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3-8 アート・ブレイク・ダウン
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ハッとして、振り返る。
そこには、確かにさきほど車にはねられた——ロロくんが立っていた。
「相手に呪いをかけるために、贈り物のぬいぐるみのなかに爪をいれて渡すってやつ」
ぼくは「知ってる」と頷いた。
そういうたぐいの話は、本で読んだことぐらいはある。
しかし、あの胸像といったいなんの関係があるんだ?
「俺はね、呪いをかけたんだよ。……自分にね」
「じ……自分に?」
「うん。急に怖くなったんだ。この先の長い人生で俺はいつ、どこで死ぬんだろうって。俺は、ずっとずーっと作品を作っていたいから、死んでいる暇なんてないっていうのに。だから……自分の作品に呪いをかけた。〝幽霊になっても作品を作りたい〟ってね」
ロロくんの手には、金属ハンマーが握られている。
「俺が、怖い?」
ぼくは、素直に頷いた。
すると、ロロくんは狂ったように笑いだす。
「ふははっ。そっかそっか。それは僥倖ッ! 〝恐怖はね、俺の力になるんだよ〟。ほら、きみの手を見てごらん」
ぎょっ、とした。
手が、動かせない。
見ると、ぼくの手がじょじょに粘土像になってきている。
「怖かったでしょ、さっきまでの俺の演技。〝稲荷ロロという存在〟におびえる俺の恐怖は、きみにも感染したはずだよ」
「だから、さっきまであんな芝居を……?」
「そうだよ。そして、最後に俺自身が出て、ドーンッときみの恐怖は爆あがりさ。あの手と足はね……俺の友達のものさ。すてきでしょ?」
「どこが……!」
「怒ったの? いいねえ! きみ、俺の作品にぴったりだよ! さあ、その手を作品にしよう! 金属ハンマーできれいに折ってあげるよ!」
こんなものは、悪夢だ。
ぼくとしたことが、夢見士という立場で自ら悪夢を見てしまうだなんて。
ぼくのバクはどこだ?
「ヨゾラ!」
呼びかけるが、出てこない。
ああ、さっき彼女は夜だから、って眠りについたんだったっけ。
バクのくせに、美容にうるさいんだ。
自慢のパープルの色味をいつも気にしていて……って、そんなことはどうでもいい。
くそ。どうすればいいんだ?
どうすれば……。
「あれ? おかしいな」
そこには、確かにさきほど車にはねられた——ロロくんが立っていた。
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ぼくは「知ってる」と頷いた。
そういうたぐいの話は、本で読んだことぐらいはある。
しかし、あの胸像といったいなんの関係があるんだ?
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「じ……自分に?」
「うん。急に怖くなったんだ。この先の長い人生で俺はいつ、どこで死ぬんだろうって。俺は、ずっとずーっと作品を作っていたいから、死んでいる暇なんてないっていうのに。だから……自分の作品に呪いをかけた。〝幽霊になっても作品を作りたい〟ってね」
ロロくんの手には、金属ハンマーが握られている。
「俺が、怖い?」
ぼくは、素直に頷いた。
すると、ロロくんは狂ったように笑いだす。
「ふははっ。そっかそっか。それは僥倖ッ! 〝恐怖はね、俺の力になるんだよ〟。ほら、きみの手を見てごらん」
ぎょっ、とした。
手が、動かせない。
見ると、ぼくの手がじょじょに粘土像になってきている。
「怖かったでしょ、さっきまでの俺の演技。〝稲荷ロロという存在〟におびえる俺の恐怖は、きみにも感染したはずだよ」
「だから、さっきまであんな芝居を……?」
「そうだよ。そして、最後に俺自身が出て、ドーンッときみの恐怖は爆あがりさ。あの手と足はね……俺の友達のものさ。すてきでしょ?」
「どこが……!」
「怒ったの? いいねえ! きみ、俺の作品にぴったりだよ! さあ、その手を作品にしよう! 金属ハンマーできれいに折ってあげるよ!」
こんなものは、悪夢だ。
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ぼくのバクはどこだ?
「ヨゾラ!」
呼びかけるが、出てこない。
ああ、さっき彼女は夜だから、って眠りについたんだったっけ。
バクのくせに、美容にうるさいんだ。
自慢のパープルの色味をいつも気にしていて……って、そんなことはどうでもいい。
くそ。どうすればいいんだ?
どうすれば……。
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