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翡翠の守護書庫 15

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「おっとすまない、確かラインバース君だったね、私は素材研所長のモックだよろしく。あの入学試験の衝撃が忘れられなくてつい通り名でっ呼んでしまったよ、まさか新作の城壁用ミスリル3層防壁が破られるとは思わなくてしばらく呆然としてたよ、君の魔法なら攻城戦等でも役に立つはずだ、立ち話も何だ、こちらにどうぞ、あ、散らかってるから気を付けて」

 廊下には扉の前以外には何か良く分からない素材や金属の板等雑多に物が置かれていた、出てくるときこれらの何かに引っかかり崩れたのだろう。
 其れよりも、まず攻城戦なんてする予定は無い!それにあの時はとりあえずどのくらい威力が出るのかなぁ~と思って魔力を100ぐらい使って威力向上のために土を思いっきり硬質化させて飛ばす為に加速させるのにも力入れてたから的をぶち壊せただけなのだ、また、盗賊に使ったのだと範囲が広かったが弾として打ち出すとき硬質化をゆるくしてスピードもそこそこに打ち出したので同程しか魔力を使ってない、歩きながら軽く答えておこう。

「いえいえ攻城戦なんてする予定は無いですよ、それにあの魔法は魔力を100ほど使う物なのでそうそう連発できませんので」
「ほうほうほう、あれをそれほどの魔力でですか、君はかなり魔力効率が高いようですね。知っていますか、土属性の魔法は土と言う実体を使うのでミスリルの防魔力の効果が半減してしまうのですよ、他の魔法に比べて燃費がやや悪いと言わざる負えないですが、ここまでの威力が有ると末恐ろしい物ですな今後は物理と魔法の両方の防御の両立を考慮して研究していくことにしましょう。それで、研究の協力内容ですが単純に私たち素材研の作ったものを破壊してください」
「それは魔法ででしょうか?」
「その言い方だと魔法以外にも何かあるのですか?」
「ちょっとスキルで、今日発覚した物が有りまして」
「発覚?それはどのような物でしょうか?」
「お二人ともぉ~、口で説明すよりぃ~実際見てみてわぁ~?」
「そうですね、何か壊してもいい物は有りますか?」
「それならこっちです、いくらでもありますよ」

 案内されたのは応接間ではなく半分屋外の場所だ、弓道場に近い。ただし的の後ろは土ではなくゴツイ金属の壁だ、横から見ると台形に成っている、魔法を外しても大丈夫なようにだろう、これらのさらに奥は外壁だから下手して大穴でも開けようものなら大目玉食らう事になるだろうから気を付けよう。
 モック所長が近くに居た学生を呼び止めた。
「君、今セットしてあるものは何か彼女たちに説明して貰えるかな?」
「はい、えーと今セットしてある的は、鉄とミスリルの合金です、ミスリルの防魔性と鉄の強度を両立させるために比率の検証中の一つです、混ぜてある割合はミスリル3、鉄7の割合で、形状は平坦、湾曲、丸盾の3種類のうちの丸盾状です全体に丸みを帯びさせて強度を高めています」
「よろしい、ではちょっと持ってきて貰えるかい」
 持ってきて貰ったミスリル合金を見ると丸盾状と言うからから裏側は窪んでいて手持ちでも着いてると思ったけどそんなことはなく、平坦に成っている、虫眼鏡を側面から半分にしたような形状だ。大きさは直径1m中央部の厚みは30cm程で結構重たそうだけど運んでくれた人はヒョイッと持ち上げていた。
「これはさっきの説明の通りミスリルと鉄の合金で、君の魔法に耐えるためには、と言うテーマで作ってみた物なんだ」
 ついこの前の事なのにもう対策を立てようとして居るのか、的を壊された事への恨みか、はたまた研究者の好奇心か、おそらく後者だろうが脱帽する速さだ。

「それはそれは、過分な評価?をして頂いたようで恐縮です」
「恐縮する必要は無いですよ、むしろ協力してくれることに感謝しています、これまでこれらの性能試験はどうしても強力な攻撃手段が必要で物理的な攻撃は何とかなっているのですが、強い攻撃魔法はなかなか担い手が居らず、数日に一度魔法研の方から人を寄越してもらって、そこそこの威力の魔法を打ち込んでもらっていたんですよ、魔法研にはもちろん上級魔法を使える教員も居ますがそれらを行使するのは自身の研究か魔物の討伐のために使うのでたまに研究内容が合致した場合などを除いてなかなか協力して貰えないんです」
「なるほど、ところで攻撃はスキルでも問題ないんでしょうか?」
「物によるけど攻撃系スキルではないのかい?」
「採掘スキルなんですけど、どうでしょうか?」
「ふーむ、採掘スキルで試した事は無いけど、スキルも魔法同様にミスリルで威力の低下が起こるのは確認されているからやってみようか、ダメだったら魔法で攻撃してみてほしい」

 最初のお仕事は採掘スキルでミスリル鉄を破壊することか、どうなる事やら、単魔法の箱マジックボックスから木製のウォーピッケルを取り出す、ガーズ教官からどうせ誰も使わないから持ってけと言われたのでそのまま所持している、決して盗んで来たのではない。
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