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7-3 観覧車

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 見に行くと、さびついた古めかしいアンティークのカギが落ちていました。
(誰かの落とし物かな。でも結構、土にまみれているし、こんなにさびついていたら、鍵穴に刺すことすらできないよね。もうずいぶん前から、ここに捨てられてた感じだな)
 とりあえず、と私はそのカギをスカートのポケットにしまいました。
「マユナ。どうかした」
「何でもない。まずは、何に乗る?」
「話してたんだけど、しょっぱな観覧車に行っちゃおうかなって」
「いいじゃん、いいじゃん。行こうよ」
 私は友人二人と観覧車まで走りました。
 遊園地のまんなかに建つ、ひときわ大きな輪っか。
 それはゆっくりとした速度で円を描き、私たちを見下ろしながらまわっていました。
 ガタン、ガタン、ガタン。
 ギシ、ギシ、ギシ。
 巨体をきしませながら、ゆっくりと回っていく観覧車。
 そして、風も吹いていないのに、異常に揺れるゴンドラ。
 噂は知っていましたが、いざ乗ってみると、想像以上の恐怖で。
 私の向かいには、友人のカエデとチサが座っていました。
 これだと、重さが片方だけに偏って、アンバランスです。
 もし少しでも負荷をかけ、ゴンドラを支えている部品が、今まさに壊れでもしたら。
 この観覧車が壊れるのが、ちょうど自分たちが乗ったタイミングだとしたら。
 本来なら、お互いの席を交代で座りながら写真でも撮りたい気分でした。
 ですが、少しでも片方に体重をかけたとたん、落ちるのではという不安が私たちを消極的にさせていました。
「こいつ、ガタガタ言い過ぎじゃない? まだ死にたくないよおー」
「最初に観覧車に乗りたいって言ったの、カエデだからね。これは、カエデのせい」
「はあっ? チサだって、景色がよさそうな映えポイントに行きたいって言ってたじゃん」
「そうだけど、それが観覧車とは言ってないじゃん」
 カエデとチサが言い合いを始めました。
 緊張と恐怖でイラだっているのでしょう。
 私は、あわてて話題をそらします。
「ほ、ほら。あそこ、SNSでけっこう写真上がってるとこじゃない? フルーツがおっきくてデコレーションがカラフルで可愛い、って話題になってるクレープ屋。遊園地出て、すぐって言ってたよね」
 すると二人は、観覧車の窓から下を見下ろしました。
「あ、そうかも」
「遊園地出たら、あとで行こうよ」
 いつもケンカしてもすぐに仲直りするふたりです。
 しかし、今回は環境のせいなのか、いつものケンカがより険悪だったのが気になりました。
 ふたりの仲直りにフッと気が抜けた、その時でした。
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