工業高校の生徒が異世界転生したらいきなり薬という概念を生み出せと言われたんだが?!

歌づくし

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俺が異世界転生してしまったんだが?!

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 目の前のモンスターが炎で包まれる。炎に包まれたモンスターは倒れ、灰になったあと光に包まれ消えた。モンスターがいた場所には硬貨と草があった。その硬貨と草を拾い腰にかけた袋に押し込むと次のモンスターを探して歩き出す。こんなことをして三年以上を過ごしてきた。俺はいつまでこの生活を続ければいいのだろうか。いつになったら元の世界に戻れるのだろうか。そんなことを考えながらも俺はまたモンスターを狩りに行く。
 

 目を開けると周りは真っ白で殺風景な部屋だった。なぜ俺はここに居るのか、そう考えるが頭が痛くなり思い出せない。とりあえず考えることをやめて部屋を見てまわる。


 見て回ったのだがほんとに何も無い部屋、エヴァの綾波レイの部屋よりも殺風景だ。

 そんなことを考えながら見ていると後ろから話しかけらた。

 「あの、少しいいですか?」
 「えっ?」
 いきなり誰もいなかった所から話しかけられて気の抜けた返事をしてしまった。

 振り返って声の方向を見ると白装束に身を包んだ女性がいた。

 「あなたは誰ですか?」
 「私は神の使者です。あなたはこっちの世界に転生されたのでその事を話しに来ました」
 「こっちの世界ってなんですか?それと転生って……」

 いや、そんなラノベの話みたいなことないだろと思いつつ疑問に思ったことを口に出すと、
 「こっちの世界っていうのはよくラノベである異世界だと思ってもらって大丈夫です。これからあなたにはこの世界の問題を解決しに行ってもらいます」

 はいラノベ展開きたーー、とか考えながらも一応話してみる。

 「問題ってなんですか?」
 「問題とはこの世界には薬という概念がないのです。そこにあなたがいって薬という概念を生み出し発展させて欲しいのです。」
 「薬がない、そんなことってあるんですか?」
 「普通はそんなことないんですけど……、世界というものはだいたいは生まれる前に神が色々な要素を組み合わせて作るんです。例えばどんな生き物を生息させるか、水などはどれくらいあるかなど、その要素を組み合わせる時にこの世界の神が薬がない世界を見てみたいといって薬という要素を入れなかったんです。そしたらまぁ、薬という概念が生まれなかったんです。」

 そんな馬鹿なことを神がしてしまったという話を聞かされ呆れつつもなぜ俺が転生されたのか気になってきた。

 確かに転生前は薬について学んでいたが俺はまだ高校生で俺よりも知識も技術のある人はいっぱいいる。
 そんな俺の考えを見越したように女性は俺が転生された理由を話し始めた。

 「一応これまでにも数人大人の方を転生させてもらったんですけど、全員が全員転生してまで薬に関わりたくないって言うんですよ。そんなわけでまだ学生のあなたが選ばれたんです」

 あぁ、そういう事か、確かに製薬会社の人とかめっちゃ大変そうだしね。
 別に俺じゃなくても良かったんだね。
 まぁそんなことはどうでもいいや。

 「ここまで来てなんですけどこの問題解決してもらえますか?」
 「別にいいですよ、どうせ断っても元の世界に戻れないんでしょ」
 「えぇ、断られたらそのまま成仏してもらうしかないんですよね。問題が解決した場合は元の世界に戻れるんですけど……」

 やっぱりか、こういう話のお約束だよね。こうなったらもう異世界を楽しむしかないでしょ。
 こうして俺は異世界で薬を生み出すことにした。
 
 女性との話が終わると俺は森の中にいた。
 場所の把握のために少し森の中を歩くと木の開けた場所に来た。
 そらを見ると太陽がふたつあるいかにも異世界って感じの空をしている。それにでっかい鳥というか明らかにモンスターと言えるような生き物もいる。

 こっちに来る前にいくつか説明を受けたがその中にモンスターの話もあった。

 この世界のモンスターは倒すとお金と薬草を落とすらしい。生薬などを作るときにはこの薬草を使うといいらしいがこの世界には草を食べたりするという発想はなく、草は燃やしたりすることにしか使われていないらしい。
 だからまずそこから教えないといけないと言われた。

 それと俺が異世界で生きていくためにステータスの強化といくつかのスキルを貰った。ステータスはそのままでもある程度のモンスターは倒せると言っていたし、スキルとしては調合のスキルなどもあるのであまり苦労しなさそうだ。

 そういう事だから少し弱そうなモンスターで試してみたいが空の奴には攻撃できそうにないし周りにそれ以外のは居ないので諦めようとおもったところで近くから女性の悲鳴が聞こえた。

 悲鳴の方に走っていくと二人の女性が数匹のモンスターに襲われていた。

 見た目的におそらくゴブリンだと考えた俺はゴブリンなら勝てると思い足元に落ちていた石を投げてみた。

 そうすると見事ゴブリンに命中。石が頭に当たったゴブリンは頭が吹っ飛んだ。
 いや、威力強すぎじゃね?

 それを見た他のゴブリンは俺の方向を見たが勝てないと考えてか四方に逃げていった。

 ゴブリンがいなくなったので襲われていた女性二人に歩み寄り話を聞くことにした。

 「あの、大丈夫ですか?」 
 「えぇ、大丈夫です。助けて頂きありがとうございます。私はティナ、この子がローナと言います。」

 ティナと名乗った女性は腰に刀を下げてRPGの剣士の女性アバターのような格好をしていて、ローナの方はティナよりも小柄の女の子で女神官のような格好をしていた。

 「いぇ、襲われているのがみえたので行動しましたが不要だったかもしれませんね。」
 ティナと名乗った女性の腰にある刀をみて俺は言った。

 「いや、私たち二人だけだとあの数は相手に出来ませんでした。感謝します。」
 「それなら良かったです。自分は桐也《とうや》と言います。」
 「桐也さん、助けてもらったお礼がしたいので迷惑でなければ私たちの暮らしている村に来ませんか?」
 「ありがとうございます。うれしいです。行くあてもなかったので」
 少し行くか考えたが別に断る理由もないので行くことにした。

 「それはよかった。それなら今から村まで案内しますね。」とりあえずさっき倒したゴブリンから出た硬貨と薬草を拾ってから歩き始めた。

 そのままティナとローナについて歩いているがティナは途中途中でここら辺の話をしてくれたりするがローナはこちらから話しかけても「うん」とか「はい」とかしか答えてくれずローナとは話がもりあがらないまま村に着いた。

 村の入口近くまでいってまわりをみると木造の建物が多くならんでいるような場所で小さい子供なども走り回っていたり、老人が話をしていたりするような穏やかそうな場所だった。

 村に入ろうとすると穏やかな空気には似合わないような防具と武器を持った男性が道を阻んできた。

 「ティナ、ローナ、その人はだれだ。」

 男性は俺の事を見ながら言ってきた。
 するとティナがさっきゴブリンの群れに襲われたこととそこを俺が助けたことを伝えると男性は呆れたように

 「だから女二人で狩りに行くなと言っていたのに……まぁその話はあとだ。」

 そう言うと男性は俺のほうに向き直り、

 「二人を助けてくれてありがとうございます。ゆっくりこの村で休んでください。長には私から話しておきますので」

 そういい男性は俺たちを通してくれた。

 そのまま俺達は中に入り一軒の木造の建物の所まできた。

 「ここは私たちが暮らしている家です。二階に空いている部屋があるのでそこを使ってください。中に入ると誰かいると思うのでその人に私たちの紹介できたと言ってくれたらすぐに部屋を教えてもらえると思います。一緒に行きたいのですが私達は長への報告に行った方が良さそうなので」
 「わかりました。ありがとうございます。それではまた後で」

 そういい二人と別れてこの建物に入って行った。

 中に入ると一人の女性がいた。
 いきなり入ってきた俺に驚いていたが二人のことを話したら理解してもらえたようで二階の部屋に案内してくれた。

 部屋にはベッドがひとつとクローゼット、小さい机があるだけで他には何も無いが、空いている部屋というからホコリなどが多くあるかとおもっていたけど、ホコリなどは全くなく綺麗に掃除された部屋だった。

 俺は持っていたものを机の上に置き、ベッドに座ると疲れが出てきたのか眠気に襲われた。そのまま眠気に抗えないまま少しの間眠りについた。
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