぜ。お前は本当に行くのか?」
「ああ、明日になったら入るつもりだ。そのための準備は終わっている」
「凄いな、冒険者ってヤツはさ。俺なら命令されても入りたくないぜ……」
やはり一般の兵士ならこんなものかと思った。
俺は鉄扉にある覗き窓から中を見てみる。
真っ暗な道が、真っ直ぐに続いていた。
「やっぱり、何も見えないな」
「中にはアンデットやらモンスターやらが、ウジャウジャいるらしいぞ」
「そいつらは、扉まで近付いて来ないのか?」
「出入り口周辺には、結界が張られているから、ここまでモンスターは近寄って来ないらしいぞ」
「へぇ~」
地上はセーフティーゾーンってわけか。
何かあったら、ここまで逃げて来たら安全ってわけね。
「俺たち警備兵もそうだが、この鉄扉は、こちら側から人が入らないようにしているだけだ」
「なるほどね~」
しばらくすると階段の上からピーターが声を掛けて来る。
「お~い、二人とも、飯が出来たぞ~」
「「はぁ~い」」
俺とパーカーが上の階に戻った。
そのまま食堂で飯を食う。
白いパンとコーンスープ、それと鳥の焼き物だった。
ほとんど塩のみの味付けである。
「不味い……」
「わがまま言いなさんな。この建屋は城の調理場から遠すぎるんだ。だから俺らは俺らの分だけ、ここで飯を作ってるんだからよ」
俺がコーンスープをスプーンでかき回しながら問う。
「これ、ピーターさんが作ったのか?」
「ここの警備は楽だから、飯は自分たちで作るんだ。お前さんの飯も俺らが作れって言われているんだぜ」
「なにそれ、罰ゲーム?」
「罰じゃあねえよ。俺たち三人は、この城に仕える貴族の息子だが、次男や三男ばかりなんだ」
「次男三男だと、なんでここなんだ?」
「俺たちの家は長男様が継ぎやがる。俺たちはスペアだ。でも、もう兄貴は成人していつでも家を継げるんだ。もう俺たちスペアが出る幕も無いってわけよ」
「意味が分からんな?」
「ガキのころは子供がいつ死ぬかわからないから、俺たちスペアも大切に育てられたが、大人になったら別ってわけよ。大人は戦争でもないと死なないからな」
「もう、スペアも用が無いってことか……」
「まあ、万が一ってこともあるだろうから、ここで待機ってことだ」
「貴族の次男も大変だな~」
「俺とパーカーはまだ次男だからチャンスは有るが、スパイダーは三男だから、ほぼほぼチャンスは無いんだ」
「そのスパイダーってヤツはどこだ?」
「今日は休みだから、出掛けていやがるよ」
「なるほどね~」
なんだ。貴族も大変なんだな。
たかが次男に産まれただけで、こんな端っこ扱いかよ。
よっぽと冒険者のほうが気楽でいいわ。
俺は飯を食い終わったので自室に戻った。
食器の後片付けはピーターがやってくれるらしい。
それが彼らの仕事だからだ。
なんとも律儀だね。
貴族も次男になると何でもしないとならないらしい。
彼らも丸くなったのだろう。
さて、俺は部屋に帰るとベッドに寝転んだ。
ベッドは魔法の腕輪を使ってベルセルクの爺さんに要求してやったぜ。
でも、ベルセルクの爺さん、すげー怒ってたな。
そんな詰まらない連絡で魔法の腕輪を使うなとか言ってたよ。
訳が分からんな?
まだ、五回も使えるじゃあないか。
まあ、いいや。
俺はベッドの上で胡座をかきながら、異次元宝物庫の中をチェックした。
食料と水は、一ヶ月分ほどある。
武器はショートソード、ロングソード、バトルアックス、ショートスピア、ダガー三本、ハチェット三個、ロングボウと矢が1000本近く。
防具はレザーアーマーが二着、ローブも二着、着替えも二着で、靴も二足用意した。
その他にランタンが三つに油は二週間分はあるだろう。
これだけの備えが有るのだ。
万が一にもダンジョン内で遭難しても、しばらくは安泰だろう。
まあ、迷子にならないように糸を垂らすつもりだ。
出入り口から糸を垂らして進む。
帰りはその糸を辿って帰れば、元の場所に戻ってこれるって言う戦法だ。
ミノタウロスの赤い糸ってヤツだぜ。
詳しい話しは知らんけど、ラノベで同じことをやってた主人公が居たからな。
その戦術を真似たのだ。
それにマップも作るつもりだ。
多分、これで大丈夫だろう。
俺ってば賢いな。
問題は、このダンジョン内に巣くうモンスターだ。
ワイズマンから聞いた話だと、ここで死んだ伝説級の勇者が冒険者を殺して居るって話じゃあねえか。
このダンジョン内で死んだら、このダンジョンに呪われて取り込まれる。
そのままダンジョンのモンスターになるとか。
その仕掛けが一番ヤバイ仕掛けだわな。
マジで伝説級の勇者様が居たら、流石に俺でもやばかろうて……。
その伝説級の勇者様に出合うよりも先に、ドラゴンの幽霊と出会えばいいだけだ。
まあ、どちらが先かは運任せだよな。
どちらにしても俺は奥に進むしかないってわけだ。
ああ、そうだった。
かなり前にレベルが上がってたよな。
バタバタしていてスッカリ忘れていたぜ。
たしかレベル16になったはずだ。
あれは魔女キルケのババァ~をぶった押した時だから、かなり前の話しだな。
スキルチェックだけでもしておかないと。
俺はステータス画面を開いて確認する。
あれ、新スキルは一つだけかよ。しょぽいな~。
ええ~っと、どれどれ~。
【ダッシュクラッシャー。すべての武器で、3メートルダッシュからの強打を放つ。それは攻撃力が2倍された一撃になる。一日に撃てる回数は、本人レベルの15起きに一回追加される】
おやや、当たりっぽいスキルかな。
攻撃スキルだからOKだよね。
しかも攻撃力が2倍じゃあないか。
何よりも火力アップは歓迎だ。
これから戦闘力メインのミッションだから心強いわな。
よし、これで今日は気分良く眠れそうだわ。
俺はランプの明かりを絞ってからベットに入った。
明日から閉鎖ダンジョンにチャレンジである。
兎に角、眠る。
とりあえずギャグが何も無かったから、屁をプリッとこいてから眠りにつこうと思う。
プリッ。
プリプリプリプリプリッ!
なに!?
屁が止まらねえ!?
プリプリプリプリプリッ!!
うそーーーん!?
プリプリプリプリプリッ!!
【つづく】
時刻はもう夜だ。
今はダンジョンの出入り口だと言われている鉄扉の前に立っている。
「へぇ~、これがダンジョンへの出入り口かぁ~」
俺の斜め後ろに控えて居たパーカーが話し出す。
「俺も扉すら開けたことがないんだわ。だからお前さんが本当に入るなら、多分俺たちも中を間近で見るのは初めてになるんだぜ。お前は本当に行くのか?」
「ああ、明日になったら入るつもりだ。そのための準備は終わっている」
「凄いな、冒険者ってヤツはさ。俺なら命令されても入りたくないぜ……」
やはり一般の兵士ならこんなものかと思った。
俺は鉄扉にある覗き窓から中を見てみる。
真っ暗な道が、真っ直ぐに続いていた。
「やっぱり、何も見えないな」
「中にはアンデットやらモンスターやらが、ウジャウジャいるらしいぞ」
「そいつらは、扉まで近付いて来ないのか?」
「出入り口周辺には、結界が張られているから、ここまでモンスターは近寄って来ないらしいぞ」
「へぇ~」
地上はセーフティーゾーンってわけか。
何かあったら、ここまで逃げて来たら安全ってわけね。
「俺たち警備兵もそうだが、この鉄扉は、こちら側から人が入らないようにしているだけだ」
「なるほどね~」
しばらくすると階段の上からピーターが声を掛けて来る。
「お~い、二人とも、飯が出来たぞ~」
「「はぁ~い」」
俺とパーカーが上の階に戻った。
そのまま食堂で飯を食う。
白いパンとコーンスープ、それと鳥の焼き物だった。
ほとんど塩のみの味付けである。
「不味い……」
「わがまま言いなさんな。この建屋は城の調理場から遠すぎるんだ。だから俺らは俺らの分だけ、ここで飯を作ってるんだからよ」
俺がコーンスープをスプーンでかき回しながら問う。
「これ、ピーターさんが作ったのか?」
「ここの警備は楽だから、飯は自分たちで作るんだ。お前さんの飯も俺らが作れって言われているんだぜ」
「なにそれ、罰ゲーム?」
「罰じゃあねえよ。俺たち三人は、この城に仕える貴族の息子だが、次男や三男ばかりなんだ」
「次男三男だと、なんでここなんだ?」
「俺たちの家は長男様が継ぎやがる。俺たちはスペアだ。でも、もう兄貴は成人していつでも家を継げるんだ。もう俺たちスペアが出る幕も無いってわけよ」
「意味が分からんな?」
「ガキのころは子供がいつ死ぬかわからないから、俺たちスペアも大切に育てられたが、大人になったら別ってわけよ。大人は戦争でもないと死なないからな」
「もう、スペアも用が無いってことか……」
「まあ、万が一ってこともあるだろうから、ここで待機ってことだ」
「貴族の次男も大変だな~」
「俺とパーカーはまだ次男だからチャンスは有るが、スパイダーは三男だから、ほぼほぼチャンスは無いんだ」
「そのスパイダーってヤツはどこだ?」
「今日は休みだから、出掛けていやがるよ」
「なるほどね~」
なんだ。貴族も大変なんだな。
たかが次男に産まれただけで、こんな端っこ扱いかよ。
よっぽと冒険者のほうが気楽でいいわ。
俺は飯を食い終わったので自室に戻った。
食器の後片付けはピーターがやってくれるらしい。
それが彼らの仕事だからだ。
なんとも律儀だね。
貴族も次男になると何でもしないとならないらしい。
彼らも丸くなったのだろう。
さて、俺は部屋に帰るとベッドに寝転んだ。
ベッドは魔法の腕輪を使ってベルセルクの爺さんに要求してやったぜ。
でも、ベルセルクの爺さん、すげー怒ってたな。
そんな詰まらない連絡で魔法の腕輪を使うなとか言ってたよ。
訳が分からんな?
まだ、五回も使えるじゃあないか。
まあ、いいや。
俺はベッドの上で胡座をかきながら、異次元宝物庫の中をチェックした。
食料と水は、一ヶ月分ほどある。
武器はショートソード、ロングソード、バトルアックス、ショートスピア、ダガー三本、ハチェット三個、ロングボウと矢が1000本近く。
防具はレザーアーマーが二着、ローブも二着、着替えも二着で、靴も二足用意した。
その他にランタンが三つに油は二週間分はあるだろう。
これだけの備えが有るのだ。
万が一にもダンジョン内で遭難しても、しばらくは安泰だろう。
まあ、迷子にならないように糸を垂らすつもりだ。
出入り口から糸を垂らして進む。
帰りはその糸を辿って帰れば、元の場所に戻ってこれるって言う戦法だ。
ミノタウロスの赤い糸ってヤツだぜ。
詳しい話しは知らんけど、ラノベで同じことをやってた主人公が居たからな。
その戦術を真似たのだ。
それにマップも作るつもりだ。
多分、これで大丈夫だろう。
俺ってば賢いな。
問題は、このダンジョン内に巣くうモンスターだ。
ワイズマンから聞いた話だと、ここで死んだ伝説級の勇者が冒険者を殺して居るって話じゃあねえか。
このダンジョン内で死んだら、このダンジョンに呪われて取り込まれる。
そのままダンジョンのモンスターになるとか。
その仕掛けが一番ヤバイ仕掛けだわな。
マジで伝説級の勇者様が居たら、流石に俺でもやばかろうて……。
その伝説級の勇者様に出合うよりも先に、ドラゴンの幽霊と出会えばいいだけだ。
まあ、どちらが先かは運任せだよな。
どちらにしても俺は奥に進むしかないってわけだ。
ああ、そうだった。
かなり前にレベルが上がってたよな。
バタバタしていてスッカリ忘れていたぜ。
たしかレベル16になったはずだ。
あれは魔女キルケのババァ~をぶった押した時だから、かなり前の話しだな。
スキルチェックだけでもしておかないと。
俺はステータス画面を開いて確認する。
あれ、新スキルは一つだけかよ。しょぽいな~。
ええ~っと、どれどれ~。
【ダッシュクラッシャー。すべての武器で、3メートルダッシュからの強打を放つ。それは攻撃力が2倍された一撃になる。一日に撃てる回数は、本人レベルの15起きに一回追加される】
おやや、当たりっぽいスキルかな。
攻撃スキルだからOKだよね。
しかも攻撃力が2倍じゃあないか。
何よりも火力アップは歓迎だ。
これから戦闘力メインのミッションだから心強いわな。
よし、これで今日は気分良く眠れそうだわ。
俺はランプの明かりを絞ってからベットに入った。
明日から閉鎖ダンジョンにチャレンジである。
兎に角、眠る。
とりあえずギャグが何も無かったから、屁をプリッとこいてから眠りにつこうと思う。
プリッ。
プリプリプリプリプリッ!
なに!?
屁が止まらねえ!?
プリプリプリプリプリッ!!
うそーーーん!?
プリプリプリプリプリッ!!
【つづく】
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