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24・アンドレア、カンドレア、チンドレア
しおりを挟む それに市川が答える前に、黒髪の彼が飲み物を持ってきた。
銀縁メガネの奥、真っ黒な瞳が私たち二人を捕らえる。
「どうぞ、紅茶です」
「「ありがとうございます」」
どう接して良いか分からない私たちに、市川が紹介してくれる。
「山田歩くん。僕と同じ三年生で、生徒会副会長をしてくれているんだ」
その紹介に、山田先輩は軽く頭を下げる。
なかなか好青年のよう。剣道部の主将みたいね。
なんて思っていたら。
「ちなみに彼は、剣道部の部長もしているんだ」
また、ぺこり。綺麗なお辞儀だ。
……彼は見たままってことなのね。
にしても、同じメガネ男子のケイとは全然好感度が違う。
きっと副会長をしているくらいだから頭の方もよろしいんだろうけれど、鼻にかけてないし、何より寡黙なところが硬派って感じよね。
ふんふん、と一人分析を行っていると、市川が話の続きを始めた。
山田先輩の方は生徒会の仕事に戻っていったようだ。
「それでね、君たちをここに呼んだのは、君たち二人に生徒会役員になってもらいたいからなんだ」
まるで「今日の晩御飯は肉じゃがよ」と伝えた今朝の母のように、何でもないことのような顔をして市川は爆弾を落とした。
その爆弾を避ける為に、私は臨戦態勢を取る。
「えっと、突然のことで、何が何やら……ねぇ、一花?」
しかし、王子様は平民の言うことなど聞きゃしない生き物だった。
「僕が君たちを選んだのはね。君たちが今年の一年生の中で一番成績が良かったからなんだ。別に強制をするつもりはないよ。だから、この一か月間は様子を見ていたんだ。部活に入ったり、課外活動に専念したいようなら勧誘するつもりはなかった。でも、君たちは特に何かをしている感じじゃなかったからね」
お道化たように肩を竦めるも、結局それって何にもしないなら生徒会入れってことですよねー。
って、冗談じゃないわ。
銀縁メガネの奥、真っ黒な瞳が私たち二人を捕らえる。
「どうぞ、紅茶です」
「「ありがとうございます」」
どう接して良いか分からない私たちに、市川が紹介してくれる。
「山田歩くん。僕と同じ三年生で、生徒会副会長をしてくれているんだ」
その紹介に、山田先輩は軽く頭を下げる。
なかなか好青年のよう。剣道部の主将みたいね。
なんて思っていたら。
「ちなみに彼は、剣道部の部長もしているんだ」
また、ぺこり。綺麗なお辞儀だ。
……彼は見たままってことなのね。
にしても、同じメガネ男子のケイとは全然好感度が違う。
きっと副会長をしているくらいだから頭の方もよろしいんだろうけれど、鼻にかけてないし、何より寡黙なところが硬派って感じよね。
ふんふん、と一人分析を行っていると、市川が話の続きを始めた。
山田先輩の方は生徒会の仕事に戻っていったようだ。
「それでね、君たちをここに呼んだのは、君たち二人に生徒会役員になってもらいたいからなんだ」
まるで「今日の晩御飯は肉じゃがよ」と伝えた今朝の母のように、何でもないことのような顔をして市川は爆弾を落とした。
その爆弾を避ける為に、私は臨戦態勢を取る。
「えっと、突然のことで、何が何やら……ねぇ、一花?」
しかし、王子様は平民の言うことなど聞きゃしない生き物だった。
「僕が君たちを選んだのはね。君たちが今年の一年生の中で一番成績が良かったからなんだ。別に強制をするつもりはないよ。だから、この一か月間は様子を見ていたんだ。部活に入ったり、課外活動に専念したいようなら勧誘するつもりはなかった。でも、君たちは特に何かをしている感じじゃなかったからね」
お道化たように肩を竦めるも、結局それって何にもしないなら生徒会入れってことですよねー。
って、冗談じゃないわ。
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