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27【オルゴール】
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さて、少し泡銭を手に入れたからチルチルたちの晩御飯でも買いに行ってから帰ろうか。今日の晩御飯は何にしようかな。迷ってしまう。
買った食材はアパートの冷蔵庫に入れておけば問題なかろう。向こうで半日過ぎてもこちらでは1時間程度しか時間が過ぎていないのだ。食材を買い込んでおいても商品の消費は異世界のほうが早くなる。だから少しぐらい買い込んでも問題ないはずだ。
それとシャンプーとリンスも在庫を買って置かなければなるまい。ならばホームセンターで段ボール買のほうがお得だろうな。
よし、これからホームセンターで買い物だ。確かホームセンターの入り口横に小さなフードコーナーのテラスがあったはずだ。そこで焼きそばでもお土産に買って帰ろうかな。
たぶんチルチルは麺類を食べたことがないはずだ。焼きそばなんて珍しくってビックリするだろう。またまたチルチルの驚く顔が見れそうだぞ。それだけでワクワクしてくる。
それから俺はホームセンターでシャンプーとリンスの詰め替え用パックを段ボールで買い込んだ。普通に生活していてシャンプーの段ボール買いなんでしないから少し不思議な感覚である。流石にこれだけの量のシャンプーなんて一人では使い切れない量だからな。
それと店内を回っていてオルゴールを見つける。これは珍しいなっと俺は小型のオルゴールを手に取った。
それは手の平サイズの小型で、小さな回転式のレバーが付いているクラシックな作りのオルゴールだった。中身の仕組みが丸見えで丸い筒が回転してピンを弾くことで音色が奏でられているのがすべて見える作りである。
先程の金券ショップのカウンターでオルゴールで暇つぶしをしていたから懐かしさが蘇ったのだろう。それでついつい手に取ったのだ。
俺は試しにオルゴールのレバーを廻してみた。すると可愛らしい音楽が奏でられる。
ティンコンティコンテンテンテン、テンテテテン、テンテテテン。
この曲はなんだったっけな。よく聴く海外の曲である。確かエリーゼの憂鬱だったような。んん~、思いだせん……。
まあ、いいか……。
これをチルチルたち二人のメイドにお土産として買って行く。たまには娯楽用品などで喜んでくれると俺も嬉しいのだが、どうだろうか。少し自信はない。この程度で喜んでくれるかな。
最後にはフードコーナーで注文しておいた焼きそばを受け取ってから俺はアパートに帰った。焼きそばを冷蔵庫に仕舞うと異世界に戻る。すると帰ってきたばかりの俺にチルチルがクンカクンカしながら近づいてきた。
「御主人様。何か美味しそうな匂いがしますね。もしかして、何か美味しい食べ物でも差し入れがあるのですか!?」
チルチルは大きな吊り目を見開きながら口元から涎を垂らしていた。期待に瞳が潤んている。
流石は鼻が効く狼族だな。俺のジャージにこびり付いた焼きそばの香りを嗅ぎつけたらしい。
これは晩飯の匂いだから少し我慢するようにと俺はチルチルに言い付ける。チルチルはモフモフの尻尾をバタつかせながら納得してくれた。待てが出来る娘で助かった。偉い偉い。
それに外を見ればまだ昼だ。昼食ですらまだなのだ。流石に晩飯の話をするのは早いだろう。
それから俺はジャージのポケットからオルゴールをふたつ取り出した。そのオルゴールをお見上げだとチルチルとワカバに差し出す。
チルチルもワカバもオルゴールがなんなのかも解らずに首を傾げていた。やはりこの異世界にはオルゴールなんてないのだろう。だから使い方もわからないのだ。なので俺はレバーを廻して音楽を奏でてやる。
チルチルは奏でられた音楽にビックリしたあとは楽しげにはしゃいでいたが、ワカバのほうは冷めた眼差しでオルゴールを見詰めているばかりである。ワカバは音楽にも興味がないらしい。
「御主人様、これはなんでありますか。こんな小さな物が音楽を奏でるなんて不思議ですよ!」
俺からオルゴールを受け取ったチルチルが無邪気にレバーを廻しながら音楽に耳を澄ましていた。その表情は可愛らしい。
しかし興味がないワカバはムスリとしていた。まるでコンサートの握手会で塩対応するアイドルのように冷めた口調で述べる。
「なんじゃ、この雑音は。これならばコウロギのほうが綺麗に鳴いていると思われるぞ」
やっぱりワカバは気に入ってないらしい。しかもオルゴールの音色をコウロギなんかと比べてやがる。更には自分の分のオルゴールを俺に対して差し戻した。マジで可愛くないな、この独眼娘は……。
だが、この反応がワカバである。有難うと感謝しながら長くて細い生脚にキスがしたくなるほとであった。確実に俺のM心を擽ってくるのだ。
まあ、要らないならいらないでいいさ。ならばこのオルゴールはお金に替えよう。この異世界にオルゴールが無いのならば高く売れるはずだ。チルチルの反応を見るからに評価は上々だからな。
そう思いながら俺が窓の外を見てみると、中庭の木の下でショリーンお嬢様を見つける。
彼女はショセフ夫妻の一人娘で、まだ6歳か7歳程度の幼女である。背丈もチルチルよりも小さいし幼く見える。
そして、ショリーンお嬢様は木の下で若いメイドと一緒に何かを作っていた。どうやら周りに咲いているお花を摘んで髪飾りを作っているようだ。なんとも乙女チックで可愛らしいことである。
俺は自分の骨手の中に残るオルゴールに視線を落とした。そして思いつく。
そうだ、これをショリーンちゃんにあげよう。彼女ならばチルチルのように笑顔で喜んでくれるはずだ。
それに彼女もショスター家の一員である。彼女と物々交換するのもありだろう。あの作り立ての花の髪飾りとオルゴールを交換するのもロマンチックで悪くない。ありである。
そう思いついた俺は裏庭に出向く。俺のロリコン心が疼いていた。ルンルンである。
買った食材はアパートの冷蔵庫に入れておけば問題なかろう。向こうで半日過ぎてもこちらでは1時間程度しか時間が過ぎていないのだ。食材を買い込んでおいても商品の消費は異世界のほうが早くなる。だから少しぐらい買い込んでも問題ないはずだ。
それとシャンプーとリンスも在庫を買って置かなければなるまい。ならばホームセンターで段ボール買のほうがお得だろうな。
よし、これからホームセンターで買い物だ。確かホームセンターの入り口横に小さなフードコーナーのテラスがあったはずだ。そこで焼きそばでもお土産に買って帰ろうかな。
たぶんチルチルは麺類を食べたことがないはずだ。焼きそばなんて珍しくってビックリするだろう。またまたチルチルの驚く顔が見れそうだぞ。それだけでワクワクしてくる。
それから俺はホームセンターでシャンプーとリンスの詰め替え用パックを段ボールで買い込んだ。普通に生活していてシャンプーの段ボール買いなんでしないから少し不思議な感覚である。流石にこれだけの量のシャンプーなんて一人では使い切れない量だからな。
それと店内を回っていてオルゴールを見つける。これは珍しいなっと俺は小型のオルゴールを手に取った。
それは手の平サイズの小型で、小さな回転式のレバーが付いているクラシックな作りのオルゴールだった。中身の仕組みが丸見えで丸い筒が回転してピンを弾くことで音色が奏でられているのがすべて見える作りである。
先程の金券ショップのカウンターでオルゴールで暇つぶしをしていたから懐かしさが蘇ったのだろう。それでついつい手に取ったのだ。
俺は試しにオルゴールのレバーを廻してみた。すると可愛らしい音楽が奏でられる。
ティンコンティコンテンテンテン、テンテテテン、テンテテテン。
この曲はなんだったっけな。よく聴く海外の曲である。確かエリーゼの憂鬱だったような。んん~、思いだせん……。
まあ、いいか……。
これをチルチルたち二人のメイドにお土産として買って行く。たまには娯楽用品などで喜んでくれると俺も嬉しいのだが、どうだろうか。少し自信はない。この程度で喜んでくれるかな。
最後にはフードコーナーで注文しておいた焼きそばを受け取ってから俺はアパートに帰った。焼きそばを冷蔵庫に仕舞うと異世界に戻る。すると帰ってきたばかりの俺にチルチルがクンカクンカしながら近づいてきた。
「御主人様。何か美味しそうな匂いがしますね。もしかして、何か美味しい食べ物でも差し入れがあるのですか!?」
チルチルは大きな吊り目を見開きながら口元から涎を垂らしていた。期待に瞳が潤んている。
流石は鼻が効く狼族だな。俺のジャージにこびり付いた焼きそばの香りを嗅ぎつけたらしい。
これは晩飯の匂いだから少し我慢するようにと俺はチルチルに言い付ける。チルチルはモフモフの尻尾をバタつかせながら納得してくれた。待てが出来る娘で助かった。偉い偉い。
それに外を見ればまだ昼だ。昼食ですらまだなのだ。流石に晩飯の話をするのは早いだろう。
それから俺はジャージのポケットからオルゴールをふたつ取り出した。そのオルゴールをお見上げだとチルチルとワカバに差し出す。
チルチルもワカバもオルゴールがなんなのかも解らずに首を傾げていた。やはりこの異世界にはオルゴールなんてないのだろう。だから使い方もわからないのだ。なので俺はレバーを廻して音楽を奏でてやる。
チルチルは奏でられた音楽にビックリしたあとは楽しげにはしゃいでいたが、ワカバのほうは冷めた眼差しでオルゴールを見詰めているばかりである。ワカバは音楽にも興味がないらしい。
「御主人様、これはなんでありますか。こんな小さな物が音楽を奏でるなんて不思議ですよ!」
俺からオルゴールを受け取ったチルチルが無邪気にレバーを廻しながら音楽に耳を澄ましていた。その表情は可愛らしい。
しかし興味がないワカバはムスリとしていた。まるでコンサートの握手会で塩対応するアイドルのように冷めた口調で述べる。
「なんじゃ、この雑音は。これならばコウロギのほうが綺麗に鳴いていると思われるぞ」
やっぱりワカバは気に入ってないらしい。しかもオルゴールの音色をコウロギなんかと比べてやがる。更には自分の分のオルゴールを俺に対して差し戻した。マジで可愛くないな、この独眼娘は……。
だが、この反応がワカバである。有難うと感謝しながら長くて細い生脚にキスがしたくなるほとであった。確実に俺のM心を擽ってくるのだ。
まあ、要らないならいらないでいいさ。ならばこのオルゴールはお金に替えよう。この異世界にオルゴールが無いのならば高く売れるはずだ。チルチルの反応を見るからに評価は上々だからな。
そう思いながら俺が窓の外を見てみると、中庭の木の下でショリーンお嬢様を見つける。
彼女はショセフ夫妻の一人娘で、まだ6歳か7歳程度の幼女である。背丈もチルチルよりも小さいし幼く見える。
そして、ショリーンお嬢様は木の下で若いメイドと一緒に何かを作っていた。どうやら周りに咲いているお花を摘んで髪飾りを作っているようだ。なんとも乙女チックで可愛らしいことである。
俺は自分の骨手の中に残るオルゴールに視線を落とした。そして思いつく。
そうだ、これをショリーンちゃんにあげよう。彼女ならばチルチルのように笑顔で喜んでくれるはずだ。
それに彼女もショスター家の一員である。彼女と物々交換するのもありだろう。あの作り立ての花の髪飾りとオルゴールを交換するのもロマンチックで悪くない。ありである。
そう思いついた俺は裏庭に出向く。俺のロリコン心が疼いていた。ルンルンである。
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