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35 逃さない

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 手を引かれ緑の溢れる回廊を歩く。
 おそらく直ぐに麒麟の地に入っているのだと思うが、人っこ一人、物音一つしない。
 那々瓊が人払いをしているのだろう。
 時折振り返り呂佳を見る瑠璃色の瞳は、瞳が合うたびに嬉しそうに輝く。
 一年期間を空けたのは可哀想だっただろうか。
 でも僕たちは親子だ。
 この神浄外では卵の時期に神力を分け与えた者が親となる。卵から孵って、幼少期が育ての親、と言う考え方だ。どちらも親として認識するが、卵の時の親の方が、実際の両親になる。
 前世の地球では血の繋がりが重要視されるけど、ここでは神力が重要視される。
 那々瓊にとっては珀奥の神力が親になる。
 だからこそ朝露に操られてしまった。
 今の呂佳としての身体は親では無い。
 神力も違う。
 珀奥の死体を取り込んだので少し近付いたかも知れないけど、あの時は殆ど那々瓊に流してしまった。
 それに一度僕の身体に入った神力は、僕のものとして作り変えられる。だから、今の僕の神力は、元の通り静謐な風のように静かな神力だ。

 それでも、やっぱり僕は珀奥で、その記憶がある。
 那々瓊は「可愛い私のなな」なのだ。

 那々にとっては違うのだろうか?
 
 以前来た那々瓊の私室に到着した。
 緑が溢れる部屋だ。
 以前来た時と少し置物や小物が違うから、物を増やすのが好きなのかも知れない。
それでもきちんと整理されていた。
 そんな些細な事を見つけるのが楽しい。
 
 ソファに手を引かれて座らされた。

「久しぶりだね。会えて嬉しい。もう、どこにも行かないでね?」

 ピッタリと隣にくっついて、腰を抱かれて並んで座る。
 近い………。

「那々………、その、僕はそう見えないかも知れなませんが、那々の親なのですよ?以前の様な過剰な触れ合いは可笑しいと思いませんか?」

「思わないよ?」

 スパッと言い切られた。
 返す言葉を失う。

「あの、僕もあまり家族には恵まれず、親と子の普通の関係について、こうだと説明出来ません。ですが、やはり、その……。」

 少し頬に熱を持つのを、自分でも感じる。
 耳を舐めたり、尻尾を舐めたり撫でたり、あまつさえ陰茎同士を擦り合わせるなど、やり過ぎと感じる。

「親と子の関係なんて、それぞれでしょう?」

 那々瓊の距離が近付いてくる。
 片手は腰に、もう片方は呂佳の頭に伸びて耳ごと撫で出した。

「…ぁ………っ!」

 ピクリと肩が震える。
 頭ごと耳を撫でられると気持ち良いのだ。

「私は呂佳の黒い耳が好き。ふわふわの尻尾も好き。穏やかな話し方も好き。呂色の瞳も綺麗で好き。」
 
 徐々に近付く身体を押そうと思うが、力が入らない。
 耳を撫でられたくらいで何故、と思うが、抵抗出来ないのだ。
 何とか抵抗しようと頭を押さえてうつ伏せになる。

「こ、こうやって、近いのは、普通でしょうか………!?」

 必死に言葉で説得を試みる。

「うん、普通だよ。」

 え!?

 那々瓊は麒麟だ。獣の王だ。
 獣の王があっさりと頷くくらい、これは普通のこと??
 望和の人間としての人生経験がある所為で、僕の認識の方がおかしい?獣人だから獣的にあり?
 そうなのだろうか………。
 呂佳は分からなくなった。

「呂佳は今、珀奥様じゃないんだよ。今は黒狐の呂佳だよ。だからこれは良いんだ。」

 那々瓊が艶然と微笑んだ。
 呂佳は瑠璃色の瞳を見上げるが、その瞳は無垢に輝き嘘をついている様には見えない。

「呂佳は私のこと、嫌?こうやって触れ合うのは嫌い?」

 嫌なわけない。
 僕だって卵から孵った「なな」にずっと会いたかった。
 会ってみたら凄く綺麗な麒麟で、しかも呂佳が珀奥だと知らなくても好意を寄せてくれた。
 とても嬉しかった。

「僕は、嬉しいです。」
 
 だから正直にそう答えた。
 那々瓊がガバリと覆い被さり抱きついてきた。

「呂佳っ!ああ、嬉しい!これからはこうやって毎日触れ合おうね。」

 ま、毎日…………。大丈夫だろうか。
 でも凄く喜んでいる。
 一年間僕の言いつけも守って、待っていてくれた。
 親を慕う良い子なのだろう。


 じゃあ、良いよね!
 そう那々瓊は笑顔でうつ伏せになった呂佳の上に跨った。

「え?」

 足の上に那々瓊の体温と重みを感じる。
 いつぞやの事を思い出した。
 あの時は裸だったしぐったりしていたから逃げられなかったが、これはヤバいと呂佳は逃げようとした。
 
 ……が、那々瓊は細身に見えて体格がいい。身長もあるので呂佳は易々と拘束された。

「まだ、陽が高いから、夜になったら寝る前にまた洗いっこしようね。」
 
「え゛……。えーと、洗うのはそれぞれにしません?」

 我が子の我儘は叶えてやりたいが、流石に恥ずかしい。

「何で?」

 何で!?
 那々瓊があまりにも平然と不思議そうに言うので、呂佳は自分の常識がおかしいのかもと不安になってきた。
 そんな呂佳をあともう一押しだと畳み掛けてくる、那々瓊の狡猾な瞳に気付いていない。
 だって那々瓊は呂佳の柔らかい黒耳をハムハムしたいし、尻尾の匂いも嗅ぎたい。また胸をしゃぶって乳首を大きくしたいし、羞恥に震えて赤くなる呂佳を堪能したい。
 その先も、その先も………!

「あ、そうだ。やりたい事いっぱいあるけど、今はこれやりたいなぁ。」

 那々瓊がご機嫌な声を出した。
 呂佳の背中がビクゥと震える。
 甘えた様なこの声、だけど欲を孕んで拒否を許さない声。
 呂佳は若干青褪める。

 前合わせの襟を広げられ、腰紐を取られてしまう。

「ま、待ちなさい、何故服を緩めるのです!?」

 静止が効かない。
 ずるっとズボンが降ろされて、お尻が出る。すうっとする空気が触れて、呂佳は逃げようと踠いたが、那々瓊の体重がズッシリと重く動けなかった。

「わぁ!呂佳のお尻真っ白でズベズベして可愛い~。」

 呂佳の顔がかかーと赤く染まる。
 呂佳の太腿をがっしりと握った那々瓊が、お尻に頬をつけてスリスリしていた。
 持ち上げられて引き寄せられたので、まるで那々瓊に対してお尻を突き出した形になり恥ずかしさが増す。
 
「はぁう!やめなさい!」

「やだ。」

 我儘!?
 尾骶骨にある尻尾を大事に抱き締め、はぁ可愛い…と頬擦りしている。
 
「………那々は少し、変態ですか?」

 ジト目で非難すると、那々瓊はキョトンとした。

「かもね?」

 …………………………認めた!?
 どうしよう……、矯正できるのでしょうか?既に数百年も生きている存在に、今から常識を教えれるものなのか…。僕自身性的な事に疎いのに、誰に聞いたら……。

 那々瓊の下で真剣に悩み出す呂佳を、瑠璃色の瞳がまじまじと見下ろす。
 
 なんか可愛い。お尻出したままなのに。

 桃みたいに丸いお尻をナデナデすると、呂佳はひゃあっと悲鳴を上げた。

「…………や、やめ……っ!…っところで、何故僕のお尻を出したのです?」

 わぁ、今更疑問?
 
「呂佳、可愛い~。私のが大きくなっちゃった。」

 呂佳の目が何を言ってるんだと無になる。

 だって呂佳は可愛い。しかも珀奥様だ。
 目の前にいなければ妄想で我慢できるけど、今は目の前にちゃんといる!
 我慢出来るわけ無かった。
 いや、出来るはずがない!

「んーと、いくら成人しても妖魔討伐前にやるのは気が引けるから、ちょっとお尻貸してもらえないかなぁって。」

「…はぁ???」

「あ、でも汚れちゃうね。やっぱお風呂行こうか!」

「はあぁぁぁ???」

「洗いっこしよ?」

 乳首もペロペロチュウチュウしなきゃ!

 那々瓊の目が爛々と輝くので、呂佳は恐怖した。

「いや、待ちなさい?ちょっと待ちましょう?落ち着きなさい!那々はいくつなんですか!?抑えの効かない幼児ですか!?」

 ズルズルと微妙にズボンが足に引っかかった状態で呂佳は連れて行かれる。




 約一年前同様、ヂュウヂュウと乳首も陰茎も舐め吸われて、暫く呂佳は動けなかった。
 吸われすぎてジンジンするからだ。
 動くたびに服が擦れて痺れた快感が走るのだ。
 いちいち腰が抜けて丸まるしかなく、動けなくなった。
 しかもお尻の穴を舐められて、ふやけたねって言いながら舌を入れられた!
 我が子の舌が、お尻の穴に!
 いろんなショックで動けなくなった。

 永然が遊びに来て、呂佳のその状態に那々瓊は頭を叩かれた。



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