ヤムヤムガール！ 〜ブルーム・アカデミーの悪夢記録〜

6-5 グッド・ナイト・ナイトメア

　質問に答えないクズキリ先生へ、ユミルは再び問いかける。
　すると、クズキリ先生が「ふうー……」と長いため息をついた。
「俺は悪夢を使って、悪人のない世界を作ろうとしているんだ」
「……な、何を言っているの？」
　戸惑うユミルに、クズキリ先生は「ククッ」と口角を上げた。
「このふたりはクラスのいじめっ子だ。これからこの子たちを悪夢に取り込ませる。そうすればいじめっ子は二度と目覚めない。お前らも万々歳だろう」
　ククルとトロンのほうへ顔を向けるクズキリ先生。
　トロンは何も言えず、ただ呆然としている。
「海外の遺跡で、俺は悪夢サンプルの作り方を思いついたんだ。帰ってきてからは悪夢の研究に没頭したよ。そして、つい先日、完成したんだ。さっそく授業に使ったら、予想外の成果だった——特に、六門とバベル。お前たちだ」
　名前を呼ばれ、ククルとバベルは顔を見合わせた。
「六門。お前、俺の悪夢に入ったな」
「え？」
「いや、違うな。……お前がやったんだ、バベル」
　クズキリ先生の人差し指が、バベルのおでこに向けられる。
「魔獣血統書付きのモノクロバクには、他のバクにはない特殊技能がある……『悪夢回遊』。近くにある、より恐しい悪夢へとジャンプすることができるんだ」