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7-2 観覧車
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しかし、私にとっては小さな頃から家族と遊びに来ていた思い出の遊園地。
入場料も立派なテーマパークより安く、手軽に友達と遊びに来るにはうってつけの遊び場でした。
昨日も友人二人を誘って、遊びに行きました。
まだまだ現役だ、と言わんばかりにコーヒーカップが元気に回転していて。
そこで小さな子が父親と楽しそうに声を上げて喜んでいるのを見て、「よかった」と胸をなで下ろしていました。
最近たびたび見かける、古い遊園地が閉園になったというニュースに少しばかり寂しさを覚えていたので。
なので、この遊園地の閉園はまだまだ遠いだろうな、って安心したんです。
さて、今日もチケットを買って遊び尽くすぞ、と財布を取り出したときでした。
顔を曇らせながら従業員さんたちが、私のそばを横切って行ったんです。
「やっぱり閉園かあ。まあ、最近変なことばかり起きてたし当然っちゃ当然だよな。昨日もさ、トイレで妙なカギが……」
「おい、こんなところでそんな話するなよ。お客さまに聞こえたらどうするんだ」
「あっ……すんません」
急いで口をつぐむ従業員さんのようすをこっそりと盗み見てしまいました。
(閉園……! 最後の方はよく聞こえなかったけど、最初のほうは、確かにそう言ってたよね。この遊園地、終わっちゃうの?)
まだまだここで遊べると思ったばかりだったのにと、思いました。
私は財布を持ったまま、意気消沈しました。
目の前では友人らが、いくら分の乗り物チケットを買うかと話し合っています。
今の話を聞きつけたのは、私だけのようでした。
ここで落胆していたら、みんなの楽しい気分を台無しにしてしまうと思いました。
私はむりやり笑顔を作り、友人らの輪の中に入っていきました。
(とにかく、今は遊ぶことを楽しもう。閉園を悲しむのはそれからだ)
その時、ふと園内の植え込みのなかに、きらっと光るものが見えました。
入場料も立派なテーマパークより安く、手軽に友達と遊びに来るにはうってつけの遊び場でした。
昨日も友人二人を誘って、遊びに行きました。
まだまだ現役だ、と言わんばかりにコーヒーカップが元気に回転していて。
そこで小さな子が父親と楽しそうに声を上げて喜んでいるのを見て、「よかった」と胸をなで下ろしていました。
最近たびたび見かける、古い遊園地が閉園になったというニュースに少しばかり寂しさを覚えていたので。
なので、この遊園地の閉園はまだまだ遠いだろうな、って安心したんです。
さて、今日もチケットを買って遊び尽くすぞ、と財布を取り出したときでした。
顔を曇らせながら従業員さんたちが、私のそばを横切って行ったんです。
「やっぱり閉園かあ。まあ、最近変なことばかり起きてたし当然っちゃ当然だよな。昨日もさ、トイレで妙なカギが……」
「おい、こんなところでそんな話するなよ。お客さまに聞こえたらどうするんだ」
「あっ……すんません」
急いで口をつぐむ従業員さんのようすをこっそりと盗み見てしまいました。
(閉園……! 最後の方はよく聞こえなかったけど、最初のほうは、確かにそう言ってたよね。この遊園地、終わっちゃうの?)
まだまだここで遊べると思ったばかりだったのにと、思いました。
私は財布を持ったまま、意気消沈しました。
目の前では友人らが、いくら分の乗り物チケットを買うかと話し合っています。
今の話を聞きつけたのは、私だけのようでした。
ここで落胆していたら、みんなの楽しい気分を台無しにしてしまうと思いました。
私はむりやり笑顔を作り、友人らの輪の中に入っていきました。
(とにかく、今は遊ぶことを楽しもう。閉園を悲しむのはそれからだ)
その時、ふと園内の植え込みのなかに、きらっと光るものが見えました。
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