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【第十四章】太陽のモンスター編。
14-38【未来の目標】
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俺はサッカーボールサイズの白い玉を抱えながらボルトン男爵に訊いた。
「白髪のオッサン、この玉っころはなんだ?」
それとは倒したジャイアントサンライズの体内から出てきた白い玉である。
やっと冷めて持てるぐらいになっていた。
うっすらと魔力は感じられるが真っ当なマジックアイテムではないようだ。
その証拠にアイテム鑑定をすると【ジャイアントサンライズの白球+1。火で焼けない】としか出ないのだ。
その疑問に、俺の隣を歩くボルトン男爵が答えてくれた。
「それは、村だとジャイアントサンライズの肝って呼ばれている」
「えっ、肝なのか?」
「いや、分からん……。たぶん真珠貝の体内で出来る真珠と同じ感じの石じゃあないかと思うんだがな」
「なるほど、真珠の一種か。それなら納得できる」
俺とボルトン男爵は並んで森の中を歩いていた。
村に帰る途中だ。
「でもよ、燃えないだけだろ。なんに使えるんだ。置物か、それとも飾りか?」
「置物は飾りだろ」
「だな………」
鋭い意見だな、マジで。
「ほら、前にも説明しただろ。ジャイアントサンライズに捨てるところ無しだって」
「ああ、それは覚えてる」
「その玉は魔法使いギルドに高く売れるんだ」
「魔法使いギルドがこれを買うのか?」
「なんでも魔法のポーションの材料らしい。砕いて粉にしてからいろんな物と混ぜ合わせると、魔法のポーションが出来上がるらしいぞ」
「へぇ~……」
それならスバルちゃんにプレゼントしたら喜んでくれるかな?
「これを魔法使いギルドは幾らぐらいで買い取るんだ?」
「量り売りだ。1キロ5000Gぐらいかな。その日の相場によるんだよ」
俺はなんとなく持った感覚で、7キロから8キロぐらいだと感じる。
「これは少なくても7キロぐらいだろ。だとすると、1キロ5000Gなら7×500で30000Gぐらいか──」
「ぐらいってなんだ……。35000Gだろ……」
「ああ、今35000Gって言おうとしていたのにさ!」
「嘘つけ!」
俺は手に在る巨大真珠を眺めながらボルトン男爵に訊いた。
「これ、要る?」
「当然だ。要るだろ。35000Gの値打ちだぞ」
「だよね……」
失敗した。
戦利品に関して話し合っていなかった。
ジャイアントサンライズの死体に捨てるところ無しって聞いた段階で、キッチリ話し合って置くべきだったぜ。
倒したジャイアントサンライズの死体はどっちの物になるのだろうか?
俺の戦利品として認められるのだろうか?
いや、そんな契約はしていない。
これは損をしたかも知れんぞ……。
「なあ、白髪のボルトン男爵」
「なんだ、ハゲのアスラン殿?」
「ジャイアントサンライズを倒したのは俺だよな?」
「そうだが?」
「じゃあ、倒した死体は俺の物だよな?」
「はっはっはっはっ~~」
高笑いを上げたあとにボルトン男爵が言う。
「キミは何を言っているんだ。我々の私有物が私有地内に逃げ出して、それを殺したからって、それが殺した人の物になるのかね。なるとしたら山賊が人の私有地で村人を殺したら、その村人の財産が合法的に山賊の物になるって言ってるようなもんだぞ。それは強盗だ」
「うぐぅぅぅ……」
ぐうの音も出ない正論だ……。
例え話が上手いな、この白髪野郎。
これは論破できないぞ。
しゃあない、今回はガメツイことは言わずに、素直に諦めるか……。
「ほれ」
「おっと!」
俺は手に持っていた巨大真珠をボルトン男爵に放り投げた。
俺の物にならないなら持ってても仕方無い。
村まで運ぶのすらストレスだ。
「詰まらなそうな顔をするな」
「フンッだ……」
「我々だって、稼ぎ出すのに必死なんだ。村では子供を食わせなきゃならないし、老人たちも面倒見なければならない。だから金が必要なんだ」
「分かってらぁ~……」
「今の目標は、村に学校を建てて教師を雇いたいんだ。子供たちにちゃんとした教育を施してやりたいんだよ。そのためにも金を貯めないとならなくってね」
ちゃんと将来を考えているんだな~。
「学校か──」
魔王城の町にも学校が必要なのかな?
まあ、まだその段階じゃあないか。
まずは人がちゃんと住める環境を構築しないとな。
そして、俺たちハゲと白髪の二人は村に帰って来た。
討伐成功を村人たちに告げる。
すると村人たちは歓声を上げながら仕事の準備を始め出す。
「あれ、これから仕事か、もうそろそろ日が沈むぞ?」
そう、夜は近いはずだ。
ボルトン男爵が答えた。
「今晩は徹夜だな。ジャイアントサンライズの死体を回収しないとならないから」
「急ぐことは無いだろ。明日の朝からにしろよ」
「そうもいかん。ジャイアントサンライズの死体は雨に当たると質が墜ちるんだ。だから早めに解体して倉庫に保管したいんだよ。万が一に雨にでも降られたら台無しだからな」
「なるほどね。働き者だな──」
まあ、そこまで俺には関係無い話だ。
よし、俺は水浴びだぜ。
井戸水で良いから頭から被りたい。
今晩は村に泊めてもらって、明日になったらゴモラタウンに帰ろうか。
まあ、金にはなった。
500000Gの仕事だもんな。
たぶん、あの死体を全部捌けばもっと金になるんだろうけれど……。
それを俺が言ったら欲張りだな。
俺は俺の仕事を果たしたんだ。
それで十分じゃあないか。
明後日にはソドムタウンに帰って、また町作りだぜ。
「白髪のオッサン、この玉っころはなんだ?」
それとは倒したジャイアントサンライズの体内から出てきた白い玉である。
やっと冷めて持てるぐらいになっていた。
うっすらと魔力は感じられるが真っ当なマジックアイテムではないようだ。
その証拠にアイテム鑑定をすると【ジャイアントサンライズの白球+1。火で焼けない】としか出ないのだ。
その疑問に、俺の隣を歩くボルトン男爵が答えてくれた。
「それは、村だとジャイアントサンライズの肝って呼ばれている」
「えっ、肝なのか?」
「いや、分からん……。たぶん真珠貝の体内で出来る真珠と同じ感じの石じゃあないかと思うんだがな」
「なるほど、真珠の一種か。それなら納得できる」
俺とボルトン男爵は並んで森の中を歩いていた。
村に帰る途中だ。
「でもよ、燃えないだけだろ。なんに使えるんだ。置物か、それとも飾りか?」
「置物は飾りだろ」
「だな………」
鋭い意見だな、マジで。
「ほら、前にも説明しただろ。ジャイアントサンライズに捨てるところ無しだって」
「ああ、それは覚えてる」
「その玉は魔法使いギルドに高く売れるんだ」
「魔法使いギルドがこれを買うのか?」
「なんでも魔法のポーションの材料らしい。砕いて粉にしてからいろんな物と混ぜ合わせると、魔法のポーションが出来上がるらしいぞ」
「へぇ~……」
それならスバルちゃんにプレゼントしたら喜んでくれるかな?
「これを魔法使いギルドは幾らぐらいで買い取るんだ?」
「量り売りだ。1キロ5000Gぐらいかな。その日の相場によるんだよ」
俺はなんとなく持った感覚で、7キロから8キロぐらいだと感じる。
「これは少なくても7キロぐらいだろ。だとすると、1キロ5000Gなら7×500で30000Gぐらいか──」
「ぐらいってなんだ……。35000Gだろ……」
「ああ、今35000Gって言おうとしていたのにさ!」
「嘘つけ!」
俺は手に在る巨大真珠を眺めながらボルトン男爵に訊いた。
「これ、要る?」
「当然だ。要るだろ。35000Gの値打ちだぞ」
「だよね……」
失敗した。
戦利品に関して話し合っていなかった。
ジャイアントサンライズの死体に捨てるところ無しって聞いた段階で、キッチリ話し合って置くべきだったぜ。
倒したジャイアントサンライズの死体はどっちの物になるのだろうか?
俺の戦利品として認められるのだろうか?
いや、そんな契約はしていない。
これは損をしたかも知れんぞ……。
「なあ、白髪のボルトン男爵」
「なんだ、ハゲのアスラン殿?」
「ジャイアントサンライズを倒したのは俺だよな?」
「そうだが?」
「じゃあ、倒した死体は俺の物だよな?」
「はっはっはっはっ~~」
高笑いを上げたあとにボルトン男爵が言う。
「キミは何を言っているんだ。我々の私有物が私有地内に逃げ出して、それを殺したからって、それが殺した人の物になるのかね。なるとしたら山賊が人の私有地で村人を殺したら、その村人の財産が合法的に山賊の物になるって言ってるようなもんだぞ。それは強盗だ」
「うぐぅぅぅ……」
ぐうの音も出ない正論だ……。
例え話が上手いな、この白髪野郎。
これは論破できないぞ。
しゃあない、今回はガメツイことは言わずに、素直に諦めるか……。
「ほれ」
「おっと!」
俺は手に持っていた巨大真珠をボルトン男爵に放り投げた。
俺の物にならないなら持ってても仕方無い。
村まで運ぶのすらストレスだ。
「詰まらなそうな顔をするな」
「フンッだ……」
「我々だって、稼ぎ出すのに必死なんだ。村では子供を食わせなきゃならないし、老人たちも面倒見なければならない。だから金が必要なんだ」
「分かってらぁ~……」
「今の目標は、村に学校を建てて教師を雇いたいんだ。子供たちにちゃんとした教育を施してやりたいんだよ。そのためにも金を貯めないとならなくってね」
ちゃんと将来を考えているんだな~。
「学校か──」
魔王城の町にも学校が必要なのかな?
まあ、まだその段階じゃあないか。
まずは人がちゃんと住める環境を構築しないとな。
そして、俺たちハゲと白髪の二人は村に帰って来た。
討伐成功を村人たちに告げる。
すると村人たちは歓声を上げながら仕事の準備を始め出す。
「あれ、これから仕事か、もうそろそろ日が沈むぞ?」
そう、夜は近いはずだ。
ボルトン男爵が答えた。
「今晩は徹夜だな。ジャイアントサンライズの死体を回収しないとならないから」
「急ぐことは無いだろ。明日の朝からにしろよ」
「そうもいかん。ジャイアントサンライズの死体は雨に当たると質が墜ちるんだ。だから早めに解体して倉庫に保管したいんだよ。万が一に雨にでも降られたら台無しだからな」
「なるほどね。働き者だな──」
まあ、そこまで俺には関係無い話だ。
よし、俺は水浴びだぜ。
井戸水で良いから頭から被りたい。
今晩は村に泊めてもらって、明日になったらゴモラタウンに帰ろうか。
まあ、金にはなった。
500000Gの仕事だもんな。
たぶん、あの死体を全部捌けばもっと金になるんだろうけれど……。
それを俺が言ったら欲張りだな。
俺は俺の仕事を果たしたんだ。
それで十分じゃあないか。
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