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【第六章】閉鎖ダンジョン後編

6-9【五日目の戦利品】

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髑髏魔法使いとの決着が付いた。

なんとか俺の勝利である。

「ふぅ~、疲れたわん……」

俺は大の字になってダンジョンの石床に寝転んでいた。

「身体が焦げ臭いな……」

寝転びながら上を見れば石造りの天井が煤けていた。

壁も床も煤けている。

髑髏魔法使いが繰り出したファイヤーボールの煤だろう。

俺の身体からもファイアーボールの爆炎を浴びた影響で煙りが上がっていた。

顔などの素肌を出していた部分が火傷でヒリヒリする。

「少し休もっと……」

俺は10分ぐらいダンジョンのド真ん中で休んでいた。

しばらくすると荒れていた息も整う。

そして、身体の煙りも収まっていた。

寝転んでいた俺は上半身だけをムクリと起こして辺りを見回す。

俺の足先には、先程倒したばかりの髑髏魔法使いの死体が転がっていた。

俺は立ち上がると全身の煤をはらい落としながら、髑髏魔法使いが着ていたローブとスタッフを拾い上げる。

するとローブの中から骨粉が溢れ落ちて、パサパサと床の上に舞った。

一緒に装飾品も幾つか落ちて来て、床に落ちるとカシャンと音を鳴らす。

更に少し遅れてスクロールが一つポトリと落ちた。

「なんだか、わんさか持ってやがるな」

俺はそれらを拾ってから、投げ捨ててあったロングボウを拾いに戻る。

自分の装備を回収し終わると、最初にアンデッドたちが居た部屋に戻った。

スケルトンウォリアーが持っていたマジックアイテムを回収するためにだ。

「今回は大量だな」

レベルこそ上がらなかったが、マジックアイテムは沢山拾えた。

それに部屋の隅には幾つかのバックパックが置かれている。

死んだ冒険者の物だろう。

俺は荷物を漁り、金目の物だけを失敬した。

なんだろうな~……。

モンスターからアイテムをルートするのはなんともないが、死者のバックパックの中を漁るのは気が引けるな。

なんとも泥棒っぽい。

例えるなら、落とし物の財布からお金だけを盗んでいく置き引き犯みたいなのだ。

罪悪感ってやつが沸いてくる。

なんだか泥棒をしているといいますか、死者の荷物を猫ババしているっていいますか……。

とにかく、後ろめたい。

まあ、でも、いろいろとマジックアイテムが詰まってたりするから辞められないんだけどね。

これもすべてRPGで言うところの勇者様の特権だわな。

まあ、俺は勇者様って感じのキャラじゃあないけれどね。

んん?

なんだろう?

俺は岩の壁に何か書かれているのに気が付いた。

読み上げる──。

【私の名前はエクスフロイダー・プロミス。冒険者であり、爆発系の魔術を極めし魔法使いだ】

あー、これはあの髑髏魔法使いからのメッセージだわ。

生前の遺言かな?

まだ続きがある。

【私は閉鎖ダンジョンを探索中に、仲間たちとはぐれてしまった。そして足を怪我して歩けない。もう魔力も底が来ている。ポーションも品切れだし、食料もあと僅かだ。このままでは時間の問題だろう。もう駄目だ】

あー、ここで尽きたのね。

【もしもこのメッセージを読み上げる者がいたら託したい。私の妻や息子に、愛していたと伝えてもらいたい。それが最後の望みだ。すまないが、私の願いを叶えてくれたまえ……】

メッセージはここまでだった。

「エクスプロイダー・プロミスか……」

俺は、その辺の荷物の中から蓋付きの壺を手に取った。

それは普通の壺である。

マジックアイテムでも何でもない。

普段なら持ち帰ることもない無用なアイテムだ。

「んん~、これぐらいかな~」

俺は空の壺をマジマジと眺めながらサイズ感を確かめる。

「このぐらいで、いいだろうかな……?」

それから俺は迷路に戻ると髑髏魔法使いの灰を手で掬って壺に詰めた。

それを異次元宝物庫に入れて置く。

まあ、いつの時代の冒険者かは知らないが、名前が分かっていたら遺族も探せるだろう。

その辺の人探しはワイズマンに頼めばいいだろうさ。

エクスフロイダー・プロミスさんか──。

家族のところに連れてってやるよ。

こうして俺は、地上を目指した。

今日の冒険はこのぐらいで終わりだ。

十分に戦ったし、十分に日給も得た。

いろいろ満足だ。

俺が地上に戻ると、時刻は夜だった。

結構長い時間閉鎖ダンジョン内に居たようだ。

俺はピイターさんが作ってくれた飯を食べてから自室に閉じ籠る。

そして、異次元宝物庫から本日ゲットしたばかりのマジックアイテムを床に並べた。

髑髏魔法使いのスタッフにローブ。

それに、ネックレスと指輪。

スケルトンウォリアーが持っていた武器からは、ロングソードとメイス。

防具からは、レザーアーマー、スケールメイル。

装飾品は、指輪が二つ、腕輪が一つ。

荷物の中からゲットした物は、皿、銀のスプーン、燭台、人形の置物、水晶玉。

あとスクロールが二枚だ。

これがすべてのマジックアイテムである。

個数的には、なかなかであるな。

大漁と言えよう。

さて、どれから鑑定しようかな?

まずはどうでもいい物品からかな。

お楽しみは後半に取っておこう。

俺はラーメンのチャーシューは最後に食べるタイプなのだ。

では、まずは皿からだ。

魔法の皿って珍しいよね。

ある意味、面白そうだわ。

「では、アイテム鑑定」

【強固な皿+1】
普通の皿より強度が高い。

んんー……。

面白くないな……。

売れればラッキーかな……。

次は銀のスプーンだ。

【銀のスプーン+1】
一日三回、スプーン一杯分の蜂蜜を召喚できる。

んん?

これは当りなのか?

この世界で砂糖は高級品だから、これは当りかも知れないぞ。

少なくとも高く売れそうだな。

次は燭台だ。

【魔法の燭台+1】
蝋燭の消費速度が1/10に減る。

うむ、これはなんとか売れそうだな。

次は人形の置物だ。

【身代わりの置物+1】
人形の身体に名前を書き込み血判を入れると、窮地に身代わりとなって置物が砕かれる。

おや、これはいいね。

身代わり系のアイテムだな。

一回死んでも大丈夫ってヤツだよね。

これは俺の名前を書き込んで、血判を入れるしかないわな。

一回死んでも大丈夫なんだもの、ライフストックだもんね。

やりーだ。

残機が増えたぜ。

さてさて、最後の物品は水晶玉だ。

【占いの水晶+1】
占いの成功率が向上する。

うむ、これは売れるだろ。

占い師なら欲しがるだろうさ。

たぶん、知らんけど……。

さーて、今度は魔法のスクロール二枚を鑑定しますかな。

では、一枚目。

【魔法マジックプレスLv1】
攻撃力は中。重力属性。射程距離5メートルの魔法。一日に撃てる回数は、スキルレベル分だけ撃てる。

うわぁ~……。

これって、あの魔女が使ってた魔法だよな……。

懐かしいけど、嫌な想い出だわ……。

さっさと忘れて次に進もう。

さて、二枚目は──。

【魔法ディフェンスシールドLv1】
盾の強度の向上する。効果時間30分。一日に撃てる回数は、スキルレベル分だけ撃てる。

うんうん、これはありって感じで良しだな。

今回のスクロールは外れなしか。

ではでは、スケルトンウォリアーが持っていたロングソード、メイス、レザーアーマー、スケールメイル、指輪×2、腕輪×1の鑑定かな~。

まずは指輪を二連続で行くぜ。

【レジストリング+1】
魔法の抵抗率が向上する。

【スピードリング+1】
体術が向上する。

うーーし、当たりだ、当たり。

これは装着して置くぞ。

次は腕輪だ。

【パワーブレスレット+1】
腕力が向上する。

はいー、当たり。

これも自分用ですわ~。

じゃあ今度は防具かな。

【レザーアーマー+1】
強度が向上する。

【スケールメイル+1】
強度が向上する。

んー、微妙~。

これは売って良しだな。

レザーアーマーは今着ているほうが強いもんね。

スケールメイルも、これなら要らないわ。

さーて、次は武器だ。

【ロングソード+2】
攻撃力が小向上する。攻撃速度が向上する。

【マジックメイス+1】
クラッシュウェーブが一回使える。

むむ?

クラッシュウェーブってなんだろう。

魔法かな?

ロングソードも当たりのほうかな。

今回は当たりが多いな。

さぁーてさて、最後は髑髏魔法使いのスタッフにローブ、それにネックレスと指輪だぜ。

まずはネックレスからです。

【メイジネックレス+2】
魔法耐久が小向上する。魔法の抵抗率が向上する。

うーーし、あーたーりー!!

このままの勢いで指輪ですよ。

【ファイヤーボールリング+2】
ファイヤーボールを二発撃てる。

よしよしよし、当たりが続いておりますよ!

さてさてさて、ラストはスタッフとローブですがな!!

飛びっきりの一品を期待しますよ!!

まずはローブだ!!

【ウィザードローブ+3】
耐火が向上する。耐冷気が向上する。魔法耐久が向上する。

はーーーい、大当たりーー!!

更にスタッフだ!!

【エクスフロージョンスタッフ+2】
爆発系魔法の範囲が広がる。爆発系魔法の破壊力が向上する。

当り!!!

なるほどね~。

プロミスさんのファイヤーボールが凄かったのは、これのせいなのか。

てか、ファイヤーボールリングとエクスフロージョンスタッフで俺も同じぐらいの魔法が撃てるのかな?

今度試すか。

よしよし、本日はホクホクだ。

要らないものは明日にでもワイズマンのところに売りに行こうかな。

今晩は良い夢が見れそうだぜ。

ぬふふふ~~♡


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