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【第十六章】死海エリアのクラーケン編。
16-3【ゴメス】
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凶介と別れた俺はソドムタウンに戻って来ていた。
そろそろ魔法使いギルドが開店する時間だろう。
俺はファイアーブレスの魔法書を求めて魔法使いギルドに向かっていた。
ストレスはたっぷり眠ったので癒された。
食欲はヒルダが作ってくれた朝食で満たされた。
金欲は凶介がもたらしたスコップ情報で満たされた。
性欲は……、呪いのせいで満たされない。
残るは憤怒と嫉妬を満たすのみだ。
ファイアーブレスの魔法書を手に入れて、俺を笑った全員の頭を燃やしてやるぞ!!
あー、でも~……。
女性たちの髪の毛を燃やすのは、流石にやり過ぎかな~。
しかし、スバルちゃんはともかくスカル姉さんやユキちゃんは許されないよな。
髪の毛を燃やす以外の仕返しを考えなくてはなるまい。
乳を揉んでやろうか。いや、それよりも……。
あ、そうだ。
ゴリって元々ハゲだよな。あいつに対しての仕返しはどうしたものか……。
まあ、それは追々考えるとしてだ。
まずは、ファイアーブレスの魔法書だ。
ファイアーブレスの魔法書を買ったらバイマンとオアイドスの髪の毛は全部燃やしてやるぞ。
そして、怒りと恨みに燃える俺は魔法使いギルドに到着した。
「よし、開店しているな」
俺が魔法使いギルドの塔に入って行くと、一階ロビーで店員さんが元気良く挨拶をしてきた。
「いらっしゃいませ~」
明るくて笑顔が素敵な女性だ。
黒いローブに魔法のスタッフを持っている魔法使いルックの女性店員だった。
ちょくちょく見る店員だが名前までは知らないし、美人ではあるがモブ感が強い女性店員である。
その女性店員に俺は近付くと目的の物が売っているか確認してみた。
「すみませんが、ファイアーブレスのスクロールは売ってませんか?」
「はい、在庫なら在るはずです。ただいま取って参りましょうか?」
「ああ、頼む」
「畏まりました。少々お待ちくださいませ」
「あいよ」
女性店員は一礼すると奥の扉に入って行った。なんとも礼儀正しい店員さんだろう。
「さてと──」
俺は待っている間に店内を見て回る。
ショーケースの中には色々なマジックアイテムが並んでいた。
全部売り物なのだろうが、武具はほとんどプラス1か2ばかりだ。
プラス3以上のマジックアイテムは一つも無い。
「まあ、一般に売られている物ならこんなものか……」
ゴモラタウンのグレースママの店と比べればショボイ感じがした。
だが、一点だけ俺の目を引いたマジックアイテムがあった。
いや、これはマジックアイテムじゃあないぞ。
「こ、これは……」
それはショーケースの中に入っておらず、檻の中に入っていた。
檻は小さい。
人の頭が二つ並んで入るぐらいのサイズで、テーブルの上に置かれていた。
その檻の中には、モフモフしたロン毛の変な生命体が入っている。
否、生き物かどうかも分からない。
それはまるで生きたカツラだった。
タコかヒトデのようにゆっくりと動いている。
檻には値札が下がっていて、値段の他に名前も書いてあった。
「魔法生物、ヘアーグレムリン……」
このズラ状の生き物がグレムリン?
グレムリンとはインプと違う小悪魔だ。
俺が知っているグレムリンと言えば映画のグレムリンだろう。
クリスマスにプレゼントされた小悪魔が増殖して大暴れするストーリーの映画である。
振るい文献だと、世界大戦時代に飛行機や戦車などに取り付いてトラブルを起こすとされる、まだ新しい種類の小悪魔だ。
最近だとコンピューターに取り付いて株式操作でゴミ投資を勝手にやらかしたり、銀行預金でアダルトグッツを勝手に通販で100ダース買ったりと、とんでもないことをやらかす小悪魔として名が知れている。
まあ、この世界には、コンピューターや通販どころか、まともな機械すら無いから雑魚い小悪魔だな。
しかもヘアーって何さ?
グレムリンもインプもあまり外見は変わらない小悪魔のはずだ。
だが、こいつは髪の毛のような身体をしていやがる。
なんか、キモイ……。
俺が檻に顔を近付けて眺めていると、後ろから店員に声を掛けられた。
「お待たせしました、お客様。こちらがファイアーブレスのスクロールでございます」
俺は振り返ると差し出されたスクロールを受け取った。
そして、代金を払う。
「ありがとうございました」
頭を下げた店員さんに、俺は檻を指差しながら訊いてみた。
「なあ、このヘアーグレムリンって、なんに使うんだ?」
店員さんが答える。
「こちらは主に使い魔として契約されるお客様が多いです」
「使い魔って、普通はカラスとか黒猫とかじゃあないのか?」
「魔法使いには変わり者も多いですからね。好んで小悪魔と使い魔の契約を結ぶ方も少なくありませんよ」
「へぇ~」
俺の視線がもう一度ヘアーグレムリンに移った。
すると店員さんが俺のハゲ頭を一瞥してから述べる。
「このヘアーグレムリンは、特に髪の毛が薄くなってきた男性魔法使いのお客様に人気となっています」
「なにっ!!」
やはりか!?
やはり頭に乗せるのか!?
この小悪魔と使い魔の契約を結んで、ズラとして使うんだな!!
「どうやって使い魔にするんだ?」
「ファミリアと言う初級魔法で契約できます。魔法使いなら属性に関係無く習得できる魔法ですわ」
「そ、そのファミリアって魔法のスクロールは売ってるのかい?」
「はい、ございます」
俺は檻にぶら下がった値札を摘まんで値段を見た。
「10000Gだと!?」
「はい」
「こんなズラ系小悪魔が10000Gもするのか!?」
「はい、一部ファンには大変人気な小悪魔ですから」
「なんでファンが多い!?」
「町でウィックを買えば、上質ならば同じだけの値段がします。ですがヘアーグレムリンは魔法使い特権がついてきますからね」
「特権っとは?」
「まず、使い魔なのでペット同然。人によっては家族同然ですね」
「それが特権なのかよ?」
「何より生きてますから呼べば寄って来ます。風で飛ばされても戻って来ますし、部屋で無くしても呼べば姿を表します。失くす心配がありません」
「なるほど……」
紛失防止効果があるんだな。それは便利な機能だぜ。
「でえ、こいつらの餌は何だ?」
「使い魔なので人間の魔力を少し吸い取ります。ですが健康な人なら問題無い量です」
「髪型はどうする。散髪が必要なのか?」
「ファミリアとして契約すれば、主人のイメージ通りの髪型や色に変化します。ただし長髪に関しては主人の身長の半分程度の長さにしかなりませんが」
「洗濯はどうする?」
「水洗いです」
「寿命は?」
「長ければ100年以上生きるとか」
んん~……。
少し悩むな……。
「もう少し負からない?」
「負かりません……」
ケチいな~。
「ですが、今なら即金でお買い上げするならば、サービスでファミリアのスクロールを一本お付けいたしますわ」
「それはお得だな。よし、買った!!」
こうして俺に新しい仲間が加わった。
名前はなんにしようかな~。
ゴメスだ!
ゴメスに決めたぜ!!
そろそろ魔法使いギルドが開店する時間だろう。
俺はファイアーブレスの魔法書を求めて魔法使いギルドに向かっていた。
ストレスはたっぷり眠ったので癒された。
食欲はヒルダが作ってくれた朝食で満たされた。
金欲は凶介がもたらしたスコップ情報で満たされた。
性欲は……、呪いのせいで満たされない。
残るは憤怒と嫉妬を満たすのみだ。
ファイアーブレスの魔法書を手に入れて、俺を笑った全員の頭を燃やしてやるぞ!!
あー、でも~……。
女性たちの髪の毛を燃やすのは、流石にやり過ぎかな~。
しかし、スバルちゃんはともかくスカル姉さんやユキちゃんは許されないよな。
髪の毛を燃やす以外の仕返しを考えなくてはなるまい。
乳を揉んでやろうか。いや、それよりも……。
あ、そうだ。
ゴリって元々ハゲだよな。あいつに対しての仕返しはどうしたものか……。
まあ、それは追々考えるとしてだ。
まずは、ファイアーブレスの魔法書だ。
ファイアーブレスの魔法書を買ったらバイマンとオアイドスの髪の毛は全部燃やしてやるぞ。
そして、怒りと恨みに燃える俺は魔法使いギルドに到着した。
「よし、開店しているな」
俺が魔法使いギルドの塔に入って行くと、一階ロビーで店員さんが元気良く挨拶をしてきた。
「いらっしゃいませ~」
明るくて笑顔が素敵な女性だ。
黒いローブに魔法のスタッフを持っている魔法使いルックの女性店員だった。
ちょくちょく見る店員だが名前までは知らないし、美人ではあるがモブ感が強い女性店員である。
その女性店員に俺は近付くと目的の物が売っているか確認してみた。
「すみませんが、ファイアーブレスのスクロールは売ってませんか?」
「はい、在庫なら在るはずです。ただいま取って参りましょうか?」
「ああ、頼む」
「畏まりました。少々お待ちくださいませ」
「あいよ」
女性店員は一礼すると奥の扉に入って行った。なんとも礼儀正しい店員さんだろう。
「さてと──」
俺は待っている間に店内を見て回る。
ショーケースの中には色々なマジックアイテムが並んでいた。
全部売り物なのだろうが、武具はほとんどプラス1か2ばかりだ。
プラス3以上のマジックアイテムは一つも無い。
「まあ、一般に売られている物ならこんなものか……」
ゴモラタウンのグレースママの店と比べればショボイ感じがした。
だが、一点だけ俺の目を引いたマジックアイテムがあった。
いや、これはマジックアイテムじゃあないぞ。
「こ、これは……」
それはショーケースの中に入っておらず、檻の中に入っていた。
檻は小さい。
人の頭が二つ並んで入るぐらいのサイズで、テーブルの上に置かれていた。
その檻の中には、モフモフしたロン毛の変な生命体が入っている。
否、生き物かどうかも分からない。
それはまるで生きたカツラだった。
タコかヒトデのようにゆっくりと動いている。
檻には値札が下がっていて、値段の他に名前も書いてあった。
「魔法生物、ヘアーグレムリン……」
このズラ状の生き物がグレムリン?
グレムリンとはインプと違う小悪魔だ。
俺が知っているグレムリンと言えば映画のグレムリンだろう。
クリスマスにプレゼントされた小悪魔が増殖して大暴れするストーリーの映画である。
振るい文献だと、世界大戦時代に飛行機や戦車などに取り付いてトラブルを起こすとされる、まだ新しい種類の小悪魔だ。
最近だとコンピューターに取り付いて株式操作でゴミ投資を勝手にやらかしたり、銀行預金でアダルトグッツを勝手に通販で100ダース買ったりと、とんでもないことをやらかす小悪魔として名が知れている。
まあ、この世界には、コンピューターや通販どころか、まともな機械すら無いから雑魚い小悪魔だな。
しかもヘアーって何さ?
グレムリンもインプもあまり外見は変わらない小悪魔のはずだ。
だが、こいつは髪の毛のような身体をしていやがる。
なんか、キモイ……。
俺が檻に顔を近付けて眺めていると、後ろから店員に声を掛けられた。
「お待たせしました、お客様。こちらがファイアーブレスのスクロールでございます」
俺は振り返ると差し出されたスクロールを受け取った。
そして、代金を払う。
「ありがとうございました」
頭を下げた店員さんに、俺は檻を指差しながら訊いてみた。
「なあ、このヘアーグレムリンって、なんに使うんだ?」
店員さんが答える。
「こちらは主に使い魔として契約されるお客様が多いです」
「使い魔って、普通はカラスとか黒猫とかじゃあないのか?」
「魔法使いには変わり者も多いですからね。好んで小悪魔と使い魔の契約を結ぶ方も少なくありませんよ」
「へぇ~」
俺の視線がもう一度ヘアーグレムリンに移った。
すると店員さんが俺のハゲ頭を一瞥してから述べる。
「このヘアーグレムリンは、特に髪の毛が薄くなってきた男性魔法使いのお客様に人気となっています」
「なにっ!!」
やはりか!?
やはり頭に乗せるのか!?
この小悪魔と使い魔の契約を結んで、ズラとして使うんだな!!
「どうやって使い魔にするんだ?」
「ファミリアと言う初級魔法で契約できます。魔法使いなら属性に関係無く習得できる魔法ですわ」
「そ、そのファミリアって魔法のスクロールは売ってるのかい?」
「はい、ございます」
俺は檻にぶら下がった値札を摘まんで値段を見た。
「10000Gだと!?」
「はい」
「こんなズラ系小悪魔が10000Gもするのか!?」
「はい、一部ファンには大変人気な小悪魔ですから」
「なんでファンが多い!?」
「町でウィックを買えば、上質ならば同じだけの値段がします。ですがヘアーグレムリンは魔法使い特権がついてきますからね」
「特権っとは?」
「まず、使い魔なのでペット同然。人によっては家族同然ですね」
「それが特権なのかよ?」
「何より生きてますから呼べば寄って来ます。風で飛ばされても戻って来ますし、部屋で無くしても呼べば姿を表します。失くす心配がありません」
「なるほど……」
紛失防止効果があるんだな。それは便利な機能だぜ。
「でえ、こいつらの餌は何だ?」
「使い魔なので人間の魔力を少し吸い取ります。ですが健康な人なら問題無い量です」
「髪型はどうする。散髪が必要なのか?」
「ファミリアとして契約すれば、主人のイメージ通りの髪型や色に変化します。ただし長髪に関しては主人の身長の半分程度の長さにしかなりませんが」
「洗濯はどうする?」
「水洗いです」
「寿命は?」
「長ければ100年以上生きるとか」
んん~……。
少し悩むな……。
「もう少し負からない?」
「負かりません……」
ケチいな~。
「ですが、今なら即金でお買い上げするならば、サービスでファミリアのスクロールを一本お付けいたしますわ」
「それはお得だな。よし、買った!!」
こうして俺に新しい仲間が加わった。
名前はなんにしようかな~。
ゴメスだ!
ゴメスに決めたぜ!!
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