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31 ナリシュとオリュガの過去
しおりを挟むどういうこと!?
ネイニィは心の中で叫んでいた。これは態と起こしたイベントだった。
数多の攻略対象者を落とす中で、ノビゼル公爵家はちょくちょく出てくる。ナリシュ王太子殿下ルートの断罪で、オリュガ・ノビゼルは王族侮辱罪や奴隷売買、違法薬剤の売買で罪に問われる。その内の一つ違法薬剤に関するイベントを使ってノビゼル家を罪に問おうと思った。
ノビゼル公爵家の薬剤事業はゲーム上では真っ黒だった。平民には異物だらけの粗悪品を卸し、貴族には常習性のある薬物を売り捌く。その罪でノビゼル公爵家は爵位を落とされるはずだった。
ネイニィは悪役令息オリュガを排除したかった。それは罪に問われて平民に落とされるのでも、死ぬのでも構わない。
取り巻きのアルファでノビゼル公爵家の被害に遭うはずだった貴族家に、ノビゼル公爵家と手を切らせようとした。それにより公爵家には調査が入り、違法な取引や工場での異物混入の罪に問われる筈だった。
現に今ノビゼル公爵家所有の工場には国から調査が入っているのに、何も出てこないという報告しか上がってこない。
ノビゼル公爵家は先代からビィゼト・ノビゼルが当主に交代する頃には既に悪事に染まっていたはずだった。それなのに何故証拠が何も出てこないのか!
ビィゼト公爵はお金の亡者だった。可愛がる二人のオメガ弟達にはこれでもかと贅沢をさせるアルファの兄だった。
ビィゼト公爵の攻略は難しい。何故なら会う機会が少ないからだ。ビィゼト公爵を攻略しハッピーエンドを迎えると、主人公は番となるのだが、公爵の執着は激しいものとなる。元々弟達を可愛がる人間なのだ。それが愛する番となると束縛も激しい。
それがいい!というプレイヤーもいたけど、ネイニィはあまり好みじゃなかった。何より逆ハー狙うにしても扱いが難しいアルファなのだ。他と一緒は許さないし、ネイニィの番が公爵より上の存在である王族くらいじゃないと許してくれない。これが侯爵家以下だと逆ハーはほぼ不可能な存在だった。
ナリシュ王太子殿下を最終的に番にしたいネイニィにとって無理ではない存在だが、今のビィゼト公爵はかなり難しい位置にいた。全く会えないし親密度も上げられない。王城で会って話し掛けてもほぼ無視される。
だったらオリュガ・ノビゼル諸共排除しようと思った。次兄のニンレネイは割と好みで勿体無かったけど仕方ない。諦めることにして、ノビゼル公爵家をまとめて処分しようと思っていた。
それなのに!
何故かノビゼル公爵家の薬剤事業は真っ白だった。
折角リマレシア王妃を説得して調査員を手配したのに、何も出てこないと泣きが入り、冤罪を作り上げようかとも思ったけど、王家の調査員に対してノビゼル公爵家の監査員をつける徹底ぶりに全く付け入る隙がない。
だったらオリュガ・ノビゼルを消そうと思い、本来はネイニィがするはずの決闘イベントをオリュガに渡した。
この決闘イベントは騎士団長親子を完璧にネイニィのものにできるイベントだ。攻略対象者はファーブリマ騎士団長子息だけなのだが、父親の騎士団長もこの時だけ親密度を上げようというクエストが発生する。親密度を上げるとこの決闘イベントで騎士団長が出てくるようになる。上げてなければただの普通騎士が出てきてネイニィが勝つ。するとメネヴィオ王太子殿下の親密度が上がることになる。騎士団長が出てくれば、ネイニィのおかげで息子と仲良くなれた騎士団長はネイニィに手加減してくれる。お互い相打ちとなり怪我をするのだが、ネイニィの聖魔法で癒してあげるとその力に感銘を受けてネイニィに忠誠を誓ってくれる。これにより騎士団の結束が強まるのだ。
ナリシュ王太子殿下ルートを選ぶならやっておくべきイベントだ。もしメネヴィオ王太子殿下を選ぶなら逆にしておくと都合が悪くなるので騎士団長の親密度をあげてはいけないことになる。
三年生時にはアニナガルテ王国とサマファル国は敵対国となるので、騎士団の結束を上げるかどうかはここで重要な要素になってくる。
逆ハー狙うなら友好国となるよう誘導しなければならない。その場合はどちらの王太子もネイニィは攻略し、一旦開戦するもネイニィが仲裁役を演じて戦争を止めるというイベントがある。
そのイベントを発生させるには必ず開戦させなければならない。毛皮は燃えて開戦しなければならないが、メネヴィオ王太子殿下を選んでおくとネイニィは投獄される。それはダメなので、その投獄を回避するイベントもちゃんとある。投獄回避からのナリシュ王太子殿下と戦争に向かいネイニィが終戦させる。それがネイニィの最終目標だった。
話はそれたが騎士団の結束を強めるならネイニィが決闘イベントをやる必要があったが、ネイニィが聖魔法を見せれば治癒を受けた騎士団長は感動してくれるので、別に戦うのはオリュガでも構わないのかなと思った。そしてオリュガは死んでも良いよねと思ったのだ。
騎士団長にはクッキーをあげて親密度を上げて、オリュガに必ず勝って欲しいとお願いした。ちょっと切らせて油断してみせて、思いっきりやってねとお願いした。
勝つと思っていた。
騎士団長は手加減してネイニィと相打ちになるのだ。前あった合同練習でだって、ノルギィ王弟殿下は自分の剣じゃなかったんだし、狩猟大会だって、素早いだけで急所狙う小手先だけの剣だった。
なのに、なんで!?
なんで騎士団長にあっさり勝ってるの!?しかも騎士団長がオリュガに忠誠を誓おうとしている!
それはネイニィの役なのに!!
ネイニィはギリギリとオリュガを睨み付けた。
騎士団の結束は固まるので戦争は有利に運ぶことになるかもだけど、それはネイニィのおかげでなければならなかった。
しかも何故かやらなくていい王弟殿下とのイベントを発生させた。
それは……、それも、ネイニィがやるイベントなのに!
ノルギィ王弟殿下の親密度は今、七十をキープさせている。油断すると何故か直ぐ落ちるので、定期的に真心クッキーを与えて維持しているのだけど、ステータスを見るとまた六十五に落ちていた。
なんで?
オリュガと騎士団長の決闘が始まるまではネイニィに寄り添い肩を抱いていてくれたのに、始まると我を忘れて見入っている。見続けてまた落ちた。オリュガを見ているだけで、親密度が落ちてしまった。
ナリシュ王太子殿下も腹が立つことにノビゼル公爵家側に立っている。
謁見の間にいた時は七十超えていた親密度が、終わってネイニィが王弟殿下を相手にしている間に一気に五十以下に下がった!
オリュガに会ってきたんだ!ネイニィとの親密度が七十以上なのに、悪役令息に会って来たんだ!
オリュガ・ノビゼルは危険だ。
やっぱり早く排除しないと…。危険な手は取れないと思ったけど、もうのんびりとしてられない…。
ノルギィ王弟殿下は決闘をすべくネイニィのもとを離れて行った。
ネイニィの暗い瞳をナリシュと国王陛下が見ているとも知らず、一人ネイニィはその場に佇んでいた。
ショックから立ち直れない騎士団長は団員達が抱えて連れて行き、オリュガは次の対戦相手ノルギィ王弟殿下と対峙した。
オリュガはまだ口の中に残る飴を舌の上でクルクルと回す。
「やぁ、久々に心が踊るよ。」
「この前は踊らなかったの?僕は楽しかったけどなぁ~。」
「そんな可愛いことを言われては心が傾いてしまうじゃないか。」
「あははは。」
それはないだろうとオリュガは笑う。
オリュガにはノルギィ王弟殿下がそんな甘い人間には見えなかった。
力を欲する人間。技を磨きオリュガの様にそれを行使する時に楽しみを見出す。騎士団長のように国を家を守ろうとかそんなことは二の次三の次。そんな人間にまともなファーブリマ騎士団長が勝てるわけがない。自分の命すら二の次なのに。
演習場全てに緊張感が立ち込める。なのにオリュガとノルギィにはその緊張感が一切なかった。
ニコニコと笑うオリュガへ、これまた口角を上げてノルギィが告げる。いつかの合同練習の時の様に。
「…………では、始めようか。」
ガンッ!ガギィーーーンと重い音が空気を震わす。騎士団長の時とは違う重みに皆ゴクリと唾を飲み見守った。
あの細い腕のどこにあんな力があるのかと何度も見直すが、ノルギィ王弟殿下の重たい剣を受け止めているのはオメガである公爵家のオリュガだ。
「ねーねー王弟殿下っ、その剣って魔法剣?」
剣戟には似合わない息も乱さぬ調子でオリュガは尋ねる。
「そうだが?」
ノルギィもそれを楽しんでいた。相手がオメガとか歳下とか考えない攻撃に、最初こそ異論を唱えていた騎士団だが、オリュガの攻防に誰も何も言わなくなった。
「みせて?」
可愛らしくオリュガがおねだりした。ノルギィは笑みを深くする。
「いいだろう。」
誰もがいいのか!?と恐怖した。
離れた場所から見ていたナリシュは、オリュガの実力に感嘆していた。強いなんてもんじゃない。何故今までこの実力を隠していたのだろうか。この前の狩猟大会よりも更に腕が上がっている。いや、魔獣では相手にならなかったのだろう。
ネイニィを筆頭婚約者候補にするのは色々な政略に絡んで仕方なかったのだが、それにナリシュが首を突っ込める様になったのはごく最近のこと。もっと早く知っておきたかったと後悔した。
二人の会話は演習場に鳴り響く剣と剣が合わさる音に掻き消されることなくよく聞こえた。
「下がろう。」
ナリシュはノビゼル公爵に下がるよう促した。単なる打ち合いでも風圧と威圧が凄いのに、魔法剣まで出してくるのなら近くにいては危ない。
ノルギィ王弟殿下がもつ剣は、刀身が赤い炎の剣だ。魔力を通せば炎を噴く。
既にアルファが放つ威圧で青褪め震えるノアトゥナでは気を失ってしまうだろう。
「危ないのか?」
公爵はどちらかというと学者タイプ。戦闘には縁のない人だ。ナリシュはそれを知っているので、公爵の質問に頷き危ないからと演習場の端まで連れて行った。
炎の熱で焼けないよう魔法で三人分の魔法防御を張る。ノアトゥナの砂糖菓子のような甘い匂いに少し離れると、ノビゼル公爵が気を利かせて真ん中に立ってノアトゥナをナリシュの反対側に座らせた。
「すまないな。」
「…………いえ。」
ナリシュの怪訝な顔にビィゼトは意味深に笑う。
「何故分かるのかと言いたげだな。」
ナリシュは少し警戒した。アルファはオメガを求めるものだ。それなのにアルファであるナリシュはオメガの匂いが嫌いだ。欠点、いや弱点と言ってもいい。
「そう警戒せずともいい。理由は知っている。」
「………知っている?」
ナリシュはノアトゥナをチラリと見下ろした。具合が悪くてこちらの会話は聞いていなさそうで安心する。
「飴の交換条件はそこらへんに関するものだろう?」
「……………。」
「口外はしない。なんなら一緒に魔力を通して契約もしてやろう。」
「………何故?」
何故ナリシュにそんな融通してくれるのか。オリュガが過去筆頭婚約者候補ではあったものの、ナリシュとノビゼル公爵の間にはほぼ親交がなかった。
ナリシュの過去を知る者は限られている。ミリュミカですら知らないのに。
「一時期私の屋敷で療養しただろう。」
ハッとした。あの後熱を出し食欲を失くして寝込んだのだが、どこで療養したのかナリシュはよく覚えていなかった。
「記憶が抜けるのは仕方がない。ようやく少しだけ食べれるようになったと思ったら直ぐに迎えが来てしまったからな。気にする必要はない。私が知っているのはそういうことだ。」
ナリシュは詰めていた息をはぁと吐き出した。
「………………お手数お掛けします。」
それは過去に対するお礼と、これから頼むことに対する謝罪だった。それを理解しているビィゼトはどう致しましてとだけ返した。
幼いオリュガが寝込んだ少年の枕元にいた。
具合が悪いのだから入るなと言ったのに、物事を深く考えないオリュガは寝込んでいる少年、ナリシュの寝顔を覗き込んでいた。
「お紅茶どうぞ~。ごくごくごく。」
練習用のティーカップを持ち出して、寝込んでいるナリシュ相手に紅茶を出していた。空のカップをナリシュの口元に寄せて、飲ませる真似をして遊んでいる。
「こらっ!ここには入るなと言っただろう!?」
探しに来たビィゼトに見つかり、オリュガはぴゃっと小さく肩を揺らした。
「だって誰も相手してくれないし。」
オリュガはこの時から一際美しかった。大きな緋色の瞳は宝石のようにキラキラとして、柔らかそうな髪が頬にかかり、大人や子供、アルファやベータなど関係なく人を惹きつける子供だった。
だから迂闊に他人に合わせるわけにもいかず、一人で屋敷にいることが多かった。
護衛を撒いてここに入り込んだのだろう。
「だからってどうしてこの子に?」
オリュガは嬉しそうに笑った。
「だってここからいい匂いがしたもの。」
ビィゼトはえ?と驚いた。二人ともバース性は判明しているが、ヒートもきていないオリュガと、体調不良のナリシュ王太子殿下だ。年齢的にも十歳と十一歳。そんなにフェロモンが出るものだろうかと首を傾げた。そう疑問に思うビィゼト自身まだ十三歳。
「ほら、出るよ。私が遊んであげよう。」
「わぁーい。」
その後からナリシュ王太子殿下は少しだけ柔らかいものを食べられるようになったのだ。そして直ぐにリマレシア王妃が手配した人間がナリシュ王太子殿下を引き取って行ってしまった。
果たして二人は覚えているのだろうか。
熱心にオリュガと王弟殿下の決闘を見るナリシュ王太子殿下を横目に見て、そう簡単に嫁にはやらんからなと心の中で呟いた。
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