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3-11 よくない人形
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一週間がたちました。
もう私は、全てが終わったと思い込んでいました。
夜、エニシが私の部屋に入ってくるまでは。
「リンちゃん」
「エニシ? どうしたの」
「あのね……夢のなかで人形が僕を呼んでるの」
「えッ!」
頭のなかが真っ白になりました。
エニシが今、何を言ったのか一瞬、解りませんでした。
「ど、どういうこと……人形って」
「僕の作った人形が、痛い痛い、って言うんだよ。助けてって」
「そんな……」
「ねえ、リンちゃん。押し入れにしまってた、僕の作った人形、知らない?」
【おわり】
「これが、昨晩の出来事です。弟には今、人形は壊れたので友達に修理してもらってると嘘をつきました。でも、人形はすでにゴミ処理場です。どうすればいいのか、わかりません。もういっそ、全てを忘れたい……と、ここに来ました」
「なるほど……。これは……」
サクマがカウンター席に座っているルドンを見上げる。
カリカリと音がする。何かを書いているようだ。
書き終わったそれを、ひらっとサクマとリンに見せる、ルドン。
紙のいちばん上に『買取査定表』とあった。
ルドンが書き終わった内容を、サクマが音読する。
「査定額……六千円ッ? すご! ……なになに、内訳。恐怖・二千円。人形・四千円。ええ? 人形も買い取り? でも、人形はゴミ処理場じゃ」
「ここにある」
ルドンがパッと手のひらに赤い炎をともす。
すると、その中からぞろり、といかにも手作りと言った感じの人形が出てきた。
「きゃあああああ!」
リンがのけぞって、ソファのわきに隠れる。
もう私は、全てが終わったと思い込んでいました。
夜、エニシが私の部屋に入ってくるまでは。
「リンちゃん」
「エニシ? どうしたの」
「あのね……夢のなかで人形が僕を呼んでるの」
「えッ!」
頭のなかが真っ白になりました。
エニシが今、何を言ったのか一瞬、解りませんでした。
「ど、どういうこと……人形って」
「僕の作った人形が、痛い痛い、って言うんだよ。助けてって」
「そんな……」
「ねえ、リンちゃん。押し入れにしまってた、僕の作った人形、知らない?」
【おわり】
「これが、昨晩の出来事です。弟には今、人形は壊れたので友達に修理してもらってると嘘をつきました。でも、人形はすでにゴミ処理場です。どうすればいいのか、わかりません。もういっそ、全てを忘れたい……と、ここに来ました」
「なるほど……。これは……」
サクマがカウンター席に座っているルドンを見上げる。
カリカリと音がする。何かを書いているようだ。
書き終わったそれを、ひらっとサクマとリンに見せる、ルドン。
紙のいちばん上に『買取査定表』とあった。
ルドンが書き終わった内容を、サクマが音読する。
「査定額……六千円ッ? すご! ……なになに、内訳。恐怖・二千円。人形・四千円。ええ? 人形も買い取り? でも、人形はゴミ処理場じゃ」
「ここにある」
ルドンがパッと手のひらに赤い炎をともす。
すると、その中からぞろり、といかにも手作りと言った感じの人形が出てきた。
「きゃあああああ!」
リンがのけぞって、ソファのわきに隠れる。
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