閉じた花

永井晴

文字の大きさ
上 下
1 / 1

閉じた花

しおりを挟む
可憐なその子は影に隠れる

青葉にも枯葉にも似ない容姿

憐れむ誰かの呼吸に傷つく

あんなにも暮れた陽の紅のように

ぱっと咲いて、ぱっと消える

夢のように生きる人

きっと回転は終わりなく

胸の奥地に見る秘宝

上の方まで連れてゆくのでしょう

風船は遠く街を離れて

開いた手のひら枯れ穂を仰ぎ

続く変化もこの地に別れ

光った命、加速度つけて、

星の降る空をいつまでも飛んでゆくあの子

見送る人たちのキスなんて何も届かないもの

そして今日も夕暮れが来て

置いていく嘘に現を抜かす人々の群れ

それこそ哀れむものなれと

閉じた花輪の蕾が言うと
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ショートショート「母の梅酒」

有原野分
現代文学
過去作品です。 ※2018年の作品です。

春きたる虚舟

山の端さっど
現代文学
コーヒーフィルター切り刻む病魔 春きたる 日常に潜むかなしさの俳句

ADHDとともに生きる

卍ェリーナジョリー
現代文学
ADHDを抱える主人公、健二が日常生活の中で直面する困難や葛藤を描いた感動の物語です。一般の会社で働く健二は、幼少期から周囲との違和感や孤独感に悩まされてきました。周りの人々が普通にこなしていることが、彼にとっては大きな壁となって立ちはだかります。 物語は、健二が職場でプレゼンを成功させるところから始まります。自信を持ち始めた彼ですが、同僚とのランチや会議の中で再び浮かび上がる不安。人との距離感や会話のリズムが掴めず、自分だけが取り残されているような感覚に苛まれます。果たして、彼はこの見えない壁を乗り越え、自分を受け入れ、周囲との関係を築いていくことができるのでしょうか? 本作は、ADHDの特性を持つ人々の心情に寄り添い、共感を呼び起こす内容となっています。時にはつらく、時には笑いを交えながら、健二の成長と友情を描くことで、読者に希望と勇気を届けます。自分を受け入れ、前に進む勇気を与えてくれるこの物語は、同じような悩みを抱えるすべての人に贈るメッセージです。 健二が歩む道のりを通して、あなたも自身の「見えない壁」を乗り越えるヒントを見つけることができるかもしれません。どうぞ、健二と共に彼の旅を体験してください。あなたもきっと、心が温まる瞬間に出会えることでしょう。

夏のニライカナイ

真朱マロ
現代文学
詩のカテゴリがなくて戸惑っています ほんの少しだけ日常を離れたくなったときに ニライカナイの見える場所へ いつか 行きたい

春愁

ひろり
現代文学
春休みを持て余している私は、偶然、路上で旅行中の由香里に出会う…というかナンパされた。 迷子になったと泣きつかれ彼女を助けたばかりに、まるで幼稚園児の休日のような退屈な時間を過ごすことに。 絵に描いたような純朴な田舎者の由香里に振り回された女子高生、私の春の出来事。 *表紙はPicrew「lococo」で作りました。 表紙背景はアイビスペイントの既存画像を使っています。 本文中のイラストはPicrew「街の女の子」で作成しました。 *** 十数年前、突然思い立ち移動中の暇つぶしに、携帯でポチポチ打ったものを某サイトにアップ、その後放置、最近見つかりまして。。。 さらに1カ月以上放置の末、勇気を振り絞って読み返しましたが、携帯ポチポチ打ってイライラして読み直すこともなくアップした文章がひどい笑笑 こんなものをよく出せたなあ、いやよく読んでくれたなあとある意味感動です。当時、読んでいただいた方一人ひとりに感謝して回りたいくらい。 若干手直ししてアップしてみる羞恥プレイです。

超短編小説集 2024

いとくめ
現代文学
時間のない活字中毒なあなたに。どれから読んでもかまわない、超短編小説集。 この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。

決戦の朝。

自由言論社
現代文学
こんな小説、だれも読んだことがないし書いたことがない。 これは便秘に苦しむひとりの中年男が朝の日課を果たすまでを克明に描いた魂の記録だ。 こんなの小説じゃない? いや、これこそ小説だ。 名付けて脱糞小説。 刮目せよ!

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

処理中です...