契約に失敗した俺は……。

ど~はん

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69.血の噴水

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「ここまで鉄球が驚異だとはな。さすがと言っておこう」

戦況はブリュンヒルデが有利という状況であるが…………、

「さぁ、降参するか?」

「ふっ……まさかな。ルシファーがこの程度しかできないなとどと思われているなら心外だな」

ルシファーの契約者がそう言うとルシファーの回りから異様な黒々しいオーラが発生する。

「さぁ、準備運動は終わりさ」

『影は絶対なり…………』

ルシファーは両手を不自然に動かし始めた。

「なんだ!?」

するとその瞬間、周りにある電灯の影などが分離するようにいくつもの黒い円となりルシファーの周りに集まる。

「影という力の恐ろしさを知るがいい。影を自由に使いこなせば…………」

いくつもの影の円はブリュンヒルデの周りに集まり始める。そしてすかさずルシファーは影の世界に消える。

「ブリュンヒルデ、気を付けろ」

『はい』

そして…………、

『ぐっ!?』

今までは槍は一本だった攻撃は今度はいくつもある黒い円から一斉にブリュンヒルデに伸びる。

それは360度あらゆる方向から完全にブリュンヒルデを包囲した形で伸びるのだ。

数本はなんとか避けられたものの、その数の多さに勝てずブリュンヒルデに槍が刺さる。

左手……左足……右手……右足……そして腹部から背中……。

いくつもの槍によってブリュンヒルデは串刺し状態に陥ってしまった。

『がはっっっ!!』

心臓、頭部。
急所だけは避けたものの立ってることすらまともにできないほどである。
ブリュンヒルデの周りには血の池が広がり、血を吐くブリュンヒルデ。

「空間を複製するようなことの真似事だ。ルシファーの一撃が複数の影から一斉に放たれる」

これはブリュンヒルデからすると想定を越えた能力である。

「大丈夫かっ!?」

ブリュンヒルデの契約者はブリュンヒルデに近づきたいのだが、それはできない。なぜなら下手に動こうものならあの攻撃が今度は自分にくる可能性があるからだ。

「さぁ、終わらせろルシファー」

溶けるようにブリュンヒルデを貫く黒い槍は消え、ブリュンヒルデは耐えられず倒れ始める。

『終わりだ』

力が抜けてゆっくりと倒れるブリュンヒルデの頭部や首もと、心臓といった主に上半身を狙ってまた無数の槍がブリュンヒルデに伸びる。

次の瞬間、

噴水かのように真っ赤な血が辺りに散ったのであった──。
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