契約に失敗した俺は……。

ど~はん

文字の大きさ
上 下
28 / 71

27.ミス

しおりを挟む
『空を司る天使……、サハクィエルか。』

「さぁ、どうする?大天使さんよ。ここで3対2の契約戦争デスゲームでもするかい?」

サハクィエルの契約者が言うと、大天使ミカエルは彼ら一人一人を見て、

『今日はおとなしく戻ることにします。こんな戦いは私の好みではありませんから。』

「よく言うぜ、人間を操って天使と契約させて、自分は直接手を出さないなんてことをやっているやつが言うセリフじゃねぇ。」

「人間を操って契約を……。そんなことができるのか?フレイヤ。」

サハクィエルの契約者の発言に引っ掛かった幸多だが……、

『フレイヤ…?』

幸多はここでミスをした。

フレイヤという単語が、大天使ミカエルの耳に入ってしまった。

「幸多っ、正体バレないようにしろって言ったあんたがバラしてどうするの!」

沙夜は小さな声で幸多に言った。

「おい、早くサイコロふれーぃや!」

「幸多……、それ誤魔化せてない。」

沙夜は呆れたのだった。

「サイ…コロ?ブリュンヒルデ、私には幸多の言ってることが理解できないんですが。」

フレイヤはブリュンヒルデに聞いた。

「大丈夫ですよ。恐らく誰一人として理解できるものはいません。」

と笑顔で言ったのだった。

そんなやり取りの最中、

「あれ?大天使ミカエルは?」

いつの間にか大天使ミカエルの姿は消えていた。
音もなく―。

そして、彼らも―。

「サハクィエル…空を司る天使。何者なんだ…。」

本当に味方か―、

それとも敵か―、

幸多は心の中でそう思うのだった。

「みなさんは、誰ですか?なぜ、私はここに……いるのですか?」

サタナエルの契約者である少女が言った。

「どうやら大天使ミカエルは、彼女を操ることを諦めたようですね。」

少女はふと、隣をみた。

そこには、

「えっ…え?な…なに?だ……れですか?」

サタナエルがいた。

「もっ、申し訳ありません!」

サタナエルは慌てて普段の姿に戻した。

「サタナエルと申します。我が身はあなたに、この身が尽きるまで捧げると契約を交わした者です。」

「えっ…?身を捧げる……え?え~と。」

少女が戸惑うのも無理もない。

「しかし、サタナエルは天使なのにあんな悪魔みたいな姿になるのか…。」
 
幸多が呟いた。

「そうですね。驚きました。【あの少女の】サタナエルはあんな姿なんだと。」

「ちょっとまて、いま【あの少女の】って言わなかったか?」

「はい、あっ……そういえば説明してなかったですね。召喚と契約の詳しいことを。」

「詳しいこと?聞かせてくれフレイヤ。」

「わかりました、説明します。」

遂に…、

フレイヤによって衝撃的な真実が語られる―。
しおりを挟む

処理中です...