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とりあえず検査
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ようやく2人の姿が消え、上里医師が口を開く。
「中々愉快な警士さん達ですね」
「あぁ見えてうるさい方は3等警曹だって言うのですから疑ってしまいそうですよ」
「そうなのですか、それはとても優秀な方なのですね」
「まぁ、俺はこの世界に来たばかりなのでよくわかりませんが、あれが優秀ならみなさんはとても優秀に見えるんですけどねぇ」
「そうですね、それでは先ほどのお二人に話は聞いていますけど、確認の為にもう1度お聞かせください」
そう言うと俺はここに来る直前から今までの事を話した。上里医師は俺がこの世界に来た事よりも俺が若返った事に驚いていた。
「なるほど… そうなると予定している検査の他に身体能力の検査もしておいた方がよさそうですね。入院が数日伸びる事になりますけどよろしいですか?」
「よろしいか?と言われても、こっちは家無し・文無しだから先生の邪魔にならなければ大丈夫ですよ」
「そう言われるとそうでしたね。遠山様のお家は今、政府が必死に探していると思われます。男性に粗相のないように早ければ明日にも決まるかもしれませんね」
「明日って、もう俺の事は国も把握しているのか?」
「えぇ、警察署でお話されてる間に政府へ報告しているはずです。今頃上から下まで大騒ぎになっていると思いますよ」
ふふっ と笑みをこぼす上里医師。どうやらここも俺の話が来た時は大騒ぎになったのだと言う。そりゃぁ他所の世界から貴重な男性が来たとなれば騒ぎ出すのも仕方のない事なのかな。
「これが予定している検査表です。これとは別に身体能力の検査も行いますが、そちらは決まり次第お伝えしますね」
俺は検査表を見てみる。身長・体重…… と普通の健康診断と変わらない。ただ1つ1つの検査にこんなに時間が必要なのか?と思うほど時間をとっている。それと健康診断で検査する事の無い『精液検査』も含まれていた。
「何かご不明な所はございますか?」
上里医師が聞いてくるので俺は1つ1つの検査の時間が長い理由と、精液検査はやった事がないのでどういう流れなのかを聞いてみた。
「普段男性の方を検査する時はこれ位の時間をとります。みなさん無理やり来させられたと言う方々ばかりなので、少しでも良い印象を与えスムーズに検査が出来る様に配慮した結果です。それと精液検査は遠山様なのではっきりいいますけど、こちらが用意した容器に射精して頂きます。容器に射精したと言う結果さえあれば射精の手段は問いません。」
「なるほど、まず精液検査以外だが、そんなに時間をとってもらわなくても大丈夫です。身長・体重なんてその計りを準備していれば5分もかからないでしょう?」
「たしかに遠山様のおっしゃる通りです。それでしたら女性の検査と同じ位の時間にしても問題なさそうですね」
「それと、検査する方が俺を見て緊張しないか。と言うのもあるかな。さっきの大人しい方は最初に俺を見た時に思いっきり緊張してたからなぁ」
「なるほど、こちらの都合もあるわけですね。お気遣い感謝します。それでしたら心配ありません。機器の用意は他の者も行いますが検査は私1人で行います」
「そうなると上里先生は大変じゃないのか?それなら先生が無理しないように時間をとってもらってもこちらは問題ないですよ」
「その辺もご心配なく、私も遠山様も負担にならないような配置にしていますので遠山様さえよければ次々に検査する事も可能です」
「まぁそこは専門家にお任せするとして、問題はやったことのない精液検査かな。俺の中では検査室で1人で自慰行為をして出すってイメージなんだけど、それだと緊張して出せなさそうだ」
「そこはみなさんのやりやすい方法にお任せしていますので何とも言えませんが、例えば薬を使って無理やりに射精する方や、落ち着くまで何時間もかかる方とか本当にこればかりは人によって違うので、我々からは これだ。と言う方法を言う事ができないのです」
ん~、やり方は任せると言ってもエロ本とかなさそうだしなぁ、何かおかずになりそうなモノでもあれば何とかなりそうなんだけど…
「ところで、容器に射精すると言ったけど、容器とはどんなものなんですか?」
「それでしたら今お持ちしますね」
そう言うと上里医師は席を外し容器を取りに行く。数分も待たない内に戻ってきて容器の説明をしてくれた。
「こちらが射精用の容器です」
上里医師の掌の上に3,4センチ程の正方形のモノが乗っていた。銀色のパックに包まれたそのモノは俺の世界のコンドームの入れ物の形によく似ている。
「もしかしてその中に男性のペニスを包む薄いゴムが入っているんですか?」
俺の質問に上里医師は驚いている。まさか別世界の人間がこれの中身を知るわけがないとでも思っていたんだろうか。
「えぇ… 遠山様のおっしゃる通りです。遠山様の世界にもこの容器は存在しているのですか?」
「そうですね、俺の世界ではコンドームと言われている物でそれにペニスを包み女性と性行為する事で望まない妊娠や性病を防ぐ為の物です」
「望まない妊娠などあるわけが… と言うか遠山様の世界は女性と同じ位に男性がいるのでしたね…」
無理やり納得したような上里医師、小さな声で「望まない妊娠の性行為をする位なら私が変わってやるのに…」と呟いていた。
「それで先生に相談なんですが、その容器を使って俺が性行為して射精するのも有りですか?」
俺の発言に上里医師は驚いている。おそらくそんな事を言う男性は今までいなかったのだろう。上里医師は少し悩み、俺が望むのであればその方法もありだと思うが前例がないので上手くできるかわからないのだと言う。
「えっと… 有りか無しかで言えば有りです。ですが本当によろしいのですか?膣内に射精されない女性が獣になっても当院では責任取れませんけど…」
「ん~ その時は検査後にもう一回と言うのは有りですか?もちろん膣内射精付きです」
「それでしたら、当院にいるすべての者が立候補するでしょう… 正直に申し上げますと私も立候補します。と言うかさせてください!」
おおぅ、落ち着いた上里医師が豹変した… やはりこの世界の女性は外側と内側は別物なんだな… 澄玲みたいに裏表ない方が珍しいのかな?
「へくちっ」
「? 先輩風邪ですか?まさか先輩が風邪を引くわけないですよね」
「咲良… それはどういうことかな…」
「あ… いえ… ○○は風邪ひかないっていうから…」
「ほう… ボクはその○○だと言うのかな?」
「あぁ… うぅ… もしかして幸介さんが先輩の話をしているのかもしれませんよ!」
「そんなので誤魔化されないからね!明日の昼食は咲良の奢りね!!」
話は戻って病院内
「ん… 失礼しました。遠山様の射精方法は有りです。検査前にお相手を決めて私までお伝え願います」
「それじゃ先生にお願いしようかな。色んな検査を担当して申し訳ないけど…」
「そんな事はありません!むしろご褒美です!喜んでこの上里雫が精液検査も担当させて頂きます」
「先生の下の名前って『雫』さんなのか、それじゃ名前で呼ばせてもらってもいいかな? あ、俺の事も名前でお願いします。様付けはいらないです」
「そんな遠や… いえ幸介さんに名前で呼んでもらうなんて恐れ多い気もしますが、幸介さんがよろしければ名前で呼んでください。私にはさん付けしなくていいですからね」
「それじゃ雫、お願いするね」
「はい!それじゃ参りましょうか」
雫に案内され検査室へと向かう。そこは大きな部屋にいくつもの検査機が並んでいた。
(これなるべく移動の負担をさせないようにだと思うが、逆にこれだけ検査されるのかと重い気持ちになるぞ…)
「幸介さんどうしました?」
「あ、あぁ… 随分色んな検査をするんだなぁと思っただけだ…」
「本来これの半分位なんですけど、幸介さんの場合、他所の世界から来た と言うのもありますので健康診断と言うより、精密検査と言った方が正確かもしれませんね」
「それでもその半分でもこんなに検査機を見せられたら、こんなにあるのかぁ って気も重くなりそうだ」
「なるほど… 移動の負担をなくすつもりが逆に気を重くさせてるわけですか… 貴重なご意見ありがとうございます。今後の参考にさせてもらいます」
「是非そうしてください。これじゃ女性に抵抗のない俺でも気が重くなるよ…」
「では、気を取り直して身長と体重から測りましょうか」
俺は雫の言う通りに検査を行っていく。本来この検査をすべて行うのに1週間かけているのだが、このペースだと今日と明日で終わりそうだと言う。
「とりあえず、今日はここまでですね。幸介さんお疲れさまでした。これから寝室に案内させて頂きますね」
「病室ではなく寝室なんですね?」
「えぇ、幸介さんは今の所患者さんではありませんからね、検査の結果で患者さんになるかもしれませんけど、もしそうなってもお部屋の変更はありません」
「そうならないように願うだけですね…」
そして今日のこれからの事と、明日の予定の話をしながら俺の部屋に案内してもらった。
今日は食事を取って風呂に入って寝るだけらしい、明日の検査に影響のない程度なら夜更かしして遊んでもらっても構わないのだというが遊び方も忘れてしまったし大人しく寝るとしよう。
食事を済ませ、部屋でまったりしているとドアがノックさせる。
「はいはい~」俺がドアを開けると雫が手のひらより少し大きめの箱を持ってきてくれた。
「幸介さんこんばんは。幸介さんのスマホが届きましたのでお届に来ました」
「こんな時間にまで悪いね。雫も早く休んでね」
お気遣いありがとうございます。と言い残し雫は去って行く。箱の中には俺が今まで使っていたのと変わらない位の大きさのスマホが入っていた。
それより大きいのが取説だ… 大きいと言うより厚い… 一体何ページあるのか?と言わんばかりの厚さだ。
とりあえず難しい操作は後にして電源を入れて起動するまで待つ…
(今は電話と連絡先の表示と簡単なメッセージのやりとりができればいいかな)
スマホが立ち上がり、画面を見ると、見た事のないアプリもあるが、基本操作は向こうの世界と変わりはないようだ。
俺は連絡先一覧を開き澄玲と咲良が載っているか確認する。
2人の連絡先は確認できたが、聞いた事のない女性も何人か登録されていた。
(まぁ何かのお偉いさんの連絡先だろう。向こうから連絡がこない限りこちらから連絡することはないだろう)
俺はさっそく澄玲ではなく咲良に電話する。
「はい。森下です」
「咲良か?俺だ、幸介だ。スマホが届いたからまずは咲良にと思って連絡した」
「見た事のない番号でしたので誰かと思いましたけど幸介様でしたか。先輩より先に私に連絡してよかったんですか?先輩が知ったら暴れるかもしれませんよ?」
「そこは俺と咲良が黙ってれば問題ない、澄玲の事だから無意味な会話で時間が掛かりそうだと思ってね」
「ふふっ 先輩の事ですからそうなりそうですね、ところで幸介様はいつまで病院にいるんですか?」
「精液検査とやらがどれ位かかるのかわからないが、それ以外だと明日に終わる」
「明日で終わっちゃうんですか?早すぎません?普通の男性なら3,4日かかると聞いてますけど…」
「この世の普通の男性ならそうかもしれないが、俺は『普通』じゃないからな」
「そう言えばそうでしたね…」
そんな感じで咲良と他愛のない話しをしてるとそれなりに時間が経ってしまった。
「もうこんな時間ですね、そろそろ先輩に連絡しないと明日起きれなくなっちゃいますよ?」
「そうだな… その時は話しの途中でも通話を切るとしよう」
「それは先輩が可哀そうだし、明日私に八つ当たりが来るかもしれないのでできればやめてほしいですね…」
「絶対やめて。ではなく『できれば』なんだな」
「そりゃぁ幸介様の体が心配ですから、絶対何て言えませんよ」
「この咲良の優しさの一部でも澄玲にあったら楽なんだが… おっとまた長話になりそうだからこの辺で切るよ」
「はい、おやすみなさい幸介様」
「あぁ、おやすみ」
咲良との通話が終わり、今度は澄玲に電話する。
rrrrrrrr…
出ないな… もう寝てるのか?
「この番号は現在使われておりません。番号をお確かめの上…」
これ澄玲が直接言ってやがる…
「そうか、幸介だったが邪魔したな。使われていない番号ならしかたない、あとで消去しておくよ」
「えっ!幸介さん!待っ…」
そこで俺は通話を終えた。
rrrrrrrr… rrrrrrrr…
澄玲から着信が来た…
「幸介さんごめん!まさかこんなに早く連絡が来るとは思わなかった!」
「使われてない番号だから気にするな。もう二度と掛かってこないようにしておくから安心するといい」
そう言って俺は通話を終える。
rrrrrrrr… rrrrrrrr…
「やかましい!早く寝ろ!!」
「本当にごめんって。幸介さんが消さないって約束してくれるならすぐに切るから…」
「わかったわかった。消さないでおくから安心して寝ると言い」
「それだとまだ不安だからボクが寝るまで通話したままでいいかな?」
「おいおい、俺は明日も検査なんだから夜更かしはしないぞ?」
「大丈夫だいじょう…ぶ。ボクは もうねむいs…」
「Zzzzz… Zzzzz…」
「もう寝たのか?」
「Zzzzz… Zzzzz…」
澄玲は寝たようなので通話を終え俺も寝る事にする。
(今日は色々あったな… まさか世界を渡るとは思ってもいなかった。そういや向こうの世界では俺の事はどうなるんだろうか?もし俺が神隠しにように消えたのなら、色んな人に迷惑かけるな…)
これ以上は考えてもしかたないので、俺の後始末をする人は運が悪かったと思って諦めてもらおう。
こうして俺の初日は終わりを迎える…
「中々愉快な警士さん達ですね」
「あぁ見えてうるさい方は3等警曹だって言うのですから疑ってしまいそうですよ」
「そうなのですか、それはとても優秀な方なのですね」
「まぁ、俺はこの世界に来たばかりなのでよくわかりませんが、あれが優秀ならみなさんはとても優秀に見えるんですけどねぇ」
「そうですね、それでは先ほどのお二人に話は聞いていますけど、確認の為にもう1度お聞かせください」
そう言うと俺はここに来る直前から今までの事を話した。上里医師は俺がこの世界に来た事よりも俺が若返った事に驚いていた。
「なるほど… そうなると予定している検査の他に身体能力の検査もしておいた方がよさそうですね。入院が数日伸びる事になりますけどよろしいですか?」
「よろしいか?と言われても、こっちは家無し・文無しだから先生の邪魔にならなければ大丈夫ですよ」
「そう言われるとそうでしたね。遠山様のお家は今、政府が必死に探していると思われます。男性に粗相のないように早ければ明日にも決まるかもしれませんね」
「明日って、もう俺の事は国も把握しているのか?」
「えぇ、警察署でお話されてる間に政府へ報告しているはずです。今頃上から下まで大騒ぎになっていると思いますよ」
ふふっ と笑みをこぼす上里医師。どうやらここも俺の話が来た時は大騒ぎになったのだと言う。そりゃぁ他所の世界から貴重な男性が来たとなれば騒ぎ出すのも仕方のない事なのかな。
「これが予定している検査表です。これとは別に身体能力の検査も行いますが、そちらは決まり次第お伝えしますね」
俺は検査表を見てみる。身長・体重…… と普通の健康診断と変わらない。ただ1つ1つの検査にこんなに時間が必要なのか?と思うほど時間をとっている。それと健康診断で検査する事の無い『精液検査』も含まれていた。
「何かご不明な所はございますか?」
上里医師が聞いてくるので俺は1つ1つの検査の時間が長い理由と、精液検査はやった事がないのでどういう流れなのかを聞いてみた。
「普段男性の方を検査する時はこれ位の時間をとります。みなさん無理やり来させられたと言う方々ばかりなので、少しでも良い印象を与えスムーズに検査が出来る様に配慮した結果です。それと精液検査は遠山様なのではっきりいいますけど、こちらが用意した容器に射精して頂きます。容器に射精したと言う結果さえあれば射精の手段は問いません。」
「なるほど、まず精液検査以外だが、そんなに時間をとってもらわなくても大丈夫です。身長・体重なんてその計りを準備していれば5分もかからないでしょう?」
「たしかに遠山様のおっしゃる通りです。それでしたら女性の検査と同じ位の時間にしても問題なさそうですね」
「それと、検査する方が俺を見て緊張しないか。と言うのもあるかな。さっきの大人しい方は最初に俺を見た時に思いっきり緊張してたからなぁ」
「なるほど、こちらの都合もあるわけですね。お気遣い感謝します。それでしたら心配ありません。機器の用意は他の者も行いますが検査は私1人で行います」
「そうなると上里先生は大変じゃないのか?それなら先生が無理しないように時間をとってもらってもこちらは問題ないですよ」
「その辺もご心配なく、私も遠山様も負担にならないような配置にしていますので遠山様さえよければ次々に検査する事も可能です」
「まぁそこは専門家にお任せするとして、問題はやったことのない精液検査かな。俺の中では検査室で1人で自慰行為をして出すってイメージなんだけど、それだと緊張して出せなさそうだ」
「そこはみなさんのやりやすい方法にお任せしていますので何とも言えませんが、例えば薬を使って無理やりに射精する方や、落ち着くまで何時間もかかる方とか本当にこればかりは人によって違うので、我々からは これだ。と言う方法を言う事ができないのです」
ん~、やり方は任せると言ってもエロ本とかなさそうだしなぁ、何かおかずになりそうなモノでもあれば何とかなりそうなんだけど…
「ところで、容器に射精すると言ったけど、容器とはどんなものなんですか?」
「それでしたら今お持ちしますね」
そう言うと上里医師は席を外し容器を取りに行く。数分も待たない内に戻ってきて容器の説明をしてくれた。
「こちらが射精用の容器です」
上里医師の掌の上に3,4センチ程の正方形のモノが乗っていた。銀色のパックに包まれたそのモノは俺の世界のコンドームの入れ物の形によく似ている。
「もしかしてその中に男性のペニスを包む薄いゴムが入っているんですか?」
俺の質問に上里医師は驚いている。まさか別世界の人間がこれの中身を知るわけがないとでも思っていたんだろうか。
「えぇ… 遠山様のおっしゃる通りです。遠山様の世界にもこの容器は存在しているのですか?」
「そうですね、俺の世界ではコンドームと言われている物でそれにペニスを包み女性と性行為する事で望まない妊娠や性病を防ぐ為の物です」
「望まない妊娠などあるわけが… と言うか遠山様の世界は女性と同じ位に男性がいるのでしたね…」
無理やり納得したような上里医師、小さな声で「望まない妊娠の性行為をする位なら私が変わってやるのに…」と呟いていた。
「それで先生に相談なんですが、その容器を使って俺が性行為して射精するのも有りですか?」
俺の発言に上里医師は驚いている。おそらくそんな事を言う男性は今までいなかったのだろう。上里医師は少し悩み、俺が望むのであればその方法もありだと思うが前例がないので上手くできるかわからないのだと言う。
「えっと… 有りか無しかで言えば有りです。ですが本当によろしいのですか?膣内に射精されない女性が獣になっても当院では責任取れませんけど…」
「ん~ その時は検査後にもう一回と言うのは有りですか?もちろん膣内射精付きです」
「それでしたら、当院にいるすべての者が立候補するでしょう… 正直に申し上げますと私も立候補します。と言うかさせてください!」
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「へくちっ」
「? 先輩風邪ですか?まさか先輩が風邪を引くわけないですよね」
「咲良… それはどういうことかな…」
「あ… いえ… ○○は風邪ひかないっていうから…」
「ほう… ボクはその○○だと言うのかな?」
「あぁ… うぅ… もしかして幸介さんが先輩の話をしているのかもしれませんよ!」
「そんなので誤魔化されないからね!明日の昼食は咲良の奢りね!!」
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「ん… 失礼しました。遠山様の射精方法は有りです。検査前にお相手を決めて私までお伝え願います」
「それじゃ先生にお願いしようかな。色んな検査を担当して申し訳ないけど…」
「そんな事はありません!むしろご褒美です!喜んでこの上里雫が精液検査も担当させて頂きます」
「先生の下の名前って『雫』さんなのか、それじゃ名前で呼ばせてもらってもいいかな? あ、俺の事も名前でお願いします。様付けはいらないです」
「そんな遠や… いえ幸介さんに名前で呼んでもらうなんて恐れ多い気もしますが、幸介さんがよろしければ名前で呼んでください。私にはさん付けしなくていいですからね」
「それじゃ雫、お願いするね」
「はい!それじゃ参りましょうか」
雫に案内され検査室へと向かう。そこは大きな部屋にいくつもの検査機が並んでいた。
(これなるべく移動の負担をさせないようにだと思うが、逆にこれだけ検査されるのかと重い気持ちになるぞ…)
「幸介さんどうしました?」
「あ、あぁ… 随分色んな検査をするんだなぁと思っただけだ…」
「本来これの半分位なんですけど、幸介さんの場合、他所の世界から来た と言うのもありますので健康診断と言うより、精密検査と言った方が正確かもしれませんね」
「それでもその半分でもこんなに検査機を見せられたら、こんなにあるのかぁ って気も重くなりそうだ」
「なるほど… 移動の負担をなくすつもりが逆に気を重くさせてるわけですか… 貴重なご意見ありがとうございます。今後の参考にさせてもらいます」
「是非そうしてください。これじゃ女性に抵抗のない俺でも気が重くなるよ…」
「では、気を取り直して身長と体重から測りましょうか」
俺は雫の言う通りに検査を行っていく。本来この検査をすべて行うのに1週間かけているのだが、このペースだと今日と明日で終わりそうだと言う。
「とりあえず、今日はここまでですね。幸介さんお疲れさまでした。これから寝室に案内させて頂きますね」
「病室ではなく寝室なんですね?」
「えぇ、幸介さんは今の所患者さんではありませんからね、検査の結果で患者さんになるかもしれませんけど、もしそうなってもお部屋の変更はありません」
「そうならないように願うだけですね…」
そして今日のこれからの事と、明日の予定の話をしながら俺の部屋に案内してもらった。
今日は食事を取って風呂に入って寝るだけらしい、明日の検査に影響のない程度なら夜更かしして遊んでもらっても構わないのだというが遊び方も忘れてしまったし大人しく寝るとしよう。
食事を済ませ、部屋でまったりしているとドアがノックさせる。
「はいはい~」俺がドアを開けると雫が手のひらより少し大きめの箱を持ってきてくれた。
「幸介さんこんばんは。幸介さんのスマホが届きましたのでお届に来ました」
「こんな時間にまで悪いね。雫も早く休んでね」
お気遣いありがとうございます。と言い残し雫は去って行く。箱の中には俺が今まで使っていたのと変わらない位の大きさのスマホが入っていた。
それより大きいのが取説だ… 大きいと言うより厚い… 一体何ページあるのか?と言わんばかりの厚さだ。
とりあえず難しい操作は後にして電源を入れて起動するまで待つ…
(今は電話と連絡先の表示と簡単なメッセージのやりとりができればいいかな)
スマホが立ち上がり、画面を見ると、見た事のないアプリもあるが、基本操作は向こうの世界と変わりはないようだ。
俺は連絡先一覧を開き澄玲と咲良が載っているか確認する。
2人の連絡先は確認できたが、聞いた事のない女性も何人か登録されていた。
(まぁ何かのお偉いさんの連絡先だろう。向こうから連絡がこない限りこちらから連絡することはないだろう)
俺はさっそく澄玲ではなく咲良に電話する。
「はい。森下です」
「咲良か?俺だ、幸介だ。スマホが届いたからまずは咲良にと思って連絡した」
「見た事のない番号でしたので誰かと思いましたけど幸介様でしたか。先輩より先に私に連絡してよかったんですか?先輩が知ったら暴れるかもしれませんよ?」
「そこは俺と咲良が黙ってれば問題ない、澄玲の事だから無意味な会話で時間が掛かりそうだと思ってね」
「ふふっ 先輩の事ですからそうなりそうですね、ところで幸介様はいつまで病院にいるんですか?」
「精液検査とやらがどれ位かかるのかわからないが、それ以外だと明日に終わる」
「明日で終わっちゃうんですか?早すぎません?普通の男性なら3,4日かかると聞いてますけど…」
「この世の普通の男性ならそうかもしれないが、俺は『普通』じゃないからな」
「そう言えばそうでしたね…」
そんな感じで咲良と他愛のない話しをしてるとそれなりに時間が経ってしまった。
「もうこんな時間ですね、そろそろ先輩に連絡しないと明日起きれなくなっちゃいますよ?」
「そうだな… その時は話しの途中でも通話を切るとしよう」
「それは先輩が可哀そうだし、明日私に八つ当たりが来るかもしれないのでできればやめてほしいですね…」
「絶対やめて。ではなく『できれば』なんだな」
「そりゃぁ幸介様の体が心配ですから、絶対何て言えませんよ」
「この咲良の優しさの一部でも澄玲にあったら楽なんだが… おっとまた長話になりそうだからこの辺で切るよ」
「はい、おやすみなさい幸介様」
「あぁ、おやすみ」
咲良との通話が終わり、今度は澄玲に電話する。
rrrrrrrr…
出ないな… もう寝てるのか?
「この番号は現在使われておりません。番号をお確かめの上…」
これ澄玲が直接言ってやがる…
「そうか、幸介だったが邪魔したな。使われていない番号ならしかたない、あとで消去しておくよ」
「えっ!幸介さん!待っ…」
そこで俺は通話を終えた。
rrrrrrrr… rrrrrrrr…
澄玲から着信が来た…
「幸介さんごめん!まさかこんなに早く連絡が来るとは思わなかった!」
「使われてない番号だから気にするな。もう二度と掛かってこないようにしておくから安心するといい」
そう言って俺は通話を終える。
rrrrrrrr… rrrrrrrr…
「やかましい!早く寝ろ!!」
「本当にごめんって。幸介さんが消さないって約束してくれるならすぐに切るから…」
「わかったわかった。消さないでおくから安心して寝ると言い」
「それだとまだ不安だからボクが寝るまで通話したままでいいかな?」
「おいおい、俺は明日も検査なんだから夜更かしはしないぞ?」
「大丈夫だいじょう…ぶ。ボクは もうねむいs…」
「Zzzzz… Zzzzz…」
「もう寝たのか?」
「Zzzzz… Zzzzz…」
澄玲は寝たようなので通話を終え俺も寝る事にする。
(今日は色々あったな… まさか世界を渡るとは思ってもいなかった。そういや向こうの世界では俺の事はどうなるんだろうか?もし俺が神隠しにように消えたのなら、色んな人に迷惑かけるな…)
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