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【第四章】ショートシナリオ集パート①
4-26【見えない出入り口】
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ロングボウを構えたままの俺は、遺跡の出入り口から外の様子を眺めた。
雨が降る森の景色には蛇の尻尾を有した猿の姿は見えない。
あれだけの数が居たのに、何処に隠れたのか不思議なぐらいだ。
「どこに行っちまったんだ、猿どもが……」
とりあえず俺は安心して弓矢を下げた。
俺が飛び込んだ遺跡は、件の初心者ダンジョンがある場所だ。
遺跡は崖のような岩場をくり貫かれて作られた、ダンジョン風の遺跡である。
俺の手元には遺跡内の図面が描かれたマップもある。
たいして広い遺跡でもないし、前回初心者パーティーによって掃除もされたばかりだ。
おそらくまだ新手の住人もほとんど居ないだろう。
本来なら空のはずだが、無警戒に進むわけにも行かない。
万が一ってこともある。
俺は念のためにショートソードを抜いて警戒を怠らない。
「どうするかな~」
まずは濡れた服でも着替えようかな。
ちょっぴり寒いしな。
このままでは風邪を引きかねん。
そうして俺がショートソードを置こうとした時である。
遺跡の奥から僅かな物音がした。
カチャリ、カチャリと歩むテンポで音がする。
風や雨の音ではないだろう。
「何かが居るのかな?」
初心者パーティーどもが掃除を済ましているはずだ。
でも、一週間前の話だしな。
もう、新たなモンスターが巣くったのだろうか?
これは着替えている場合ではないだろう。
俺は忍び足で奥に進んだ。
隣の部屋を覗けばノサリノサリと人影が三体ほど動いている。
「あら、スケルトンだな。しかも甲冑をフル装備だよ。リッチだね~」
スケルトン三体はスケールメイルに丸い盾を持ち、各々が別々の武器を持っていた。
ヘルムやガントレットもちゃんとつけていやがる。
「兵隊の死体だったのか?」
ヤツらの武器は、ロングソード、メイス、ハンドアックスだ。
三体のスケルトンは、部屋の中をひたすらにフラフラと彷徨っていた。
なんだろう?
ただ迷い込んだだけのモンスターなのかな?
「まあ、いいや。やっちまおう。スケルトンぐらいなら軽く絞められるだろうさ」
俺は異次元宝物庫からメイス+2を取り出して左手に持った。
右手にはロングソード+2を取り出して装備する。
「ソードとメイスの二刀流だぜ!」
メイス+2は所有者の腕力小向上に命中率向上だ。
ロングソード+2はアンデットにダメージ特効向上と攻撃速度向上だ。
「どちらともにマジックアイテム+2の二刀流だ。合計+4の二刀流とは豪華絢爛だぜ!」
よし、やるぞ!!
俺は大きく息を吸ってから飛び出した。
速攻である。
俺はスケルトンたちが奇襲を感知する前に背後から駆け寄った。
そしてスケルトンが振り返るころには俺の間合に敵を捕らえる。
「先手、取ったり!」
俺の先手はロングソードを持ったスケルトンの脳天を背後からメイスでぶん殴りつけた。
激音と共にスケルトンが被っていたヘルムがへこんで頭蓋骨が胴体の中までめり込んでしまう。
すると俺の奇襲に気が付いた二体のスケルトンが武器を翳して襲い掛かって来た。
二体目のスケルトンが縦振りにメイスを振るって来るが、俺はメイスを盾にメイスを受け止めると、ロングソードの一突きでスケルトンの顔面を突き破る。
スケルトンの眉間から入ったロングソードの刀身が後頭部まで貫通した。
「おおりゃあ!!」
俺は顔を刺したままスケルトンの体を力任せに振り回し三体目のスケルトンに投げ付けた。
下半身に顔を潰されたスケルトンが当たると三体目のスケルトンはバランスを大きく崩してよろめいてしまう。
そこに俺のメイスがアッパーカットのラインで振り上げられる。
「そりゃ!」
ぱこーーん、っと爽快な音が鳴った。
するとスケルトンの下顎だけが遠くに飛んで行く。
そしてロングソードの横振りで首を斬り落としてやる。
なんともナイスな斬れ味だった。
流石はアンデッド特効だぜ。
三体のスケルトンはどれも動かなくなった。
瞬殺である。
「よし、スケルトン全体を撃破したぞ。チョロイな」
俺はすぐさま動かなくなったスケルトンの死体を漁った。
全部で17Gをゲットしたが、それ以上の物は持っていなかった。
「マジックアイテムはなしか……。ショボイな~」
まあ、雑魚だったから、こんなもんですかね。
俺はそのまま勢いを保ちたかったので、奥を目指すことにした。
濡れた服を着替えるのをやめる。
「直ぐに乾くだろうさ」
やがて直ぐに件の割れ目を発見した。
「ここかな?」
4メートルぐらいの壁に、人が一人通れるぐらいの亀裂が走っていた。
この割れ目にマヌカビーが入って行って消えたのだろう。
割れ目には不振な点は見当たらない。
何気ないただの割れ目だ。
「どれどれ~」
俺はマジックトーチが掛かったショートソードを割れ目に突き入れて覗いてみた。
亀裂の中は部屋のようだった。
床を見れば埃の上に足跡が残されている。
その足跡は、部屋の奥に進んで行っていた。
「あれはマヌカビーの足跡なのだろうか?」
足跡は、この一本しか見当たらない。
部屋の奥は見えないが、長く廊下のように続いている感じがした。
俺はダガーの一本にマジックトーチを掛けた。
それを割れ目の奥に向かって投げ放つ。
魔法で光るダガーは、3メートルほど先で突如消えた。
なんだ!?
消えましたね~??
3メートルほど先から何かが可笑しい。
しかし、視覚的には異常は見付けられない。
俺はゆっくり部屋の中に入ってみた。
部屋の中は今までと大して変わらない。
静かで湿っぽい。
これといって目立った物は何もない。
だが、床の足跡が3メートル先で切れていた。
ここで投げたダガーも消えたのだ。
俺はそこに魔法で光るショートソードの切っ先を進めてみた。
すると光る刀身が消える。
光も消える。
しかし、ショートソードを引き戻してみると、ショートソードの刀身もあるし普通に光ってもいた。
なるほどね。
「ここから先が、別空間になっているのかな?」
人が入っても大丈夫かな?
大丈夫じゃあないよね?
マヌカビーは、ここに入ってから消えたのだからさ。
でも、入らないと話は進まないよね。
怖いけど入ってみるか……。
ちょっとずつ入ってみよう。
俺はまず手を入れてみた。
右手を手首まで入れるが、こちら側からだと、手が斬れているように消えて見えるだけだった。
痛みも何もない。
引っこ抜くと手は元通りに戻る。
「生身でも大丈夫そうだな」
今度は顔を突っ込んでみた。
すると向こう側の世界が見えた。
燦々と日が当たる眩しい世界で、お花畑が広がっていた。
ただただお花畑の平地が広がっているだけだ。
雨のせいで湿っぽい向こうの世界とは全然違った。
空気も暖かいし、花の良い匂いが漂っている。
なんか凄く住みやすそうな気候である。
俺が自分の身体のほうを見れば、こちら側に突っ込んでいる部分しか見えていなかった。
まるで俺の身体が空間から生え出て浮いているような感じだった。
「不思議だな──」
俺は全身をお花畑の世界に入れてみる。
なんともないな。
俺は全身を確認したが異常は何もない。
念のために、もう一回戻ってみた。
「ちゃんと戻れるな」
どうやらここに見えない次元の出入り口があるようだ。
俺はお花畑ステージ内を回って、これからマヌカビーを捜索しようと思う。
これだけ豊かな自然があるのなら、マヌカビーは生きているかも知れない。
水も確保出来そうだし、食料も取れるかも知れないからね。
生存の可能性は十分にあるだろう。
俺は見えない異次元扉がある位置に、目印として、さっきのスケルトンが持っていたロングソードを突き刺しといた。
出入り口が見えないのだ、一度離れたら出入り口を見失いかねない。
だから目印は大切だろう。
「これで出口が分からなくなることはないだろうさ」
マヌカビーが戻らない理由は、出口が分からないからって理由もありそうだからな。
さて、問題は、このお花畑の何処にマヌカビーが居るかだ。
「さてさて、探すか……」
本格的に捜索開始である。
雨が降る森の景色には蛇の尻尾を有した猿の姿は見えない。
あれだけの数が居たのに、何処に隠れたのか不思議なぐらいだ。
「どこに行っちまったんだ、猿どもが……」
とりあえず俺は安心して弓矢を下げた。
俺が飛び込んだ遺跡は、件の初心者ダンジョンがある場所だ。
遺跡は崖のような岩場をくり貫かれて作られた、ダンジョン風の遺跡である。
俺の手元には遺跡内の図面が描かれたマップもある。
たいして広い遺跡でもないし、前回初心者パーティーによって掃除もされたばかりだ。
おそらくまだ新手の住人もほとんど居ないだろう。
本来なら空のはずだが、無警戒に進むわけにも行かない。
万が一ってこともある。
俺は念のためにショートソードを抜いて警戒を怠らない。
「どうするかな~」
まずは濡れた服でも着替えようかな。
ちょっぴり寒いしな。
このままでは風邪を引きかねん。
そうして俺がショートソードを置こうとした時である。
遺跡の奥から僅かな物音がした。
カチャリ、カチャリと歩むテンポで音がする。
風や雨の音ではないだろう。
「何かが居るのかな?」
初心者パーティーどもが掃除を済ましているはずだ。
でも、一週間前の話だしな。
もう、新たなモンスターが巣くったのだろうか?
これは着替えている場合ではないだろう。
俺は忍び足で奥に進んだ。
隣の部屋を覗けばノサリノサリと人影が三体ほど動いている。
「あら、スケルトンだな。しかも甲冑をフル装備だよ。リッチだね~」
スケルトン三体はスケールメイルに丸い盾を持ち、各々が別々の武器を持っていた。
ヘルムやガントレットもちゃんとつけていやがる。
「兵隊の死体だったのか?」
ヤツらの武器は、ロングソード、メイス、ハンドアックスだ。
三体のスケルトンは、部屋の中をひたすらにフラフラと彷徨っていた。
なんだろう?
ただ迷い込んだだけのモンスターなのかな?
「まあ、いいや。やっちまおう。スケルトンぐらいなら軽く絞められるだろうさ」
俺は異次元宝物庫からメイス+2を取り出して左手に持った。
右手にはロングソード+2を取り出して装備する。
「ソードとメイスの二刀流だぜ!」
メイス+2は所有者の腕力小向上に命中率向上だ。
ロングソード+2はアンデットにダメージ特効向上と攻撃速度向上だ。
「どちらともにマジックアイテム+2の二刀流だ。合計+4の二刀流とは豪華絢爛だぜ!」
よし、やるぞ!!
俺は大きく息を吸ってから飛び出した。
速攻である。
俺はスケルトンたちが奇襲を感知する前に背後から駆け寄った。
そしてスケルトンが振り返るころには俺の間合に敵を捕らえる。
「先手、取ったり!」
俺の先手はロングソードを持ったスケルトンの脳天を背後からメイスでぶん殴りつけた。
激音と共にスケルトンが被っていたヘルムがへこんで頭蓋骨が胴体の中までめり込んでしまう。
すると俺の奇襲に気が付いた二体のスケルトンが武器を翳して襲い掛かって来た。
二体目のスケルトンが縦振りにメイスを振るって来るが、俺はメイスを盾にメイスを受け止めると、ロングソードの一突きでスケルトンの顔面を突き破る。
スケルトンの眉間から入ったロングソードの刀身が後頭部まで貫通した。
「おおりゃあ!!」
俺は顔を刺したままスケルトンの体を力任せに振り回し三体目のスケルトンに投げ付けた。
下半身に顔を潰されたスケルトンが当たると三体目のスケルトンはバランスを大きく崩してよろめいてしまう。
そこに俺のメイスがアッパーカットのラインで振り上げられる。
「そりゃ!」
ぱこーーん、っと爽快な音が鳴った。
するとスケルトンの下顎だけが遠くに飛んで行く。
そしてロングソードの横振りで首を斬り落としてやる。
なんともナイスな斬れ味だった。
流石はアンデッド特効だぜ。
三体のスケルトンはどれも動かなくなった。
瞬殺である。
「よし、スケルトン全体を撃破したぞ。チョロイな」
俺はすぐさま動かなくなったスケルトンの死体を漁った。
全部で17Gをゲットしたが、それ以上の物は持っていなかった。
「マジックアイテムはなしか……。ショボイな~」
まあ、雑魚だったから、こんなもんですかね。
俺はそのまま勢いを保ちたかったので、奥を目指すことにした。
濡れた服を着替えるのをやめる。
「直ぐに乾くだろうさ」
やがて直ぐに件の割れ目を発見した。
「ここかな?」
4メートルぐらいの壁に、人が一人通れるぐらいの亀裂が走っていた。
この割れ目にマヌカビーが入って行って消えたのだろう。
割れ目には不振な点は見当たらない。
何気ないただの割れ目だ。
「どれどれ~」
俺はマジックトーチが掛かったショートソードを割れ目に突き入れて覗いてみた。
亀裂の中は部屋のようだった。
床を見れば埃の上に足跡が残されている。
その足跡は、部屋の奥に進んで行っていた。
「あれはマヌカビーの足跡なのだろうか?」
足跡は、この一本しか見当たらない。
部屋の奥は見えないが、長く廊下のように続いている感じがした。
俺はダガーの一本にマジックトーチを掛けた。
それを割れ目の奥に向かって投げ放つ。
魔法で光るダガーは、3メートルほど先で突如消えた。
なんだ!?
消えましたね~??
3メートルほど先から何かが可笑しい。
しかし、視覚的には異常は見付けられない。
俺はゆっくり部屋の中に入ってみた。
部屋の中は今までと大して変わらない。
静かで湿っぽい。
これといって目立った物は何もない。
だが、床の足跡が3メートル先で切れていた。
ここで投げたダガーも消えたのだ。
俺はそこに魔法で光るショートソードの切っ先を進めてみた。
すると光る刀身が消える。
光も消える。
しかし、ショートソードを引き戻してみると、ショートソードの刀身もあるし普通に光ってもいた。
なるほどね。
「ここから先が、別空間になっているのかな?」
人が入っても大丈夫かな?
大丈夫じゃあないよね?
マヌカビーは、ここに入ってから消えたのだからさ。
でも、入らないと話は進まないよね。
怖いけど入ってみるか……。
ちょっとずつ入ってみよう。
俺はまず手を入れてみた。
右手を手首まで入れるが、こちら側からだと、手が斬れているように消えて見えるだけだった。
痛みも何もない。
引っこ抜くと手は元通りに戻る。
「生身でも大丈夫そうだな」
今度は顔を突っ込んでみた。
すると向こう側の世界が見えた。
燦々と日が当たる眩しい世界で、お花畑が広がっていた。
ただただお花畑の平地が広がっているだけだ。
雨のせいで湿っぽい向こうの世界とは全然違った。
空気も暖かいし、花の良い匂いが漂っている。
なんか凄く住みやすそうな気候である。
俺が自分の身体のほうを見れば、こちら側に突っ込んでいる部分しか見えていなかった。
まるで俺の身体が空間から生え出て浮いているような感じだった。
「不思議だな──」
俺は全身をお花畑の世界に入れてみる。
なんともないな。
俺は全身を確認したが異常は何もない。
念のために、もう一回戻ってみた。
「ちゃんと戻れるな」
どうやらここに見えない次元の出入り口があるようだ。
俺はお花畑ステージ内を回って、これからマヌカビーを捜索しようと思う。
これだけ豊かな自然があるのなら、マヌカビーは生きているかも知れない。
水も確保出来そうだし、食料も取れるかも知れないからね。
生存の可能性は十分にあるだろう。
俺は見えない異次元扉がある位置に、目印として、さっきのスケルトンが持っていたロングソードを突き刺しといた。
出入り口が見えないのだ、一度離れたら出入り口を見失いかねない。
だから目印は大切だろう。
「これで出口が分からなくなることはないだろうさ」
マヌカビーが戻らない理由は、出口が分からないからって理由もありそうだからな。
さて、問題は、このお花畑の何処にマヌカビーが居るかだ。
「さてさて、探すか……」
本格的に捜索開始である。
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