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番外編

76 ミゼミの砂糖菓子③

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 アジュソー・リマリネは多忙だ。リマリネ伯爵家当主として、立ち上げた商会で巨万の富を築きつつも、ルキルエル・カルストルヴィン王太子殿下の側近として白銀騎士団長も務めている。
  
 本日も所有鉱山から採掘されたサファイアのネックレスを、王太子殿下の妹姫に納品すべく王宮にやって来ていた。
 王族が住む居住区は王宮敷地内の北から東に固まっている。これが終わったらミゼミがいる北離宮による予定だった。

「こちらがご依頼頂いた品物で御座います。」

 重厚な箱に収まったネックレスを、蓋を開いてみせ王女殿下に差し出した。献上したわけではない。ちゃんと代金は頂くのだが、王女殿下はアジュソーからの贈り物であるかの様に喜び、首にかける様指示した。
 アジュソーは営業用の天使の笑顔で、とてもお似合いですと恭しく首につけてあげる。
 リップサービスをしておくと次の注文もスムーズに進む。

 今アジュソー達は王宮の庭園に張られたテントの中にいた。数十人の侍女と侍従に囲まれて、大きなカウチを持ち出しこれでもかとクッションを並べた中央に王女はいる。アジュソーもテントの中に入る様言われ、カウチに寝そべる王女の側に侍らされていた。
 今日のアジュソーはリマリネ商会の商会長として来ている。
 お客様は神様とまでは思っていないが、ある程度は顧客を満足させる為に、致し方なくカウチの側に膝を付いていた。

「まぁ、ご覧になって?」

 王女殿下がこれみよがしに声を上げた。声の中にあざけりが含まれている。
 扇で指された先は北離宮。このテントに案内された時に内心舌打ちしたが、これが見せたかったのかとアジュソーの機嫌が急降下する。
 北離宮は高い柵で囲われている。柵の内側も外側も騎士団で警護されているのだが、アジュソー達がいる場所からその柵の中には、北離宮の庭園が見えていた。樹々の奥には北離宮の屋根がのぞいている。
 何故わざわざここにとは思っていたが、王女の魂胆に顧客名簿から消そうかと考える。

「ほら、最近噂の幽霊ですわ。」

 幽霊…………。
 庭園には白い人影が立っていた。
 どうやら薔薇の花を見ているらしく、こちらには気付いていない。
 白いサラサラの髪は肩で切り揃え、灰色の瞳と日に焼けたことの無さそうな真っ白い肌の青年だ。風が吹けば軽く靡く白い衣を着て、全体的に真っ白い。

 王女は何が楽しいのかクスクスと笑う。

「たまにあそこにああやって出てくるのらしいですわよ。アレで二十八歳なのだとか…。頭も少しおかしいので幽霊と言われているのですわ。」

 面白いことをアジュソーに話したいと思いここにテントを張ったのか、それともくだんの白い幽霊がアジュソーが面倒を見ているミゼミと知ってて話題にしたのか……。
 アジュソーは天使の笑顔のまま纏う空気を変えた。
 数名の侍女侍従達はブルリと震える。恐らくそういう格好をした護衛なのだろうが、王女は全く気付いていなかった。
 ご機嫌で話す王女の口を止めたくとも止めることが出来ない彼等は、青い顔をして王女の側にそれとなく身を寄せ警戒する。

「失礼致します。」

 その時テントの外から声が掛かった。ファマリ・エレンレフ白銀騎士団副団長だ。
 側に寄った侍女に要件を伝え、侍女が王女に耳打ちした。

「まぁ、兄様がご用事なのかしら?アジュソー様、直ぐに北離宮に来て欲しいそうですわ。」
 
 アジュソーは本日王太子殿下は城の方で執務中であり、北離宮は不在にしていることを知っている。
 チラリとテントの外に直立不動で立つファマリを見て、アジュソーはにっこりと微笑んだ。
 王女殿下の頬が赤く染まる。

「では、急いで行かないとなりませんね。本日は楽しい時間を有難うございました。またのご用命をお待ちしております。」

 軽く礼をとりアジュソーはテントから出た。
 ザッザッと早足で立ち去り北離宮の門から中に入る。門の前にも騎士が二人立っているので、アジュソーは先程お土産にと渡されたお菓子入りの袋を渡した。包に香水が振り掛けられているのか、折角のお菓子の甘い匂いが全くしない。食べる気もしないし、先程不機嫌にしてくれた王女がくれたものなど捨てたくもあるが、王族がくれたものをそこら辺に放るわけにもいかないので門に立つ騎士にあげた。

「助かったよ。」

「そうでしょう。あそこで王族を切ったとなれば大問題です。」

 たまたまファマリは北離宮の警護に来ていたのだが、テントの中の団長の表情を見て助け舟に入った。

「………ミゼミを幽霊だと!?」

 こちらが近付いているのに気付いたのか、向こう側でミゼミがキョトンと立っていた。
 アジュソーはまだイライラしているらしい。

「そんな顔でミゼミ様に近寄ると怖がりますね。」

「うるさい。お前は警護の後午後から騎士団に行け。」

「え?そっちは団長の番だったはずですけど?」

「北離宮で昼食を摂ってから行く。」

「さよーですか。」

 ファマリは溜息混じりに了解した。立ち止まり団長が白い青年に極上の笑顔で近寄り、手を繋ぎ腰を支えて建物の方へ促すのを見送る。
 声が風に乗ってファマリの方に流れて来た。

「ミゼミ、昼食は摂ったかい?」

「んーん、まだだよ。お腹空いてなかった。」

「ああ、散歩してから食べるつもりだった?まさかお菓子の食べ過ぎじゃないだろうね?」

「……ぎくっ………。ち、ちがうもん。少ししか、食べてないもん。」

「ダメだよ、ちゃんとご飯を食べないと。だからこの前少し朝晩寒くなった時に鼻水が出たんだよ。」

「す、すぐ治ったよ?」

「ちゃんと言う事を聞きなさい。」

 ミゼミが渋々返事をしている。

 徐々に遠ざかりながら小くなる会話を聞きつつ、ファマリはボソリと呟いた。

「大変だなぁ、お母さん。」

 何故か遠くの団長がギロリとファマリを睨みつける。何で聞こえるんだよ、風下だぞ!?と慌てつつ、ファマリは反転して逃げ出した。








 ある日ルキルエル王太子殿下からミゼミをどうするつもりかと尋ねられた。

「エレンレフ伯爵がミゼミに興味があるようだぞ。」

 エレンレフ伯爵とは白銀副団長ファマリの父親だ。ファマリは次男でほぼ家から出てしまっている。アジュソーが引き抜いたのだ。
 ファマリもエレンレフ伯爵もスキルを持っているが、お互い仲が悪くいつも衝突していた。そこを狙って息子のファマリを自分の下につけたのだ。

「エレンレフ伯爵は西側諸国を管轄する外交官でしたね。」

「ついでに陛下の暗部でもある。」

「興味とはどのような?」

「その血とスキルだろうな。正妻は亡くなっているので、その後妻にだろう。」

「…………………。」

「白銀騎士団長はどうだ?」

「あり得ません。」

「そんな即答しなくてもいいだろう。」

「いえ、あり得ないと言うのは、今は、と言う事です。まだミゼミはそんな状態ではありませんよ。エレンレフ伯爵などもっての外です。」

「そうだなエレンレフ伯爵はもう五十だしな。」

 アジュソーが気持ち悪いと思いっきり顔を顰めた。



 殿下と別れミゼミの部屋に行き、その日の午後はゆっくりと勉強を教えた。だがミゼミの様子がおかしい。少し元気がない様に感じた。
 いつもの様に夕食に誘うと美味しいものが食べたいと言う。
 ミゼミには沢山美味しいものを食べさせている。
 本当はアジュソーの屋敷に引き取ろうかとも思っていたが、ミゼミは北離宮の宿舎でいいと言ったので、今はここに住まわせている。
 屋敷はアジュソーも不在にしがちなので、常に騎士が警護しているここの方が確かに安全かもしれないと考えたからだ。
 屋敷も警護を厳重にしておくか。
 アジュソーは個人で密かに戦力を有している。これはルキルエル王太子殿下の命の下に作られた殿下の暗部であり、他の王族達は知らない。国王陛下でさえもだ。彼等は全て白銀騎士団に所属し、その数は騎士団の三分の二にまでのぼる。
 纏め役をファマリ副団長に任せているが、いい人選だったと思っている。少々軽いところがたまに傷なだけだ。
 
「いいよ。美味しいのだね。」

 ミゼミは嬉しそうに笑った。

 北離宮に来て、ゆっくり過ごす様になってから食べる量も増えてきた。お菓子を許可したあたりからお菓子ばかり食べたがる様になってしまったが、ご飯も頑張って食べている。
 適度に運動もして、北離宮に集まる皆んなと遊ぶのを楽しんでいる。
 そのおかげかミゼミは当初に比べると少しふっくらとしてきた。
 頬に肉がつき、身体もまだガリガリだが、風が吹けば折れそうな手足も少し太くなり、とりあえず生きていけるだろうと安心できるレベルにはなった。
 
 アジュソーを見つけると嬉しそうに破顔する。白い真っ直ぐな髪が、サラサラと音を立てて流れるのを見ると、本当に人間だろうかと思ってしまう。
 アジュソーには幽霊には見えない。
 
「………妖精だろう。」

 白ばかり着せるのはアジュソーが好んでいる服をミゼミに着せているからだ。白くて柔らかくて布地がたっぷりしているものが実は好きだ。その服がはだけて覗く肩とか足とかがチラリと見えるのが好きなだけだ。
 ファマリには白い目で見られるが、自分のお金を好きに使って何が悪い。それに刺繍や飾り紐やリボンなんかもつけてオシャレにしている。幽霊なんて失礼な!
 アジュソーの気持ちはウチの子供が一番!と言う気持ちで溢れている。
 
 アジュソーは仕事柄好色だと思われがちだ。必要ならば身体を使うのも抵抗はない。望まれればいくらだって相手をしたし、それで商会の売上が上がるのならば問題ないと思っていた。
 最近まであった無数の身体の傷が、綺麗になくなったと知った顧客達の反応は様々だった。
 大概は喜んでくれるが、その奥に残念そうな気配を感じ、アジュソーは胸糞悪くなっていた。
 傷があればつけ入る隙があるとでも思っていた人間が多かったのだろう。
 アジュソーの傷が綺麗になくなったのは、ラビノア・ルクレー子息とミゼミのおかげだ。二人がいなければずっとあの傷を抱えて生きていかなければならなかった。
 無数の傷は過去を思い出させ、アジュソーを縛り付けていた。
 それが綺麗さっぱり傷と共に消えている。身体に残る傷はラビノア・ルクレー子息が消したのだとしても、この心の重りを消したのはミゼミの方だ。
 
 この恩は返したい。勿論ラビノアの方もだけど、無意識にアジュソーの心を救ったミゼミを、今度は自分が救ってあげたい。

「エレンレフ伯爵か……。」
 
 ミゼミを渡すつもりは欠片かけらもないが、もし手を出すならばファマリの家であろうと容赦しない。
 あの家は暗部だ。ミゼミの『隷属』をどう使おうとするかわかったものではない。しかも長男の嫁にではなく、五十になった伯爵の後妻に?殴りつけてやろうか。

 ミゼミは人を『隷属』することを嫌う。
 治療目的ではスキルを使っても、自分の欲求を満たす為に使うことはない。それはとても素晴らしいことで、同時に不器用な生き方だ。
 そんなだから利用され続けている。
 守ってやらないと。
 アジュソーの後ろを雛鳥のように着いて回るミゼミを、アジュソーは誰よりも気にかけていた。



 新年が訪れ、ミゼミと小さなお祝いをして過ごし、アジュソーはそろそろミゼミを屋敷に迎えるべきかどうか検討していた。
 おいでと言えば来る……はずだ。いつもアジュソーの言う通りにする子なのだから。
 どう切り出すべきかと考えていると、王宮から呼び出された。北離宮のラビノアからで、ミゼミに渡していたペンダントからだった。こんな早朝に何かあったのかと急いで駆けつけた。

 散らかりびしょ濡れの部屋を片付けながら、アジュソーは困惑していた。
 精通かな………?でも年齢が……。いや、今までの環境が環境だ。それに身体だってあんなにガリガリに痩せ細っていたのだから、ユンネ君から受けた刺激で漸く精通したのかもしれないじゃないか。
 これは喜ばしいことだ。
 ラビノアが無言で「お願い!」と訴えかけている。
 
 アジュソーはミゼミを自分の屋敷に連れ帰った。

 そして自分のやってしまったことに、震えている。何故舐めた……?舐めたいと、何故思ってしまった!?
 あまりにもピンク色で、全く黒ずんでなくて、感触を堪能してしまった。そこから出てきたものが、自分のものと大差なくて、本当に同じものかと思ってしまったのだ。
 ミゼミが驚いていた。
 そりゃそうだ。精通すらよく知らないのに、突然自分の精液舐められて驚かない人間はいない!

「何やってるんだ、僕は…。」

 こんなの親失格だ。どう説明しよう?とりあえず汚れた身体を拭いてあげて、着替えさせてあげないと。
 散漫となる思考をなんとか動かしながら、ノロノロとアジュソーは動き出した。






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