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1-6 バッド・ドリーム・デリシャス
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「こんなところまで気にしいかよ~。そんなんで、この先大丈夫かなあ」
「しっ! バベル、うるさいです。悪夢の被害者は睡眠中なんですから」
「へいへい」
こういうときに口をもごもごさせるのは、バクの習性だ。
パートナーへの不満を口のなかで噛み潰し、そのまま飲みこむ。
悪夢を食べているのと同じ感覚なのだろう。
以前ククルが、不満の味はどうなのかと聞いたら「自分の不満の味なんて全然おいしくないよ。強いて言うなら、ゼラチンみたい」と言っていた。
「おーい」
「はい?」
「何だよ。ぼくのことジッと見つめて。まさか、惚れたか~?」
「ゆ、夢見士見習いとして、バクの仕草を観察していただけですっ」
「へえ~照れる~」
ささやき声で言いあいながら、部屋のなかに入った、ふたり。
ベッドの上では、男の子がすやすやと眠っていた。
ククルはスマホを取り出し、ラインを開く。
クズキリ先生から、悪夢被害者の簡単な情報が送られてきているのだ。
「ええっと……堂園ヒロ、十一歳。一年前に、飼い猫が天国に行ってしまっている……なるほど」
「ククルより年齢は一個下かあ。お姉ちゃん、しっかりね~」
「わ、わかってます」
ヒロは悪夢にうなされているのか、小さなうめき声をあげている。
「バベル、早く助けましょう。夢への鍵を開けてください」
「しっ! バベル、うるさいです。悪夢の被害者は睡眠中なんですから」
「へいへい」
こういうときに口をもごもごさせるのは、バクの習性だ。
パートナーへの不満を口のなかで噛み潰し、そのまま飲みこむ。
悪夢を食べているのと同じ感覚なのだろう。
以前ククルが、不満の味はどうなのかと聞いたら「自分の不満の味なんて全然おいしくないよ。強いて言うなら、ゼラチンみたい」と言っていた。
「おーい」
「はい?」
「何だよ。ぼくのことジッと見つめて。まさか、惚れたか~?」
「ゆ、夢見士見習いとして、バクの仕草を観察していただけですっ」
「へえ~照れる~」
ささやき声で言いあいながら、部屋のなかに入った、ふたり。
ベッドの上では、男の子がすやすやと眠っていた。
ククルはスマホを取り出し、ラインを開く。
クズキリ先生から、悪夢被害者の簡単な情報が送られてきているのだ。
「ええっと……堂園ヒロ、十一歳。一年前に、飼い猫が天国に行ってしまっている……なるほど」
「ククルより年齢は一個下かあ。お姉ちゃん、しっかりね~」
「わ、わかってます」
ヒロは悪夢にうなされているのか、小さなうめき声をあげている。
「バベル、早く助けましょう。夢への鍵を開けてください」
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