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6-2 グッド・ナイト・ナイトメア
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絞り出したククルの声は、今にも消えてしまいそうだった。
「私の存在は、彼の計画に邪魔なんだよ。私は……彼の計画を止めてしまうだろうから」
「クズキリ先生の計画って——?」
ククルの前を走っていたユミルが、立ち止まった。
地下への階段、その先には地下への扉がある。
バクの夢の力では開けられない。
ユミルが「うーん」と腕を組む。
「さて。どうするかな」
「任せてよ」
トロンが言うと「ぴゅう」と口笛を吹いた。
グリーンのバクが待ちかねていたように、トロンの元へと飛んでくる。
「アロマ、待たせた」
「おいこら。どこ行ってたんだよ。ずっと部屋で待ってたんだぞ」
「ごめんね。お願いがあるんだ。この鍵を開けてほしい」
それに、ユミルは驚いた。
「バクの力では開けられないんだよ?」
「わかってるよ。でも、こういうのうちのアロマは得意なんだ」
ニッと笑むトロン。ユミルは不思議そうにしながらも、黙って見守ることにしたようだ。
「ったく。都合のいいときだけこき使うよなあ、トロンは」
ぶつくさ文句をいいながらも、ドアの前へと歩いていくアロマ。
するん、とアロマの体から何かが抜け落ちる。
それをアロマは、口にくわえた。
カチャカチャと鍵穴から、音が聞こえはじめる。
そして、すぐにカチャン、と大きな音が地下階段に響いた。
「開いたぞ~」
アロマの口には、細長く加工された一本の木。それで鍵を開けたようだ。
「そ、それは?」
ククルが言うと、トロンは「ふふん」と得意げになって、アロマのからだに手を回した。
「アロマにはたくさんの植物を覚えてもらってるんだ。だから今回も夢の力で、植物を取り寄せてもらったんだよ。世界一硬い木〝リグナムバイタ〟をね」
「世界一硬い木……!」
「私の存在は、彼の計画に邪魔なんだよ。私は……彼の計画を止めてしまうだろうから」
「クズキリ先生の計画って——?」
ククルの前を走っていたユミルが、立ち止まった。
地下への階段、その先には地下への扉がある。
バクの夢の力では開けられない。
ユミルが「うーん」と腕を組む。
「さて。どうするかな」
「任せてよ」
トロンが言うと「ぴゅう」と口笛を吹いた。
グリーンのバクが待ちかねていたように、トロンの元へと飛んでくる。
「アロマ、待たせた」
「おいこら。どこ行ってたんだよ。ずっと部屋で待ってたんだぞ」
「ごめんね。お願いがあるんだ。この鍵を開けてほしい」
それに、ユミルは驚いた。
「バクの力では開けられないんだよ?」
「わかってるよ。でも、こういうのうちのアロマは得意なんだ」
ニッと笑むトロン。ユミルは不思議そうにしながらも、黙って見守ることにしたようだ。
「ったく。都合のいいときだけこき使うよなあ、トロンは」
ぶつくさ文句をいいながらも、ドアの前へと歩いていくアロマ。
するん、とアロマの体から何かが抜け落ちる。
それをアロマは、口にくわえた。
カチャカチャと鍵穴から、音が聞こえはじめる。
そして、すぐにカチャン、と大きな音が地下階段に響いた。
「開いたぞ~」
アロマの口には、細長く加工された一本の木。それで鍵を開けたようだ。
「そ、それは?」
ククルが言うと、トロンは「ふふん」と得意げになって、アロマのからだに手を回した。
「アロマにはたくさんの植物を覚えてもらってるんだ。だから今回も夢の力で、植物を取り寄せてもらったんだよ。世界一硬い木〝リグナムバイタ〟をね」
「世界一硬い木……!」
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