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7-5 観覧車

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「そうだよ、間違いない。さすが、チサ! よし、探してみようよ。ほら、マユナも!」
「う、うん」
 私たちはゴンドラ内をゆっくりと探索していきます。
 ですが、カギらしきものはどこにも見当たりません。
「おかしいな。カギ穴があるなら、カギがなくちゃおかしいんだけど」
「やっぱり乗客が中からドアを開けるのは危険だから、撤去されたんじゃないかな。誰かが非常時以外にそれを見つけて、ふざけてドアを開けちゃったとか」
 チサの推理に、カエデは「うわあ、ありうる」と眉根を寄せています。
「それじゃあ、カギはないってこと? 外に出られないじゃん」
 カエデがイラつきながら、ドアの取っ手をガチャガチャと押しました。
 それを苦笑しながら見ている私ですが、内心では安堵していました。
 止まっている観覧車から出て、下に降りようだなんて正気の沙汰じゃないでしょう。
 何が二人をそこまでさせるのかはわかりませんが、救助が来るまで中で大人しくしているのがいいに決まっています。
 二人は、完全に気が動転しているようでした。
 このまま、カギが見つからないでほしい。
 今の私には、そう祈ることしかできませんでした。
 そう言えば、さっきSNSにいた同じ観覧車に乗っている人はどうしただろう。
 新たに何か、コメントを投稿しているかもしれない。
 私はスカートのポケットにしまっていたスマートフォンを取り出そうとしました。
 その時、何かを床にカチャンと落としてしまいました。
 拾い上げるとそれは、遊園地に入った時に拾ったアンティークのカギでした。
 カエデとチサが、同時に私の方を向きました。
「マユナ。それ、どうしたの」
「さっき、拾ったの。園の入り口の近くで」
「ちょ、ちょっと貸して!」
 カエデは、私が持っていたカギを取り上げると、ドアのカギ穴に差し込みました。
 カギはぴったりと刺さり、カシャンと音をたて回ります。
 ゴンドラのドアが、ゆっくりと開かれました。
「開いた。ここから出られる!」
「よし。さっさと行こう」
「待って! ねえ、本気なのっ?」
 私の悲鳴のような静止に、二人は足を止めることなく淡々と言いました。
「このままここにいたって」
「死ぬだけだよ?」
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