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第39話【交渉心理戦】
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「じゃあ、今度は商売の話を始めようか、アスラン君」
ゾディアックさんが話を切り替えた。
これから商売の話しになるようだ。
だが───。
ちょっと納得が行かないんだよね。
なんで急にこの人が、俺に噛み付くような発言と態度を見せたのか?
違和感があるんだよね~。
そこを突っ込んでみようと思う。
「ゾディアックさん、商売の話の前に、俺からも質問していいですか?」
言いながら俺はフードを深く被って視線を隠した。
雰囲気作りである。
「な、なにかね?」
うし、少しどもったぞ。
それに乗ってきやがった。
ここからは心理戦だ!
「ゾディアックさんって、スカル姉さんと知り合いなんですよね」
「ああ、そ、そうだけど……」
分かりやせー!
コイツ分かりやすいぞ!
「じゃあ、どう言う間柄なんですか?」
「ん、ん~……」
考えてやがる。
言葉を選んでやがるぞ。
迂闊な表現は出来ないってか。
「僕も引退したんだが、昔は冒険者でね。そのころ、よくさ、ドクトル・スカルとはパーティーを組んだ仲なんだよ」
なにコイツ、強がってるの?
口調に虚勢がはっきりくっきりばっちりモッコリと出てやがるぞ。
ああ、モッコリはよけいか。
「よく組んだ?」
「ああ、良くね……」
「毎回ではなく、よく、ですか?」
「ああ……。よく……だ……」
「レギュラーパーティーじゃなくて?」
「ああぁ……、うん……」
ゾディアックさんは、弱気に俯いた。
ウィーーーーークポイントを
発見!!!
コイツ絶対にスカル姉さんに惚れてやがるぞ!!
間違いない!!
コイツは小学生かよ!
何を初に照れてやがるんだ!
てか、これはコイツが自分を好いていることをスカル姉さんも気付いてないパターンだな!
ラブコメかよ!
三流のラブコメパターンだわ!!
これは使えるぞ。
これで商売が有利に進められる。
分かったぞ!
それで俺に噛みついていたんだ。
スカル姉さんのところに転がり込んだ間男と勘違いしてさ。
納得だぜ。合点が行ったぜ。
ならば商売の話に入ろうか!
武器は揃った!
時は来たりだ!
「じゃあ、そろそろ本題に入りますか。今回見て貰いたいのは、この杖です」
俺主導で話を進めてやるぞ!
「どれどれ、ちょっといいかな。鑑定魔法を掛けさせてもらうから」
「はい」
何?
鑑定魔法だと?
俺はスキルだぞ。鑑定魔法も有るのか。
「なるほどね【ムーンワンド+1。月夜の晩に魔力大向上】とは珍しい効果だね」
「やっぱり珍しいのですか?」
案外とレアなのか?
「ねえ、アスラン君。これをゴブリン退治後に発見したんだね?」
「ああ、ゴブリンシャーマンが装備していたやつだ」
ゾディアックさんは自分の顎を摘まみながら考え込んでから話した。
「他にもウルフファングネックレスも拾っているんだよね?」
「ああ、そうだけど」
「んんー……」
なんだ?
ちょっと予想とは違う展開だぞ?
買い取るか買い取らないかの話しじゃあないんかい?
「他には何かマジックアイテムを拾っているかい?」
ここはある程度は正直に話そう。
何か新情報か、勉強になることが聞けそうだ。
「あとはファイヤーシャードのスクロールと、ホブゴブリンから【バトルアックス+1。装備者のみ、この斧の重量軽減効果】をゲットしています」
「ほ、本当かい!?」
うわ、目を剥いて驚いちゃってるわ。
なんでなの?
「それだけの数のマジックアイテムやスクロールを一度の冒険で見付けるなんて、幸運だよ。いいや強運と言えるよ」
あー、なるほどね。
本来ならば、そんなに落ちないのね。マジックアイテムが。
これも【ハクスラスキル】の影響ってわけかな。
「そうなんですか、俺ってばラッキーだったんですね」
言ってみてから自分でも、わざとらしいと思った。
「ああ、これは例えゴブリンシャーマンやホブゴブリンが居る群れでも、なかなか無いほどの戦利品だね」
「ハハハ、ソウナンデスカ」
やべ、棒読みになった!
「出来たらバトルアックスもちゃんと鑑定したいのだが、見せてもらってもいいかな?」
「今日は持ち歩いていません」
「え、それで大丈夫なの。ちゃんと防犯が行き届いている場所で保管しているのかい?」
「はい、安心してください」
「出来る限り貴重品は、安全な場所に隠すか、肌身離さず持ち歩いていたほうが安全だよ。特にマジックアイテムの武具はね」
「はい、分かっています」
俺は笑顔で返した。
がぁ─────。
嘘です!
やべー、盗まれるとか考えてなかったわ!
普段は邪魔くさいと思ってベットの横に何気無く立て掛けてあるよ!
日本の田舎だと、盗難とか無いからな!
家の鍵とか開けっぱなしだもの。
「それにしても、凄いな。これだけの戦利品だと、ダークエルフたちや、かなりレベルの高いモンスターを倒さないと出てこない貴重な一品ばかりだよ」
「俺、ラッキーですね」
ここで【ハクスラスキル】の凄さを知ったぜ。
戦えばマジックアイテムが必ずゲットできていたから、これが普通かと思っていた。
「で、その杖は幾らで買い取ってくれるんですか?」
ゾディアックさんは即答だった。
「10000Gで、とうだろうか?」
なぁーーーーにぃーーーーーー!!!
うっそぉ~~~ん!!
予想外な金額が出ましたよ!
お馬さんが一括払いで買えるやんか!!
「マジですか……?」
「ああ、魔法使いはマナの高い時間帯の夜に儀式やスクロール制作をするから、この杖はかなり重宝すると思うんだ。何せ魔力大向上だからね。とても期待ができる」
「なるほど」
って、クールに振る舞ってますが心臓バクバクですよ!
だって金額が凄いもの!
これならゾディアックさんの弱みを突くとか突かないとか、なぁ~~にも関係ないじゃんか!
でも~、ボクチンは欲張りですよ~。
「でも、それは叩きすぎじゃあないですか。俺の見立てだと、15000Gは下らないと思っていたんですが」
はい、駄目元で吹っ掛けて見ました!
いけるかな?
「だよね……」
えーー!
いけるの!?
考えているよ!
正解ですか!?
欲張って正解なのですか!?
「じゃあ、11000Gでどうだろうか?」
「14000Gです」
「12000Gだ!」
「13000Gです。これ以上は負かりませんな」
「分かった、では間を取って、12500Gでどうだろう!」
「ゾディアックさん、こう言う提案は、どうですか?」
「なにかね?」
「先程、魔法のスクロールを作っているとか言いましたよね?」
「ああ、魔法使いギルドだからね。当然作っているよ」
「では、12500Gプラスに、スクロールを数枚分けて貰えませんか?」
「なるほど。ならば12500Gと下級スクロール三枚でどうだろうか?」
「五枚で」
「分かった、五枚だそう!」
「それで、手打ちです」
「交渉成立だね!」
やった!
予想外のボロ儲けである!
本当に俺ってばラッキーじゃんか!!
【つづく】
ゾディアックさんが話を切り替えた。
これから商売の話しになるようだ。
だが───。
ちょっと納得が行かないんだよね。
なんで急にこの人が、俺に噛み付くような発言と態度を見せたのか?
違和感があるんだよね~。
そこを突っ込んでみようと思う。
「ゾディアックさん、商売の話の前に、俺からも質問していいですか?」
言いながら俺はフードを深く被って視線を隠した。
雰囲気作りである。
「な、なにかね?」
うし、少しどもったぞ。
それに乗ってきやがった。
ここからは心理戦だ!
「ゾディアックさんって、スカル姉さんと知り合いなんですよね」
「ああ、そ、そうだけど……」
分かりやせー!
コイツ分かりやすいぞ!
「じゃあ、どう言う間柄なんですか?」
「ん、ん~……」
考えてやがる。
言葉を選んでやがるぞ。
迂闊な表現は出来ないってか。
「僕も引退したんだが、昔は冒険者でね。そのころ、よくさ、ドクトル・スカルとはパーティーを組んだ仲なんだよ」
なにコイツ、強がってるの?
口調に虚勢がはっきりくっきりばっちりモッコリと出てやがるぞ。
ああ、モッコリはよけいか。
「よく組んだ?」
「ああ、良くね……」
「毎回ではなく、よく、ですか?」
「ああ……。よく……だ……」
「レギュラーパーティーじゃなくて?」
「ああぁ……、うん……」
ゾディアックさんは、弱気に俯いた。
ウィーーーーークポイントを
発見!!!
コイツ絶対にスカル姉さんに惚れてやがるぞ!!
間違いない!!
コイツは小学生かよ!
何を初に照れてやがるんだ!
てか、これはコイツが自分を好いていることをスカル姉さんも気付いてないパターンだな!
ラブコメかよ!
三流のラブコメパターンだわ!!
これは使えるぞ。
これで商売が有利に進められる。
分かったぞ!
それで俺に噛みついていたんだ。
スカル姉さんのところに転がり込んだ間男と勘違いしてさ。
納得だぜ。合点が行ったぜ。
ならば商売の話に入ろうか!
武器は揃った!
時は来たりだ!
「じゃあ、そろそろ本題に入りますか。今回見て貰いたいのは、この杖です」
俺主導で話を進めてやるぞ!
「どれどれ、ちょっといいかな。鑑定魔法を掛けさせてもらうから」
「はい」
何?
鑑定魔法だと?
俺はスキルだぞ。鑑定魔法も有るのか。
「なるほどね【ムーンワンド+1。月夜の晩に魔力大向上】とは珍しい効果だね」
「やっぱり珍しいのですか?」
案外とレアなのか?
「ねえ、アスラン君。これをゴブリン退治後に発見したんだね?」
「ああ、ゴブリンシャーマンが装備していたやつだ」
ゾディアックさんは自分の顎を摘まみながら考え込んでから話した。
「他にもウルフファングネックレスも拾っているんだよね?」
「ああ、そうだけど」
「んんー……」
なんだ?
ちょっと予想とは違う展開だぞ?
買い取るか買い取らないかの話しじゃあないんかい?
「他には何かマジックアイテムを拾っているかい?」
ここはある程度は正直に話そう。
何か新情報か、勉強になることが聞けそうだ。
「あとはファイヤーシャードのスクロールと、ホブゴブリンから【バトルアックス+1。装備者のみ、この斧の重量軽減効果】をゲットしています」
「ほ、本当かい!?」
うわ、目を剥いて驚いちゃってるわ。
なんでなの?
「それだけの数のマジックアイテムやスクロールを一度の冒険で見付けるなんて、幸運だよ。いいや強運と言えるよ」
あー、なるほどね。
本来ならば、そんなに落ちないのね。マジックアイテムが。
これも【ハクスラスキル】の影響ってわけかな。
「そうなんですか、俺ってばラッキーだったんですね」
言ってみてから自分でも、わざとらしいと思った。
「ああ、これは例えゴブリンシャーマンやホブゴブリンが居る群れでも、なかなか無いほどの戦利品だね」
「ハハハ、ソウナンデスカ」
やべ、棒読みになった!
「出来たらバトルアックスもちゃんと鑑定したいのだが、見せてもらってもいいかな?」
「今日は持ち歩いていません」
「え、それで大丈夫なの。ちゃんと防犯が行き届いている場所で保管しているのかい?」
「はい、安心してください」
「出来る限り貴重品は、安全な場所に隠すか、肌身離さず持ち歩いていたほうが安全だよ。特にマジックアイテムの武具はね」
「はい、分かっています」
俺は笑顔で返した。
がぁ─────。
嘘です!
やべー、盗まれるとか考えてなかったわ!
普段は邪魔くさいと思ってベットの横に何気無く立て掛けてあるよ!
日本の田舎だと、盗難とか無いからな!
家の鍵とか開けっぱなしだもの。
「それにしても、凄いな。これだけの戦利品だと、ダークエルフたちや、かなりレベルの高いモンスターを倒さないと出てこない貴重な一品ばかりだよ」
「俺、ラッキーですね」
ここで【ハクスラスキル】の凄さを知ったぜ。
戦えばマジックアイテムが必ずゲットできていたから、これが普通かと思っていた。
「で、その杖は幾らで買い取ってくれるんですか?」
ゾディアックさんは即答だった。
「10000Gで、とうだろうか?」
なぁーーーーにぃーーーーーー!!!
うっそぉ~~~ん!!
予想外な金額が出ましたよ!
お馬さんが一括払いで買えるやんか!!
「マジですか……?」
「ああ、魔法使いはマナの高い時間帯の夜に儀式やスクロール制作をするから、この杖はかなり重宝すると思うんだ。何せ魔力大向上だからね。とても期待ができる」
「なるほど」
って、クールに振る舞ってますが心臓バクバクですよ!
だって金額が凄いもの!
これならゾディアックさんの弱みを突くとか突かないとか、なぁ~~にも関係ないじゃんか!
でも~、ボクチンは欲張りですよ~。
「でも、それは叩きすぎじゃあないですか。俺の見立てだと、15000Gは下らないと思っていたんですが」
はい、駄目元で吹っ掛けて見ました!
いけるかな?
「だよね……」
えーー!
いけるの!?
考えているよ!
正解ですか!?
欲張って正解なのですか!?
「じゃあ、11000Gでどうだろうか?」
「14000Gです」
「12000Gだ!」
「13000Gです。これ以上は負かりませんな」
「分かった、では間を取って、12500Gでどうだろう!」
「ゾディアックさん、こう言う提案は、どうですか?」
「なにかね?」
「先程、魔法のスクロールを作っているとか言いましたよね?」
「ああ、魔法使いギルドだからね。当然作っているよ」
「では、12500Gプラスに、スクロールを数枚分けて貰えませんか?」
「なるほど。ならば12500Gと下級スクロール三枚でどうだろうか?」
「五枚で」
「分かった、五枚だそう!」
「それで、手打ちです」
「交渉成立だね!」
やった!
予想外のボロ儲けである!
本当に俺ってばラッキーじゃんか!!
【つづく】
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