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新たな住居

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「幸介さん、おはようございます」

病院生活最終日の今日、朝食後に雫が俺の部屋を訪れた。
俺の通帳とカードが出来たのだと言う。

(しかし家と言い、通帳と言い、仕事が早いなぁ。俺はそれで助かってるからいいけど見返りに何か来たりしないよな?)

「ありがとう、これで当面の資金の心配はなくなったか」
「幸介さんはSSSランクですからね、でもランクが上がると妊娠させた場合と男児だった場合の報酬は減りますからね?」
「なに?それは教えてもらってなかったな」
「あらあら、補佐官が伝え忘れたのかしら。幸介さん昨日補佐官から一覧表を貰ったと思いますけど見てもらっていいですか?」

そういって俺は一覧表をテーブルの上に置く、雫がそれを見て指を差しながら説明してくれた。

「ランクが上がると言う事は妊娠しやすい精液と言う事になり、妊娠の謝礼も減っていくんですよ」
「まぁ俺の場合、タイミングが合えばほぼ100%出しな、俺のランクはこの表には載ってないけどSSランクよりも下がると思えば問題ないだろう」
「えぇ、格段と下がる事はないと思いますけど、これ位は下がると思ってもらう前に、もう通帳に私を妊娠させた謝礼が入っているのですから、確認してみたらどうですか?」
「どうですか?と言ってもどうやって確認するんだ?」

「若いのにそんな事も知らないんですか?」と雫は言うがこちらは中身45のおっさんなんだ、俺は雫に銀行のアプリを開いてもらって初期設定を済ませる。

「そう言えばこう見えて幸介さんは私より年上なんでしたね…すっかり忘れていました」
「それはしかたのない事だが、雫も実は俺が思ってる以上に年上だろ?」
「ふふふっ、幸介さんには私はいくつに見えますか?」

俺の見た感じだと20代半ばに見えるんだけどなぁ、澄玲や咲良の例もあるし、実際は+5歳は上なんだろうな。

「俺から見た限りでは25歳位、でも実際は30って所かな」

残念でした。と雫は微笑んでいる。25と言われたのが嬉しいようだ。

「こう見えて私は35歳です。妊娠だってこの歳だから諦めてたのに幸介さんはそんな私を妊娠させてくれました」
「そっか… 随分若く見えるがそれでも俺より年下だな、そういう事だからおじさんに優しく教えてくれたまえ」
「教えろと言われても初期設定は終わりましたし、あとはアプリを開いてここに指紋認証をすれば開きますよ?」

俺は雫に言われた通り指紋認証で画面を開く、そこには直接性行為と妊娠の2つの謝礼が振り込まれていた。

「確かSランクの2倍が俺の謝礼だと言ってたから、直接がこの値段で妊娠は… 思ったより減額されてないな」
「あらあら、さすが幸介さん、一回… 実際は3回中出しされましたけど、それでこれ位の金額ですか、5、6人の女性と性行為したら平均年収位稼いじゃうじゃないですか」
「種馬で稼ぐと言うのも悲しくなりそうだがな」
「でしたら、そのお金で経営者になればいいんですよ。高ランクの方は謝礼金を元にお店を経営してる方が結構いますよ?」
「女性客を相手にしなきゃいけないのに経営者になるのか?なんか矛盾してないか?」
「それは雇われ社長さんにすべてお任せしてるんですよ。自分はお金だけだして運営は任せて売り上げの一部を貰う。そんな感じですね」
「それに幸介さんは高ランクですのでセキュリティ対策にお金を使う事になりますし、平均年収ではとてもじゃないですけど暮らしていけないですよ?」
「なるほど… 高ランクは高ランクなりの苦労があるわけなんだな。そこは実際に経験してやっていくしかないな」
「頑張ってくださいね。『パパ』それじゃそろそろお迎えが来る時間なので退院の準備をお願いしますね」
「パパ か、向こうの世界でも子供はいなかったし、雫の子が俺の最初の子になるわけだな」
「幸介さんの初めての子が私だなんて嬉しい限りですね」

そう言い残し雫は退室していく。俺は退院の準備と言っても入院してから貰ったスマホと口座さえ忘れなければ忘れものはないはずだ。

長いようで短い入院生活も終わりか、当面は種馬で稼ぐとして今後の生活も考えなきゃいけないな…


俺が病院の出口(緊急の入り口だが)に向かうと雫を始め、検査の器具を用意してくれた看護師達が見送りに来てくれた。
俺はみんなに挨拶をして澄玲達が迎えに来るのを待つ。

やがて澄玲達が乗った車が到着し俺はそれに乗り込む。

「幸介さん久しぶり~ 入院生活はどうだった?」
「幸介様、お久しぶりです」

「検査入院とは言え退屈だったな、この世の男はどれ位グータラなんだかも知ったわ」
「まぁ普通の男性なら女だらけの病院なんて行きたくないからね。ストレスも溜まると思うし暴れたくなってもしかたないのかなぁとは思うよ」
「それはそうと、謝礼金が振り込まれた口座を貰ったのはいいが手持ちがない。どこか金を降ろせる所に寄ってくれるか?」
「あれ?幸介さんスマホ決済登録しなかったの?」
「何だそれは?」
「あ~ 咲良よろしく!」
「えっと… スマホに幸介様の口座のアプリを入れて設定すればスマホをかざすと支払いができるシステムです」
「そう言えば雫が設定してくれたが、支払いの設定もしてくれたのかな?」
「そればかりは、確認してみないとわかりませんし、幸助様の預金を見る事になりますから私達が勝手にやる事はできないです」
「それならかまわない、見られて恥ずかしい金額ではなかった。ちょっと澄玲に運転変わってもらって咲良に設定をお願いしてもいいかな?」

そう言うと駐車可能スペースに停車し、澄玲と運転を変わる。俺はアプリを開いて咲良に渡しお任せする。

「えっ… もうこんな金額が振り込まれてるんですか!」
「まぁ、ここで詳細は言えないが高ランクに認定されたからこれ位の謝礼が入るんだよ」
「高ランクって幸介さんのランクがどうだったの?」
「お前は俺の話を聞いてなかったのか?詳細は言えないってさっき言っただろうが、それに澄玲に話すとバラされそうだから話せないというのもある」
「たしかに先輩は人の秘密をすぐ話しちゃいますからね…」
「ぶー、ちょっと位いいじゃんか~」
「そこまで言うなら話してもいいが、それを他人に話したら政府から処罰されるかもしれんがそれでもいいか?」
「え?そんなに重要な情報なの?それなら聞かなくていいや。幸介さんは高ランクってだけ覚えておく」
「私は幸介様のランクが知りたいです…」
「咲良なら話しても大丈夫だろう。ただし澄玲に聞かれても話さない事が条件だ」
「何でそこにボクが出てくるのかなぁ?」
「お前がすぐに秘密を暴露するからだろうが」

そう言われて澄玲は黙り、俺は咲良の耳元で世界で1人だけのSSSランクである事を話す。

「え?それって本当ですか?」
「おおマジ、だから謝礼金も増額されてる」
「え?どうなの、幸介さんはすごいの?」
「先輩… 先輩は絶対に聞かない方がいいです。間違いなく処罰される未来しか見えません…」
「そんなに言うなら聞かないでおくよ…、っとまもなく着くけどもう設定終わった?」
「はい、終わりました。これでスマホ決済が出来る様になります」
「ありがとう咲良」

こうして目的の店に到着し、俺は隠れて店内に入る。見た感じはこの前来たファミレスを変わらないが2人が勧める高い店とはどんなものなんだろうか。

「ここって美味しいんだけど、その分値段も高いから中々来れないんだよねぇ」
「私もここに来るのは久しぶりです。幸助様ご馳走様です」
「そう言われると怖いな…」
「大丈夫ですよ、幸介さんのお金で問題なく支払えますから」

そう言うとそれぞれ好きな物を注文する。俺の奢りだからなのか、この前のファミレスの2倍以上の料理がテーブル一杯に埋め尽くされた。
幸せそうな顔で食べる2人を見ながら俺も目の前の料理を頂く。

(何だこれ?この前のファミレスとは比べ物にならんな、こんなの初日に食べてこれが普通だと思ったら他の物が食えなくなる所だった…)

「美味しいでしょ?幸介さんを見つけた日にここに来たかったけど、幸介さんがこれがこの世の普通だと思ったらマズいと思ってやめたんだ」
「あぁ、たしかにこれを初日に食ったら他の物が食えなくなる所だった」
「その代わりお値段も高いんですよね… 私達の給料じゃ年に数回来れれば良い方なんです」
「なので今日は遠慮しないで頂くね、幸介さんゴチになります!」

最初にテーブルあった量だけでは済まず、そこから追加注文していく2人、ファミレスで食べたあの量を遥かに超えてるんだが、その小さい体のどこに入っていくんだ?と言わんばかりに2人は次々に料理を平らげていく…
食事を済ませ会計に向かう、たしかに2人の言うように結構なお値段だ。この値段でこの美味しさなら納得するが、それでも痛い出費だ…

「それじゃ幸介さんのお家に向かうけど、どこか寄る所はないかな?」
「寄る所と言ってもどんな店があるのかわからないし、家もどこまで揃ってるのかわからない状況だ。まずは1度家に向かい足りないものがあったら買い出しにいくって感じだな」
「了解~それじゃ向かうね」

澄玲の運転で俺の家に向かう。俺の家に向かってるはずなんだが、俺には1つわからないことがある。

「なぁ澄玲」
「なぁに幸介さん?」
「澄玲は俺んち知ってるの?」
「うん、知ってるよ?そうじゃなきゃ運転できないじゃない」
「うわぁ… 澄玲でも知ってる俺んちを俺が知らないとは、俺って澄玲以下か?」
「そうだね、ボク以下だよ。これから幸介さんはボクにひれ伏して生きていくのさ~」
「先輩… この道違います… もっと手前の所で左折です…」
「そうだっけ?ここだと思ってたんだけどなぁ」
「やっぱり澄玲は澄玲か…」

こんなやりとりが続いてようやく俺の家に到着する。画像で確認していたが、実物は大きいな…

「うわぁこれは家じゃなく屋敷だね、幸介さんはここに住むのかぁ」
「でも私達の職場から近くていいですね。私の家は職場から結構離れているので通うのが大変なんです…」
「そんなに大変なら咲良もここに住むか?部屋は沢山あるから今なら選びたい放題だ」
「えっ、いいんですか?幸介様が良ければ私はここに住みたいです」
「よし決まりだな、おいそこの運転手、咲良の家に行って荷物持ってこい」
「いつからボクは幸介さんの運転手になったのかな?それにボクだってここに住みたいよ?」
「住みたければ住めばいい。ただ、何が足りないのかわからないぞ?」
「それじゃ家の中を探検して足りないものを探そう!」

そう言って澄玲を先頭に家の中に入る。入った瞬間に3人から「うわぁ…」と声が漏れる

「これ、家じゃないよね…」
「城って言われても納得しそうな作りですね…」
「こんな所に住まわせるって政府は一体何を考えてるんだ…」

そんな事をボヤキながら生活する上で不足しているものを探す。

「特に生活する上で早急にほしいと思ったのはないね」
「そうですね、強いて言えば食料ですね」
「食料はしかたないだろう。保存食だらけにするわけにはいくまい」
「それ所か、すべての個室にいつでも住めるように家具一式揃ってるのがすごかったです」
「それじゃ、咲良と澄玲の家に行って私物を持ってくるか。家具は一式揃ってるみたいだしそこは急ぐ必要ないだろう」
「そうだね、先に遠い咲良の家から行こうか」
「そういやあのクルマ1台だけで足りるのか?」
「ん~大きい家具を乗せるわけじゃないから大丈夫じゃないかな」
「そうですね、制服と着替えを持っていくだけですから大丈夫だと思います」

そう言って、澄玲と咲良は出かけて行った。俺は1人でこの大きい屋敷に取り残され暇をつぶすことになる。

(そういや種付けアプリでも開いてみるか)
性交渉をするためのアプリ、俺は正式名称を覚えるのが面倒なので種付けアプリと呼ぶことにした。
とりあえず、この付近で検索っと…

この付近だけでも結構いるんだな、それにしてもみんな若いなぁ、この子なんてこれで25?15に見えてもおかしくないだろ
この子は18か、うわぁ見た目小学生じゃないか、いくら18でもこれはないわ…

お、この子よさそう。クルマを持ってるので送迎しますか。Uさんね、この子にしてみるか。
俺はこの女性に決めてタップする。こうすることで相手に通知が言ってメッセージで日時のやりとりをするんだったな。


****  某所にて  ****

「あれ? あそこにいるの、ゆかり先輩じゃない? 咲良ちょっと止めて」

ボクはクルマを降り、警察隊に入隊した時にお世話になった先輩に声を掛ける。

「ゆかり先輩、こんな所で何してるの?」
「あれ?澄玲か?お前こそどうしてここにって、あぁこの辺に住んでるんだったか。あたしは散歩だよ。先日仕事辞めちゃってさ、今は無職でブラブラしてる」
「え?先輩辞めちゃったの?何でまたもったいない!」
「ちょっと上官と口論になってさ、その時に手を出してしまったんだ。それにあんな上官の元で一生を終えたくないから丁度良い機会だと思って辞めたんだよ」
「へぇ~そうなんだ。それじゃこの機会に妊娠しちゃうの?」
「それもいいと思ったんだけど、人工授精は何か嫌でね、思い切ってダメ元でアプリに登録してみたんだけど、やっぱ女性とヤりたい男はいないのか全然通知が来ないよ」
「そっか~って先輩スマホ鳴ってるよ?」
「お?どれどれ、ってこれはあのアプリの通知じゃないか!へぇ~ご近所検索であたしを選んだのか、この近辺にそんなもの好きな男がいるもんだねぇ」
「よかったじゃない先輩、これで妊娠したら子育てで食っていけるでしょ!」
「まぁ現実はそんなに甘くないと思うけど、何もしないよりはましかな。そういやお前後輩を待たせてるんだろ、そろそろ行きなよ」
「うん!じゃぁまたね先輩。上手く言ったら教えてね!」
「あぁまたな」

それにしてもあのアプリを使ってる男の人っているんだなぁ、ボクも登録してみようかな… それより幸介さんにお願いした方が早いかな?
ボクは待たせている咲良の元へ急ぎ、ボクの家へと向かった。
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