工業高校の生徒が異世界転生したらいきなり薬という概念を生み出せと言われたんだが？！

歓迎会と二人の女の子

　三時間くらい寝ただろうか。　

　そういえば寝る前に机に置いておいた薬草をみてみようか。そう思い神の使いからもらったスキルのひとつの鑑定を使った。

　ふつうに考えると鑑定と調合なんてスキル持ってたらもともと薬の知識なんてなくてもいいんじゃないかと思うが一応薬を少しでも学んでいた方が説得力があるということらしい。

　とりあえず鑑定スキルを使って薬草をみるとハッカとでた。これについては俺も学んだことがある。

　ハッカは頭痛や目眩を軽減してくれるもので風通しの良い日の直接当たらないところに置いておくだけでいいっていうとても簡単に役立つものだ。

　これなら沢山集めて置いても悪いことはなさそうなので明日にでも集めて来ようかな。

　ゴブリンを倒さないといけないけど今日の感じを考えると簡単だろうと思う。

　そうこうしていると扉をノックされたので、「はい」とノックに答えるとティナが部屋に入ってきた。

　「桐也さんもうすぐ食事ですので下に降りてきてください」
　「食事まで用意していただきありがとうございます」

　食事ということを伝えたティナはそそくさと下の階に降りていった。

　俺もそれに続き降りていくと賑やかな声が聞こえてきた。

    不思議に思いつつも部屋に入るとそこには多くの人が集まり祭りでもあるように騒いでいた。

    唖然としていると先程村の入口で話した男性と一人の老人が近づいてくる。

    二人は俺の前で止まり話しかけてきた。

　「この人がティナとローナを助けてくれた人です。」
　「あぁ、この人が」

　老人は俺のほうに向き直り、

　「この度はティナとローナを助けていただきありがとうございます。助けていただいたお礼という訳ではないですが、今日はあなたの歓迎会を開こうと思います。お楽しみください。」

　そう言い老人と男性は一礼したあと他の集団のところに入って行った。

　それを見送った俺はティナとローナを探すことにした。

　この中でわかる人がその二人くらいしかいないからだ。

　少し周りを見まわすとすぐにわかった。二人は壁際で二人で談笑している。

　話している人のところに入っていくのはあまり得意ではないが一人で突っ立っているよりはマシなので話しかけることにした。

　二人に話しかけるとティナは笑顔で返事を返してくれたけどローナの方は会話を邪魔されてか少し不機嫌そうにしていた。

　少し話しているとローナも会話にはいってくれ、三人で今日のことやこれからのことを話していた。

　すると周りからすごく見られている気がする。

　その視線は主に男性からきているものだった。そこで俺は理解した、俺がこの女子二人と話しているからだ。

　確かにさっきまでは戦闘の後であまり考えてなかったが二人とも顔立ちもよくスタイルも良い。

　ティナは長い黒髪に整った顔立ち、胸もそれなりにあり、人当たりも良いのですごくモテるだろうと思う。

　ローナは銀髪碧眼とシュートカットの女の子でティナ身長も小さく可愛い女の子だ。

　こんな女の子二人とよそ者の男が楽しく会話してたらそりゃ反感を買いそうだよなと思った。

　反感を買うのは嫌なので話はそこそこに食事をして外に出た。外はすっかり暗くなっていて空にはきれいな星がたくさん輝いていた。

    向こうの世界だとほとんど見れなくなった空に感動しつつも太陽同様に二つある月に苦笑し夜を過ごしていた。

    十分くらい空を眺めていると少し寒くなったので中に入って貸してもらっている部屋に行く。

    このまま今日の出来事を思い出していると下の階でも声が徐々に小さくなっていった。
    
    そろそろ終わりだろうと思いつつ部屋から星空を眺めることにした。