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2章 俺のイジワルな皇子様
72 雪の国
しおりを挟むスワイデル皇国の最も北にある石の砦は、雪に覆われ真っ白な銀世界となっている。
痛いほど手足は凍るし耳が痛い。
ユキト殿下が渡してくれたストールを首に巻いて、ロルビィは砦の上からヴィアシィ国方面を眺めていた。
既にヴィアシィ軍は国を出発しているらしい。
密偵に出していたシゼとテレセスタが砦に合流して情報を報告した。
件の龍はヴィアシィ国にいると俺達は予想した。だが警戒が激しく、聖女オッルに従う兵士が昼夜問わず魔力障壁を張って見張っているらしい。
シゼの魔法でも通り抜けは難しく、通ればバレる可能性が高く確認が取れなかったという。
今いる砦の周りは見晴らしの良い荒野だ。遠くに森が見え、そこからがヴィアシィ国になるらしい。
山と山の谷間になるので、来るなら此処からだろうと言われており、その為に昔から砦が建てられている。
「警戒の度合いから龍を捕まえているのは確かだと思うんですけど、そんな巨大な生物がいる雰囲気じゃないですね。でもぱったりと龍に纏わる捜索が切れたので可能性高いと思うんですよねぇ。」
シゼはその情報からずっとこの砦周辺にある村を拠点に動いていた。
テレセスタもいて、ヴィアシィ国に潜伏しても良いと言っていたが、あまり危ない事はして欲しくなかったので、聖女が動いたら教えるように命令していた。
今回ヴィアシィ国が軍勢を集めていると知ったのもシゼ達が度々ヴィアシィ国を訪れていたからだった。
それがなければカーンドルテ国と戦闘中に横合いからヴィアシィ国に攻められ大打撃を受けるところだった。
リューダミロ王国側の情報だった為、リューダミロ側の攻撃はヴィアシィ国軍を受け持つ事になっていた。
チラチラと降り始めた雪に、後ろに控えていたパルが入りましょうと言って来る。
冷たい風が北から吹いてきて、振り返ったロルビィの髪を揺らした。一つに纏めディカの髪飾りで一本になった長い髪は、もう腰まである。布で覆いきれなくなった残り髪が風に吹かれてサラサラと舞い、飾りの鈴がアメジストと擦れてチリンチリンと鳴った。
身体もかなり成長し、最近ではめっきり熱も出さなくなったのに、俺の周囲は相変わらず心配症だ。
石造りの砦はヒンヤリととしているが、中は空調魔導具が各所に置かれていて暖かい。
スワイデル皇国の経済が発展し豊かな為、こんな僻地でも設備は充実していた。
砦だというのに格子付きのガラス窓が付いていて、防御魔法も掛けられている。
魔力持ちが少ないスワイデル皇国は、それを補うように魔導具が発展している。
暗くなりがちな階段も廊下も魔導ランプが明るく照らし、砦周辺はその恩恵にあやかろうと人が集まり村というには少々立派な町が出来上がっていた。
その村人も今回は戦闘になる可能性がある為、スワイデル皇国側に一斉避難させた。
パタパタと足音がしてテレセスタが走ってきた。
「ロルビィ様、怪しげな人が来ていて騒いでるらしいのですがっ!今セリエリア様が対応されているのですが、魔力負けしそうだからロルビィ様を連れて来いと!」
あのセリエリア母より強い人間はあまりいない。それが負けそう?
慌てて俺達も砦の入り口に向かった。
入り口の鉄の門扉は少しだけ開いていた。
外側ではセリエリア母の硬質な声と、男性の低いがまだ若い声が聞こえてくる。
言い合いはしているが、小競り合いになっているわけでも無さそうなので、少しだけ開いた隙間から覗き込んだ。
セリエリア母の前には大柄な二十代前半らしき男性が立っていた。
赤銅色の艶のある髪とセリエリア母の真紅の瞳とは違ってツルリとした輝きのある紅玉の瞳、精悍な顔は男らしいが整っていた。
体格も良くマントを羽織っていて分かりにくいがとても鍛えていそうだ。
「だぁかーーらぁー!!此処に無茶苦茶強い奴いるでしょ?俺この大陸来て直ぐに気付いて追いかけてきたんだよ!合わせてくれても良いだろ!?」
「強い奴は確かにいるが、何故合わせる必要がある。帰れ。」
小柄な母は大柄な男が被せ気味に怒鳴っても怯む事なく言い返している。
強い?今話してる強い奴って事は魔力の量で言えば、俺しかいない。セリエリア母より強い奴はそうそういない。
「ちょっと頼み事したいだけだよ!!」
「はぁ?見ず知らずの人間に頼み事する気か?」
セリエリア母が腰の剣に手をかける。カチャリと音が鳴り、ほんの少し出た刃が冬の朝日に鈍く光った。
こんな所で戦闘はやめて欲しい。いくら住民を退避させているとは言え、家屋が壊れる。
「あのぉ、もしかして俺の事?」
とりあえず男と話してみようと思って門から出る事にした。
二人に近寄りセリエリア母の横に並んで男を見上げる。
無茶苦茶デカい。ユキト殿下よりも大きい。
「うお、またちっこいの来た!でも、お前だなぁ~。」
男は嬉しそうに紅玉の目を細めて笑った。
紅玉の中の瞳孔は縦長。
「………龍?」
男は驚いた顔をした。
がしりとロルビィの肩を掴んで悔い気味に話し出す。
「そう、龍だ!もしかしたら会った事あるのか!?どこで?誰に?人間は寿命が短い。最近なんだろう!?この大陸にはいないと思ったのに!」
立て続けの質問に目を白黒させると、セリエリア母はハァと溜息を吐いた。
「龍絡みか?」
「えーと、そうなのかな?分かりません。初対面です。」
「はっ!初対面なら面倒事を抱える必要性もないな。帰ってもらうか。」
「まって!まって!お願い、話聞いて!」
何とも元気な龍である。
「黒龍ワグラと全然タイプ違う。」
ポツリと呟くと龍の男は目を見開いた。
「ワグラを知ってるのか!?いるのか!?此処に!あぁ、なんて事だ!!ハゼルナルナーデに今直ぐにでも教えてあげたい!」
ハゼルナルナーデと言う言葉に皆んな首を傾げた。ハゼルナルナーデは南の大陸にあると言う国の名前だった。
パルはそこの出身だった筈だ。
パルを見ると彼も頷いている。
「あの、私はハゼルナルナーデ国の出身ですが、祖国は白龍信仰の国でした。貴方は一体…………?」
パルは遠慮気味に質問した。
龍の生態については誰も知らないが、ワグラは真っ黒の髪に金の瞳で黒龍を名乗っていた。髪の色が龍の色だとすると、目の前の男は赤い髪をしているので白龍では無いだろうし、話の内容からハゼルナルナーデ本人でもない。しかもハゼルナルナーデと言う龍は生きていそうでもある。
リューダミロ王国の様に国名が龍になっていても、もういない存在という訳では無さそうだった。
「俺は紅龍ノジルナーレ。白龍ハゼルナルナーデの異母兄にあたる。俺はハゼルナルナーデを助けたい。そして黒龍ワグラをあいつに合わせてあげたい。」
強い紅玉の瞳で男はそう言った。
門の前で話す事でもないので中に入ってもらった。
セリエリア母は戦闘前なのにと面倒臭さそうだ。
「水龍ソギラがいるのか?」
とりあえず今の俺達の現状を教えてやると、紅龍ノジルナーレはまた食い気味に身を乗り出した。ソギラの事も知っている様だ。
勿論、個人的な事ではなく、黒龍ワグラがフィガナ山脈にいる事と戦争が始まる事を教えた。
「リューダミロとフィガナは既にいないのか。だが結界の中にワグラはいたから気付かなかったんだな。おそらくフィガナの結界か。ソギラの気配を感じないと言う事は確かに冬眠している可能性が高いな。」
紅龍ノジルナーレはぶつぶつと呟きながら、自分の中で内容を咀嚼する様に確かめている。
相手が龍と言うならば俺達は大人しくその様子を見守った。
「よし、ソギラを助けに行こう。その魔女とやらに食い尽くされてはたまらん!」
「えっと、知り合いだったんですか?」
「ああ、学生時代のな。マルメはいないのか。同じ水龍だが。」
水龍マルメという名前はワグラから出ていないので、俺は首を振った。
「この大陸の東側は氷に覆われていた。フィガナが作った山とは知らず通り過ぎたが、人が住める土地では無さそうだったな。明らかに龍の暴走で作られた地域だった。ソギラが単独でいるというならマルメかもしれないな。アイツらは番になっていたのに別々にいるという事は、死に別れした可能性が高い。」
俺達人間側からすると山脈の東は昔から凍土だ。誰も行こうとしない。龍が作った環境なのだと言われれば、何となく納得出来た。
さっさと立ち上がって出て行きそうな雰囲気に、俺は一つ提案した。
「俺も行って良いですか?その水龍ソギラに頼みたい事があるんです。」
「リューダミロの子孫の事か?確かにソギラは頭が良い。それにロルビィには戦力として力を貸して貰いたい。後で説明するが、とりあえずまずは一緒にソギラを助けに行こう。」
了承してくれたので、そのまま出る事にした。
「待て待て、直ぐ行くの?」
「母上達はヴィアシィ国軍が来たら抑えてください。魔女サグミラの魅了魔法で操られている者がいる筈です。何でカーンドルテ国と共に仕掛けて来たのか分かりませんけど、何か意味があると思います。」
俺は皆んなにも気を付けて欲しかったので、カーンドルテ国の聖女は古から生きる魔女サグミラである事を教えた。もし戦闘に参加して魅了されては困るからだ。
「気を付けて行くんだぞ。お前はまだ子供なんだ。」
珍しくセリエリア母が母親の顔をしていた。いつも気丈で強い眼差しが心配気に優しく見つめる。
「はい、大丈夫です。」
俺は安心させる様に笑った。
首に巻いたままだったユキト殿下のストールをしっかりと巻き直し、紅龍ノジルナーレの方を見る。
紅龍ノジルナーレは窓を開け放していた。
格子のついた窓は重いと思うのだが、軽々とその逞しい身体で開けてしまう。
「よし、行くぞ!」
俺に向けて手を伸ばしたので、倍くらいありそうな手のひらに、俺の手を乗せた。
握られると視界が一転した。
「どぅあ!?」
今まで砦の暖かい応接間にいたのに、一瞬で森の中に来ていた。
林立する針葉樹林の中は真っ白に染まっていた。葉のない木も、もみの木の様に茂る木も真っ直ぐに直立し、降った雪が積もっている。誰も踏み込んでいない地面も雪が積もり、足がフカリと沈んだ。
「わわ!?」
背が低いので足がズブウと沈んで慌てる。
紅龍ノジルナーレは長身なので足だけ沈んでいたが、俺はこのまま底無し沼にハマる様な恐怖を感じた。
雪の中からレンレンが飛び出して来て、俺を持ち上げてくれた。
「あ、魔植か?かなり大きいな。」
「あーそうです。俺、魔力全振りでこの子にやっちゃってるんで、そのつもりで。」
魔力はロルビィという神の名前を借りているおかげで沢山あるが、レンレンが全て食べてる状態。
俺がこの世界に来た理由もほんの少し教えておく。ユキト殿下の障害になって欲しくないからね。
「あの長ったらしい神様か。俺達龍を此処に落とした上に、アイツのせいでハゼルナルナーデが捕まった。魂の拠り所になる生命の多い世界を作るねぇ~。そんなもん個人に頼まんで欲しいなぁ。お互い大変な者同志助け合おうぜ!」
なんか勝手に仲間にされている気がする。何を頼むつもりだろうか?良い人材見つけたとばかりにニヤリと男らしく笑っている。
雪に埋もれて歩けないと言ったら今度は小脇に抱えられた。
そしてまた景色が変わる。
転移を繰り返しているのだろうが、個人の魔力というか龍なら龍気というらしいが、一人で飛ぶ実力があるのは龍という生物ならではの強さなのだろう。
森、池、雪の草原、そしてリューダミロ王国やスワイデル皇国よりも小振りな城が目の前に現れた。
「よっと、ここが例のヴィアシィ国の城だろう。」
雪の中に建つ城は石作りで堅牢な佇まいをしている。華麗さが無く、スワイデル皇国の石の砦と似通った作りを思わせた。
「どうやって入る?俺の部下は魔力障壁があって入ればバレるって言ってたけど?」
「魔力障壁…………………、あぁ、あるな。この中にいそうだな。壊すか。」
事も無げにそう言うと、ノジルナーレの紅玉のような瞳がクルリと光を湛えた、
目を見開きニヤリと笑う。
ウォンという音とも衝撃ともつかない力がノジルナーレから発され、城壁や城の石にビビが入り、窓ガラスが内側に割れ飛び散った。
轟音を立てて城が一瞬で破壊される。
流石に倒れはしなかったが、ひび割れた城はあっという間にボロボロになっていた。
「う、わっ、倒壊したら困るんじゃ!?」
俺が慌てても、壊した本人は平然としている。ガシリと腕を掴まれ、また飛んだ。
景色が一瞬で変わると、そこは薄暗い室内だった。
城のほぼ中心部に位置するここは、魔力障壁で護られていたおかげか、壁にヒビが入る事なく無事の様だった。
「ソギラ………。」
ノジルナーレは中央の寝台に寝そべる男性を見て、声を漏らす様に名を呼んだ。
水色の髪は布団に散らばり一糸纏わぬ姿で横になっていた。
水色の睫毛はピクリとも動かず、死んだ様に見える。
側には女性が立っていた。
白く長いドレスはたっぷりとした生地を使われており、刺繍の施された白いコートを着て、急に現れた存在に驚いていた。
顔は至って平凡で素朴、髪はパサついた茶髪で色褪せた様な赤い目をしていた。
だがその瞳の存在には見覚えがあった。
神殿の奥に逃げ、打ち損ねた魔女。
ユキト殿下をいやらしく見ていたあの女の目と同じ。
「魔女サグミラ。」
ザワリと空気が震えた。
今度こそ…………。
「殺す!」
レンレンがゾワワワッと石の隙間からとめどなく這い出て来た。石を剥ぎ崩しながら蔓を伸ばし葉を茂らせ魔女サグミラに襲いかかる!
サグミラはロルビィの存在を認識すると、短く悲鳴を上げて髪と瞳が一瞬で黒色に染まった。
「ソギラ!!!!」
魔女サグミラの悲鳴の様な呼び掛けに、ソギラの目が開いた。
カッと見開いた瞳は綺麗な青色なのに、その瞳は虚で何も写していない。
「コイツらを足止めして!」
魔女サグミラにもソギラがロルビィ達を殺れるとは思っていない。
サグミラはずっとソギラの力を吸収しながら、夢に入り込みソギラの心を侵して行った。
幸せな夢に浸れる様に、何も現実を見ない様に、ただサグミラの言う事を聞く人形に仕立て上げた。
ソギラは意識も無くロルビィに襲い掛かった。
氷がバキバキと音を立てて部屋を覆い尽くし、レンレンの緑の繁殖を押し留める。
ただでさえ寒い室内がソギラの氷で氷点下に冷え切っていくと、空気が白く凍てつくように痛くなってくる。
レンレンの葉がパキパキと凍って砕け散り、下から上から溢れようとする蔦を次から次へと消滅させていった。
「レンレン!魔女を追え!」
レンレンは石を砕きながら魔女サグミラを追った。
サグミラは既に廊下を走り、奥の部屋へと飛び込んでいる。
部屋の中には魔法陣が描かれていた。
何と無く見覚えのある模様にロルビィは慌てる。
「レンレン!転移魔法だ!壊せ!」
レンレンが追いかけ壊す前に、サグミラは魔法陣に飛び込んだ。
たった一度きりの魔法陣はサグミラがもしもの時の為に作っておいたものだった。
陣が輝きサグミラをカーンドルテ国へ送る。
白い服を靡かせサグミラは消え失せてしまった。
「くっそっ!またっっ!!」
魔法陣は消失し、何もない部屋はガランとしている。
ロルビィはそれらをレンレンの目を通して見ていた。
ロルビィがサグミラを追う為にレンレンに集中している間、ソギラの相手はノジルナーレがしていた。
「逃げられたのか?」
涙を浮かべてガッカリするロルビィへ、ノジルナーレは慌てた様子もなく尋ねた。
「………はぁ、また逃げられた!」
ノジルナーレはソギラの両手を掴んでいた。辺り一面氷が張っていたのに、ノジルナーレの周りは乾いている。
「あの女に相当龍気を取られたな。死なずに済んで良かった………。」
虚なソギラを見る目は暖かい。
懐かしくも愛しい者を見るように、優しくソギラを見下ろしていた。
並んで立たされたソギラもそう小さいわけではないが、紅龍ノジルナーレが大きい。
掴まれた両手は片手で持ち上げられ、ソギラは腰を抱かれてしまった。
「………うっ、…ぐ、ぅ………。」
腰を力一杯絞められ、ソギラは苦しげに呻いてバタついているが、元々の腕力の差があるのかピクリとも動けない様だった。
「その人が水龍ソギラ?多分魅了魔法掛けられてるよ。」
「どうやって解くんだ?」
ノジルナーレは余裕そうにしている。
「あーーー、他の人の魔力を入れて薄める感じ?押しやるっていうか………。」
成程、と言ってノジルナーレは絞めた腰を持ち上げた。
そして暴れるソギラの唇に自分の唇を合わせる。ソギラが暴れて顔をずらそうとすると、両手を拘束していた手を離して水色の頭を押さえつけた。大きな手が動けない様がっしりと固定している。
舌が押し込められソギラの舌を追いかけた。追いかけて押しやって、逃げ場がないように塞いでいく。
「んーーーーーーーーーっ!」
ノジルナーレから一気に龍気がソギラの中へ傾れ込んだ。
口内から唾液を伝って身体中を巡り、不純な魔力を霧散させる。
力業の様な暴力的な魔力譲渡にソギラは口を閉ざされたまま悲鳴を上げた。
「ぶはぁ!?………あ、なた、は何てこと…………を、…………。」
グラリとソギラの身体が傾き、意識が無くなる。
「おっとっ。」
力を無くした身体をノジルナーレは縦に抱え上げた。
こんなにあっさり魅了魔法って解けるんだ?ロルビィは一部始終を見ながら龍はやっぱり違うんだな、と感心した。
人の身でこんな無茶苦茶な魔力を一気に流されたら身体が破裂して壊れる。
カーンドルテ国に逃げた魔女サグミラはまた追えばいい。
「とりあえず戻りましょう。スワイデル皇国軍にユキト殿下がいるので、俺はそちらも加勢したいので。」
「ああ、時空の神が生き存えさせようとしてる奴か。んじゃ行くか。」
ノジルナーレは特に疲れた様子もなくソギラを抱え直すと、ロルビィの手を掴んで元来た道へ向かって転移した。
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