4 / 90
1-4 バッド・ドリーム・デリシャス
しおりを挟む
スマホのバイブだ。
このタイミングでクズキリ先生から電話が鳴ったらしい。
バベルがぽろぽろと口のすみからペットフードをこぼしながら、目を輝かせた。
ククルは初任務の電話に緊張しながら、通話アイコンをタップする。
「……はい、六門です」
『馬飼町よだか四丁目、堂園さんちに悪夢が出現した。クオリティは、1。見習い夢見士・六門ククルにはそちらに向かってもらう』
「わかりました。ただちに駆けつけます」
バベルの背中にまたがるククル。
「行きましょう、バベル」
「ほーい」
とんがり屋根を走りぬけ、ふたりは空へと飛び上がった。
二人の背景で光る、パッションオレンジの月がチェリーレッドに染まっていく。
夜空のキャンバスにもとろとろと赤が流れてゆく。
とろとろ、とろとろと闇が赤く染まっていく。
「おい、ククル! 空が赤くなってくぞ」
「夜が悪夢に支配されていっている証拠ですよ。急ぎましょう――!」
目的の家の屋根に降りたふたりは、下へと伝っていき、悪夢被害者の部屋の窓をのぞきこむ。
当然、カーテンが引かれていて、なかは確認できない。
それどころか、窓には鍵がかかっていた。
「防犯意識は、カンペキですね……。大変、すばらしいです。バベル、よろしいですか?」
「おっけー」
このタイミングでクズキリ先生から電話が鳴ったらしい。
バベルがぽろぽろと口のすみからペットフードをこぼしながら、目を輝かせた。
ククルは初任務の電話に緊張しながら、通話アイコンをタップする。
「……はい、六門です」
『馬飼町よだか四丁目、堂園さんちに悪夢が出現した。クオリティは、1。見習い夢見士・六門ククルにはそちらに向かってもらう』
「わかりました。ただちに駆けつけます」
バベルの背中にまたがるククル。
「行きましょう、バベル」
「ほーい」
とんがり屋根を走りぬけ、ふたりは空へと飛び上がった。
二人の背景で光る、パッションオレンジの月がチェリーレッドに染まっていく。
夜空のキャンバスにもとろとろと赤が流れてゆく。
とろとろ、とろとろと闇が赤く染まっていく。
「おい、ククル! 空が赤くなってくぞ」
「夜が悪夢に支配されていっている証拠ですよ。急ぎましょう――!」
目的の家の屋根に降りたふたりは、下へと伝っていき、悪夢被害者の部屋の窓をのぞきこむ。
当然、カーテンが引かれていて、なかは確認できない。
それどころか、窓には鍵がかかっていた。
「防犯意識は、カンペキですね……。大変、すばらしいです。バベル、よろしいですか?」
「おっけー」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
熾ーおこりー
ようさん
ホラー
【第8回ホラー・ミステリー小説大賞参加予定作品(リライト)】
幕末一の剣客集団、新撰組。
疾風怒濤の時代、徳川幕府への忠誠を頑なに貫き時に鉄の掟の下同志の粛清も辞さない戦闘派治安組織として、倒幕派から庶民にまで恐れられた。
組織の転機となった初代局長・芹澤鴨暗殺事件を、原田左之助の視点で描く。
志と名誉のためなら死をも厭わず、やがて新政府軍との絶望的な戦争に飲み込まれていった彼らを蝕む闇とはーー
※史実をヒントにしたフィクション(心理ホラー)です
【登場人物】(ネタバレを含みます)
原田左之助(二三歳) 伊代松山藩出身で槍の名手。新撰組隊士(試衛館派)
芹澤鴨(三七歳) 新撰組筆頭局長。文武両道の北辰一刀流師範。刀を抜くまでもない戦闘の際には鉄製の軍扇を武器とする。水戸派のリーダー。
沖田総司(二一歳) 江戸出身。新撰組隊士の中では最年少だが剣の腕前は五本の指に入る(試衛館派)
山南敬助(二七歳) 仙台藩出身。土方と共に新撰組副長を務める。温厚な調整役(試衛館派)
土方歳三(二八歳)武州出身。新撰組副長。冷静沈着で自分にも他人にも厳しい。試衛館の弟子筆頭で一本気な男だが、策士の一面も(試衛館派)
近藤勇(二九歳) 新撰組局長。土方とは同郷。江戸に上り天然理心流の名門道場・試衛館を継ぐ。
井上源三郎(三四歳) 新撰組では一番年長の隊士。近藤とは先代の兄弟弟子にあたり、唯一の相談役でもある。
新見錦 芹沢の腹心。頭脳派で水戸派のブレインでもある
平山五郎 芹澤の腹心。直情的な男(水戸派)
平間(水戸派)
野口(水戸派)
(画像・速水御舟「炎舞」部分)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
視える棺2 ── もう一つの扉
中岡 始
ホラー
この短編集に登場するのは、"視えてしまった"者たちの記録である。
影がずれる。
自分ではない"もう一人"が存在する。
そして、見つけたはずのない"棺"が、自分の名前を刻んで待っている——。
前作 『視える棺』 では、「この世に留まるべきではない存在」を視てしまった者たちの恐怖が描かれた。
だが、"視える者"は、それだけでは終わらない。
"棺"に閉じ込められるべきだった者たちは、まだ完全に封じられてはいなかった。
彼らは、"もう一つの扉"を探している。
影を踏んだ者、"13階"に足を踏み入れた者、消えた友人の遺書を見つけた者——
すべての怪異は、"どこかへ繋がる"ために存在していた。
そして、最後の話 『視える棺──最後の欠片』 では、ついに"棺"の正体が明かされる。
"視える棺"とは何だったのか?
視えてしまった者の運命とは?
この物語を読んだあなたも、すでに"視えている"のかもしれない——。
視える棺―この世とあの世の狭間で起こる12の奇譚
中岡 始
ホラー
この短編集に登場するのは、「気づいてしまった者たち」 である。
誰もいないはずの部屋に届く手紙。
鏡の中で先に笑う「もうひとりの自分」。
数え間違えたはずの足音。
夜のバスで揺れる「灰色の手」。
撮ったはずのない「3枚目の写真」。
どの話にも共通するのは、「この世に残るべきでない存在」 の気配。
それは時に、死者の残した痕跡であり、時に、境界を越えてしまった者の行き場のない魂でもある。
だが、"それ"に気づいた者は、もう後戻りができない。
見てはいけないものを見た者は、見られる側に回るのだから。
そして、最終話「最期のページ」。
読み進めることで、読者は気づくことになる。
なぜ、この短編集のタイトルが『視える棺』なのか。
なぜ、彼らは"見えてしまった"のか。
そして、最後のページに書かれていたのは——
「そして、彼が振り返った瞬間——」
その瞬間、あなたは気づくだろう。
この物語の本当の意味に。
ルッキズムデスゲーム
はの
ホラー
『ただいまから、ルッキズムデスゲームを行います』
とある高校で唐突に始まったのは、容姿の良い人間から殺されるルッキズムデスゲーム。
知力も運も役に立たない、無慈悲なゲームが幕を開けた。
終焉の教室
シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。
そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。
提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。
最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。
しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。
そして、一人目の犠牲者が決まった――。
果たして、このデスゲームの真の目的は?
誰が裏切り者で、誰が生き残るのか?
友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる