【完結】呪いを受けた少女は今日も元気です(子豚になったけど呪われたままでいいかも)

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王子の馬鹿さ加減にうんざりだ

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抜刀した騎士達を見て、パニック状態の貴族たちをよそに『やっと帰れるのね』とひとりでほっとしていると、床に散らばった水晶が太陽の光で断面がキラキラ光っていた。私の足元にも飛んできた水晶が落ちている。

危ないわねと何気に拾うと、拾った水晶の破片は熱を持たないはずなのにじんわり温かい気がした。

「ん?」

そうするうちに、水晶が段々明るく輝きだした。

「んんん?」

そして、目を開けることもできないような眩しい光が部屋中に広がった。何が起こっているのか良く分からないが、私は早く帰ってミゲルが作ったソフトクリームを食べたいだけなのだ。

もちろん、聖女になんてなりたくもない。それに、あの王子と結婚するなどまっぴらだ。変化とは何か分からないが、非情に不味い状態な気がする。

手をぶんぶん振って、破片を手放そうとするのだが水晶がぴったりくっついたように手から離れない。

「なんで離れないのよ!」

段々焦る私を誰かが抱きしめた。

(カイル・・・・?)

森の中のように落ち着く香りはカイルの匂いだった。

目が慣れたのか光が弱まったのか、目の前の光景が見えるようになってきた。
腰を抜かした貴族や固まっている令嬢が見えた。

床を見ると飛び散っていた破片が一切見当たらない、私の手には球体の元の水晶があるではないか。

(おう!アメージング!)

「まさかエレーナか?」

信じられない顔で私を見つめる人たちに混ざって、何故かお父様も驚いているようだ。カイルも後ろから抱きしめながら、私をじっと見つめている。

「どうしたの・・・」

教皇が大げさに両手を広げ「おおお、聖女様のお力だ」とい甲高い声で我に返った貴族たち。

(あれ?私の腕・・・細くない?足も細くなっているみたいね。もしかして、呪いが解けたとか)

広間にいる誰もが、突然現れた絶世の美女を見つめていた。
先ほどの睨むような視線はもうない。神に出会ったような恐れ崇めるような視線に変わっている。

エレーナが痩せて見えるように工夫されたはずだったドレスがほっそりとしたエレーナの体形に変化していた。そのドレスはエレーナの女性らしい豊かな胸を強調し、幾重にも広がったレースが腰の細さを目立たせ、抜群のスタイルをアピールしていた。

「エレーナなのか・・・」父の声が震えている。

目を開けると、そこには若かりし妻を彷彿とさせる美しい娘が立っていたのだ。5歳の娘が戻ってきたような、今まで育てた娘がいなくなったような不思議な感覚だった。

「はい。お父様」

「呪いが解けたのか」

「そのようです」

「子豚ちゃんも十分可愛かったが、今のお前はセレナの若い時そっくりに美しいな」

「お母様と・・・」

カイルも私の身体から腕を離し、不思議なものを見るような顔をしている。

「エレーナなのか?」

「そうよ」

(元々カイルは以前の私を知らないものね、そら驚くわよね)

どう返せばいいのか迷い、いたずらが成功した子供のようにぺろっと舌を出した。

カイルは目を逸らしたけど、耳が真っ赤だ。

そんな家族の感動のシーンも馬鹿の一言で終わった。

「おお、其方は今までどこにいたのだ!」

オーエン王子が祭壇から興奮したように走ってきた。息も荒く、とても気持ち悪い。

「何という美しさ!聖女というか、女神ではないのか」

そう言ってカイルを引き離し、私の手を握ってきた。ぶるっと寒気がし、一歩後ろに下がろうとすると逃がさないとばかりに腰を掴まれた。

「聖女と王族の結婚は古から決まっていることだ。其方を私の妻にしてやろう」

馬鹿が高らかに叫んだ。

「オーエン様!その豚に騙されないで」

いつの間にかナタリー様もここにいたようだ。オーエン王子の腕をぐいっと引っ張っている。

「はあ?」

オーエン王子がエレーナを見つめてきたので「ええ、その豚で間違いありません」とはっきり答えた。

「・・・本当にさっきの豚か?」

「はい。それにオーエン王子様と結婚をする気もありません。誰でも大切にするが一人を除いてと言われましたよね。私はそれで結構です」

「いや、それはお前がひどく醜くいからそう言っただけで・・・・今なら、問題はない。結婚してやっても構わない」

「ですから、お断りしています。聖女の儀式も終わったようですから、もう帰っていいでしょうか」

何を言われたか分からないと言った顔が、段々険しくなった。

「な、な、お前。俺を誰だと思っている。その馬鹿にした態度はなんだ!」

やっぱり邪魔くさいことになった。ナタリー様も私を鬼のように睨みつけてくる。

「お待ちください、オーエン様。私はあなたの婚約者です。そして、今日この場で結婚の報告をするはずですよね」

「もう、お前に用はない。婚約は破棄をする」

「な、なにを言っているのです、私たちの結婚は国王陛下が認めた結婚です」

「それは、お前が聖女だと言うからだろ」

オーエン王子が冷たく言い放つと、ナタリー様はあふれ出そうな涙を堪えていた。

「聖女が現れた以上お前に価値はない」

「そんな。お、お父様の後ろ盾がなくなってもいいと?」

「聖女を妻になれば、誰も文句は言わないだろう」

見かねたお父様がオーエン王子を引き離した。

「失礼ながら、ナタリー嬢が言う通り国王陛下が決めた結婚です。簡単には覆りません。それに、私も娘をここまで馬鹿にされて、王子との結婚を許す気にはなれませんな」

お父様の冷たい一言に一瞬ひるんだ様だが、子供のような言葉を吐き出した。

「じゃあ、ナタリーを側室にすればいいんだろ」

「娘が聖女であれば立場はあなたより上です。言葉に気を付けていただきたい」

「それは、口づけをした後の話だ。そうでなければ侯爵令嬢のままだ。家族を思うなら逆らうなよ」

「オーエン王子様と口づけをしないと、聖女になれないなら。聖女を辞退します」

「なんだと、馬鹿な女だ。お前には後で口の利き方をしっかり躾けてやろう」
ニヤニヤ笑うオーエン王子に吐き気がする。

それを聞いていたカイルが、奪うように私を抱き込むと「では、私とは口づけができるか」と聞いてきた。
「え?」意味が分からず首をかしげると、真剣な顔で同じことを聞いてきた。

「私となら口づけはできるか?エレーナ」

「そりゃ・・・カイルなら・・・・」

小さな声でもごもご言っていると、カイルがエレーナの顎を掴んで口づけをした。
本日2度目のイリュージョンである。

今度は、春の日差しのような暖かい光がふたりを包み込んだ。
金色だった髪の毛がビロードのように滑らかな黒色に変化した。黒い髪の人はこの世界にいない。聖女だけがもつ高貴な色だ。

滝のように流れる黒い髪が、美しいエレーナをさらに神秘的な雰囲気にさせている。
エレーナも驚いたが、カイルはほっとしたように唇を離した。

「エレーナ。時間がなかったので急に唇を奪ってすまない、説明は屋敷に帰ってから聞いて欲しい」

「//////」

「なんだ・・・何が起こった?貴様は聖女に何をした!」

エレーナも真っ赤だが、オーエン王子も違う意味で真っ赤になって地団太を踏んでいる。

教皇が深々と頭を下げつつ、エレーナが持っていた水晶を受け取るとそれは大切なものを抱えるように祭壇の元の場所に水晶を戻した。

満足そうに水晶に手を合わせると「レオン王子が聖女の力を発現させたのです。こうなった以上あなたの国で聖女を守るのが筋です。聖女様には改めてご挨拶にお伺いします」と言って騎士達を連れて、広間を出て行ってしまった。

「どういうことだ!なぜ発現した・・・発現には勇者の血脈が必要なはずだ。お前は何者だ!」

「レオン兄上!こんなところで素性をばらさないでください」
そう言って駆け寄ってきたのは、カイルを少し幼くしたような少年だった。

「こんな時に失礼しました。私はギュリール王国の第二王子のマリオンです。そしてそこにいるのは我国の第一王子のレオン王子です。兄がこの国に魔獣の調査に訪れたまま2年も帰ってこないものですから、しょうがなく私が我儘な兄に成り代わっていたのです」

「・・・・・・王子?カイルが王子・・・・・」

「エレーナ、騙すようなことになってすまない」

私がお父様を見ると顔を逸らした。

「お父様・・・知っていたのですか」

ギュリール王国は周辺を取り巻く、4つの国の中で一番軍事力が高く、あらゆる面で他国を抜き出ている。馬鹿でなければこの国に喧嘩は売らないだろう、オーエン王子も少し顔色が悪いところをみると馬鹿ではなかったようだ。

「お前はこの国の王族だけが勇者の血を受け継いだと思っているが、他国の王族同士が嫁ぐことなど珍しいことではない。勇者の血脈が他国の王族にも流れていると思わないのか」

「そんな・・・。隣国の王子がこの国の聖女にキスを迫るなど侵略行為だぞ。いますぐ捕まえろ!」

やっぱり馬鹿は馬鹿である。

「聖女になる条件は王族からのキスではない。勇者の血を持つものと、聖女の力を持つ者が愛し合うことで聖女の力は再現する。勇者の血を色濃く持つこの国のものがそんなことも忘れたか!」

「ぐう・・・」

「もうひとつ教えてやる。聖女を怒らせた国は加護を受けることができない。今からでも国の崩壊に備えよ」

それを聞いた護衛達は、うろたえるように国王陛下を見た。国王陛下も判断に迷っているようだ。

広間にいる全員が緊張するなか、また静寂を切り裂くような叫び声が響いた。

「痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」

ナタリー様が床で転げまわっている。

「次は何事だ!」とオーエン王子が叫ぶと、ナタリーは見る見るうちに豚のように醜くなっていく、エレーナの時は確かに子豚のようにぷくぷくではあったが、愛嬌のある目が可愛らしく自分が思うほど醜くはなかった。でも、ナタリーの場合は目が吊り上がっていて何倍も醜い。

「どうして、何が起こって・・・まさか、お前はあの時の子供なの?」

エレーナを信じられないと言うばかりに見つめる。
その間にも身体がどんどん太り、真っ赤なドレスが無残にも所々破れ入りきらない脂肪が見えている。

「そうなのね、あの時の子供なのね・・・」

「・・・・・・そう言うことか、お前がエレーナを呪っていたのか」

カイルが冷たい目線でナタリーを睨んだ。

「ナタリー様が?私はずっと屋敷から出ていないのよ、ナタリー様とお会いしたこともないのに」

「会っているわ。あなたとは一度王宮で会っているのよ」

「・・・?」

「幼い頃お前を王宮で見たわ。あの時オーエン王子があなたを見初めて、婚約者にしたいと言い出したのよ。産まれた時に決まっていた婚約者の私を捨ててね。だから、呪ってやったのよ・・・・でも、どうして生きているのよ」

ナタリーがエレーナを睨む。吊り上がった口が締まらず涎が流れている。

「どうして生きていると言われても・・・」

「醜くなって誰からも愛されなくなったら、あんたは死ぬという呪いをかけたのに。なぜ生きているのよ!」

ナタリーは使用人にブラウン家を見張らせていたが、指輪を付けていない使用人たちにはエレーナの姿を見ることができなかった。1年も過ぎた頃ナタリーはあの時の子供はすでに亡くなっていて、秘密裏に埋葬されたのだろうと判断した。だって、醜い少女を誰が愛するのかと。

エレーナは納得したように話し出した。

「誰からも愛されなくなったら死ぬという呪いだったのですね」

「あんなに醜かったのに!どうしてなの、なぜ死んでいないのよ」

「だったら、私が死ぬ要素はどこにもありません。だって、私には醜くなっても愛してくれた家族や使用人たちがいたのですから」

「嘘だ!醜い姿を愛するものがいるなどあり得ない。あり得ない。あり得ない・・・」

焦点が合わない視線が宙をさまよい、ぶつぶつと同じセリフを繰り返している。

「エレーナには愛してくれた人がいた。お前には愛してくれる人がいるのか?」

カイルの言葉を聞いたナタリーがカイルを睨んだ。

「当たり前でしょ。オーエン様・・・オーエン」

「よるな化け物!」

ナタリーが歩み寄ると、怯えたように後ろに下がり護衛を盾にした。

「私に触れることは許さんぞ」

「そんな・・・オーエン様。婚約者として支えてきたのに、どうして」

オーエン王子の向かって伸ばした手がだらんと落ちた。

ナタリーが次に見たのは、さっきまですり寄っていた令嬢たちだった。
令嬢たちは慌てて目を逸らした。

「ふん、所詮金魚の糞ね。後で覚えていなさいよ」

「わ、私の使用人がいるわ・・・」と後ろを振り返ると使用人たちは「ひぃ・・・来ないで」とブルブル震えている。

「この役立たずが・・・お父様、お母様はどこ」

目が泳ぎ広間の隅に避難した人だかりから両親を探しているようだ。

人ごみに必死に隠れていた人物が、みんなの目線で居場所がばれると「お、お、お前が行け、お前が産んだ子だろう」と言って侯爵が自分の妻に怒鳴った。

「何を言っているのです。あなたはいつも厄介なことは私に押し付けるばかり。こんな時に父親として抱きしめてあげればいいじゃない」

「あんな化け物、私の娘ではない。そうだ、お前が庭師と浮気していることは知っているぞ。そいつの子供だろう」

「な、なにを・・・愛人を何人も連れ込んでいたのはあなたでしょう!それに、あなたがナタリーに頼まれて呪いをかける手助けをしたのを知っているのよ」

「ば、馬鹿。何を言っている・・・」

ナタリーは首を掻きむしり、荒い息を吐いた。

「息が・・・息ができない」

「どうすれば、ナタリーが呪いで死ぬわ」

「エレーナ見るな。ナタリーが自分で蒔いた種だ」

ナタリーはもがいて苦しみだした。

「私が貴方にできることはありますか。私に聖女の力があるなら助けさせて」

「五月蠅い!馬鹿にするな!」

そう言ってオーエン王子を見ると、オーエン王子は相変わらず震えて騎士の後ろに隠れている。ナタリーの失望が顔に広がった。

「こんな未来はいらない」

あっという間の出来事だった。
どこにそのような力があったのか、王宮の厳重な窓を突き破り5階から飛び降りたのだ。

少しの間がありドッスと重たい音が聞こえると、1階から「キャーーーー!」と切り裂くような悲鳴が聞こえた。誰もが何が起こったのか理解できず固まっていた。

公爵夫妻はぶるぶると震えて真っ青な顔をしているが、娘の死を悲しむと言うよりこの先の自分の未来が気になるようだ。

国王陛下は「何と言うことだ・・・」と呟いた。

王妃は一部始終を見て、その場で腰が抜けしゃがみ込んでいた。オーエン王子はお漏らしをしたのか、足元には水たまりができている。

「もうよい。オーエンとデイビス侯爵たちを地下に連れて行け」国王陛下の低い声が広間に響いた。

「陛下!なぜオーエンを地下牢へ」

王妃は王子を溺愛していると聞く。真っ青になって、夫に許しを乞うが陛下が冷たい目で「そんなに可愛いいなら王妃も一緒に地下へ行くか」と尋ねた。

「・・・・・・・・・・それは」

わが身が一番かわいいのか、王妃は我が子から目を晒した。

「母上・・・助けてください」

護衛たちが王子の腕を掴んで、広間から連行する。

「父上!何故私が地下牢に行かねばいけないのです。私はこの国の為に・・・やめろ私は王子だぞ」

盾にされていた護衛たちに、無理やり腕を引っ張られ最後まで「私はこの国の王子だ」と叫んでいた。デイビス侯爵夫妻も力なく連行された。

先ほどまで、王子に黄色い声を発していた令嬢たちも貴族たちも冷ややかにその光景を見届けた。オーエン王子やデイビス侯爵夫婦を助ける者は誰もいなかった。
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