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7-8 観覧車

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「当然ですよ。これは私の夢なんですから。単なる悪夢です」
「夢だったんですか!」
 なら、検索に引っかからないのも納得できる。
「あまりにも怖い夢でも、リサイクルショップに売れば金になるのさ」
 ルドンが言った。
「まあ悪夢となると、買い取り値段は低いがな。現実に起きたものよりも、リアリティが劣るし。脳への定着率が低いから具現化する虫も小さい——」
「そんなに言うなら、今すぐ確かめてみてくださいよ!」
 バンッ、とマユナが机を叩く。
 怒りに、肩が上下している。
「私の記憶を取り出してください! 買い取り値段なんて、どうでもいいですから!」
「……わかった」
 ルドンは表情を固くしながら、マユナの額に指を挿し入れた。
 神通力が、その中にある恐怖を具現化していく。
 恐怖により形作られる、黒い虫。
 それがスプーキーリサイクルが買い取る、人々の体験した恐怖だ。
「これは……」
 マユナの中から引きずり出されたのは、サクマがいつもみるような黒い虫ではなかった。
 それは手のひらほどの大きさ。
 レース生地みたく美しい羽が四枚生えた、羽虫だった。
「まさか。脳内の記憶まま、成虫になってるなんて……! 悪夢でこんなことが起こるなんて、ありえねえ。きみが見たのは、本当に悪夢なのか?」
「本当です。朝、起きたらベッドの上だったし。カエデとチサなんて友人はいません。スマホにも、夢で見たようなやりとりは残っていませんでした」
「こんな特大の恐怖、売らずにはいられねえよな。悪夢でこれは……夢を誰かに操作されたとしか言えねえな」
「ルドン。それってまさか」
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