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【第七章】魔王城へ旅立ち編
7-22【メガロ・ガイスト】
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俺はメトロ・ガイストの背中をマジマジと観察する。
爛れた背中に、眠っているかのような老人が腫れ物として形作られていた。
刺青とも違う。
デコボコとした火傷のような爛れた皮膚が広がっている。
それは奇怪だがリアルだった。
腫れ物の表情は、まるで眠っているかのように目蓋を閉じている。
この腫れ物が偶然にも人の形に見えるような病気には思えなかった。
背中を見せるメトロ・ガイストが言う。
「これが兄のメガロ・ガイストです」
「メガロ……」
「ウィンチェスターが建てた塔の下敷きになった魔法使いです」
なんだかトラン○フォーマーに出てきそうな名前だな……。
「兄のメガロは深夜になって私が眠ると、私の体から抜け出して、郊外にあるウィンチェスター家に向かうのです」
「そこでウィンチェスターの家族を殺したと?」
「はい……」
「でえ、兄貴の行動は、阻止しようとしたのかい?」
「はい、行いました。時には冒険者や僧侶に私の睡眠を見張らせたり、司祭さまにも相談しましたが、兄メガロの行動は止められなかったのです。逃げるように私の部屋を抜け出して、ウィンチェスター家に飛んで行くのです。そして、朝になると、私の体に帰って来る……」
「でえ、俺にどうしろと?」
「キミが本当に閉鎖ダンジョンを攻略できるほどの実力者ならば、兄メガロを止められるのではないかと……」
「その報酬が60000Gかぁ~」
「受けますか?」
「やる気はあるよ~。でも、ウィンチェスターの生き残りは、どうなってるんだ?」
「昼間は大工の棟梁として働き、夜になると兄メガロを恐れて郊外の自分の家に引き込もってしまうのです。ダンジョンハウスにね」
「ダンジョンハウスとは?」
なんか面白そうな単語が出てきたぞ。
「ウィンチェスター一家は長年の間、兄メガロから逃げるために、自分の屋敷を改築を繰り返し、ダンジョンのような迷路状に家を作り変えたのです。そうすることで兄メガロが迷い、近付けないように夜を過ごしているのですよ」
「なるほどね~」
なんか俺の産まれた世界とは少し違うが、ウィンチェスター家の人間が屋敷を迷路にしてしまう話は同じなのね。
「でもさ~。メガロを止めるってことは、兄貴を殺すってことだろ?」
「もう、兄は死んでいるのですよ。塔の倒壊事故でね」
「それでも、魂まで滅することになるぞ?」
「悪霊として、現世に残られるよりましです。何より……」
「何より?」
「兄メガロが私に取り憑いている間、私は結婚すらできない……」
なに、この爺さんは?
いい歳してまだ結婚とか言ってますか。
「別に兄貴に取り憑かれていても、結婚ぐらいできるだろ?」
「相手が、そのウィンチェスター家の生き残りなのですよ」
あー、なるへそ~。
ロミオとジュリエットかよ。
今回の話は、そう行きますか。
「兄メガロに成仏してもらい、私は彼と結婚したいのです!!」
彼?????
今、彼って言いましたよね、この爺さん……。
俺の聞き間違いじゃあないよね?
「ちょーーと、まてや! 彼って、相手は男かよ!?」
「ゴモラタウンでは、同性愛の結婚が認められておりますから!」
「そ、そうなんだ~……」
ゴモラタウンって、ジェンダー問題に理解有る住人で溢れているんだな~。
「最近になって、同性婚の法案が認められました」
それって、パーカーさんとアルビレオが結婚できるようにしやがったな……。
まずは地元の法律から変えやがったよ、あの一族……。
「じゃあ、話を纏めるぞ!」
「はい」
「俺は夜になったらお前から抜け出た兄貴のメガロをぶっ倒して成仏させればいいんだな?」
「はい」
「問題は、お前さんから抜け出た直後のメガロは全力でウィンチェスター家に向かうから、それを阻止できないと?」
「はい」
「だが、メガロはウィンチェスター家のダンジョン迷路で高確率で迷い、ウィンチェスターを殺せないでいると?」
「はい」
「何故だ!?」
「はい~?」
「何故に、メガロはあんたから抜け出た直後は倒せないほどに活きがいいのに、ウィンチェスター家に向かったころには迷路でまようほどに、どん臭くなるんだ?」
「さぁ~?」
「そこが謎だな」
「ですが今まで兄メガロは、ウィンチェスター家のポチ、タマ、三毛の三匹を殺しています。あとは最後の生き残りのダグラスだけです……」
「ちょーーーと、待てや!!」
「え?」
はい、始まりましたよ!
話が可笑しな方向に脱線し始めましたがな!!
こう言うパターン多いよね!!
「はいはい、ちょっと訊くけど、ポチ、タマ、三毛って、犬と猫だよな!?」
メトロ・ガイストはキョトンとした顔で述べた。
「キミは何を言ってるんだ。ポチもタマも三毛も猫だよ」
「猫にポチとかいう名前をつけるな!!」
「何故に怒ってるのか意味が分からないな?」
「そもそも殺されたのは猫だろ。ウィンチェスター家の人間じゃあないじゃないか!!」
「ペットは家族の一員だ!!」
「そう言ってペットを可愛がり過ぎるのは反対だぞ!!」
「そもそもペットじゃあない、家族だ!!」
「勝手に言ってやがれ、糞!!」
「キミは猫が可愛くないのか!!」
「俺は犬派だ!!」
「とにかくだ、兄メガロを止めて、私とダグラスが結婚して一つ屋根の下で暮らせるようにしてもらいたい!!」
「そんな糞みたいな依頼を受けられるか、ボケじじぃが!!」
「なんだと、鼻タレ小僧が!!」
ここでワイズマンが俺たちの間に割って入った。
「まあまあ、二人とも……」
「黙れ、デブ!!」
「じゃまだ、モッチリオヤジ!!」
「えっ、なに、その言いよう……」
「とにかく俺は、こんなふざけた依頼は受けないぞ!!」
「ならば、倍の120000G払うぞ!!」
こいつ、恋愛感情が拗れて金銭感覚が崩壊しやかったぞ!!
ならば、即答っ!!
「受けた!!」
俺はメトロ・ガイストを睨み付けながら言う。
「必ずお前の兄貴を成仏させてやるからな。覚えてやがれ!!」
爛れた背中に、眠っているかのような老人が腫れ物として形作られていた。
刺青とも違う。
デコボコとした火傷のような爛れた皮膚が広がっている。
それは奇怪だがリアルだった。
腫れ物の表情は、まるで眠っているかのように目蓋を閉じている。
この腫れ物が偶然にも人の形に見えるような病気には思えなかった。
背中を見せるメトロ・ガイストが言う。
「これが兄のメガロ・ガイストです」
「メガロ……」
「ウィンチェスターが建てた塔の下敷きになった魔法使いです」
なんだかトラン○フォーマーに出てきそうな名前だな……。
「兄のメガロは深夜になって私が眠ると、私の体から抜け出して、郊外にあるウィンチェスター家に向かうのです」
「そこでウィンチェスターの家族を殺したと?」
「はい……」
「でえ、兄貴の行動は、阻止しようとしたのかい?」
「はい、行いました。時には冒険者や僧侶に私の睡眠を見張らせたり、司祭さまにも相談しましたが、兄メガロの行動は止められなかったのです。逃げるように私の部屋を抜け出して、ウィンチェスター家に飛んで行くのです。そして、朝になると、私の体に帰って来る……」
「でえ、俺にどうしろと?」
「キミが本当に閉鎖ダンジョンを攻略できるほどの実力者ならば、兄メガロを止められるのではないかと……」
「その報酬が60000Gかぁ~」
「受けますか?」
「やる気はあるよ~。でも、ウィンチェスターの生き残りは、どうなってるんだ?」
「昼間は大工の棟梁として働き、夜になると兄メガロを恐れて郊外の自分の家に引き込もってしまうのです。ダンジョンハウスにね」
「ダンジョンハウスとは?」
なんか面白そうな単語が出てきたぞ。
「ウィンチェスター一家は長年の間、兄メガロから逃げるために、自分の屋敷を改築を繰り返し、ダンジョンのような迷路状に家を作り変えたのです。そうすることで兄メガロが迷い、近付けないように夜を過ごしているのですよ」
「なるほどね~」
なんか俺の産まれた世界とは少し違うが、ウィンチェスター家の人間が屋敷を迷路にしてしまう話は同じなのね。
「でもさ~。メガロを止めるってことは、兄貴を殺すってことだろ?」
「もう、兄は死んでいるのですよ。塔の倒壊事故でね」
「それでも、魂まで滅することになるぞ?」
「悪霊として、現世に残られるよりましです。何より……」
「何より?」
「兄メガロが私に取り憑いている間、私は結婚すらできない……」
なに、この爺さんは?
いい歳してまだ結婚とか言ってますか。
「別に兄貴に取り憑かれていても、結婚ぐらいできるだろ?」
「相手が、そのウィンチェスター家の生き残りなのですよ」
あー、なるへそ~。
ロミオとジュリエットかよ。
今回の話は、そう行きますか。
「兄メガロに成仏してもらい、私は彼と結婚したいのです!!」
彼?????
今、彼って言いましたよね、この爺さん……。
俺の聞き間違いじゃあないよね?
「ちょーーと、まてや! 彼って、相手は男かよ!?」
「ゴモラタウンでは、同性愛の結婚が認められておりますから!」
「そ、そうなんだ~……」
ゴモラタウンって、ジェンダー問題に理解有る住人で溢れているんだな~。
「最近になって、同性婚の法案が認められました」
それって、パーカーさんとアルビレオが結婚できるようにしやがったな……。
まずは地元の法律から変えやがったよ、あの一族……。
「じゃあ、話を纏めるぞ!」
「はい」
「俺は夜になったらお前から抜け出た兄貴のメガロをぶっ倒して成仏させればいいんだな?」
「はい」
「問題は、お前さんから抜け出た直後のメガロは全力でウィンチェスター家に向かうから、それを阻止できないと?」
「はい」
「だが、メガロはウィンチェスター家のダンジョン迷路で高確率で迷い、ウィンチェスターを殺せないでいると?」
「はい」
「何故だ!?」
「はい~?」
「何故に、メガロはあんたから抜け出た直後は倒せないほどに活きがいいのに、ウィンチェスター家に向かったころには迷路でまようほどに、どん臭くなるんだ?」
「さぁ~?」
「そこが謎だな」
「ですが今まで兄メガロは、ウィンチェスター家のポチ、タマ、三毛の三匹を殺しています。あとは最後の生き残りのダグラスだけです……」
「ちょーーーと、待てや!!」
「え?」
はい、始まりましたよ!
話が可笑しな方向に脱線し始めましたがな!!
こう言うパターン多いよね!!
「はいはい、ちょっと訊くけど、ポチ、タマ、三毛って、犬と猫だよな!?」
メトロ・ガイストはキョトンとした顔で述べた。
「キミは何を言ってるんだ。ポチもタマも三毛も猫だよ」
「猫にポチとかいう名前をつけるな!!」
「何故に怒ってるのか意味が分からないな?」
「そもそも殺されたのは猫だろ。ウィンチェスター家の人間じゃあないじゃないか!!」
「ペットは家族の一員だ!!」
「そう言ってペットを可愛がり過ぎるのは反対だぞ!!」
「そもそもペットじゃあない、家族だ!!」
「勝手に言ってやがれ、糞!!」
「キミは猫が可愛くないのか!!」
「俺は犬派だ!!」
「とにかくだ、兄メガロを止めて、私とダグラスが結婚して一つ屋根の下で暮らせるようにしてもらいたい!!」
「そんな糞みたいな依頼を受けられるか、ボケじじぃが!!」
「なんだと、鼻タレ小僧が!!」
ここでワイズマンが俺たちの間に割って入った。
「まあまあ、二人とも……」
「黙れ、デブ!!」
「じゃまだ、モッチリオヤジ!!」
「えっ、なに、その言いよう……」
「とにかく俺は、こんなふざけた依頼は受けないぞ!!」
「ならば、倍の120000G払うぞ!!」
こいつ、恋愛感情が拗れて金銭感覚が崩壊しやかったぞ!!
ならば、即答っ!!
「受けた!!」
俺はメトロ・ガイストを睨み付けながら言う。
「必ずお前の兄貴を成仏させてやるからな。覚えてやがれ!!」
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