上 下
62 / 604

第62話【猫ばば戦利品】

しおりを挟む
俺が冒険者ギルドに山賊退治のミッション終了の報告を終えて、依頼料を貰ったのは夕暮れが沈み掛けている時間帯だった。

受付のお姉さんから、明日の昼過ぎに、また訪ねて来てくれと言われた。

どうやらギルマスが会いたいとのことらしい。

俺は次の依頼でも貰えるのかなっと思った。

そろそろこの辺で、冒険者らしい大冒険的な依頼が欲しいものである。

スリル溢れる大冒険の旅路の末に、ズバズバーっとモンスターをぶった押し、きらびやかな 財宝をゲットして、栄光に満ちたモテモテでウハウハなエロエロライフをエンジョぉぉおおおああががあったったっだあ!!!

持病の癪がぁぁあああ!!!

ちぃーきぃーしょーー!!!

最近このパターンが多いな、俺!!!

これもすべて糞女神の呪いのせいや!!!

もー、こっちが呪いたいぐらいだわ!

ぜえはー、ぜえはー……。

落ちついたら酒場で夕飯を食って帰ろっと……。

そして食後にスカル姉さんの診療所へ帰った俺は、山賊が残した荷物からガメたマジックアイテムを鑑定する。

わざわざ楽しみに取っておいたのだ。

何せ今回はレベルアップしなかったから新スキルのチェックはないのだ。

これが唯一の楽しみである。

まずはダガーから鑑定した。

見た目は普通のダガーだから、たいした期待はしていない。

詰まらない能力だったら売り飛ばそうかな。

どうせ盗品だし……。

いや、待てよ、盗品を質に入れたら足がつくかもしれないな。

ここは慎重に………って、俺は犯罪者か!?

いや、猫ばばしてるから犯罪者かな!?

うむー、こんな思いをするなら拾い物はすべてちゃんと交番に届けるべきだった。

俺って、案外と小心者だな……。

今ごろ気付いたよ。

でも、RPGのゲーム内で、人の家の家具やら何やらを漁り放題漁っている勇者様のド太い精神力が、俺には理解出来ないわ。

あれって、よくよく考えたら、ただの泥棒だもんな。

いやいや、よくよく考えなくったって犯罪だわ。

まあ、いいさ。

さて、ダガーの鑑定結果わっと──。

【タガー+1。投擲時の命中率向上】

よし、当たりだ!

俺はダガーを投擲武器として使うことが多いから、これは当たりと言えよう。

本当にラッキーだぜ。

猫ばばと言う重い重い罪を犯してまで手に入れたマジックアイテムなだけのことはあったぜ。

この罪は一日一善で返していくよ、神様!

でも、多分さ、三日坊主だろうけど。

さーて、続いて指輪の鑑定をしてみる。

指輪の外観はシンプルな銀の輪っかだ。

これといって装飾は無いシンプルな作りだった。

何処にでも売ってそうな安物である。

これが糞アイテムだったら売れそうだな。

足はつかんだろう。くっくっくっ。

そして、鑑定結果は──。

【ディフェンスリング+1。防御率の向上】

うむ、これも当たりかな。

なんでもいいから防御率が上がるは良いことだ。

でも、指輪って、どの指に嵌めるのが正解なのかな?

左手の薬指以外なら、どこでもいいのかな?

こう言う指輪が十個以上になったらどうしよう。

嵌めるとこ無いじゃんか。

十一個目は、ち○ぽかな?

まあ、それは先の問題だ。

いま、考えてもしゃーないか。

とりあえず左手の人差し指に嵌めてみた。

最初はぶかぶかだったけど、嵌めてみたら丁度良いサイズに輪が縮む。

へー、これもマジックアイテム特有の能力なのかな?

縮むのなら、尚更ち○ぽに……。

この話で呪いが発動しないってことは、これはエロイ話じゃあなくって、ただの下品な話なのね。

ちょっと反省……。

まあ、いいや。

さてさて、続いては魔法のスクロールを二枚見付けている。

これを見てみよう。

一枚目は──。

【魔法サモンキャット。可愛い猫を一日に一回、使い魔として召喚できる。効果時間は12時間。好きなだけ愛でれば良い】

ん~~。

これはネタかな?

最後の一文は要らんよね?

まあ、使い魔として召喚するらしいから、魔法使いには何らかの意味が有るのかな?

今度ゾディアックさんに会ったら訊いてみるか。

あの人なら訊けば自慢げに、幾らでも無料で講義してくれるだろうさ。

さてさて、二枚目の魔法のスクロールを鑑定するぞ。

内容は──。

【魔法フォーカスアイ。攻撃命中率向上。一日に術者のレベルの5おきに一回使える。効果時間は30分間】

おお!

エンチャント魔法だな!

当たりだぜ、やっほーい!

確かこの魔法は主級リバーボアと戦った時にスバルちゃんが掛けてくれた魔法の一つだよね。

そう言えば俺もディフェンスアーマーって言うエンチャントを持ってたっけな。

えっと、ステータス画面で確認して見るか──。

【魔法ディフェンスアーマー。防具強度向上。一日に術者のレベルの5おきに一回使える。効果時間は30分間】

これこれ、これだよ。

今度から戦闘になったらフォーカスアイと一緒に唱えようかな。

せっかくあるエンチャント魔法だもんね。

使わなければ、損だよな。

でも、一人でゲームしててもそうだったけれど、結構エンチャント魔法ってさ、戦闘が始まると忘れちゃうんだよね。

パーティープレイのバッファー専門職とかなら別だけどさ。

まあ、出来るだけ掛ける方向で忘れないように心掛けよう。

俺は二枚のスクロールを使って魔法を取得する。

スクロールはいつものように灰に変わった。

さて、ご褒美鑑定タイムはこれで終わりかな。

今回は当たりが多かったよね。

満足満足~。

実用品が多くて、ある意味では助かったかな。

ふぁ~~ん……。

何だか眠くなって来た……。

よし、とりあえず明日に備えて寝るかな。

明日はギルマスに昼ごろ呼ばれているから、それまではゆっくりできるはずだ。

今晩は良い夢を見るぞっと。

そして眠った俺は、とんでもない胸の痛みで跳ね起きた。

「な、なんだ……。とても爽やかで幸福感に溢れた素晴らしい夢を見ていた気がしたんだが、危うく死ぬところだったぞ……」

どうやら夢の中でもエロイことは禁止らしい。

なんてことだ!!

糞女神の呪いは、夢の中でも有効らしいぞ。

これでは、寝ても覚めても地獄である。

せめて、いい夢ぐらい見させてくれよ……。


【つづく】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...