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第62話【猫ばば戦利品】

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俺が冒険者ギルドに山賊退治のミッション終了の報告を終えて、依頼料を貰ったのは夕暮れが沈み掛けている時間帯だった。

受付のお姉さんから、明日の昼過ぎに、また訪ねて来てくれと言われた。

どうやらギルマスが会いたいとのことらしい。

俺は次の依頼でも貰えるのかなっと思った。

そろそろこの辺で、冒険者らしい大冒険的な依頼が欲しいものである。

スリル溢れる大冒険の旅路の末に、ズバズバーっとモンスターをぶった押し、きらびやかな 財宝をゲットして、栄光に満ちたモテモテでウハウハなエロエロライフをエンジョぉぉおおおああががあったったっだあ!!!

持病の癪がぁぁあああ!!!

ちぃーきぃーしょーー!!!

最近このパターンが多いな、俺!!!

これもすべて糞女神の呪いのせいや!!!

もー、こっちが呪いたいぐらいだわ!

ぜえはー、ぜえはー……。

落ちついたら酒場で夕飯を食って帰ろっと……。

そして食後にスカル姉さんの診療所へ帰った俺は、山賊が残した荷物からガメたマジックアイテムを鑑定する。

わざわざ楽しみに取っておいたのだ。

何せ今回はレベルアップしなかったから新スキルのチェックはないのだ。

これが唯一の楽しみである。

まずはダガーから鑑定した。

見た目は普通のダガーだから、たいした期待はしていない。

詰まらない能力だったら売り飛ばそうかな。

どうせ盗品だし……。

いや、待てよ、盗品を質に入れたら足がつくかもしれないな。

ここは慎重に………って、俺は犯罪者か!?

いや、猫ばばしてるから犯罪者かな!?

うむー、こんな思いをするなら拾い物はすべてちゃんと交番に届けるべきだった。

俺って、案外と小心者だな……。

今ごろ気付いたよ。

でも、RPGのゲーム内で、人の家の家具やら何やらを漁り放題漁っている勇者様のド太い精神力が、俺には理解出来ないわ。

あれって、よくよく考えたら、ただの泥棒だもんな。

いやいや、よくよく考えなくったって犯罪だわ。

まあ、いいさ。

さて、ダガーの鑑定結果わっと──。

【タガー+1。投擲時の命中率向上】

よし、当たりだ!

俺はダガーを投擲武器として使うことが多いから、これは当たりと言えよう。

本当にラッキーだぜ。

猫ばばと言う重い重い罪を犯してまで手に入れたマジックアイテムなだけのことはあったぜ。

この罪は一日一善で返していくよ、神様!

でも、多分さ、三日坊主だろうけど。

さーて、続いて指輪の鑑定をしてみる。

指輪の外観はシンプルな銀の輪っかだ。

これといって装飾は無いシンプルな作りだった。

何処にでも売ってそうな安物である。

これが糞アイテムだったら売れそうだな。

足はつかんだろう。くっくっくっ。

そして、鑑定結果は──。

【ディフェンスリング+1。防御率の向上】

うむ、これも当たりかな。

なんでもいいから防御率が上がるは良いことだ。

でも、指輪って、どの指に嵌めるのが正解なのかな?

左手の薬指以外なら、どこでもいいのかな?

こう言う指輪が十個以上になったらどうしよう。

嵌めるとこ無いじゃんか。

十一個目は、ち○ぽかな?

まあ、それは先の問題だ。

いま、考えてもしゃーないか。

とりあえず左手の人差し指に嵌めてみた。

最初はぶかぶかだったけど、嵌めてみたら丁度良いサイズに輪が縮む。

へー、これもマジックアイテム特有の能力なのかな?

縮むのなら、尚更ち○ぽに……。

この話で呪いが発動しないってことは、これはエロイ話じゃあなくって、ただの下品な話なのね。

ちょっと反省……。

まあ、いいや。

さてさて、続いては魔法のスクロールを二枚見付けている。

これを見てみよう。

一枚目は──。

【魔法サモンキャット。可愛い猫を一日に一回、使い魔として召喚できる。効果時間は12時間。好きなだけ愛でれば良い】

ん~~。

これはネタかな?

最後の一文は要らんよね?

まあ、使い魔として召喚するらしいから、魔法使いには何らかの意味が有るのかな?

今度ゾディアックさんに会ったら訊いてみるか。

あの人なら訊けば自慢げに、幾らでも無料で講義してくれるだろうさ。

さてさて、二枚目の魔法のスクロールを鑑定するぞ。

内容は──。

【魔法フォーカスアイ。攻撃命中率向上。一日に術者のレベルの5おきに一回使える。効果時間は30分間】

おお!

エンチャント魔法だな!

当たりだぜ、やっほーい!

確かこの魔法は主級リバーボアと戦った時にスバルちゃんが掛けてくれた魔法の一つだよね。

そう言えば俺もディフェンスアーマーって言うエンチャントを持ってたっけな。

えっと、ステータス画面で確認して見るか──。

【魔法ディフェンスアーマー。防具強度向上。一日に術者のレベルの5おきに一回使える。効果時間は30分間】

これこれ、これだよ。

今度から戦闘になったらフォーカスアイと一緒に唱えようかな。

せっかくあるエンチャント魔法だもんね。

使わなければ、損だよな。

でも、一人でゲームしててもそうだったけれど、結構エンチャント魔法ってさ、戦闘が始まると忘れちゃうんだよね。

パーティープレイのバッファー専門職とかなら別だけどさ。

まあ、出来るだけ掛ける方向で忘れないように心掛けよう。

俺は二枚のスクロールを使って魔法を取得する。

スクロールはいつものように灰に変わった。

さて、ご褒美鑑定タイムはこれで終わりかな。

今回は当たりが多かったよね。

満足満足~。

実用品が多くて、ある意味では助かったかな。

ふぁ~~ん……。

何だか眠くなって来た……。

よし、とりあえず明日に備えて寝るかな。

明日はギルマスに昼ごろ呼ばれているから、それまではゆっくりできるはずだ。

今晩は良い夢を見るぞっと。

そして眠った俺は、とんでもない胸の痛みで跳ね起きた。

「な、なんだ……。とても爽やかで幸福感に溢れた素晴らしい夢を見ていた気がしたんだが、危うく死ぬところだったぞ……」

どうやら夢の中でもエロイことは禁止らしい。

なんてことだ!!

糞女神の呪いは、夢の中でも有効らしいぞ。

これでは、寝ても覚めても地獄である。

せめて、いい夢ぐらい見させてくれよ……。


【つづく】
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