翡翠の魔法師と小鳥の願い

黄金 

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1章 俺のヘタレな皇子様

36 シゼとテレセスタ

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 こんなに憔悴したカーレサルデを見たのは初めてだった。
 無表情に俯く姿からは、いつも自信ありげな彼の事など予想も出来ない程だ。
 アーリシュリンは紅茶を勧めながらも、カーレサルデが話出すのを待っていた。
 ロルビィに旅費を渡し終えたので、帰ろうとしていたトビレウスは、カーレサルデ殿下と連絡が付かなくなったと聞いて、そのまま公爵邸に留まっていた。トビレウスの目にはカーレサルデの悲しみの青と不安の紫がより一層深くなっているのが見えた。
 
 魔導具の進捗状況を報告しようにも連絡がつかなくなった。王宮に問い合わせても返答も無く、仕方なく密偵を放った。
 真珠宮に監禁されている。
 何が起きているのか分からないが、シゼとその配下を向かわせた。
 そしてカーレサルデを連れて帰ってきたのだ。
 王太子殿下が第二王子殿下を殺そうとしていると判断しましたので、持ち帰りました~と元気よく帰ってきて、密偵の意味とは!と思ったが、カーレサルデを殺されるのも許せないので、ロワイデルデ殿下に見られたのは水に流すことにした。
 連れ帰ったカーレサルデは元気がない。青い顔で憔悴したままだ。

「シゼ、お前も顔色が悪くないか?」

 シゼは基本明るい性格で人懐っこい。深刻な場面でもそうなので分かりにくいが、明らかに脂汗を出している。
 カーレサルデがハッと顔を上げた。

「ロワイデルデ兄上と私の間に入ったんだ。あの時魅了魔法を発動していた。目を見たんじゃないか!?」

「魅了魔法に掛かっているのか!?」

 アーリシュリン自身も魔女サグミラの魅了魔法を経験しているので、シゼに詰め寄った。

「多分、軽く?視線はずらしたんですけどね?なんか変な声って言うか、意思って言うか、頭の中で煩いんですよ~。」

「声?私はそんなもの無かったぞ?ただ意識が落とされた感覚で何も考えれなくなって言いなりになった感じだったが………。」

 シゼの頭の中に声が響いているのだという。
 
 ーーー崇めよーーー!
 ーーーリューダミロに栄光をーーー!

「私と同じ様に魔力を吸い取ってから他人の魔力を譲渡する方法で解けるだろうか?」

「やってみる価値はあるだろう。」

「じゃ、リディ、やって。それからパル、テレセスタ連れて来て。」

 テレセスタは連れ帰って来てから公爵家の使用人として働いていた。部屋の隅に控えていたパルがはーいと返事して出ていく。

「え、やってって魔力吸収するのか?私がやると一気に吸い取って魔力欠乏が激しくなるぞ。」

 ムルエリデは基本自分の闇魔法に自信がないので魔力吸収はやりたくない。なのでちょっとだけ言い訳をするが、アーリシュリンとカーレサルデから問答無用でやれと言われる。

「すみません、使用人の分際で主人の手を煩わせるのは恐縮ですが、やって下さい………。」

 シゼの懇願にムルエリデは渋々頷いた。
 とりあえず空いている客室にシゼを押しやり、ベットに座らせる。その頃には青い顔で頭が痛いと蹲り出した。

「えっと、すみません、此方に向かう様言われましたが……。」

 開きっぱなしにしていた扉からテレセスタが入って来た。

「来たな。じゃあ、やるぞ。」

 シゼの頭にムルエリデが手を乗せると、ごっそりとシゼの魔力が消失する。

「…っはぁっが!ああ!」

 魔力の消失に苦しみ出したシゼへテレセスタ慌てて駆け寄った。

「シゼの魅了魔法を解く為に魔力を吸い取った。後はよろしくな。」

 アーリシュリンがポンとテレセスタの肩を叩く。

「え?」

「すまない、私の所為なんだ。定期的に様子を見にくるから鍵は開けといてくれ。」

「は!?」

「一応魔力が無くなったんで変な声は止んでます。何回か繰り返したら大丈夫そうです。」

「そうか、また1時間ほどしたら魔力吸収をしに来よう。」

「え?え?」

 シゼと公爵の会話にテレセスタは目をまん丸にしている。

 全員出て行ってしまうと、シゼはテレセスタの腕を引っ張りベットに押し倒した。
 ハァハァと苦しそうなシゼにテレセスタは気遣わしげな顔をする。
 
「大丈夫ですか?あの、詳しい事情は聞いてないのですが、魔力譲渡をするのでしょうか?………シゼ?」

 テレセスタが話し掛けるが、シゼはおかしな声の次に魔力欠乏による眩暈と頭痛でそれどころでは無かった。空腹すぎる吐き気と飢餓感、息苦しさに説明は後回しにした。
 
 テレセスタはまだ使用人として使用期間中で色んな雑用をこなしていた。今日は天気も良いのでシーツを洗おうと大量のシーツと格闘していたのだ。
 テレセスタから香る石鹸の清潔な香りに、シゼは喉を鳴らした。
 
 ペロリと唇を舐められテレセスタはピクリと震える。

「あ、あ……、ま魔力流します、ね…?」

 唇を合わせ舌を重ねて魔力を流す。
 シゼ程ではないが自分もそこそこ魔力は多い。

「ふぁ……ん、ん。」

 気持ちいい。
 気持ち良くて良いんだっけ?
 いや、気持ち良い方が魔力譲渡はやりやすかったはず。
 クチュクチュと頭の中で響く音を聞きながら、前シゼがしてくれた魔力譲渡を思い出そうとして、余計に顔が熱ってきた。
 服の中にシゼの手が入ってきて、胸を両方ともスリスリと擦られる、

「……ふ、………う、ん…。」

 両方、気持ちいい………。
 あれ?そういえば、何で自分が呼ばれたんだろう?
 いや呼ばれたのは嬉しいけど、リューダミロの魔力譲渡はペアを組んで相手を決めておくか、恋人や夫婦間が多いと聞いた。
 シゼはいないのかな………。

 キスの合間にチラリとシゼを見ると、何?と目が問いかけていた。
 キスで少し魔力が流れ、まだ顔色は悪いが話ができる程度になったのかもしれない。

「………あ、あの……、シゼは魔力譲渡をする恋人はいないのですか?…その、私でいいのでしょうか…………。」

 目を彷徨わせてモニョモニョと言うテレセスタに、シゼはふっと笑った。

「いないし、ペアになる相手もいないし、テレセスタでいいの………。」

 掠れた声でそう言われ、テレセスタの顔がブワワと赤らんだ。

「そそそ、そうなんですか!」

「魔力、増えたな……。」

「い、言わないで下さい~~~!!!」

 両手で顔を覆ってテレセスタは赤らんだ顔を隠す。自分でも分かったのだ、シゼに相手がいないと聞いて喜んでしまい感情が昂って魔力が増えたことに。
 耳裏に首筋にキスを落としながら、器用に服を脱がされ、テレセスタの陰茎をシゼがパクリと咥えた。
 一気に深く包まれて、舌が蠢きテレセスタはブルルと震える。

「あうう~~~、し、ぜ…………シゼ!」

 ペロリと裏筋を舐めながらシゼが視線を寄越した。

「……なに?」

「体調、悪いの………だから、わ…ああっ!だめっっ!」

 鈴口を舌でグリっと押され、話してる途中で意識が飛びかける。
 また咥えられて上下に扱かれ、はっあっと喘ぐと一気に吸い込まれ、ビクビクと痙攣しながらテレセスタは果てた。

「……ふぅ、で、なに?」

 ゴクリと大量の魔力を含んだ白濁を飲み込み、顔色が戻りかけたシゼは何事もない様に会話を戻した。
 果てて脱力はしたが、シゼのギラギラと欲情した眼に見つめられ、テレセスタの中にまた魔力が溢れ出す。
 な、なんかこれ、すごく恥ずかしい!
 自分が喜んで魔力を生成してるのが良くわかるのだ。

「あの、シゼは具合が悪いのだから、私がした方がいたのかなって………!」

 シゼはきょとんとした。

「この前、処女童貞かと思ったんだけど、出来る?後ろほぐさないと急には入んないだろ?」

 シゼはテレセスタの後孔に手を伸ばし指をツプリと入れた。

「はぅん!」

「あれ?」

 もう一本増やして二本の指をくるくる回す。

「あ、や、あ、ん!」

「やーらかい………。」

 テレセスタの全身が真っ赤になった。
 はうぅぅ、バレた!絶対バレた!
 テレセスタは初めての性体験が忘れられず、あれから後ろを弄って自慰をしていた。シゼの任務は危険な事が多い。いつかまた魔力譲渡出来るかもと、ほんのり期待していた。

「…………。」

「あうぅぅぅ~~~っ!」

 何故かシゼが黙ったまま更に指を増やして穴と広げる。
 テレセスタは訳もわからず目を白黒させながら動揺していた。

「おもちゃ使った?持ってる?」

 使った。というかパルが何故かくれて、誘惑に勝てず使ってしまったばかりだった。神官をしていた自分がこんな欲求不満を溜めていたのかと、驚く程のめり込んだ。

「まさか、相手いないよね?」

「い、いない、です!パルが………!」

 あーパルかぁ、と言いながらぐるりと身体が入れ替わる。シゼのお腹の上に跨る状態だ。シゼの腹筋は服の上からは痩せ型に見えるのに、裸になると余計な肉を削ぎ落とした様なゴツゴツとした腹筋が凄い。
 
「じゃあ、お願いしよっと。そこの棚に実が置いてあるからさ。」

 目をやると蜜の実が瓶に入れて置いてあった。潤滑油と浄化の為に、特に男性同士の場合はあった方がいいと聞いていた。少し高めなので、おもちゃで遊ぶときはこっちね、と言って瓶に入ったドロリとした液体を渡されたのでそちらを使ったのだが、蜜の実はお尻に入れて力を入れたらいいんだっけ?
 使い方が半信半疑だったのが分かったのか、シゼはクスリと笑って一粒取った。

「こう、ね。」

 先程までシゼの指が入っていたところへグッと押し込まれる。

「ひゃあっ!」

「おもちゃの時も最初は浄化の為に一個は使えよ。ま、おもちゃはもう使わんでいいけど。」

 軽々と脇を持って持ち上げられる。
 長身でも細身のシゼのどこにそんな力が有るのかという程、子供の様にひょいひょいと動かされる。
 
「よっ…と!」

 ずぷうっっっ!

「んんんんんんっっっ!!!」

 突然入ってくる熱い杭に、呻き声が出る。喉をのけ反らせてハクハクと口を動かすが、うまく息が出来ない。

「あ、もしかしておもちゃ小さいやつだったかな………。でももう入っちゃったしな。」

 仕方ない。とばかりにあっけらかんとシゼは言う。
 ユサユサと揺さぶられ、動くことも出来ずに喘いでいると、アーリシュリン様が部屋に入ってきた。

「ひいっ!」

 恥ずかしさで縮こまるとシゼが上体を起こしてシーツを頭から被せてくれた。
 立ち上がっていた自分の陰茎は、見られたらショックと恥ずかしさで小さく縮こまってしまう。

「どうだ?」

「魔力が溜まるとまだ少し残っている気がします。」

 何で普通に喋れるんだ、この人達…。
 テレセスタはピシリと固まり動けないでいた。

「じゃあ、もう一度魔力吸収だな。リディ。」

 呼ばれて公爵様が渋々入ってくるのがチラリと見えた。あの表情に自分の感覚と同類を感じた。
 ロクテーヌリオン公爵はシゼの頭に触れて魔力を吸収したようだ。
 アーリシュリン様と一緒にまた1時間後にと言って出て行ってしまう。

 ………1時間後…、にまた見られる?

「ロルビィ様のあの魔食があれば見られなかったんだけどな。」
 
 また魔力の欠乏で顔色を無くしたシゼが申し訳無さそうに言うので、辛いのはシゼだと思うと文句も言えない。
 
「ん、いい………、頑張ります。」

 私がここで嫌がったら、シゼは別の人間と魔力譲渡をやらなければならない。
 そんなの嫌だ。
 頭をくしゃくしゃとかき混ぜられる。

「テレセスタ、可愛いな。」

「なっ!?」

 抱きしめられて先程から入りっぱなしのモノがグググと押し込められてくる。

「…………はっ、あぁぁ………深、なんで…!」

 またぐるりと景色が回り、布団の上にポスンと落とされる。
 ガツガツとシゼによってテレセスタは貪られ、見られたらショックは飛んでしまった。

「あ、あんっ………!…やぁ…………ゔぁ、ん、んっ!!」

 横向きで左足を上げられ奥深くまで届く様に打ち付けられ、テレセスタは息つく暇もなく喘がされる。
 
「ん、ん、でる!ぃ、あ、ぁ、あっ!」

 内側から押し上げられる快感に、もう一度イきそうになる。

「あ~、だめだめ飲むから。」

 テレセスタの様子にシゼは陰茎を抜き取った。勿体無いと言って、テレセスタは陰茎をまたパクリと咥えられビクビクと震える。
 奥深くまで咥えられ、陰嚢を揉みながら力強く喉で吸われ、テレセスタはこの心地よい器がシゼの口内だという事も頭から飛んで、只々気持ち良く射精した。

「~~~~~~~~っっつ!」

 腰を震わせ何度もわけて出された白濁を、シゼは美味しそうに飲んでしまった。
 ゴクリという音と、シゼの唇を舐める仕草に、テレセスタは現実に戻る。

「ま、また、の、のの飲んでっ!?」

「魔力が多いから飲まないと勿体無いだろ?」

 そしてまた当たり前のようにシゼの陰茎が突っ込まれる。

「ほら、全部飲むから……。頑張るんだろ?」

 悠然と笑いながら、シゼはまたテレセスタの前立腺を狙って擦り上げる。擦っては奥を突き、テレセスタの萎んだ陰茎を立ち上がらせる。
 いい子いい子と頭を撫でられると、テレセスタの脳内はポヤンと蕩け、シゼの望むままに何度も射精した。

「………も、でにゃ…い、………あっ!…ん!…………あぁ!………きもちいっっ、シゼ!………………っすき、ん、ん、しぜ!」

 ほぼ枯れ尽くし出ないと言っても、シゼの腰は止まらない。テレセスタはいつまで続くのか分からない責苦に、ゾワゾワと内側から何かが出てくる感覚に怯える。
 シゼの顔がニヤリと笑い、ギリギリまで引き抜いて奥を思いっきり突いた。クポっと謎の音がして、え?という疑問とともに透明な液体がプシャと飛び出る。

「……っっっ???!?!?」

 身体はガクガクと震え、目はチカチカと光り、頭の中は快楽で溶けそうになる。
 涎が垂れているが、テレセスタの頭の中はそれどころではない。
 気持ち良すぎて何が起きたのか理解できなかった。
 未だ陰茎からプシプシと出る液体を、シゼは指で掬って舐めとった。
 
「そろそろアーリシュリン様達が来るけど…………、もうわかんねーか。」

 既に何度か来たのだが、最初は恥ずかしがっていたテレセスタも、三度目辺りから気付いていなさそうだった。

「シゼ、どうだ?」

 扉の外から遠慮なくアーリシュリン様が尋ねてくる。

「もう良さそうです。」

「………明日は登城する。そのつもりでいてくれ。」

「…………了解です。」

 焦点の合わない目でヒッヒッと息をするテレセスタの頬を撫でる。
 恋人は作らないと決めていたのに、欲しい人が出来ると途端に状況が悪くなる。
 それでも一人で彷徨っていた俺を助けてくれた公爵様の力になりたい。恩を返す。
 そして、ずっとここで暮らすのだ。
 公爵様の仕事を手伝い、冗談をいいながら、テレセスタの元へと帰ってくる。
 そんな幸せな日常が欲しい。
 だから、必ず戻ってくるよとキスを送った。









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