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『果てなき無限の戦闘』第五回編
16.番狂わせ
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「でもさ、狙撃の音なんて聞こえないんじゃない?」
フィールドに銃声が鳴り響く少し前、みつめは疑問に感じていた。
「確かに仲槙の銃声は聞こえないと思うよ。」
「じゃあ、あそこにいるのは無駄なんじゃない?」
春宮が説明する。
「そんなことないさ、仲槙の銃声が聞こえないのはサイレンサーがついてるから。しかし、成山はサイレンサーの重要さを知らないから付けていない。」
「あっ、そっか。それなら音が大きいから聞こえるかも。」
「さらに、仲槙は屋上。音が反射するものがないから音はほとんど空に逃げるだろう。しかし、成山はビルの合間にいる。あそこからなら、音が反射して咲希の耳に届く可能性が大きい。」
場面は仲槙へ。
「成山は何をやっているの?作戦…とも思ったけど、ただ歩いてるだけにも思える。」
仲槙は成山の姿を捕らえているが、なかなかトリガーを引けないでいた。
すると成山が止まる。
「わかったぞ!」
この時点では誰も成山の発言が、なにを意味しているかわからないだろう。
「成山が止まった?」
仲槙や春宮でさえも、立ち止まった成山の様子を見て違和感を感じることしか、できなかった。
やがて成山が動く。
「来たか!」
なんと、成山は空に向かって銃を構え始めたのだった。
「なにやっているの!?」
あまりの衝撃にトリガーに指を掛けるのを忘れる仲槙。
それもそのはず。
なんと成山が狙っていたのは…、
「ここだ!」
大きな銃声が鳴り響く。
ビルの影に光るマズルフラッシュとともに弾丸が空中を駆ける。
そしてターゲットを貫く。
なんと弾丸が貫いたのは
「狙撃って案外簡単だな。」
「なんであいつ鳥狙ってんだ!?」
鳥だった。
春宮もこれには言葉が出ない。
「捕らえました!あの方向ですね!」
その銃声を咲希は逃さなかった。
そして起き上がり崩れ落ちた壁に近づき、立射姿勢でスコープを覗く。
「成山くん、見つけた。」
成山の後ろ姿がスコープに映し出される。
ただ、仲槙の位置はまだわからないためそのまま様子を見ることにした。
場面は再び仲槙へ。
「どうやら作戦はないみたいね。こちらの位置がバレる前に仕留めるわ。」
スコープで上を向いている成山のヘッドに照準を合わせると…。
「まずは1人!」
トリガーを引き始める。
「えっ。」
仲槙がトリガーを引き切る直前。仲槙の思い込みかもしれないが、成山がスコープ越しにこちらに向かって微笑んだ気がした。
しかし、仲槙が理解した頃にはもう弾丸は出ていた。
弾丸はターゲット向かって飛んでいくと思われた。
「仕掛けてきたね。仲槙。」
「なんですって!?」
その鉄の塊は空を切り、地面に凹みを作る。
仲槙は外したのだった。
「仲槙。お前はやってはいけない致命的なミスをしてるよ。」
いや、仲槙が外したのではなく、正確には成山が狙撃をわかっていたため避けたのだ。
「あ、わかったぞ!なぜ成山が鳥を撃ったのか、そして仲槙の狙撃を避けられたのかが!」
「説明して?春宮。」
「仲槙はミスをしている。」
「え?」
場面は成山へ。
「なぁ、仲槙。確かに俺はスナイパーライフルの扱い方をまだ理解してない。素人だ。咲希だって素人さ。だから…、だからこそ!お前はミスをした。」
スコープを覗く。
そして、仲槙が外したことに驚き、再度ボルトを操作して弾丸を装填し、スコープを覗く、その瞬間を狙い成山は撃つ。
「あそこから、立射で!?」
仲槙は反応できなかった。
放たれた弾丸は仲槙のヘッドではなく。
M40A5の機関部を貫き、そのまま右肩を通って抜けていった。
「いっ、たぁ!」
これは半分現実。痛みは本当に貫かれたのと同じ。仲槙は銃を残し、体を回転させて成山の狙えない位置に逃れる。
「仲槙。俺はこの戦いの戦い方を知らない。どうすればいいか正直わからない。でもわかることがある。長い間、一緒のパーティーでお前の戦闘姿を見てきたのは、俺だ。だから仲槙がどこに隠れて、どこから狙撃するか、ある程度把握できた。それが屋上ってことがな。でも、どこの屋上かわからなかった。そんな中、お前はミスをしていた。」
この成山の言葉は当然届いていない。
仲槙は気づいていない。自分の犯したミスに。
それは…、
「相手が素人だと思って、お前は太陽の位置を見失っていたのさ!」
「反射…しているんだよ。太陽を背にして狙うのは狙撃手としての基礎中の基礎。犯してはいけないミスだ。」
「あ…。」
みつめもようやく気づく。
仲槙の成山を捕らえていたスコープは、驚くことに太陽の光を反射させて、成山から見ると光って見えていた!
まさかの思いもよらぬ番狂わせが起きてしまった。
フィールドに銃声が鳴り響く少し前、みつめは疑問に感じていた。
「確かに仲槙の銃声は聞こえないと思うよ。」
「じゃあ、あそこにいるのは無駄なんじゃない?」
春宮が説明する。
「そんなことないさ、仲槙の銃声が聞こえないのはサイレンサーがついてるから。しかし、成山はサイレンサーの重要さを知らないから付けていない。」
「あっ、そっか。それなら音が大きいから聞こえるかも。」
「さらに、仲槙は屋上。音が反射するものがないから音はほとんど空に逃げるだろう。しかし、成山はビルの合間にいる。あそこからなら、音が反射して咲希の耳に届く可能性が大きい。」
場面は仲槙へ。
「成山は何をやっているの?作戦…とも思ったけど、ただ歩いてるだけにも思える。」
仲槙は成山の姿を捕らえているが、なかなかトリガーを引けないでいた。
すると成山が止まる。
「わかったぞ!」
この時点では誰も成山の発言が、なにを意味しているかわからないだろう。
「成山が止まった?」
仲槙や春宮でさえも、立ち止まった成山の様子を見て違和感を感じることしか、できなかった。
やがて成山が動く。
「来たか!」
なんと、成山は空に向かって銃を構え始めたのだった。
「なにやっているの!?」
あまりの衝撃にトリガーに指を掛けるのを忘れる仲槙。
それもそのはず。
なんと成山が狙っていたのは…、
「ここだ!」
大きな銃声が鳴り響く。
ビルの影に光るマズルフラッシュとともに弾丸が空中を駆ける。
そしてターゲットを貫く。
なんと弾丸が貫いたのは
「狙撃って案外簡単だな。」
「なんであいつ鳥狙ってんだ!?」
鳥だった。
春宮もこれには言葉が出ない。
「捕らえました!あの方向ですね!」
その銃声を咲希は逃さなかった。
そして起き上がり崩れ落ちた壁に近づき、立射姿勢でスコープを覗く。
「成山くん、見つけた。」
成山の後ろ姿がスコープに映し出される。
ただ、仲槙の位置はまだわからないためそのまま様子を見ることにした。
場面は再び仲槙へ。
「どうやら作戦はないみたいね。こちらの位置がバレる前に仕留めるわ。」
スコープで上を向いている成山のヘッドに照準を合わせると…。
「まずは1人!」
トリガーを引き始める。
「えっ。」
仲槙がトリガーを引き切る直前。仲槙の思い込みかもしれないが、成山がスコープ越しにこちらに向かって微笑んだ気がした。
しかし、仲槙が理解した頃にはもう弾丸は出ていた。
弾丸はターゲット向かって飛んでいくと思われた。
「仕掛けてきたね。仲槙。」
「なんですって!?」
その鉄の塊は空を切り、地面に凹みを作る。
仲槙は外したのだった。
「仲槙。お前はやってはいけない致命的なミスをしてるよ。」
いや、仲槙が外したのではなく、正確には成山が狙撃をわかっていたため避けたのだ。
「あ、わかったぞ!なぜ成山が鳥を撃ったのか、そして仲槙の狙撃を避けられたのかが!」
「説明して?春宮。」
「仲槙はミスをしている。」
「え?」
場面は成山へ。
「なぁ、仲槙。確かに俺はスナイパーライフルの扱い方をまだ理解してない。素人だ。咲希だって素人さ。だから…、だからこそ!お前はミスをした。」
スコープを覗く。
そして、仲槙が外したことに驚き、再度ボルトを操作して弾丸を装填し、スコープを覗く、その瞬間を狙い成山は撃つ。
「あそこから、立射で!?」
仲槙は反応できなかった。
放たれた弾丸は仲槙のヘッドではなく。
M40A5の機関部を貫き、そのまま右肩を通って抜けていった。
「いっ、たぁ!」
これは半分現実。痛みは本当に貫かれたのと同じ。仲槙は銃を残し、体を回転させて成山の狙えない位置に逃れる。
「仲槙。俺はこの戦いの戦い方を知らない。どうすればいいか正直わからない。でもわかることがある。長い間、一緒のパーティーでお前の戦闘姿を見てきたのは、俺だ。だから仲槙がどこに隠れて、どこから狙撃するか、ある程度把握できた。それが屋上ってことがな。でも、どこの屋上かわからなかった。そんな中、お前はミスをしていた。」
この成山の言葉は当然届いていない。
仲槙は気づいていない。自分の犯したミスに。
それは…、
「相手が素人だと思って、お前は太陽の位置を見失っていたのさ!」
「反射…しているんだよ。太陽を背にして狙うのは狙撃手としての基礎中の基礎。犯してはいけないミスだ。」
「あ…。」
みつめもようやく気づく。
仲槙の成山を捕らえていたスコープは、驚くことに太陽の光を反射させて、成山から見ると光って見えていた!
まさかの思いもよらぬ番狂わせが起きてしまった。
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