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3-2 アート・ブレイク・ダウン
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「え?」
「そんなのないぞ」
「ま、待ってください。今日クズキリ先生が配った悪夢のサンプルは、パートナーのバクが嫌いな味の悪夢だって言ってたんですよ?」
「ナイトメアが作った悪夢は好きじゃないよ。だって、あんなのさあ……人間でいうインスタント食品といっしょじゃん」
「つまり、そもそもの味がダメだったと?」
「そお」
「じゃあ……やっぱり、私が悪夢のクライマックスまで持って行ったから、比較的においしく食べられたってことですか?」
ちょっと照れながらたずねるククルに、バベルは即答した。
「いや、大好きではないってだけで嫌いとは言ってないじゃん。ぼくはなんでもおいしく食べるもんよ」
「そ、それは……えらいですよ」
「ふっはっは。なんてったって、ぼくは血統書付きのモノクロバクだからね」
「あのう。その血統書っつうのは、マジのことなのかギャグなのか……」
——ピンポーン
自室のチャイムが鳴る。
誰だろうとドアを開けると、いつもの三人組、エル・リズ・トロンだった。
「あ……ええ……?」
ククルは一気に緊張し、声が出せなくなってしまう。
すると、エルが「くすっ」と笑って言った。
「ちょっといいですか~? 相談したいことがあるんですけどお」
「な、なんです……?」
「私の友達が悪夢にうなされてるみたいで~」
「え?」
「そんなのないぞ」
「ま、待ってください。今日クズキリ先生が配った悪夢のサンプルは、パートナーのバクが嫌いな味の悪夢だって言ってたんですよ?」
「ナイトメアが作った悪夢は好きじゃないよ。だって、あんなのさあ……人間でいうインスタント食品といっしょじゃん」
「つまり、そもそもの味がダメだったと?」
「そお」
「じゃあ……やっぱり、私が悪夢のクライマックスまで持って行ったから、比較的においしく食べられたってことですか?」
ちょっと照れながらたずねるククルに、バベルは即答した。
「いや、大好きではないってだけで嫌いとは言ってないじゃん。ぼくはなんでもおいしく食べるもんよ」
「そ、それは……えらいですよ」
「ふっはっは。なんてったって、ぼくは血統書付きのモノクロバクだからね」
「あのう。その血統書っつうのは、マジのことなのかギャグなのか……」
——ピンポーン
自室のチャイムが鳴る。
誰だろうとドアを開けると、いつもの三人組、エル・リズ・トロンだった。
「あ……ええ……?」
ククルは一気に緊張し、声が出せなくなってしまう。
すると、エルが「くすっ」と笑って言った。
「ちょっといいですか~? 相談したいことがあるんですけどお」
「な、なんです……?」
「私の友達が悪夢にうなされてるみたいで~」
「え?」
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