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7-9 観覧車
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「ああ、バッコだな。恐怖のどん底に落とされた人間は、魂を取り出しやすい。どこかのタイミングで、魂のゆりかごに引きずり込むつもりだったんだろう。この客は、うちの店を知っていたから助かったようだがな」
ルドンはマユナから取り出した虫を大きめのビーカーに入れ、コルクの蓋をする。
今回の買い取り値段は、恐怖・五千八百円。
これまでの、どの恐怖よりも高額だった。
恐怖も取り除かれ、財布も潤ったので来た時よりもだいぶ顔色が良くなったマユナ。
その後ろ姿を見送りながら、ルドンはサクマに言った。
「バッコ……今回の闇オークションで相当儲けようとしてるな。いつもより本気のようだ」
「バッコの目的はなに? なんでこんなことを……」
「アイツはなあ……」
ルドンは、頭の髪の毛をくしゃりとかき混ぜる。
「闇オークションで儲けて、この草笛市に世界最大のテーマパーク・恐怖遊園地〝草笛スプーキーランド〟を作ろうとしているんだ」
「そ、それって……千葉県にある遊園地みたいな?」
サクマが引きつった顔で言うと、ルドンが「そうそう」と苦笑する。
「それの最悪バージョンだ。何しろ、その遊園地は人間を呼ぶためのエサだ。遊びに来た人間はコッソリと魂を抜かれていくぜ。鬼の所業だろ。来園者、全員がバッコの手のひらの上ってワケだ」
「そんなの……絶対に、阻止しないと!」
ルドンいわく、今回のマユナの悪夢で、恐怖はだいぶ溜まったようだ。
闇オークションをスプーキーリサイクルに呼べるまで、残り虫一匹分。
逢魔が時の終わりを告げる空を見上げながら、サクマはトウヤのスマホを強く握りしめた。
ルドンはマユナから取り出した虫を大きめのビーカーに入れ、コルクの蓋をする。
今回の買い取り値段は、恐怖・五千八百円。
これまでの、どの恐怖よりも高額だった。
恐怖も取り除かれ、財布も潤ったので来た時よりもだいぶ顔色が良くなったマユナ。
その後ろ姿を見送りながら、ルドンはサクマに言った。
「バッコ……今回の闇オークションで相当儲けようとしてるな。いつもより本気のようだ」
「バッコの目的はなに? なんでこんなことを……」
「アイツはなあ……」
ルドンは、頭の髪の毛をくしゃりとかき混ぜる。
「闇オークションで儲けて、この草笛市に世界最大のテーマパーク・恐怖遊園地〝草笛スプーキーランド〟を作ろうとしているんだ」
「そ、それって……千葉県にある遊園地みたいな?」
サクマが引きつった顔で言うと、ルドンが「そうそう」と苦笑する。
「それの最悪バージョンだ。何しろ、その遊園地は人間を呼ぶためのエサだ。遊びに来た人間はコッソリと魂を抜かれていくぜ。鬼の所業だろ。来園者、全員がバッコの手のひらの上ってワケだ」
「そんなの……絶対に、阻止しないと!」
ルドンいわく、今回のマユナの悪夢で、恐怖はだいぶ溜まったようだ。
闇オークションをスプーキーリサイクルに呼べるまで、残り虫一匹分。
逢魔が時の終わりを告げる空を見上げながら、サクマはトウヤのスマホを強く握りしめた。
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