奏でる二人

なゆみ♪

文字の大きさ
上 下
5 / 12
第2章 菜由美について

PTA会長など

しおりを挟む
三男が年長に進級する頃、同じ学年のママ友、森瑞穂から、PTA会長に立候補して欲しいと打診があった。
「なゆぴーが会長やってくれたら、私が全力でサポートするから」
そう言ってくれた。そこまで言われたらやらないわけにいかない。いろいろ悩んだが、菜由美は会長を引き受けた。で、瑞穂ともう一人、菜由美と入園前から仲の良かったママ友、小野寺由紀が副会長に、さらに入園時から仲良かったママ友、海野紗智子が書記になった。あと、仲良くはなかったが、勇気持って会計に立候補してくれた、井上絵里子を加え、5人が、この2013年度を率いていくこととなった。

そのタイミングで交代した園長から、4月早々早速呼ばれ、総会に出るよう通知が来たことを告げられた。
市内の私立幼稚園のPTA役員が年に一度、一同に集まり、総会が行われる。
さらに、その私立幼稚園PTA連合、略して私P連の役員が、今年はうちの幼稚園が当番園だとか。
まあ、聞かされていたけど、ちょっと大変な一年になりそう。

園内のPTA総会も滞りなく終わり、次はその私P連の総会に5人は参加した。
そのあとで、会長、つまり菜由美だけは残って、その私P連の5役を決める会議に出た。
そのとき、前年度の私P連5役も引き継ぎのために来ていたのだが、その前年度の会長が、望月俊和であった。
菜由美は、彼がトロンボーン吹きだというのは知っていた。しかし、音楽家としてどんな活動をしているかは、全く知らなかった。つまりは、お互い、初対面。
一方、俊和も、菜由美が楽器の経験者だとは全く知らず。

菜由美は、庶務という、まあ、書紀に似たような役になった。責任という面ではそうでもないが、一番面倒な役回りを担った。

後日、わりと良いところでランチをしながら、引き継ぎ会が行われた。
そこで、菜由美は、俊和が、若手の音楽家を養成する目的で立ち上げた、ユース吹奏楽団「Ka's」を運営していることを知る。毎年、8月に、私P連の行事として、年長さんとその親御さんのためのコンサートを、「Ka's」による演奏で行っているそうだ。
菜由美は、運営側なので、演奏には参加しないが、園児たちに喜んでもらえるよう、サポートを頑張りたいと思った。これだから、幼稚園のPTAは楽しい。ランチは美味しいし、いいことずくめじゃーん。(おい)

6月の代表者会議を経て、その8月の「ワクワクKa'sコンサート」と、忙しく動いた。一方で、園内のこともしなくてはならず、やはり大変だった。が、副会長以下の役員たちが、しっかりやってくれたので、菜由美はわりと楽させてもらった。月一回の役員会さえちゃんとやれば、大丈夫な感じだった。

8月下旬に行われた「ワクワクka'sコンサート」では、裏方としてサポートする一方で、菜由美は、自分が打楽器の経験者であることを初めて打ち明けた。
「来年には、ka'sにいたりして」
「いやいや、年齢がヤバいですよ」
「大丈夫。僕がいる。」
何?この会話??
役員は、裏方専門ではあったが、最後に、踊り子としてステージに上がる場面もあり、盛況のうちに幕は閉じた。

こうして、1年間、菜由美は、三男の幼稚園のPTA会長、そして、私P連の役員として、忙しく活動した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ネガティブな気持ち

オレンジ
エッセイ・ノンフィクション
いつも考えてることそのまま書きました

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ニート息子の言霊録~信じるしかないじゃん、だって家族だもん~

かねい彪子
エッセイ・ノンフィクション
大学、専門学校、技能学生を辞めた21歳ニート息子。母子家庭で母と二人暮らしの先の見えないはずの毎日……でもニート息子には明るい未来が見えている!?ニートのポジティブな言葉を背に母は今日もご出勤。息子の言葉がいつか「言霊」になると信じて。

【急報】HOTランキングチャレンジ

蒼井星空
エッセイ・ノンフィクション
自作を投稿したときのHOTランキングの推移と興奮をお伝えしたいと思います。 そもそも載ると思ってなかったので急遽ですw

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

愛が歪んでいく

壱婁
エッセイ・ノンフィクション
発達障害を抱えたヤングケアラーの実体験になります。 【家族構成】 母:摂食障害,鬱病,更年期 私:ADHD,不安障害 妹:鬱病,母と共依存、喘息

家族や地元の人には言えない話(実体験)

きじま
エッセイ・ノンフィクション
僕の実体験に基づいた話をあげていきます。

たった一人で中国へ!?~女子医学生が一ヶ月武漢留学してきた話~

さぁしゃお
エッセイ・ノンフィクション
医学生の私は中国に行って一ヶ月病院実習という名の留学をしてきた。行ってみたら日本人は一人もいないし勉強していった中国語も発音が悪すぎて通じない!そんなハチャメチャ珍道中を綴ったエッセイです! 追記:このエッセイは以前、エッセイ大賞が行われた時期限定で掲載していたものです。なのでここに書かれている内容は今から約2年前、2018年の武漢を書いたものです。私が行ったときの武漢のイメージをもう一度伝えたいと思い、再掲することにいたしました。

処理中です...