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7-12 ハロー・ヤムヤム・ヤミー!

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「ヤ・ム——————ッ!」
 ぶわっ、とククルの心臓のあたりから、何かがあふれ出す。
 それは、パッションオレンジ色のオーラのようなもの。
 オーラは、つるつるとゼリーを吸い込んだときのいきおいで、バベルの口へと吸い込まれていく。
 バベルのからだはオレンジ色に輝き、瞳の色が赤く染まる。
「うーん! ヤミー!」
「なになになに? なんだってんですか?」
「パートナー夢見士からの、パワーアップオヤツだよ~! 緊急時の非常食! やっぱり、お前をパートナーにして正解だったわ! ククル」
 すると、バベルは一気にバクバクバクッと悪夢を食べ進めていく。
 さっきは「ミルフィーユの層が」とあーだこーだ言っていたのはなんだったのか、と思うほどに。
「六門さん! 無事だったか」
 ヨメルだ。
 バベルが食べ終えた跡から、ヨメルとヨゾラが走って出てきた。
 ずいぶんと焦っていたのか、肩で息をしている。
「六門さんにずっと呼びかけてたんだけど、あんまり聞こえてなかったみたいだから」
「やっぱりそうだったんですね。私も四谷くんの声はかすかに聞こえていたのですか、空耳かな、と思うほどに小さくて」
「誰かの悪夢がはさまっていたみたいだからね。聞こえにくかったみたいだ。ぼくの悪夢は六門さんのちょうど上に重なっていたから、よく見えたんだよ」
「そうだったんですね……。四谷くんは、大丈夫でしたか? 悪夢」
「ああ。大丈夫だよ。バベルがあっというまに食べちゃったからね」
「ば、バベルがっ……?」
 見ると、すでにあたりは一面の闇。
 悪夢はすべてバベルによって平らげられ、ククルを含めた十四人の同期たちが、呆然と立っていた。
 バベルはお腹をパンパンに膨らませている。
「あ~食った食った。さすがにもう食べられないわ」
 いつのまにか、オレンジのオーラも、赤い瞳も、もとに戻っている。
 あっという間のパワーアップだったようだ。
「……まさか、十四人分の悪夢を食べてしまうとはね。さすがに驚いたよ」
 ふわりと闇のなかに現れたのは、ナイトメア学園長だ。
「六門ククルくん。きみの『ヤム』体質は素晴らしい。きみは常人の数倍の『ヤム』感情を抱えているようだ。悪夢を食べるバクにとってはこれ以上ないパートナーだね。……しかし」
 学園長は、コホンと咳ばらいをした。
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