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7-7 ハロー・ヤムヤム・ヤミー!

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 しかし、その人は反応しない。
 相手との距離は百メートルほどだ。
 なのになぜか、男なのか女なのかよくわからない。
 木々が、影になっているからだろうか。
 ただ、その人はゆるやかに手を振り続けている。
 一定の速度で、ゆったりと。
「なんなの~ッ?」
 バベルがまた叫んだ。
 しかし、相手は何のリアクションをするでもなく、変わらず一定の動作で手を振っていた。
「バベル。とりあえず、先に進みましょう。ここでこうしていても、悪夢へのクライマックスに近づくのかわかりませんから」
「そっか」
 ククルとバベルは手を振る人に背を向け、逆方向を歩き出した。

 あれから、五分はたっただろうか。
 背後には生いしげった森。道路はどこまでも続いている。
 景色は一向に変わらない。
「も~! どんだけ広いんだよ。この森!」
「そういう悪夢なのかもしれません。が、がんばりましょう」
「お前の夢なんじゃないのか~ッ!」
「それが……まだわからなくてですね」
 ククルは足を止め、道を確認するため後ろを振り返った。
 ——それは、まだ手を振っていた。
「まだ……いますね……」
 ククルから百メートルほど離れた位置で、ゆらゆらとそれをゆらしている。
 頭上で曲線を描くように、一定の動作で振り続けられる手。
 ざわっ、と風が吹く。
 ククルの髪が、着ている服が、風によってあおられる。
 強い風に、ククルは腕で顔をおおった。
「ククル、いなくなってるぞ。アレが」
 バベルの戸惑った口調に、ククルもあわてて顔をあげる。
 いなくなっている、ずっと手を振っていたあの人が。
「……ううっ。なんて薄気味悪い悪夢なんでしょう……ヤ、ヤム……」
「これがナイトメアの悪夢ってやつかあ。ヤミーなニオイがプンプンするぜ~」
 青ざめた顔で自分を抱きしめているククルの隣で、じゅるりと舌なめずりをするバベル。
 ——六門さ……こっ……で……な……して……。
 突然、聞こえた声に、ククルとバベルはハッと息をのんだ。
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